エッセイ

新春随想 タクシー乗り場で

 新春宣伝で、コロナ前の風景との違いを感じた。その一つが、駅待ちのタクシーの少なさだ。
 宣伝の後、タクシーで移動した際、運転手さんが「随分と待たれましたか。タクシーはあるけど、乗務員がめっきり少なくなってしまってね」と声をかけてきた。
 私が臨時国会で、タクシー乗務員がカード決済手数料を負担させられ、手取りが少なくなっている問題等を質問したことを紹介すると「そうそう、洗車費用も自分持ち。売り上げの中の消費税分も会社に持っていかれるんです。子育て世代は『やっていけない』とみんな辞めちまいましたよ」「タクシーはね、お年寄りの足でもある。高齢化社会になって、ますます必要なものが、このままでは消えてしまいますよ」と堰を切ったように話してくれた。
 「物価高騰対策の一番の決め手は賃上げ」だと政府も認めているときに、賃金が低すぎて暮らしも成り立たない。そして地域の足、公共交通などの生活基盤も壊されていくような事態を放置していいのだろうか。岸田政権は、昨年末以来「大軍拡、大増税」を声高に言い出したが、この道を突き進んでしまったら暮らしの現場は持ちこたえられない。
 街を歩けば政治のゆがみが見えてくる。今年も現場の声・実態を突きつけて、政治を前に動かしていきたい。