【伊藤岳参議院議員】
日本共産党の伊藤岳です。参考人の皆さん、今日はありがとうございました。須賀参考人にお聞きします。須賀参考人の前半の部分に関わってお聞きします。気候変動で熱がたまる、特に海にたまるというお話がありました。二〇一九年九月に提出された気候変動に関する政府間パネル、IPCC特別報告書にも、この海に熱がたまるということに関わって、世界の海面水位はグリーンランド及び南極の氷床から氷が消失する速度の増大、氷河の質量の消失及び海洋の熱膨張の継続により、ここ最近の数十年加速化、上昇していると書かれていました。そして、IPCCは、地球温暖化と海面上昇を気候変動との関連を明確に位置付けています。
また、気象庁も毎年の天候と台風のまとめを発表しておりますが、そこでも二酸化炭素などの温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化の影響と自然変動の影響が考えられると記述をするようになっています。
IPCCの報告書は結びで、社会のあらゆる側面において急速かつ広範な前例のないシステム移行が必要だと述べています。須賀参考人の論文も読まさせていただくと、産業構造の在り方を見直す必要があるだろうというふうに述べられていますが、これに関わって、このIPCCの言う前例のないシステムに移行という点での参考人の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
【須賀利雄東北大学大学院理学研究科教授】
御質問ありがとうございます。これも、私のように気候システムの仕組みを研究している者にとっては言わばちょっと専門外のことになりまして、私の意見、どこまで国際的な議論を踏まえたものになっているかちょっと自信はありませんが、いろんな側面、まさにそこのIPCCで言われているように、例えば先ほどお話あったような環境に負荷の掛からない製品を使うということを考えても、いろんな問題がありますよね。安くてコストの掛からないものが使いたいんだけれどもということで、それ、代替エネルギーの問題もそうですし、そこを変えていかなきゃいけないということですね。技術は後から進んでくるということでありますから、初期にはコストが掛かるように見えても、そこを思い切って変えていくという、そういうことをしなきゃいけないというのが一つ。
あと、人々の意識、我々がやっている活動、人間活動が環境に、気候システムに大きな影響を与えているんだということがもう、何だろう、常識として人々がそれを感覚的に分かっているという状況になるという、そこも一つあるのかなと、社会の。これは、教育を通じてそういうことができるかなと思うんですが、そういう、社会の様々な分野でもうがらっと今までと違う、それは人間のある意味次元が変わったというか、我々のやっている活動というのが地球環境とこう結び付いているんだということを一人一人がもう自覚して生活できるようになるというような、そういうことを、私、科学者としては、そういうふうになるということがそのシステムの大きな変革というものに必要な側面かなというふうに思います。
【伊藤岳参議院議員】
ありがとうございます。この前例のないシステムの移行という点で、角南参考人がお話しされた海洋プラごみの問題も大きな課題だと思います。日本では、年間三億トンも生産されていると。私の地元埼玉、お隣二人も埼玉ですが、この埼玉メンバーのいる埼玉の荒川ですね、荒川の川の保全に取り組んでおられるNGOは、年間三万本のペットボトルをこの荒川だけで回収していると聞きました。これがやがて海に流れて海洋プラスチックごみになるということだと思います。
先ほど、3R、2Rという話が出ましたけれども、リデュース、削減、リユース、再利用、リサイクル、再資源化というこの3Rでプラスチック汚染を低減するということが提唱されていますが、とりわけ、私はリデュース、削減が最優先ではないかと思っております。世界では使い捨てプラスチック製品の製造、販売、流通の禁止する流れも広がっていますし、不必要なプラ製品を生産しないよう、発生元での削減対策に取り組むべきだという流れが生まれています。
例えば、プラスチック製品は、単一素材の使用を義務付ければ焼却ではなくて削減の方向に進むと言われていますし、プラスチック製品の大量製造、大量消費という経済社会の在り方を見直すこと、そのためにプラスチック生産者の、プラスチック製品の生産者、使用者の企業責任を明確にするということも重要だと思うんですが、その辺に関わって角南参考人の御所見をお聞かせください。
【角南篤笹川平和財団理事長】
ありがとうございます。まさにリダクションというか、そういったところをどういうふうに取り組むかというのは世界的に大きな今流れにもなっておりますし、おっしゃるとおり、シングルユースプラスチックはもうほとんど、いろんなところではこれを使わない、使用しないということと生産しないというようなところが議論されております。ですので、我が国もその辺のところをどこまで踏み込むか。今のところ、リユースあるいはリサイクルというようなところは我々の強みというふうにも言えるところもあるんですけれども、リダクション、そういったところの取組というのが企業と一緒にどこまでできるかというのがおっしゃるとおりの課題であろうと思います。
私自身が、どうすればじゃそうなるのかという、その政策的な答えを持っているわけじゃまだなくて、今は企業の方々、自治体の方々と関係者の方々ととにかく一緒になって考えようというプラットフォームを我々のような財団も音頭を取りながらつくらせていただいておりまして、そちらの方ではまさにこの、みんなで知恵を出そうということでやっているところでございます。ですので、やはりいろんなステークホルダーの方々が現実的に取り組める課題というのをやっぱり見付けていかないと実際には広がらないんだろうなというふうに思っていますので、その辺については、まさに御指摘のとおり、やはりリサイクルだけですと、やはり必ずどこかで海に出ていくものが出ていくわけですから、それが一〇〇%というのはなかなか望めないということもありますので、まずはその全体の量を減らしていくということをどういう形で実現できるのか、それの国民的な大きな議論をしていく場というのが必要なんだろうということで、我々の民間財団がむしろ一生懸命先駆けてそういったプラットフォームをつくって、今日幾つかその事例も紹介させていただきましたし、瀬戸内を囲む四県の知事の方々、それから自治体の方々に集まって、瀬戸内のチャレンジ、オーシャンチャレンジのプロジェクトXのようなことをやらせていただいている事例も紹介しておりまして、ここでは非常に、ターゲットをつくってどこまでリダクションできるかというようなことをみんなで議論していくということをやらせていただいております。
【伊藤岳参議院議員】
時間があれば、サーマルリサイクル、いわゆる熱回収に依存する日本の在り方についてもお聞きしたいと思っていました。結局燃やすとCO2を排出することになりますので逆行ではないかと思うんですが、ちょっと時間がありませんので、今日の御意見を参考にさせていただいて問題の解決を進めていきたいと思います。今日はありがとうございました。