議事録

2025年5月14日 地方創生デジタル社会特別委員会(マイナ保険証問題・相次ぐ紐付け誤りなどについて/マイナンバー法等改正案反対討論)

議事録(未定稿のため今後変更される可能性があります)

【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。

 本法案は、マイナンバーの利用事務を拡大し、新たに国家資格等の情報をマイナンバーにひも付けることになります。

 マイナンバー制度については、二〇一六年の制度開始以来、その利用が広げられてくる一方、システム障害による個人情報の漏えいを始めトラブルが相次いでいる、これ平大臣もそう答弁されております。

 先ほど来、大臣、カードの取得をどうしても嫌だという人がいると言われますが、取得は任意だから取得をしない人がいるのであって、どうしても嫌だという言われ方は不適切と思います。蔑視だと思いますよ。これ、改めていただきたいと注文しておきたいと思います。

 まず、マイナ保険証のひも付け誤りについて聞きます。

 厚労省は、保険者により登録済みデータの本人確認作業を行った、自動的に検出するシステムも稼働させているとして、別人ひも付け誤りがあるとは考えていないと答弁してきました。

 仁木厚生労働副大臣にお聞きします。

 保険者による登録済みデータの本人確認作業を行ったと言われますが、本人確認の照会に対して、まだ返信のない人が存在するのではありませんか。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 伊藤委員にお答えします。

 御指摘の全保険者による自主点検を実施しました。そして、入念な取組として、登録済みデータ全体について住民基本台帳との照合を行い、不一致があったものについて保険者等による必要な確認作業を行ったところでございます。

 この上で、保険者からの照会に対して加入者からの回答が得られないものもあったということを承知しております。

【伊藤岳 参院議員】 自動的に検出するシステムを稼働させているとも言われていますが、システム構築前にマイナンバーと被保険者の保険情報をひも付けた際に生じていた誤登録については解消していないのではないですか。副大臣、どうですか。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 お答えします。

 令和五年六月から、資格取得の届出に被保険者の個人番号等の記載義務を法令上明記するとともに、またその上で、令和六年五月から、資格情報を保険者から登録する際、その全件についてJ―LIS照会を行うチェックシステムの仕組みを導入しております。こうした取組により、新規のひも付け誤りを防止し、国民の皆様方に安心してマイナ保険証を利用いただける環境が整っているものと理解しています。

 また、保険者から確認に回答されていない場合については、本人確認を得ていないため、保険者で修正を行っていないわけでございます。既に情報の閲覧停止措置を講じています。その上で、先ほど指摘のありました御心配の点の別人の医療情報が誤って閲覧されるようなことになっていないものというふうに考えております。

 いずれにしましても、国としては、未回答の場合は加入者に督促を行う等の保険者の対応を示しておりまして、引き続き適切に対応したいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 もう一度確認しますが、本人確認をしているのは、マイナンバーと被保険者の保険情報をひも付けた際に生じている誤登録を解消するためですよね。ですから、返信がないという方の中には、誤登録が解消していない人が残っているということでいいんですよね。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 そういうことだと思います。

【伊藤岳 参院議員】 指摘したとおり、別人ひも付け誤りが解消していないから、別人ひも付け誤りが解消していないからにほかならないということだと思います。ひも付けに誤りがあれば、当然、別人の保険情報に基づいて処置、処方される可能性が生じるわけで、命の危険に直結する深刻な問題です。

 次に、マイナ保険証によるオンライン資格確認においては、被保険者の所得区分情報が医療機関側のパソコン画面に映し出されるように変更されたことについてお聞きします。

 厚労省は、令和七年、あっ、令和六年、二〇二四年九月に、顔認証付きカードリーダーの高額療養費制度を利用する方はこちらという画面の表示と限度額情報を提供しますかというこの画面表示を省略しました。そして、限度額適用認定証情報の提供の同意を不要にしました。これにより、どういうことが起きているか。

