【伊藤岳議員】
日本共産党の伊藤岳です。地方交付税法の一部改正案について伺います。
本法案は、今年度の国税収入の減額補正に伴う地方交付税総額の減少額を全額補填するものであります。しかし、その仕組みは本年度以降十年間、地方交付税の減額によって行うものとなっています。
大臣、二〇〇八年、二〇〇九年、二〇一六年度の措置により、地方の固有財源である地方交付税総額が既に減額となっています。将来の地方財政運営に支障を来すことになるのではないですか。
【高市早苗総務大臣】
令和元年度の補正予算において国税が減額補正されたことに伴いまして、地方交付税総額が六千四百九十六億円減少することとなります。しかしながら、地方交付税の当初予算額の大部分は既に地方団体に交付をしていることから、地方団体の財政運営に支障が生じないよう全額を国の一般会計から加算して補填することといたしました。
この精算の方法につきましてですけれども、来年度の地方交付税総額を確保する観点から令和三年度から精算を開始することとし、また、各年度の地方交付税総額への影響をできるだけ緩和する観点から十年間に分割して行うこととしておりまして、単年度の影響額は六百五十億円ということでございます。この将来の地方財政への影響も踏まえ、できる限りの対処を行ったものでございます。
今後とも、毎年度の地方財政対策において、地方交付税を含めた一般財源総額を確保するということとともに、臨時財政対策債をできる限り抑制して、地方財政の健全化に努めてまいります。
【伊藤岳議員】
先ほど大臣も言われていましたが、地方交付税の国税法定率の引上げを始めとした対応、今がそのときだということを強く求めておきたいと思います。
今改正では、災害対策のために緊急に必要となった地方自治体の経費について、特別交付税を九百五十億円増額することとしています。これは当然な措置ですが、交付税特別会計借入金の今年度の償還額を九百五十億円減額して財源としています。
総務省、特別交付税の追加財源のほぼ全額を交付税特会への借入金の償還分から措置した事例というのは過去にはあるのですか。
【内藤尚志総務省自治財務局長】
お答え申し上げます。今回の補正予算において増額いたします特別交付税の財源につきましては、当初予算において税収が大幅に増加することなどを理由として、交付税特別会計借入金の償還を四千億円から五千億円に増額することとしておりましたけれども、この増額分一千億円のうち九百五十億円を繰り延べることにより確保することとしているところでございます。
過去でございますけれども、平成三年度補正予算におきまして、雲仙・普賢岳噴火等への対応のため、特別交付税を百二十三億円増額しておりまして、その財源として当初予算において予定をしておりました特会借入金の償還額の増額分を繰り延べることにより確保したことがございます。
【伊藤岳議員】
極めてまれな措置だということですね。税金の使い方切り替えて一般会計から措置すべきだと思います。
今回の措置は、交付税特会の借入金償還に対する国の姿勢が問われるものだと思います。このことを強く指摘をしていきたいと思います。
次に、かんぽ生命保険不正販売問題についてお聞きをいたします。
不正販売の新たなケースが明らかになっています。西日本新聞の報道では、子や孫が死亡した際に、子や孫より高齢の親や祖父母が保険金の受取人になる不自然な契約だ、東京都の八十二歳の女性の場合、十八歳と二十二歳の孫が被保険者となっている死亡保険金一千万円の保険に加入していた。よい保険と勧められ契約してしまった。孫が亡くなって保険金を受け取る保険なんて希望するはずがないじゃないですかと書かれています。
これは、被保険者を変えて新規契約を取るヒホガエと言われるものですが、全くもって不自然で、極めて悪質なケースです。
かんぽ生命千田社長にお聞きします。今朝、新聞各紙がかんぽ不適切販売六万人追加調査へ、契約二十万件規模などと報じました。特定事案の乗換え契約とは別に、ヒホガエは何件あったのか、また、その他の類型では何件あったのですか。。
【千田哲也 株式会社かんぽ生命保険代表取締役社長】
お答えいたします。まず、今回の問題に関しまして重い行政処分を受けるに至りましたこと、本当に深く反省いたしますとともに、お客様を始め多くの皆様に御心配と御迷惑をお掛けしておりますことを深くおわび申し上げます。
お尋ねのありました件につきまして、ヒホガエ等の件数というふうなことでございますが、現在、最終の精査中でございます。明日、行政命令で御指摘を受けた事案を含めまして対象事案数を盛り込んだ業務改善計画を提出をいたします。
そして、その後の明日の記者会見できちんと御報告をさせていただきたいと思いますので、どうぞ御理解を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
【伊藤岳議員】
