議事録

2021年1月27日 総務委員会 飲食店へのコロナ対応と情報通信研究機構法の一部改正法案

【伊藤岳参議院議員】

 日本共産党の伊藤岳です。国立研究開発法人情報通信研究機構法改正案についてお聞きします。改正の一つは、ビヨンド5Gを実現する革新的な情報通信技術の創出のためとして、その研究開発に係る基金が設置されることにあります。

 大臣に伺います。日本企業の国際的シェアを引き上げていくと言われますが、この基金の設置で国際的シェアが引き上がっていくという具体的な根拠は何ですか。

 

【武田良太総務大臣】

 先ほどから基金の内容、三百億円については説明を差し上げてまいりました。この日本企業の国際的シェアが引き上がることに何でつながるのかという御質問だと思うんですけれども、総務省としては、昨年六月に策定しましたビヨンド5G推進戦略に基づいて、研究開発や知財・標準化などについて、その後の社会展開やグローバルでのビジネス展開につなげていくことを意識しつつ集中的な取組を進めているところであり、我が国企業がパートナー企業とともにグローバル市場において市場シェアの三割程度を獲得することを目指し、国際競争力の強化を図ってまいりたいとするところであります。

 

【伊藤岳参議院議員】

 改正で、助成金交付業務の対象について、高度通信・放送研究開発の全体に拡大する、まあ基礎研究を含め研究開発事業に助成しようというものだと思います。

 基金に三百億円という巨額な税金が拠出をされて、研究開発企業につぎ込まれるということになります。この基金による委託、助成が実施される場合、その結果については十分な検証が不可欠ではないかと思いますが、大臣の認識を伺います。

 

【武田良太総務大臣】

 基金による委託や助成などの業務の実施状況につきましては、本法案の規定により、NICTに対し、毎事業年度、報告書の提出を義務付けるとともに、総務大臣は当該報告書について確認し、意見を付けた上で国会に報告することといたしております。これに加え、研究開発の終了時には、本法案の規定により、NICTにおいて外部有識者等も交えて研究開発の意義や成果について評価を行い、総務大臣に報告するとともに、その概要を広く一般に公表することとしております。

 こうした取組により、国費を投入して行われた研究開発について適切な成果が得られたかについてしっかりと検証を行い、国民の理解を得てまいりたいと考えております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 5Gの段階のときには、技術開発が適切だったのかなどの評価は示されていないんですね。是非十分な検証を求めたいと思います。

 次に、新型コロナ感染対応について幾つか伺います。感染対策の急所として時短要請に応えた飲食業への協力金が給付をされます。この協力金について、この額ではとても賄えないなど疑問と不満の声が渦巻いています。

 埼玉県春日部市で八人の従業員を雇う居酒屋のオーナーは、昨年来の新型コロナ感染の影響で、これまでに純利益は五割以上ダウン、自分の給料も出せず、購入した家のローンや教育費など、貯金を切り崩してしのいでいました。緊急事態宣言発令後、お客さんは更に減り、一日三人程度、一人当たりの客単価は時短の影響で三千円ぐらい、コロナ前の十分の一ですよと苦境を話しておられました。

 そして、今、現状はどうなっているか。この居酒屋の場合、月々の経費が、人件費で百万円、家賃で二十三万円、食材費で百五十万円、合わせて二百七十三万円掛かるそうです。売上げに一日六万円の協力金を足しても、八十六万円月々のマイナスです。我々の事業規模から考えると、協力金ではとても賄えませんと言っておられました。

 今日、赤澤内閣府副大臣にお越しいただきました。一日六万円の協力金では営業を続けられない店舗が現にあります。どう対応しますか。事業規模や雇用者数などに応じた増額を決断しないのですか。

 

【赤澤亮正内閣府副大臣】

 御質問ありがとうございます。今回の緊急事態宣言においては、専門家から飲食の場が急所として指摘されていることを踏まえて、飲食店に対する二十時までの営業時間の短縮等の要請を行っているということであります。協力いただいた飲食店においては、御指摘のとおり、大変厳しい状況に置かれることになるので、御負担をお掛けするということで、地方創生臨時交付金の協力要請推進枠について、特定都道府県においては、支援額の単価を一日一店舗当たり六万円、月額換算最大百八十万円まで拡充し強力に支援していくということで、これについては、大手も含めて店舗単位で協力金の金額を算定するということで、ある程度多店舗を経営しておられれば規模に応じて額が増えるということが一つありますのと、算定の根拠としては、一日当たり六万円という金額は、過去の一都三県の協力金の実績額をカバーできているということが一点と、東京の飲食店の平均的な固定費負担を賄える水準ということで設定をしております。