 マイナ保険証をカードリーダーで読み込めば、本人は同意をしていないのに、限度額情報が医療機関側のパソコン画面に、所得区分を表すア、イ、ウ、エ、オの五つの記号で映し出されることになっています。アというのは年収一千百六十万円以上の方、イは年収七百七十万円以上の方、ウは年収三百七十万円以上の方、エは年収三百七十万以下の方、オは低所得者、括弧、住民税非課税者を表す記号となっており、記号が表示されれば、この方はどういう所得区分なのかということが分かるようになっています。

 厚労省に聞きます。

 保険証を利用して、現在の保険証、従来型の保険証を利用して受診した場合や資格確認書を利用して受診した場合も、限度額適用認定証情報の提供は、同意は不要になったんですか。それとも、同意が必要でしょうか。イエスかノーかで。

【榊原毅 厚生労働大臣官房審議官】 紙の保険証の場合には、法令上の根拠がございませんので電子資格確認の場合と同じような整理ができませんので、引き続き患者からの口頭同意を取得するということとしているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 では、お聞きしますが、なぜマイナ保険証の受診の場合、マイナ保険証によるオンライン資格確認では、これまでは同意が必要だったものを不要としたのか、法令改正でもあったんでしょうか。仁木副大臣、お答えいただきたい。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 お答えします。

 区分アからオといった区分の情報のみであるものの、患者の保険資格の確認以外の用途で利用してはならないことというふうになっています。つまり、これも法改正によってなされていることでございまして、この主たる目的以外の利用が判明した場合には、これは違反事項ということで、そういった当該医療機関システムの利用を停止することになっております。

【伊藤岳 参院議員】 いやいや、ちょっと、聞いていることを答えていただきたいです。

 なぜ、なぜこれまで同意が必要だったのを不要としたのかということを聞いているんです。もう一度お願いします。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 先ほど申しましたが、法令改正がありました。

【伊藤岳 参院議員】 えっ、法令改正あったんですか。違うでしょう。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 患者がマイナ保険証を使って受診した際に、その都度顔認証付きカードリーダーで同意することを取得することとしていました。で、医療現場より顔認証付きカードリーダーでの資格確認後、同意画面を見逃してマイナ保険証を取り出してしまう、あるいは高額療養費が適用される場面であるにもかかわらず患者さんからの同意ができないことが想定されることから、改善要望があり、顔認証付きカードリーダーにおける同意取得を令和六年十月から省略する法令の範囲内で運用を適用したものでありますので、法令の範囲内ということで解釈しております。

【伊藤岳 参院議員】 ですから、法令は変えていないんだけれども、解釈を変えたということですよね。で、現場の要望に基づいて解釈を変えたということだと思うんです。

 健康保険法第三条第十三項は、電子資格確認において被保険者又は被扶養者の資格に係る情報の照会を行うとされており、その被保険者の資格に係る情報、この情報の解釈を広げて、患者の所得区分情報も本人の同意なしにパソコン画面に映し出すことになったということだと思うんです、解釈の変更で。要するに、電子資格確認のシステムの運用の方を優先して、本人同意という制度の側を変更したということだと思います。

 仁木副大臣、所得区分は個人情報に当たるんではないでしょうか、認識伺いたい。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 該当すると思います。

【伊藤岳 参院議員】 個人情報である患者の所得区分情報が、マイナ保険証で受診する場合には、マイナ保険証で受診する場合に限ってというか、医療機関側のパソコンに自動的に映し出される。本人の同意なく個人情報がさらされている事態です。

 それでよいものなのか、仁木副大臣、これどう思いますか。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 実際、医療の現場において、そういう蓋然性というか、そういった情報も、よりセンシティブな情報もございますが、実際、そういう、今の保険証においてもそういうことはなされていますので、今、伊藤議員のおっしゃっていることというのは、医療の現場においてはどちらがいいかという、その蓋然性からしましても、それは特別な、その医療、診療に関すること以外に用いないということを先ほど私も申し述べましたが、それでも実際は過多というふうに思っております。

【伊藤岳 参院議員】 個人情報は知られたくないという方は、その情報の種類によって機微も機微じゃないもないと思いますよ。先ほど副大臣も言われたように、個人情報だということは間違いないわけですから、所得区分の情報はね。それを本人が理解し、承知していないのにさらされるという事態です。これ、まさに個人情報の漏えいということだと思うんですよ。

