国政報告

2021年2月24日 国際経済・外交に関する調査会 洋上風力発電やゼロエミッション船など脱炭素社会に向けた取組と課題

【伊藤岳参議院議員】

 日本共産党の伊藤岳です。参考人の皆さん、今日はありがとうございました。パリ協定の一・五度C目標の達成に必要なCO2排出削減のためにも、今日の洋上風力発電やゼロエミッション船、これは大いに期待されるところだと思います。同時に、洋上風力発電と環境の保全との両立が、今日参考人からもお話がありましたが、大事な課題になります。その保障の一つとなるのが私は住民参加と住民の意思の反映ではないかと思うんですね。

 再生エネ海域利用法第九条にも、海洋再生エネルギー発電事業の実施に関し必要な協議を行う場の設置が定められています。しかし、この協議会に地元の代表として参加するのは、その地元の首長さん、漁協など利害関係者となっていて、いわゆる住民が参加するということにはなっていません。傍聴も認められていないと聞いています。

 佐藤参考人にお聞きいたします。この協議会には住民も参画して、住民の意思が反映される仕組みにするべきではないかと思うんですが、御意見をお聞かせいただきたいと思います。そうすることによって、事業者が見逃している、また見えなかった意見も聞くという機会にもなるんではないかと思います。

 また、住民参加、住民の意思の反映という点で、そのほか取り組まれていることや検討されていることがあればお聞かせいただきたい。例えば、五島市の洋上風力発電に関わって、ここでは市民との協議を繰り返し行う中で信頼関係が生まれているという記事を雑誌で見させていただきました。ここには住民参画という点での様々な教訓や課題もあるんではないかと思いますので、教えていただきたいと思います。

 

【佐藤郁戸田建設株式会社戦略事業推進室浮体式洋上風力発電事業部長】

 御質問ありがとうございます。協議会への住民参加という御質問ですけれども、基本的には地域の代表の方が出られていただくということで、その段階で住民の方々の意見を反映されているのではないかなというふうに理解をしています。

 もちろん、実際に事業を実施するに当たって、どういう形にするかとかという部分に関しては、どういう方法でやるのかという部分に関しては、私どもとしましても、これまでもそうですけれども、いわゆる工事の着手の段階で住民の地元の説明をさせていただいたり、もちろん漁業者さんたくさんおられますので、海のことに関してはやはり漁業者さんが発言権を持つというか、非常に心配されている部分が多いので、組合なり漁業者さんと十分に話合いをしながら進めていくということになると思います。我々も今までそのようにしてきました。

 住民の参画ということでありますと、本当になかなかソフトな部分で申し訳ないんですが、地元の祭りに参加したりとか、我々、なかなかその高齢者の方が多くて担ぎ手がいないというので、うちの若手の職員を引っ張り出してみこし担いで走らせたりとか、そういう、何というんですかね、ところを通じて、やはり我々が、基本的には世の中にいいことをしようと思ってやっていますので、ただ、その地元の住民の方々にとっては良くないと思われることがあると思うんですね。ですから、そこをどう解決していくのか。それは、海域利用の法律の中で、どこの事業者が選定されるかというところとは別に、選定された事業者がしっかりと住民の方々と話合いをして、それは私どもがやっている建設業でのビルを建てたりとか橋を造ったりトンネルを造ったりというところとも通じるところがあるわけですけれども、それは、選定された事業者がしっかりと取り組むべきものであろうというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。

 

【伊藤岳参議院議員】

 着床式の洋上風力発電の場合、秋田県などでもそのようですが、漁業への影響への心配の声が出されているとお聞きします。再生エネルギー海域利用法第八条では、発電事業の実施によって漁業に支障が及ぼさないことが見込まれることと、そのガイドラインを定めております。先ほど、真鍋参考人のお話の資料の中にも、海洋調査ですとか漁業との共存策の実証という言葉も出てまいりました。また、五島の浮体式の発電設備の場合、今日いただいた漫画にも出てまいりますが、漁業調査をしたところ、海中の支柱の部分に海藻が繁茂して魚が集まって、施設が魚礁になっているというのもこの漫画にもありました。

 そこで、真鍋参考人にお聞きしますが、洋上風力発電計画と漁業との関係について、企業の側が果たすべき社会的責任や取組をどのように考え、実践しておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

 

【真鍋寿史丸紅洋上風力開発株式会社代表取締役社長】

 御質問ありがとうございました。ケース・バイ・ケースでいろいろなケースがあるんですけれども、やはり端的に申しますと共存共栄の一言かなと思っております。佐藤様の方からも御発言がありましたけれども、我々はあの場所で風力発電をしたいと、事業ですので、当然ボランティアではありませんので、そこで発電収益を上げて継続的なビジネスにしたいというのが民間の考え方であります。

 他方、漁業者の立場から立ってみると、そこでもう既に事業をされていらっしゃる方で、海の所有権というのは別に個人が持っているわけじゃないんですけれども、漁業者の方々から見ると、自分たちの庭に入ってきて邪魔をしようとしているという見方もあると。まあ普通に考えると、対立してしまうところなんですね。当然、その最初の部分というのはそういった厳しい対立的なところも当然出てきます。

 事業者としてそこをどう考えるかというと、やはりお互いがやりたいことを認め合うと言ったら変ですけれども、共存できるような仕組みをやっぱり膝詰めで考えていくと。これはかなりやっぱり時間が掛かりますし、やっぱり単にビジネスだけで成り立たないところもありますけれども、漁業者にとってこの洋上風力を迎え入れるメリットは何なのか、じゃ、その洋上風力を入れることで、彼らが今持っている課題だとか将来の不安というものが我々の方で何か払拭できることがあるのかとか、そういった観点で、やはり地元の方、特に漁業者の皆様にとって洋上風力を受け入れることのメリットを感じていただけるようなことを我々が事業者として御提案して、それを実行に移すということが、我々の事業者として果たすべき責務なのかなと思っております。ちょっと抽象的な回答で申し訳ないですけれども。

 

【伊藤岳参議院議員】

 最後、一言でいいんですが、真鍋参考人、やっぱりその漁業との共存といった場合、先ほど来のお話聞いていて感じるんですが、やっぱり浮体式に比べて着床式の場合は漁業との共存という点でいうと見劣りするところがありますでしょうか。

 

【真鍋寿史丸紅洋上風力開発株式会社代表取締役社長】

 これは、どちらがどうということでもないと思います。簡単に言うと、どちらも邪魔になってしまうというのは同じかなと思っているので。例えば、着床式でいきますと、沿岸から近いところに設置しますので、もう漁をしているところの場所に近いだとか航路に近いというところで、まあ一言言ってしまえば御迷惑を掛けてしまうと。浮体式に関しますと、ちょっと戸田さんのやつとは違うかもしれませんけれども、福島の場合は浮かしていますので、チェーンアンカーで、チェーンを引っ張ってアンカーで固定しています。そうすると、そこで網を使った漁をされる方というのはそこの地域に入ってこれなくなると。網引っかけてしまうと、網が破れてしまって大変な損失になってしまうということで。

いずれにしろ御迷惑を掛けるということを考えますと、余りこの着床式と浮体式で大きな違いがあるかというと、そうではなくて、やっぱりそこで洋上風力をやらせていただく以上、先ほど申しましたような内容をしっかりと御理解をいただくということが、どちらの基礎の形状であっても必要で重要なのかなと思っております。

 

【伊藤岳参議院議員】

更なる研究をお願いしたいと思います。時間になりましたので、田中さんには参りませんでしたけれども、ありがとうございました。