参院本会議
NHKの繰越金について総務省が省令で定める額を受信料の値下げの原資とする「還元目的積立金制度」創設を含む電波法と放送法の改定案が1日、参院本会議で審議入りしました。日本共産党の伊藤岳議員が質問に立ち、「菅義偉前政権はNHK受信料の値下げを明言し、NHKへの介入姿勢をあらわにした。積立金制度は行政や政権の介入を許す足掛かりとなる」とただしました。
受信料収入によるNHK予算は、言論報道機関としての自立性を確保するためNHKが自主的に編成し、公共放送としての責務の履行を判断するなどの要請から、国会が承認しています。値下げのための積立金の計算額は総務省令で定めるため、政府が受信料の使い方の一部を指定することになります。
伊藤氏は「総務省令による計算に、行政や政権の恣意(しい)的判断が入らないという根拠はあるのか」と質問。さらに「この制度はNHKの業務の効率化、コストカットありきの予算策定を迫り、良質なコンテンツ(番組)を提供するための予算や人材の育成に深刻な影響を及ぼす」と指摘しました。
金子恭之総務相は、計算額を決める省令について「可能な限り客観的なものとし、パブリックコメントも行う」と説明。NHK予算への介入との指摘には「合理的な理由がある場合、必ずしも受信料の引き下げに充てる必要はない」と答弁しました。
【しんぶん赤旗2022年6月2日(木)付・写真=赤旗写真部】