議事録

2025年5月9日 地方創生デジタル社会特別委員会(タクシー配車アプリの問題点について)

議事録(未定稿のため今後変更される可能性があります)

【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。

 タクシーライドシェアの配車アプリのマッチングの事業、マッチングの基準などについてお聞きします。

 昨年の予算委員会で、配車アプリによる配車では、例えば行き先が長距離乗車になる場合、アプリの系列タクシー事業者の運転手に配車が優先される、また、アプリ配車を受けた回数によって運転手に順位が付けられて、その順位が上の人がアプリからの配車が優先的に来るなどの事例があると指摘をしました。当時の斉藤大臣は、パブリックコメントでもそういうお声が来ていることも確かでございますと答弁されました。その後の国交委員会では、斉藤大臣当時は、一般論として、利用者の近くに空車のタクシーがあるにもかかわらず、正当な理由なく遠い場所にいる別のタクシーが配車されるなど、利用者の利便性を阻害するような配車が行われていることは適切ではないと答弁されました。

 公正取引委員会は、先月、四月二十三日に、タクシーなど配車アプリに関する実態調査報告書を公表しています。報告書の中に、配車マッチングアプリの基準等のタクシー事業者からの意見を紹介してもらえますか。

【岩成博夫 公正取引委員会事務総局経済取引局長】 お答えいたします。

 御指摘の報告書でありますけれども、におきまして、配車アプリ上で旅客とタクシーとをマッチングさせる基準等に関しまして、特に不満はないとするタクシー事業者も多く見られたところでありますけれども、一方で、一部のタクシー事業者からあった意見として、次の四つの点を紹介しているところであります。

 まず一つ目といたしまして、ある配車アプリ事業者から、運転者が配車依頼を一旦了解した後にキャンセルする回数が多くなると、当該運転者に対する配車はされにくくなるとの説明を受けたことがあると。しかし、どの程度のキャンセルをすれば、配車がどの程度されにくくなるのか、配車マッチングの明確な基準やルールについて説明を受けたことはないと。それから二つ目として、ある配車アプリでは、ある時期において配車依頼の数が極端に減ったと。想像するに、配車アプリ事業者に出資しているタクシー事業者に積極的に配車依頼を振り向けたのではないか。配車アプリ事業者側は、タクシー事業者間での差別的な取扱いはしていないと言っているが、今後タクシー需要が減少するなどした際に、配車アプリ事業者が資本関係のあるタクシー事業者を優遇するのではないかと心配していると。それから、三つ目として、ある配車アプリでは、以前と比較して配車数が三分の二程度に減少していると。配車アプリ事業者は配車アルゴリズムは変更していないと説明しているが、我々がそれを検証する方法はないと。それから、四つ目として、ある配車アプリでは、今月に入って配車数が急激に減少していると。配車アプリ事業者に確認したところ、当社への配車数を減らすことを目的とした配車アルゴリズムの変更は行っていないとのことであり、当社の営業区域における配車数の総数自体が減少しているようであると。以上でございます。

【伊藤岳 参院議員】 今、報告書を紹介してもらいましたが、私が昨年指摘してきたアプリの系列タクシー事業者の運転手への優先配車の事例などが、この報告書でもタクシー事業者からの声として紹介されています。

 公正取引委員会の報告書の内容は国交省も知っており、直接報告も受けているはずです。

 国交省にお聞きします。

 国交省は、この公正取引委員会の報告書、配車マッチングの基準等のタクシー事業者からの意見を承知していますか。

【古川康 国交副大臣】 お答え申し上げます。委員御指摘のこの公正取引委員会の報告書については、私どももその内容を承知しているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 公正取引委員会が事実関係を把握していないとするのと、国交省が都合の悪いことから目をそらすのとは違う問題だと思うんですね。

 地域公共交通政策やその担い手であるタクシー事業者の経営、運転手の処遇にも影響を及ぼすことになりかねない事実に国交省がしっかり対応することが問われていると思うんです。