この類型以外にも、一千九百万人、三千万件の契約の中には、不利益が埋もれているはずです。全容解明と不利益全て解消することを強く求めたいと思います。
郵政増田社長は、記者会見でも先ほども、謙虚に、そして誠実に、愚直にと述べられました。ならば、返信はがきを出して回答を待つという態度では駄目じゃないですか。契約者のところに足を運ぶなどして、調査が残されている契約者への具体的な対応が必要だと思います。
明日、業務改善計画の中ではその辺どのように書かれていますか。
【千田哲也 株式会社かんぽ生命保険代表取締役社長】
お答えいたします。御質問の点につきましても明日の記者会見で御説明をさせていただきたいと考えておりますけれども、多数回にわたって新規と消滅を繰り返すなどの新しい事案につきましては、当方から広く対象のお客様を選定をさせていただいて、優先度の高いお客様から調査を実施し、不利益解消に努めてまいります。
具体的には、お客様への訪問、それから御案内状等を組み合わせて、お客様の御契約内容をこちらから丁寧に御説明を申し上げて、御意向に沿わない御契約が判明した場合には、不利益の解消を含めて、契約、措置について丁寧に御案内させていただきます。また、事案に関与した疑いのある募集人については厳正かつ公正に調査をさせていただきます。
いずれにしても、お客様からの信頼の回復のための調査を確実、迅速、丁寧に実施してまいりたいと考えております。
【伊藤岳議員】
是非、具体的に足を運んでいただきたいんです。ヒホガエなどのケースはどうして広がっていったか。ある社員の方は次のように語っています。本社や支社からは、一軒の家で一件だけで終わらせず、子や孫を被保険者にして複数契約を取れと言われ続けていた。別の社員の方は、被保険者を次々と変えて新規の契約を取れと社内で奨励されたと話しています。
日本郵便衣川社長、ヒホガエを奨励する上からの指示があったんではないですか。
【衣川和秀 日本郵便株式会社代表取締役社長兼執行役員社長】
事実関係の詳細については承知をしておりませんが、今委員御指摘のようなそのような指示はなかったものと認識しております。
【伊藤岳議員】
日本郵便のフロントライン・セッション、驚くような意見が書かれていますよ。幾つか紹介します。
犯罪以外なら何やってもいいから、数字を上げてこい、やり切ってこい、それが使命だ、上部から強い指示がありました。金融渉外部長、本部長、支社の営業部長は、数字のためには仕方がない、うまくやってこいなど社員に言っていました。最も改善が必要なのは幹部、管理者、役職者です、などなどです。
次のような告発もありましたよ。二〇一〇年十二月、さいたま新都心局に勤務する当時五十一歳の職員が、会社の四階の窓から飛び降りて自らの命を絶つというとても痛ましい事件が起きた。社員の前に立たせて、ノルマが達成できないなら辞めてしまえと罵詈雑言を浴びせる。ノルマ問題を放置して、人の命より自分たちの利益を優先する、それが今の日本郵政だ。これ、大多数の社員の叫びではないですか。
ノルマ必達主義の実態を本当に洗い出して、本社の経営幹部、支社の幹部職員の責任を明らかにすることなしに、不正販売問題の全容解明や契約者の不利益全ての解消はできないのではないですか。どうですか。
【衣川和秀 日本郵便株式会社代表取締役社長兼執行役員社長】
現状について御説明をさせていただきますと、現在、今回問題となっている契約に関しまして、まずお客様との直接の接点となった募集人について調査を行っているところでございます。管理者等、ある意味、お客様と直接ではなく間接的に関与した者の処分、処遇については追って対応してまいりたいと考えております。本社、支社の社員についても、調査の結果、パワーハラスメント等が認められた場合には、社内ルールにのっとり厳正に対処していきたいと、このように考えてございます。
【伊藤岳議員】
ノルマの追求で自死事件まで起きているんですよ。これが変われていないという社員の叫び。これ受け止めないで、日本郵政一丸となって再生があるでしょうか。増田社長、いかがでしょうか。
【増田寛也 日本郵政株式会社代表執行役社長】
お答え申し上げます。今、両社長からお答えを申し上げましたとおり、とにかく速やかにきちんとした調査を進めて、そして信頼回復につなげていくというのが基本方針でございまして、今御指摘の本社、支社の社員につきましても、調査をして、その上でパワハラですとかそうしたことが認められた社員に対しましては、社内ルールにのっとって厳正に対処していきたい、このように考えております。
【伊藤岳議員】
厳正な対処を求めます。
関連して、ノルマを押し付ける仕掛けの一つが研修や自主研であったことが特別調査委員会の報告書でも述べられています。
