報告記事

NTT法等改定案 「あまねく提供する責務」を削除

 日本共産党の伊藤岳議員は20日の参院総務委員会で、電気通信事業法・NTT法改定案はNTTに課せられた電話役務などを全国あまねく提供する責務を削除し、電報業務からの撤退を許すもので、「公的役割を後退させることは重大だ」と批判しました。

 NTTは、旧電電公社から電柱や管路施設基盤を承継し、固定電話や公衆電話の役務を全国津々浦々あまねく提供する責務を課せられていますが、電話役務提供を支える銅線などの「メタル回線」が2035年ごろに維持限界を迎える見込みとされ、その縮退(回線の撤去)が「課題」とされています。

 伊藤議員が「メタル回線の縮退をどう進めていく予定か」とただしたのに対し、村上誠一郎総務相は「2035年ごろ利用者が残存する状態でサービスを終了する場合、社会的混乱が生じる。NTTが早急に計画を策定する必要がある。総務省も利用者への影響を最小限に抑えていくため必要な対応をしていきたい」と答弁しながら、その計画は示しませんでした。

 法案は、NTTのあまねく提供する責務を削除する代わりに、複数事業者で「最終保障提供責任」を担うようにするというもの。伊藤氏は、NTT以外の事業者を指定した地域では、「NTTがサービス終了することも可能」だとの総務省の答弁に言及し、「メタル縮退を進める地域となるのか」と追及。同省の湯本博信総合通信基盤局長は「NTT東西の経営判断」だとしながら、「撤去も想定される」と答えました。

 さらに伊藤氏は、複数事業者が担えば「事業者ごとに料金設定が違うことがあり得るということか」と質問。湯本氏の「異なることが想定される」との答弁に、伊藤氏は「提供水準が後退することがあってはならない」と批判しました。

【2025年5月26日(月)付 しんぶん赤旗・写真=伊藤岳事務所】

(写真)質問する伊藤岳議員=20日、参院総務委