「まさに個人情報の漏えいだ」-厚生労働省がマイナ保険証によるオンライン資格確認についての本人同意手続きを省略した結果、本人が知らないうちに医療機関のパソコン画面に患者の所得情報が表示される仕様になっています。14日の参院地方創生デジタル特別委員会で、日本共産党の伊藤岳議員が追及しました。
厚労省は昨年9月、マイナ保険証を読み込むカードリーダーの画面に表示される高額療養費制度に関わる本人同意を省略しました。これにより制度の利用の有無にかかわらず自動的に医療機関のパソコン画面には医療費の本人負担上限額を決める所得区分(年収)が、ア~オのいずれかの文字で表示されます。アは「1160万円以上」、イは「770万円以上」、ウは「370万円以上」、エは「370万円以下」、オは「低所得者(住民税非課税者)」を意味します。従来の保険証や資格確認書の場合、医療機関は従来通り口頭で同意を求めています。
伊藤氏が質疑で「なぜマイナ保険証では本人同意を外したのか」とただしたのに対し、仁木博文厚労副大臣は「現場からの要望があった」と答弁。伊藤氏は「システムの運用を優先して本人同意という制度を変更したものだ」と批判しました。
伊藤氏は所得区分は個人情報かと追及。仁木副大臣は個人情報だと認めました。伊藤氏は「本人が理解、承知していないのにさらされる事態で、まさに個人情報の漏えいだ」と指摘。患者の同意を必要とする仕様への改修を要求しました。
【2024年5月16日(土)付 しんぶん赤旗・写真=伊藤岳事務所】

(写真)質問する伊藤岳議員=14日、参院地デジ特委