議事録

2021年4月15日 総務委員会(フジメディアホールディングスの外資規制違反問題)

【伊藤岳参議院議員】

 日本共産党の伊藤岳です。東北新社の外資規制違反の事案について、フジ・メディア・ホールディングスに外資規制違反があったことが明らかになりました。公共の電波、放送の自主自律に関わる重大な問題です。フジ・メディア・ホールディングス金光社長に伺います。

 まず、衆議院総務委員会での答弁を確認をしたいと思います。外資規制違反の可能性について、二〇一四年十月末から十一月頭頃に気付いた、金光氏は十一月下旬に報告を受けた、また、外資規制違反に気付いた後、外資比率二〇%未満の適法状態とする手続を取り、違反の可能性を解消した、そして、十二月頭に金光氏が外資規制違反について総務省におわびと報告に行った、十二月中にもう一度総務省に行き、面談二回目が行われた、そこで口頭での厳重注意を言い渡されたと答弁されました。これ、間違いないでしょうか。

 

【金光修フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長】

 この過去においてミスをしたことに気が付いたのは、この二〇一四年九月末の名簿確定をする、すなわち十月から開始される作業の終了後、過去を振り返って気付いたものでございます。したがいまして、この二〇一四年九月末の名簿の確定しているときには、その相互保有株の存在に気が付きましたので……(発言する者あり)そういうことでございます。はい、さようでございます。

 

【伊藤岳参議院議員】

 間違いないということですね。確認いたします。

 外資規制違反の可能性を把握した時点から総務省に報告に行くまでに一か月も要しています。なぜ重大な外資規制違反に気付いた後、直ちに総務省に報告、相談に行かなかったんですか。

 

【金光修フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長】

 私も、それに関しましては社内の連携が悪くて極めて反省すべきことだと思っておりますが、なぜかと申しますと、そのときのいわゆる株主名簿を確定する株式部、それと同時に九月の中間期の決算が行われておりまして、財務経理の中での四半期報告書、決算を発表するのと四半期報告書の出す作業がありまして、そこの連携が悪くて、四半期計算書のいわゆる総議決権数を間違って記載しているということがありました。

 で、四半期報告書を訂正するかどうかという議論にその時点においては重きを置かれ、それは総務と財務経理の間で話をされていたので、本来、この放送法の重要性に気付けば、先に私なり、そのことを認識しているところに相談すべきだったものが、それをする前に、会社法上のこと、いわゆる金商法上のことをその当該部門で重要視してしまったためにその一か月のロスが生まれたというふうに、今回のことで改めて調査して分かったことでございます。大変申し訳ございません。

 

【伊藤岳参議院議員】

 今社長も言われましたけれども、やっぱり認識の甘さだと思いますよ。

 総務省に聞きます。外資規制違反を把握してから一か月も報告が遅れたことをよしとするのですか。放送法に照らせば、本来は認定取消し、欠格事由に当たるのではないですか。

 

【吉田博史情報流通行政局長】

 フジ・メディア・ホールディングスに確認したところ、先ほど委員からもお話ありましたとおり、十月末から同年十一月上旬にかけて、過去の外資規制違反を同社において認識したと聞いております。その後、十二月八日頃、総務省との間で一回目の面会が行われましたが、その際、同社から総務省への報告が遅れたことについてのおわびがありました。

 外資規制違反という重要な事実であることに鑑み、同社において外資規制の、違反しているという事実を認識した後、速やかに御報告いただくべきであったのではないかと考えております。なお、同社が十月末から十一月上旬にかけて認識したという時点で、九月末の株主名簿が確定した時点で外資規制違反の状態は解消されていたと承知しております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 一か月遅れたこと、報告遅れたこと、厳しく注意したんですか。聞いているのはそこであります。

 

【吉田博史情報流通行政局長】

 二回目の面会の際に、フジ・メディア・ホールディングスに対し、報告が遅れたことも含めて、今後このようなことを、二度と起きないよう、厳重に注意を当時の担当課長からしております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 何で一回目のときに注意しないんですかね。総務省も認識が甘過ぎると思います。二〇一四年十二月頭に金光氏が外資規制違反について総務省におわびと報告に行ったと言われましたが、いつ、総務省の誰に対してアポイントを取ったのか。総務省、衆議院の総務委員会では、よく分からないという、あっ、金光社長、衆議院の総務委員会では、よくその辺は分からないと言われたと思いますが、総務省の誰に対してまずアポイントを取ったのか、調べていただけましたか。また、どういう面談をしたいのかというのを総務省に伝えましたか。