 委員御指摘のとおり、個々の実際の経営に即してみれば、これで足りないという店舗があることはこれ考えられるわけでありますが、その場合についても、これ、人件費については、御案内のとおり、大企業も含めて、雇用調整助成金、最大三十三万円までを十分の十国が負担して支給するということでカバーをしておりますし、また資金繰りについても、これはベンチャーとか中小企業みたいなものまで含めて、かなり額について、四千万円であった枠を六千万円とか、二億から三億へといったようなことで、その枠を増やすということも考えながら対応しておりまして、この協力金について、確かに足りない場合があるというのは個々のケースとしてあるかと思いますが、人件費、そして資金繰りといったような一番重要な部分について、押しなべて、特定区域に限らずにいろんな支援をさせていただくことで何とかカバーしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 

【伊藤岳参議院議員】

 私が聞いているのは、現に営業を続けられない店舗があることをどう見るのかということです。本人も家族も暮らしが成り立たなくなる。

 先ほど資金繰りの話をされましたけれども、この居酒屋オーナーは、持続化給付金を百万もらったが、昨年は七百万円の赤字でした、政策金融公庫から三年無担保無利子で融資を受けて補填をしているが、これ以上は借りられないと言っておられます。持続化と言いながら、給付金は一回ぽっきりですか。家賃支援給付金もいまだ多くの事業者に届いていません。もう五回も申請したが、いまだ受理されない、通したくないという意図さえ感じますと憤慨しておられます。そして、二月十五日には申請打切りで、再支給はされません。時短要請で更に営業が厳しくなっているときに、何で制度を打ち切るんでしょうか。感染対策の急所と言っておきながら、一日六万円の協力金では営業が断たれるという状況です。

 副大臣、もう一度聞きます。飲食業の営業が断たれる事態にどう対応するのかです。事業規模や雇用者数等に応じた協力金の増額は絶対に必要だと思いますが、どうですか。もう一度答えてください。

 

【赤澤亮正内閣府副大臣】

 まず、持続化給付金について申し上げると、これ、最初の緊急事態宣言を出したときは、もう全国押しなべて対象区域にするということでありました。端的に結論だけ申し上げれば、今回の緊急事態宣言以上に国民に多くの負担を強いるという考え方でやっていたものでありまして、そのときに持続化給付金というものを考えたわけでありますが、今回は事態が違っているというふうに認識をしております。

 また、営業についてできなくなるという御指摘でありましたが、先ほど簡単に触れましたが、もうちょっと丁寧に触れると、日本公庫等の実質無利子無担保融資についていえば、今回、四千万円だった枠を六千万円に、これは日本公庫の国民事業あるいは民間の金融機関ということですが、四千万円から六千万円。そしてまた、規模が大きいということであれば、公庫の中小事業、あるいは商工中金が融資をする枠については、二億円から三億円ということで拡大をして臨ませていただいているところでございます。

 こういう支援を全部組み合わせて、何とか支えていきたいというふうに考えているところでございます。

 

【伊藤岳参議院議員】

 聞いてくださいよ、副大臣。先ほど、もう借りられないと言っているんですよ。協力金は不十分、持続化給付金は一回ぽっきり、家賃支援給付金は打切り、あとは融資でという政府の対応では営業はもたないんですよ。そこをしっかり見ていただきたいと思うんです。

 飲食店は感染対策を実施して必死に頑張っていることも政府はしっかりと受け止めるべきだと思います。紹介した居酒屋オーナーは、三密を避けるためにテーブル、椅子を減らして感染対策に努めてきたとお話ししていました。また、越谷市で小料理屋さんを営むKさんも、感染症対策から夜の営業は取りやめてテークアウトだけに切り替えたと言っています。