 そこで、古川副大臣に聞きます。

 公正取引委員会の報告書は、配車マッチングの基準等は配車アプリを利用するタクシー事業者の売上げに大きな影響を及ぼし得ると指摘していますが、国交省にその認識はありますか。

【古川康 国交副大臣】 タクシーの配車アプリにおきまして、どのようなタクシー車両に配車マッチングをさせるかといったような基準は、配車アプリ事業者とタクシー事業者との契約関係に当たります。

 国土交通省では、このため承知しておらず、タクシー事業者の売上げへの影響についてもお答えするということはなかなか難しいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 副大臣、考えてほしいんですが、配車マッチングアプリの基準がですよ、配車アプリ事業者、その系列タクシー事業者に優遇されるということが起きているならば、配車アプリ事業者系列のタクシー事業者とそのほかのタクシー事業者との売上げや経営に大きな影響を及ぼすことになりますよ。その結果は運転手間の賃金にも格差が生じることになると思うんですね。

 アプリ事業者が自分たちの事業の都合に合わせて旅客やタクシーなどをコントロールすることになるならば、結果として運転手離れを加速させます。地域における移動の足の確保とは逆行する事態をもたらすのではないかと思います。

 もう一度聞きます。

 配車マッチングアプリの基準等が配車アプリを利用するタクシー事業者の売上げに大きな影響を及ぼし得ないと国交省は言い切れる何か材料があるんですか。

【古川康 国交副大臣】 今回の公正取引委員会の調査報告書におきましては、現時点で配車アプリに関して独占禁止法に違反している具体的な事例は確認されていないと承知をしておりますというところでございますが、タクシーの利用者の利便の確保、健全なタクシー事業の発達を図る観点から、私どもとしても重要な指摘と受け止めているところでございます。

 必要に応じて適切に対応してまいります。

【伊藤岳 参院議員】 つまり、重要な指摘ということは、配車マッチングアプリの基準によっては影響を及ぼすと、クシー事業者に、経営に。そういう認識でいいんですね。そういう認識はあるかということを聞いているんです。

【古川康 国交副大臣】 繰り返しになりますが、具体的な事例としてこの経営に影響を及ぼしているというところを把握しているというところはございませんが、この利便性の確保というような観点から、必要があれば適切に対応をしてまいります。

【伊藤岳 参院議員】 必要があれば対応していただくということでした。是非目をそらさずに、都合の悪いことから目をそらすんじゃなくて、向き合ってもらいたいと思うんですよ。

 ですから、配車マッチングの基準等の扱いが課題となると思うんです。配車アルゴリズムが変更されてもタクシー事業者は検証しようもない、しかも、アプリの変更はかなりの頻度で行われている、このタクシーの声が報告書にも載せられています。タクシー事業者への丁寧な説明、事業に与える影響について判断できる環境整備が必要ではないかと思うんですよ。

 国交省は、GOやエスライド、ウーバー、ディディを運営する配車アプリの事業者や、これを利用するタクシー事業者から、配車マッチングの基準などとその運用から何が課題となっているか調査をしていますか。また、今後その調査の計画はありますか。どうですか。イエスかノーかでいいです。

【小林太郎 国土交通省大臣官房審議官】 お答え申し上げます。

 配車マッチングの基準につきましては、国土交通省におきましては承知をしていないところでございます。ただし、タクシーの利用者利便の確保の観点から、必要な場合につきましては適切に対応してまいりたいと考えてございます。

【伊藤岳 参院議員】 タクシー事業者から、声が公取委の報告に載せられているんです。その声を把握していないでは済まされないですよ。やっぱり踏み込んで聞くべきです。そして、配車アプリの事業者については何も聞いていない。これは駄目ですよ。国交省が配車アプリ事業者の営業を優先して、地域公共交通やタクシー事業者と運転手の処遇改善や運転手の確保を怠ったということにならないようにしてもらいたいと指摘をしておきたいと思います。

 配車アプリの優先配車サービスについて、次に聞きます。

 配車アプリの中には優先配車サービスというのがありまして、これは、追加額を支払った旅客に対して、車両の空きが出るまで車を探し続けて、空車発生が分かり次第、その利用者に順に手配するというサービスです。これ、優先配車サービスについても公取委の報告書の中にはタクシー事業者の意見が書かれています。紹介してもらえますか。