 

【金光修フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長】

 前回質問されたときもお答えいたしましたが、七年前のことですので、どういう形でアポイントを取ったに関しては定かに覚えておりませんが、放送政策課長の元に訪問をお願いしたということであります。

 

【伊藤岳参議院議員】

 外資規制違反についての可能性を一番早く伝えたのはどなたですか。放送政策課長ですか。

 

【金光修フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長】

 我々は、議決権の計算を間違えて、外資規制にオーバーしている、しまったという立場でございます。それが法的にどう解釈されるのかということの感触を得るために行ったので、放送政策課に赴いたんだというふうに考えております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 では、総務省に伺います。フジ側からの面談のアポイントは総務省の誰が受けたんでしょうか。また、面談の趣旨をどのように聞いたんでしょうか。

 

【吉田博史情報流通行政局長】

 当時の総務省の担当者に確認、確認いたしましたが、面会の約束を取ったときの状況というのは覚えていないということでございます。同社の常務から当時の放送政策課長に面談の申入れがあったのではないかと思われるが、具体的にどういう形でというのは覚えていないということでございます。

 

【伊藤岳参議院議員】

 フジ側の外資規制違反の可能性を総務省の中で一番早く聞いたのは誰ですか。

 

【吉田博史情報流通行政局長】

 十二月八日頃に面談を行った、当時の放送政策課長でございます。

 

【伊藤岳参議院議員】

 金光社長に伺います。十二月頭一回目と十二月中の二回目の面談には、フジ側からは誰が参加し、総務省側からは誰が参加されていましたか。

 

【金光修フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長】

 そのときの記憶をたどると、一回目の訪問の際にはスタッフを同行させたと記憶がございます。先方は一人であったか二人であったか、最大でも二人だったというふうに記憶しております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 先方の二人というのは課長以上の職の方ですか。

 

【金光修フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長】

 課長と、いたとしたら、もう一人の方。ちょっと私はそこ、どなたかというのはちょっと覚えておりません。

 

【伊藤岳参議院議員】

 総務省に伺います。この二つの面談に総務省側から参加した参加者、誰ですか。

 

【吉田博史情報流通行政局長】

 当時の放送政策課長と放送政策課の担当者と聞いております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 総務省に伺います。放送法の解釈に係る放送政策課長は面談にさした。一方、外資規制違反を直接担当する地上放送課長を面談に参加させなかった。これはなぜですか。

 

【吉田博史情報流通行政局長】

 認定放送持ち株会社に関し、法令の解釈等の制度面は放送政策課、認定等の実務面は地上放送課が担当しております。本件については放送政策課で対応し、法解釈についての相談との認識であったものと聞いております。しかしながら、放送法の解釈の相談でありましても、本事案は外資規制違反という重要な事実であることに鑑み、当時の地上放送課長を含め、関係者には少なくとも事案の内容が共有されるべきものでございましたが、実際には共有されていなかったということでございます。この点も含めて、当時の担当者の認識が甘かったと考えております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 もう大変重大なことだと思いますよ。公共電波、放送の自主自立に係る重大な外資規制違反に対する対応の体制になっていないじゃないですか。先ほど金光社長もおっしゃったとおり、放送法をどう解釈したら、どうこの外資規制違反をくぐり抜けられるのかという面談をフジ側は申し入れて、総務省はそれに対応したというふうにしかこれ思えない構図だと思います。

 先ほど金光社長も法の相談だというふうに言われました。金光社長に伺います。十二月頭、一回目の面談では、おわびと報告以外に金光社長からは何を聞いたりお話をされたのか。また、総務省側からは何を聞かれたりお話があったのか。いかがですか。

 

【金光修フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長】

 私がその際に、行く目的として私がお話しすることは、過去において外資規制にオーバーしていたという結果の事実でございます。この経緯あるいは原因等々に関して、その時点で私は専門外なので説明するだけの知識はございませんでした。したがいまして、それは書面で、リーガルチェックを受けた書面をお渡しするということでその目的を達したというふうに考えております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 もう一つお聞きしたいんですが、総務省側からはどんな話が出ましたか、一回目の面談のとき。

 

【金光修フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長】

取りあえず、その事実について確認と、そのいわゆる具体的な経緯等々に関して何か質問はあったかもしれませんが、覚えておりません。

 

【伊藤岳参議院議員】

 そうすると、やはり、一回目の面談のときに総務省側から外資規制違反についての重大性を問いただすような話はなかったということなんですね。金光社長は、今回の外資規制違反が認定の取消しにならないという感触を得たのはなぜですか。

