参院審議入り
各府省の立法、行政機関の仕組みを「デジタル原則」に従ったものに変え、目視点検などのアナログ規制を撤廃してデジタル技術に置き換えていく「デジタル規制改革」推進一括法案が5日、参院本会議で審議入りしました。マイナンバーカードをめぐるトラブルの実態や原因が明らかでないまま、デジタル化を名目として規制緩和が押し付けられようとしています。
デジタル原則は、経済界の代表などで構成するデジタル臨時行政調査会(岸田文雄会長)が策定した五つの原則で、デジタル技術を使った国や自治体の「構造改革」に向けた条件を示しています。
法案は、デジタル庁に設置されるデジタル法制局による各府省の新規法令へのデジタル原則への適合性チェックについて法的根拠を与えるもので、自治体の条例や規則などの策定、個別施策への影響や、アナログ規制の見直しの強要、強制などが懸念されています。
日本共産党の伊藤岳議員は「デジタル技術を活用する主役は国民であり、個人情報の保護や生存権、財産権などがしっかりと保障されなければならない」と主張。「地方自治体の施策は、住民の意思に基づき自治体が自ら決めるという、住民自治と団体自治にのっとったデジタル技術の活用が前提となる」と指摘しました。
伊藤氏の指摘に対して、松本剛明総務相は「地方自治の本旨を尊重しながら進められる」と答弁しましたが、各府省を通じて地方自治体にも「助言」「情報提供」という名目でコントロールが及ぶ恐れがあります。
伊藤氏は「集中的に期限を区切ったなかで強引なデジタル化を進めるべきではない。マイナンバーカードをめぐるトラブルを教訓とすべきだ」と指摘し、十分な審議を求めました。
【しんぶん赤旗2023年6月6日(火)付 写真=赤旗写真部】