 一方で、政府は、感染収束後の施策だったGoToキャンペーン、GoToイートは前倒しで強行してきました。さきの紹介した居酒屋オーナーは、GoToイートに向けてぐるなびなどに登録、掲載して、年間契約で三十六万円を支払ったそうです。従業員も新規で六人雇った、体制を整えたそうです。しかし、始まってみたら、予算を超えたからと僅か二週間でGoToイートは中断、残ったのは借金と負担だけ、三十六万円も返ってこない、詐欺じゃないかと怒りをぶちまけておられます。そして、今度は時短要請。右往左往じゃないですか。さらには、特措法で罰則、過料を科す。政府には反省があるのかと言いたいと思います。次に、関連して、飲食業の営業が立ち行かなくなれば雇用環境も悪化してくるということを指摘をしたいと思います。

 野村総研は、女性のパート、アルバイトで仕事が半分以下に減り、休業手当も支払われない実質失業者が十二月時点で九十万人に上る、緊急事態宣言に伴う飲食店の勤務短縮で更に深刻化する、既存の支援策からこぼれ落ちている女性が多いのを踏まえた対策が必要だと推計をしています。

 東京商工リサーチによると、新型コロナ関連の経営破綻は累計で全国で九百十九件、一月二十六日時点です、と発表していますが、最も多いのが飲食店です。失業者が増え、深刻化することが予想されます。

 雇用調整助成金の特例措置も、四月以降の延長も検討すると言いますが、新型コロナ感染が続く限り継続すべきです。

 大隈厚労政務官にも来ていただきました。飲食業の営業が立ち行かなくなれば雇用環境も悪化して、とりわけ女性のパート、アルバイトへの影響が懸念をされます。どう対応するんですか。雇用調整助成金の特例措置の延長も含めて、飲食業などの従業員の雇用と生活をどう守っていくのか、お答えをいただきたいと思います。

 

【大隅和英厚労大臣政務官】

 お答えいたします。御指摘のとおり、飲食業等を始め、雇用と生活をしっかり守っていくことは極めて大切でございます。

 雇用調整助成金につきましては、これまでに例のない特例措置を講じまして、事業主の皆さんの雇用維持の取組を支援してまいりました。今般の緊急事態宣言に伴いまして、知事の要請を受けて営業時間の短縮に応じていただけるところには、飲食店等に協力金という形で今応援させていただいているということ、また、業況が厳しい、もちろん飲食業も含みますが、大企業につきましても、助成率を中小企業と同水準の最大十分の十、引き上げまして、今支援をさせていただいているところでございます。

 また、緊急事態宣言の解除後も、宣言が解除されました月の翌月末まで現行の特例措置を延長することといたしております。解除された月の翌々月以降の取扱いにつきましては、雇用情勢が大きく悪化しない限りは段階的に縮減する、また、感染が拡大している地域、また特に業況が厳しい企業に関する特例というものも今回設けております。

 あわせて、失業なき労働移動の支援として、女性でありますとか全国のハローワーク等の就労支援の強化など、更に取り組んでいるところでございます。お一人でも、一店舗でも、一社でも多くしっかり救っていく、そのつもりで全力で努めてまいります。

 

【伊藤岳参議院議員】

 共通して、もって三月までですと肩を落とされているのが飲食業の方々です。一つの飲食店も潰さない対応を強く求めて、質問を終わります。

 

【以下、2021年1月28日 総務委員会 情報通信研究機構法の一部改正法案の反対討論】

【伊藤岳参議院議員】

 私は、日本共産党を代表して、国立研究開発法人情報通信研究機構法改正案に対する反対討論を行います。本法案は、ビヨンド5Gを実現する革新的な情報通信技術の創出を推進するため、情報通信研究機構の助成業務の対象を拡大して新たな基金を設立するものです。

 これまでも同機構を通じて技術開発支援を行っています。しかし、その研究開発支援の方向性や手法が適切だったのか、検証はされていません。にもかかわらず、将来のビヨンド5Gの世界市場で我が国の企業シェアを拡大することを目指し、基礎、基盤的な研究開発の段階から国費による集中的な支援をしていくことは賛成できません。

 補正予算で求められているのは、新型コロナ感染症への対策です。補正予算関連として本法案を僅かな審議時間で通すことに厳しく抗議をします。以上述べ、討論といたします。