 

【金光修フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長】

 我々は包み隠さずその事態を御報告しました。あとは法の解釈に委ねるというところで、次のところで、今回の件は厳重注意するという形で口頭で言われましたので、それをもってこの認定取消しはないと判断いたしました。

 

【伊藤岳参議院議員】

 その厳重注意、認定の取消しにならない理由を総務省側はどのように説明されましたか。

 

【金光修フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長】

私が言ったのは、事実を伝えて、その解釈を求めることでございます。その認定の取消しになるんですか、ならないんですかという直接的な聞き方でお伺いしたわけではありません。実質的にはそれは委ねましたが。それに対して、厳重注意すると、二度と起こさないでくださいという注意を受けるということで判断したということでございます。

 

【伊藤岳参議院議員】

いや、お聞きしたのは、取消しとはならない理由を総務省からはどのように説明を受けましたかということです。

 

【金光修フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長】

 その説明はございませんでした。

 

【伊藤岳参議院議員】

 総務省に聞きます。今の社長の答弁は事実ですか。認定取消しにならない理由は総務省から説明しなかったということですか。

 

【吉田博史情報流通行政局長】

 二〇一四年十二月におけますフジ・メディア・ホールディングスと総務省の間のやり取りにつきましては、私どもが確認しておりますのは、フジ・メディア・ホールディングスから不注意により外資規制違反の状態にあったことについて、どういう理由であろうと申し訳なかった旨のおわびがあったという点と、同社から総務省への報告が遅れたことのおわびがあったこと、また、総務省からの確認に対して、同社が外資規制違反の状態はその当時において既に解消されていると回答したこと、総務省から同社に対し今後このようなことを二度と起こさないよう厳重に注意をしたことというやり取りがあったことを確認しております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 先ほど金光社長は、認定取消しにならない理由、総務省から説明なかったと言われましたし、今の局長の話でもそういう話が出ませんでしたが、つまり、内閣法制局の見解は面談のときには持ち出されなかったということですね。

 

【吉田博史情報流通行政局長】

 そのような説明はしておりません。

 

【伊藤岳参議院議員】

 大臣は、内閣法制局見解が、その見解の基となった事案から内閣法制局見解を導き出して、これ、厳重注意の根拠とすると言われましたが、この面談のときにはその内閣法制局見解は示されなかった。これ、不思議な話だと思います。しかも、外資規制違反の重大性について注意をしたという面談だったとは思えません。やはり、先ほども言いましたが、認定取消しとの事態を回避するために、法的にどうくぐり抜けるかを相談する面談だったとこれ言われてもしようがないと思いますし、先ほど社長は、総務省との会食の有無を問われて、会食そのものも否定されませんでした。これ、疑念が強まるばかりです。

 社長に伺います。金光社長は、放送法が規定する外資規制違反した状態にあったにもかかわらず厳重注意だけで済んだことについて、どのような事由によるものと受け止めているんでしょうか。

 

【金光修フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長】

 どのような理由を想像することは、現実的に我々の知識の範囲内ではしかねることであります。法律の解釈がどういうふうに運用されるかということに関しては様々な事例があるということは認識しておりましたので、その今回の違反事例がどういう形で厳重注意になったかということは、基本的に想像するということはございませんでした、と思います。

 

【伊藤岳参議院議員】

 総務省もこの間国会で答弁しているように、電波の周波数は有限希少で、放送は言論報道機関としての大きな社会的影響力を有するからこそ放送法の外資規制の規定がある、放送事業者の外資比率は国の安全保障を左右しかねない大問題だというふうに答弁されていますが、全くそのとおりだと思います。その外資規制違反が、フジ・メディア・ホールディングスにおいて二〇一二年四月から二〇一四年三月までの二年近くにわたって放置をされていた。フジ側も総務省側も重く重く受け止めるべきだと思います。

 大臣に伺います。放送法の外資規制の規定の持つ意味について、大臣の見解をお聞かせください。

 

【武田良太総務大臣】

 放送法の外資規制は、国家安全保障に係る重要な規制と認識しております。具体的には、放送法が基幹放送事業者等に外資規制を設けているのは、放送が用いる電波の周波数は有限希少であり、その利用に当たっては自国民を優先させるべきであること、また、放送は言論報道機関としての大きな社会的影響力を有することを踏まえ、外国性を制限する趣旨であると考えております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 今の大臣も答弁あったとおり、外資規制の規定の意味は大変重たいと思います。そこで、総務省に伺います。フジ・メディア・ホールディングスの外資規制違反に対しての厳重注意は当時の安藤情報流通行政局長の判断だったと、この間の委員会で答弁がありました。外資比率が二〇%を超えていたことがあったと後に事業者から報告された場合の対応について、どのレベルで判断されるのか、また、そのどういうレベルで判断をするのかという規定があるんでしょうか。