 仁木副大臣にもう一つ聞きます。

 マイナ保険証で受診し、高額療養費制度を利用する患者には同意を求めるようにシステムの方を整え直すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

【榊原毅 厚生労働大臣官房審議官】 先ほど副大臣からもお答え申し上げましたとおり、法令に基づく場合に該当するというふうに考えてございます。

 また、先ほどこれもお答え申し上げましたように、医療現場より様々改善要望もございました。そういったことから、現行の運用を引き続きしっかりさせていただきたいと思っております。

【伊藤岳 参院議員】 現場での要望を優先して、個人情報の漏えいそのままにするというのはあってはならないことだと思いますよ。

 次に、政府は、後期高齢者医療制度の被保険者に対して、マイナ保険証の保有の有無にかかわらず、申請なしで資格確認書を交付する暫定的な運用を継続することとしました。厚労省は、この暫定的な運用について、後期高齢者医療制度の被保険者はITに不慣れ、資格確認書の申請奨励などが十分でないまま現行の保険証が失効し、マイナ保険証のみになるケースがあるからだと説明をしています。

 仁木副大臣、周知、広報が十分でないまま、現場で混乱が生じるのを避けるための暫定的な運用ということなのでしょうか。しかし、この後期高齢者医療制度の被保険者以外の被保険者全てにこれは共通する問題ではないかと思うんです。暫定的な運用は全ての被保険者に求められる対応だとは考えませんか。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 さきの質問にも該当しますが、やはりその医療のDXというのは国民、患者に多大なメリットを私はもたらすと思っています。その上でも、伊藤委員が一番心配されているセキュリティーのことは重要視しなければいけません。

 それで、今御質問のことに戻りますけれども、やはり今、実存的に、実態としまして、高齢者、七十五歳以上の方々に関しましては、今説明されましたITの不慣れである方が多いと、あるいは実際にマイナ保険証の利用率が他の年代と比べて相当相対的に低いという状況もありますので、保有状況にかかわらず資格確認書を全例に配布するというふうな暫定的な運用を行っているところでございますが、後段にありましたように、やはりこういったことの趣旨ですね、やはりそのマイナ保険証に象徴されるような医療DXを用いた医療の方が従前の医療よりも皆様方、国民の皆様方にとって有益性が高いということは常に啓発していかなければいけないということは厚労省としても感じております。

【伊藤岳 参院議員】 マイナ保険証の利用でトラブルが発生したとき、医療現場では、トラブルを回避するために、資格確認書の提示や従来型の保険証の提示をしています。これ、やっぱり全ての被保険者に申請なしで資格確認書を交付することを検討すべきだと思います。そして、やはり保険証は残すべきだと指摘をしておきたいと思います。

 マイナンバー法の改正案に関わって、本改正案では国家資格等へのマイナンバーの利用を拡大します。これまで以上に、特定個人情報にアクセスすることが可能になる資格管理者などが増えることになります。マイナンバーの収集、管理、利用など安全管理措置について、各資格管理者が特定個人情報の保護の手続に即したシステムを構築するが、デジタル庁はその支援をするとしています。

 平大臣に伺いますが、この支援というのは具体的にどういう中身になるんでしょうか。

【平将明 デジタル大臣】 質問答える前に、先ほど伊藤岳議員が、取得をしていない人が、私はどうしても嫌な人、嫌だという人だというふうに決め付けて侮辱をしたというような言葉を使いましたが、そういう文脈じゃないですよ。なぜ強制しないのかという質問があるので、どうしても嫌だという人がいるときに、そういう人を役所まで来させて写真は撮らせることできませんよねと。分かっていて文脈ねじ曲げたんだと思いますけれども、これちゃんと今訂正しておかないと、赤旗新聞で見出しに出されても困るので。そういう文脈です。後で議事録よくよく読んでいただきたいと思います。