【岩成博夫 公正取引委員会事務総局経済取引局長】 お答えいたします。

 御指摘の報告書におきましては、一部の配車アプリ事業者が提供する優先配車サービスに関しまして、タクシー事業者からの意見を二つ、それから消費者団体からの意見を一つ、それぞれ紹介しているところでございます。

 まず、タクシー事業者からの意見でありますけれども、一つ目として、優先配車サービスの手数料は全て配車アプリ事業者に入ると、タクシー事業者への恩恵は何もないと。優先配車サービスに係る配車の場合、運転者は旅客の所在地まで比較的長い距離を走ることが多いことから、優先配車サービスの手数料の一部は運転者に還元されるべきではないかと考えるというのが一つです。

 それから二つ目として、優先配車サービスに係る配車の場合、運転者が遠くまで旅客を迎えに行かなければならない場合が多いことから、運転者からの評判は悪いと。また、旅客はすぐに迎えに来てくれて当たり前と考えていることが多いことから、すぐに迎車できなかったときにクレームにつながりやすいと。運転者は、配車依頼を承諾するまでは当該配車依頼が優先配車サービスに係るものであることは分からない仕組みとなっているので、運転者の中には配車依頼を承諾した後にキャンセルする者もいるが、そのような運転者には以後配車がなされにくくなるという意見がございました。

 それから、消費者団体からの意見でありますけれども、優先配車サービスに関し、タクシーの運賃等に最大九百八十円が上乗せされることについて消費者の理解が得られているのか、また、消費者が上乗せ料金のことを正しく理解できるような説明がなされているのかについて注視する必要があるという意見があったところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 ありがとうございます。

 今丁寧に優先配車サービスに関するタクシー事業者の意見、消費者団体の意見、紹介してもらいました。

 今紹介されたように、旅客が配車アプリ事業者に優先配車サービスの追加料金を支払ったとしてもタクシーの供給量の増加にはつながらない一方、仮にこれがタクシー事業者の収入となるのであれば、タクシーの供給量の増加、ひいては旅客の移動需要が満たされることにつながるものと考えると。また、旅客が需要逼迫時に支払う優先配車サービスの追加額がタクシー等の運賃などとしてタクシー事業者に支払われることになることは、タクシー事業者の収入の向上によるタクシーの供給量の増加につながるため望ましいと書いていることを紹介していただきました。私、そのとおりだと思うんですよ。

 古川国交副大臣に聞きますが、国交省としては、この優先配車サービス、課題があると認識していますか。

【古川康 国交副大臣】 公共交通機関としてのタクシーについては、基本的に同一エリアにおいては同一の運賃というふうにされているところでございます。

 一方、需要の繁忙時などにおきましては、それに対応するだけのための追加的なコストも生じることも事実でございまして、こうした高需要時間帯とでも申すべき時間帯におけるタクシーの運賃や料金の在り方については検討が必要であると考えております。

【伊藤岳 参院議員】 大事な答弁だったと思います。検討が必要だというふうに言っていただきました。

 これ、単に旅行業法上の課題だというふうにしないで、これタクシー供給量の増加につながるかどうかの課題だと思うんです。国交省の課題として検討を行っていただきたいと思います。

 アプリ配車に関わって、次のような事例もあるという話を聞きました。埼玉県の飛鳥交通大宮労働組合からお聞きした話です。

 このアプリの配車で予約した方が、これ何人かのグループで一斉にアプリ配車を予約するんだそうですよ、同じ場所にいて。そして、一番早く来た車にみんなで乗っちゃって、後はキャンセル、知らんぷり。こういうケースが本当、日に何回もあるという話でした。

 これ、運転手にとっては、時間を掛けて予約の場所まで行く、しかし行ったらいない、営業収入には全くならない。しかし、この際のキャンセル料というのは、GOを始めとしたアプリ事業者が収受しますが、タクシー事業者や運転手には全く還元されない。タクシー事業者や運転手に還元されていないことについて、タクシーの運転手の中でこれ大きな不満に今なっているそうです。これ還元されるべきだということをお聞きしました。