 

【吉田博史情報流通行政局長】

 御指摘のとおり、二〇一四年十二月にフジ・メディア・ホールディングスから外資規制に反している状態にあったという報告があった際には、当時の情報流通行政局長の判断で厳重に注意したとのことであります。何か行政、行政処分、あるいは行政、あっ、行政処分等を行う場合につきましては、総務省行政文書取扱規則におきまして決裁者というものが決まっております。ちなみに、認定の取消しに関する決裁者は情報流通行政局長となっております。ただ、いずれにいたしましても、外資規制違反という重要な事実であることに鑑みまして、当時、大臣まで報告すべきであったと考えられ、この点につきましても当時の担当者の認識は甘かったと考えております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 先ほど金光社長の話でも、厳重注意については放送政策課長から言い渡されたと思いますが、放送政策課長に厳重注意を言い渡す権限がありますか。

 

【吉田博史情報流通行政局長】

 行政指導に係る決裁者につきましては、大臣、局長、課長にそれぞれ分掌されているところでございます。

 

【伊藤岳参議院議員】

 いや、ですから、放送政策課長に権限があるのかと聞いているんです。

 

【吉田博史情報流通行政局長】

 判断を行ったのは情報流通行政局長でございます。

 

【伊藤岳参議院議員】

 では、判断は情報流通行政局長が判断すれば何課長だろうが言い渡せるということなんですか。

 

【吉田博史情報流通行政局長】

 局長がその実施を課長に委任したという形になるんだと思います。

 

【伊藤岳参議院議員】

 本当、不思議だと思います。この今回の外資規制違反の対応は、担当局長の認識の甘さももちろんこれありますが、そういうレベルの問題ではないと思います。対応の規定すら存在していないということが大問題だと私は思うんですね。また、本当に担当局長の判断での厳重だったのかも疑われると思います。もしそうだったとすれば、重大な外資規制違反に対して余りにもなあなあな対応です。上からの指示があったのではないかという疑問も残ります。更なる真相の究明が必要だと思います。

 外資比率については、放送法九十三条一項の規定により、基幹放送の認定の際、事業継承の際、更新の際、放送事項の変更の際などに総務省、つまり総務大臣から認定を受けなければなりません。なのに、外資規制違反があったことが事業者から後に報告された場合の対応が余りにも曖昧ではないですか。大臣の見解を伺います。

 

【武田良太総務大臣】

 今回の事案を受けまして放送法に係る外資規制の実効性の確保について、様々な御指摘をいただいていることは承知をいたしております。法改正も視野に検討を開始するよう事務方に指示を出しております。とりわけ、まず取り組むべきこととして総務省における審査体制の強化が必要と考えており、外資比率の状況を定期的に把握できるような制度に改めることや、外資規制審査に係る担当部署を設置することを含め、審査体制の充実に早急に取り組みたいと考えております。

 なお、こうした一連の検討に資するため、諸外国の外資規制の状況などを調査する外資規制調査チームを十三日に国際戦略局に設置したところであり、既に調査に着手をしております。調査チームからの報告も踏まえつつ、外資規制の抜本的な見直しについて、法改正も視野に迅速に検討を進めてまいりたいと考えております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 今の検討されているという話でしたが、認定と認定との間の期間に事業者が外資規制違反に気付いた場合の総務省への報告の義務はありません。外資規制違反の状態が次の報告、認定の時点で存在しなければ認定取消しにならないとこの間答弁されています。これでは、外資規制違反の状態があったことが事実上見過ごされてしまう仕組みとなっているんではないかと思います。この点で検討はされていますか。

 

【吉田博史情報流通行政局長】

 大臣からも今御答弁申し上げたとおり、審査体制の強化ということを検討しております。そこにおきましては、外資比率の状況を認定時などのみではなく、その後も定期的に把握できるような仕組みに改めること、あるいは、そのための外資規制審査に係る担当部署を設置するなど、そういう意味で定期的に把握できるような形にした審査体制の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 大手事業者に対して余りにも甘い対応だったと思います。放送法に基づいて認定を行う所管省庁としての責任が問われる問題点、課題だということを指摘をし、質問を終わります。