 その上で、御答弁申し上げます。

 既に法改正している資格については、デジタル庁においてセキュリティー対策を適切に講じた国家資格等の情報連携・活用システムを構築、提供をしています。その上で、今回の法案が成立した暁には、新たにマイナンバー利用が拡大される国家資格においてもこの共同利用システムを利用いただくことで、個々の資格における資格管理者が独自に新たなシステム整備をすることなくデジタル化が実現をできます。

 また、デジタル庁では、各資格管理者が同システムの利用を開始するに当たり、必要な対応事項等に関するガイドラインや特定個人情報の保護が適切に行われているかの評価のひな形を提供しています。これにより、各資格管理者がばらばらにデジタル化を進める場合と比べ、その負担を軽減することが可能と考えております。

【伊藤岳 参院議員】 どうしても嫌な人、嫌だという人がいると。そういうふうに言われた方はどう思われますか、大臣。文脈とかじゃないんですよ。その言葉遣いですよ。(発言する者あり)

マイナポータルのAPI活用についてお聞きします。本人の同意が得られれば、民間事業者は個人に関する情報の取得が可能となっています。平大臣は衆議院の委員会で、利用に関する社会通念上の観点について、デジタル庁が関係省庁とともに協議の上で審査を行うことになります、社会通念上の相当性が認められない場合は、利用が認められないことになりますと答弁されました。

 大臣、この社会通念上の相当性とはどのようなことを指すのか、お示しいただきたいと思います。

【平将明 デジタル大臣】 民間事業者がマイナポータルAPIの利用を申請した際には、利用に関する社会通念上の相当性などの観点についてデジタル庁が関係省庁とも協議の上で審査を行うこととなり、社会通念上の相当性が認められない場合は、利用が認められないこととなります。

 この社会通念上の相当性が認められない場合については、個別具体に判断することになるため、一概にお示しすることは困難でありますが、例えば、各省庁が示しているガイドラインや通知等に抵触をする場合のほか、専ら広告等に利用する場合については利用は認められておりません。

【伊藤岳 参院議員】 この社会通念上の相当性という問題が、基準が曖昧なまま、このまま突き進むことはあってはならないということを最後に指摘して、質問を終わります。

 

 

以下反対討論

【伊藤岳 参院議員】 私は日本共産党を代表して、マイナンバー法等改正案に対する反対討論を行います。

 本法案は、マイナンバーの利用事務を拡大し、その事務に関して、住民基本台帳ネットワークシステムから本人確認情報の提供を可能とするものです。マイナンバー制度は、プライバシー侵害等に対する国民の批判があった経緯などから、社会保障、税、災害対策の三分野に利用を限定し、追加する場合は法改正が必要とされてきました。しかし、その後の法改正で制度を大きく変えて、二〇二三年三月、あっ、二〇二三年には、三分野以外も含めた国家資格等についても利用を広げました。本法案は、その利用を更に拡大するものです。

 ひも付く情報が増えれば、一気に大量の個人情報が漏えいする危険が高まります。本法案で対象を拡大する事務のうち、国家資格等の事務では、既にマイナポータルと連携している国家資格等情報連携・活用システムで各種手続を行うことが可能となりますが、マイナンバーカードとともに暗証番号が取得されれば、マイナポータル上でひも付いている大量の個人情報の漏えいにつながりかねません。

 また、情報の利活用の観点からも問題があります。民間事業者などは、利用者本人の同意があれば、マイナポータルAPIを活用し情報を取得できる仕組みとなっています。マイナポータルAPIでは現時点では国家資格等保有者の情報提供はされていませんが、今後、マイナポータルAPIで取得できる情報も社会通念上の相当性に反しない範囲でデジタル庁と所管省庁との協議で審査されることとなり、曖昧な基準の下で運用される懸念があります。

 国家資格等保有者の本人同意の在り方や、自身の情報がどのように利用されているかを確かめられない点も看過できません。さらに、国家資格等情報連携・活用システムでは、各資格管理者が保有してきた国家資格者に関する情報を連携して移していくとしており、プロファイリングにもつながりかねません。

 以上を述べて、討論といたします。