 そこでお聞きします。

 国交省、このアプリ配車のキャンセル料もタクシー事業者の収入となるのであればタクシー供給量の増加につながると私は思うんですが、この点については課題があると認識していますか。どうですか。

【小林太郎 国土交通省大臣官房審議官】 お答えいたします。

 アプリ配車のキャンセル料の取扱いにつきましては、アプリ事業者とタクシー事業者との間で個々に取り決められているものと承知をしております。

 したがいまして、国土交通省といたしまして、タクシー会社に、タクシー経営に影響を及ぼすかどうかということについてコメントする立場にはないものと考えてございます。

【伊藤岳 参院議員】 だって、考えてください。だって、予約に応じて行くんですよ。燃料代も掛かりますよ。全く営業収入にならないんですよ。

 これ、タクシー供給量に響くと思いませんか。もう一度答えてください。

【小林太郎 国土交通省大臣官房審議官】 繰り返しになりますが、このアプリ配車のキャンセル料の取扱いにつきましては、アプリ事業者とタクシー事業者の間で個々に取り決められているものでございますので、コメントする立場にはないというものでございます。

【伊藤岳 参院議員】 それじゃ駄目だということを指摘しておきたいと思います。

 もう一つ、最後に聞きたいと思います。

 今、タクシーやライドシェアの利用者、つまり旅客の間で、町中で手を挙げても止まってくれないという声がかなり広がっていますし、私もしょっちゅうそういう苦情を受けます。

 乗客を、タクシーの運転手さんにお聞きしますと、乗客を乗せて降ろした途端に次のアプリ配車の通知が入って、すぐ対応しなきゃいけない。その繰り返しとなっていて、手を挙げる人を確認しても乗車させられないというようなことでした。

 古川国土交通副大臣にお聞きします。

 こういう事例は、ライドシェアが増えて解決するんでしょうか。私は、ライドシェアが増えても、ライドシェアはアプリ配車専用ですから、手を挙げる人には対応しないのではないかと認識していますが、したがって、手を挙げる人を乗車させるためには、ライドシェアだけでなくタクシーの供給量、運転手を増やしていかないとこういう事例は解決しないというふうに思いますが、副大臣の認識どうですか。

【古川康 国交副大臣】 国土交通省といたしましても、必要とするタクシーの運転者の確保、極めて大事なことであると考えております。

 コロナ禍においては、移動需要が激減をしたために大幅に運転者の数が減少いたしました。一方で、コロナ後、需要が回復してきておりまして、今、供給が追い付かないという状況が生じているものと認識をいたしております。

 こうしたことに対応するため、国土交通省といたしましては、輸送サービスの供給、すなわち運転手の確保を行うことを目的といたしまして、例えば、運賃改定の迅速化を通じた賃上げの促進でありますとか、採用活動や二種免許の取得に係る支援、また、外国人材の活用に向けた特定技能制度への追加措置などの取組を講じてまいりました。こうしたものは、私どもとしても、タクシーの運転者の確保が極めて重要であると考えたからゆえでございます。

 その結果、タクシードライバーの数は、コロナの前と比較いたしまして、五万九千六百人減少いたしました二〇二三年三月から比べますと、約一万人増加しているところでございます。

 議員御指摘ございましたように、タクシーのドライバーの確保、極めて重要なことであると考えます。引き続き、この確保に向けた支援を講じますとともに、地域交通の担い手確保に適切に対応してまいります。

【伊藤岳 参院議員】 コロナ前と比べて増えていると言いましたが、しかし、その前と比べると回復していないですよね。

 ですから、今副大臣言われた、重要な課題だと認識していると、タクシーの供給量足りていないということの大事な答弁あったと思います。やっぱり本当に手を挙げる人というのは、お年寄りだったり障害を持っている方々、真の交通弱者です。そういう方々が取り残されることのないように、この今アプリの配車で何がもたらされているのかというのを十分検討して取り組んでいただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。