(写真)質問する伊藤岳議員=31日、参院総務委
日本共産党の伊藤岳議員は3月31日、参院総務委員会でNHKのかんぽ不正告発番組をめぐる日本郵政グループの抗議に応じて経営委員会が上田良一会長(当時)を「厳重注意」した問題について、議事録の公表を重ねて求めました。
この日の委員会で、森下俊三経営委員長は「厳重注意」した際、上田会長が、郵政側の意向に従って「厳重注意」すれば「NHKとして存亡の危機に立たされかねない」と発言していたことを認めました。伊藤氏は「存亡の危機」という言葉がこの間の「公表資料」に記載されていない理由を質問。森下氏は「大事なことはガバナンス(組織統治)なので、載せなかった」と答えました。
伊藤氏が「会長は放送法に抵触すると感じたのではないか。議論のど真ん中の発言だ。なぜ一切出ないのか」と追及すると森下氏は「経営委員会として重大だと思っていなかった」と、放送法についての認識が問われる答弁をしました。
伊藤氏は「隠蔽(いんぺい)していると言われても仕方ない」と批判。議事録公表とともに上田前会長の参考人招致を求めました。
また、NHK予算に関連して「公平・公正で正確・迅速な情報の提供をしているという国民の信頼が揺らいでいることに、真剣に向き合うことがNHKには求められている」と指摘しました。
2020年度NHK予算が3月31日の参院本会議で賛成多数で承認されました。事業収入は前年比43億円減の7204億円です。日本共産党は、経営委員会による番組介入の真相究明と責任を明らかにしないままに承認することはできないとして反対しました。維新の会も反対しました。
本会議に先立つ参院総務委員会で、日本共産党の伊藤岳議員が反対討論に立ちました。
伊藤氏は、日本郵政グループのかんぽ生命保険の不正販売を告発したNHK番組について「公共放送としての重要な役割」と評価。一方で、郵政グループの抗議を受けて2回目の放送をとりやめたことを指摘した上で、経営委員会が郵政側の要求に応じて会長を「厳重注意」したことは「『放送番組は何人からも干渉されない』とする放送法3条及び32条に違反し、公共放送たるNHKの自主自律を脅かす重大なもの」だと批判しました。
さらに経営委員会が「厳重注意」に至る経過の議事録を非公開にしている点も踏まえ、「経営委員会が、放送法を順守し、職務を果たしていくこと」を強く求めました。
【2020年4月1日付 しんぶん赤旗・写真=しんぶん赤旗】