新型コロナ感染症が広がる中、多くの自治体が税収の落ち込みによる資金繰りに苦慮しています。総務省は5月22日に、2020年度内の自治体の資金繰りを支援する通知を発出。日本共産党の伊藤岳議員はこの問題についてただしました。
伊藤議員は17日の参院総務委員会で「財政難を理由に負担増や住民サービス切り捨てはあってはならない」として、国の責任で財源確保を求めました。
政府がサポート
伊藤氏が年度途中に生じる財政の減収分を補てんする「減収補てん債」の発行の同意状況をただすと、総務省の内藤尚志自治財政局長は「6自治体」(福島県喜多方市、群馬県、さいたま市、静岡県、愛知県、福岡市、9月時点)だと答弁。リーマン・ショック時は269自治体、約1兆2000億円(2009年度)だったと明らかにしました。
伊藤氏が「市民の生活、経済への支障があってはならない。減収補てん債は活用経験がない自治体もある。より添った対応を」と迫ると、武田良太総務相は「各自治体は最前線でコロナの感染防止に努めている。先立つものがなければできないことがないよう手だて、助言を行わなくてはならない」「減収補てん債の発行経験の少ない市町村も今回は財源不足が見込まれる。丁寧に助言し資金調達をサポートする」と応じました。
公立病院も深刻
受診抑制で自治体病院の経営も深刻です。
伊藤氏が公営企業の資金不足をカバーする「特別減収対策企業債」の活用数(「同意等実績」)をただすと同局長は「自治体数は38団体、約238億円だ。このうち公立病院に活用したのは34団体」と明らかにしました(表)。東日本大震災時には約59億円、熊本地震時は約150億円だったことから今年度はすでに過去の実績を大きく上回っています。
伊藤氏は「地域医療をどう守っていくのかが鋭く問われる」と指摘。償還利子を全額国庫負担でみるべきだと要求しました。
住民サービス削減を計画する自治体が相次ぐもとで伊藤氏は「医療、福祉の住民サービス維持は欠かせない」と強調。総務省が来年度の一般財源総額の概算要求を、20年度と「実質的に同水準を確保する」と示していることをあげ、「コロナによる地方税収の減額分を見込み、地方が必要とする一般財源総額を確保するべきだ」と迫り、武田総務相は「必要な一般財源総額は確保する」と答弁しました。
【2020年11月27日付 しんぶん赤旗・写真=伊藤岳事務所】