日本郵便内で使われると思われる、ここに営業推進リーダー等活動報告書というのがあります。この報告する項目には、自主研等の準備、実施、参加についてという項目もあり、毎月五日までに会社宛てに送付することを求めています。自主研という看板はありますが、会社側が関与し、推進したという証拠になるんじゃないでしょうか、いかがですか。
【衣川和秀 日本郵便株式会社代表取締役社長兼執行役員社長】
申し訳ございません。今委員御指摘の資料について承知しておりませんので直接のお答えはできませんけれども、私どもの認識としましては、いわゆる自主研といいますのは、自主的に活動しているものということでございます。ただ、今回、特別調査委員会の報告書におきましてもいろんな問題点を指摘されているということも承知をしております。
そのため、今後は、自主研究会の在り方を改めまして、社員任せの研修ということではなく、社員が自発的に参加できるような研修の仕組みを会社として検討してまいると、このようなことで対応していきたいと思っております。
以上でございます。
【伊藤岳議員】
こういうものが出てきたんですから、会社側の関与がなかったとは言えないでしょう。この報告書を否定されるのならば否定されてもいいけれども、是非事実を解明していただきたいと思います。
日本郵便として、自主研と称しながら参加を強要する研修、誤った営業手法などが伝わるような自主勉強会はあってはならないと明確な指示を出していただきたいと強く求めておきたいと思います。
かんぽの不正問題は、前事務次官が情報漏えいで事実上更迭される事態にまで発展しました。毎日新聞、十二月二十七日付けは、鈴木前上級副社長が、公明党総務部会の席でふだんから前次官と情報交換をしておりと発言したことを報じています。ここには総務省幹部職員も同席したと報じられています。事務次官が更迭となったような内容がふだんから情報交換されていたのではないかという疑問は当然だと思います。
大臣、この報道の件、鈴木前上級副社長のこの発言の内容については報告を受けていますか。
【高市早苗総務大臣】
公明党の部会での鈴木上級副社長の発言については報告は受けておりません。
【伊藤岳議員】
大臣、かねてから、鈴木前事務次官、今回の件以外には疑念がないと言われてきたけれども、こういう報道も出てきているんです。
是非調べて、当委員会にも報告、説明をいただきたいと思いますが。
【高市早苗総務大臣】
鈴木前上級副社長の御発言の内容というのは、総務省が行った鈴木元事務次官の処分とは関係がございません。
つまり、公明党の部会が開かれたのは十二月二十六日でございますけれども、既に総務省では、十二月十七日に内部監察を行い、そして検討中の日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社に対する行政処分内容を漏えいさせた事実を前次官本人が認めており、そして国家公務員法九十九条違反として十二月二十日に次官の懲戒処分の決裁を私が行いました。ですから、先方が何をおっしゃったかということは次官の処分には関係のないことだと、そう考えて恐らく報告はなかったんだろうと思います。
【伊藤岳議員】
いやいや、鈴木前上級副社長がふだんから情報交換していたと言っているんです。これは当然調べていただきたいと思います。改めて強く求めておきたいと思います。
郵政民営化法改正案で当委員会が付した附帯決議では、天下りの障害が生じないようにすることなどが明記されています。本委員会での集中審議を要求します。委員長、お取り計らいをいただけますか。
【若松謙維総務委員長】
ただいまの件につきましては、後刻理事会にて協議いたします。
【伊藤岳議員】
以上で質問を終わります。
(以下反対討論)
【伊藤岳議員】
日本共産党を代表し、地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
本法案は、国税収入の減額補正に伴う地方交付税総額の不足分について、その全額を一般会計から補填する形を取っていますが、補填分の全額は二〇二一年度以降の十年間にわたり地方交付税の総額から先食いをして減額するものです。二〇〇八年度、二〇〇九年度、二〇一六年度にも同様の措置がとられ、既に地方交付税の総額は毎年度減額されています。今回の措置が加わって、二〇二一年度は地方交付税総額からの減額は三千四億円にも膨らみます。
地方交付税法は、毎年度分として交付すべき交付税総額の見積りは総務大臣の権限と責任にあること、地方財政計画の計画作成等が内閣の義務であることを規定しています。法律の趣旨からも、年度当初に見込んだ地方交付税の総額は国の責任で確保すべきです。国の責任を放棄し、地方に負担を押し付けることには反対です。
また、災害対策のための特別交付税の増額は当然ですが、九百五十億円の増額分の全額は地方交付税特別会計の借入金償還分を充てるもので、借入金償還に対する国の基本姿勢が問われます。
以上、反対討論といたします。