議事録

2025年3月24日 総務委員会(地方税法地方交付税法等改正案/マイナカードの電子証明書の更新漏れ問題/下水道「全国調査」)

議事録(未定稿のため今後変更される可能性があります)

【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。

 八潮市の道路陥没、下水道事故についてお聞きします。

 八潮市の道路陥没、下水道事故を受けた全国特別重点調査の提言が有識者委員会で取りまとめられ、調査の実施が地方自治体に要請されました。八潮市の事故と同種同様の事故を未然に防ぎ、国民の安全、安心が得られるよう提言を取りまとめたとされていますが、埼玉県民と国民の不安が払拭される調査となる必要があります。調査対象について、管径、管の直径二メートル以上、かつ、平成六年、一九九四年以前に設置された下水道管路とし、中でも優先実施の箇所として、八潮市の道路陥没現場と類似の条件、例えば立て坑接続部付近が曲がっているなどや、構造的に腐食しやすい箇所又は腐食が確認され未対策の箇所などを挙げています。

 国定国土交通政務官にお聞きします。

 平成六年、一九九四年以前に設置された下水道管路、つまり布設後三十年以上経過した下水道管路を今回調査対象としたのはなぜですか。

【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 お答えいたします。

 調査対象につきましては、有識者委員会において、一九九四年度より後に設置された管路は陥没の発生件数が少ないといったことから、一九九四年度以前に設置された、すなわち設置後三十年以上経過している管路とする旨の提言が取りまとめられました。

 国土交通省といたしましては、この提言を踏まえまして、同管路を対象として設定したところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 この調査の対象の延長は何県、何市町村、何キロになりますか。

【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 お答え申し上げます。

 全国特別重点調査の対象は都道府県、市町村合わせて四百六十七団体でございまして、延長は五千キロメートルでございます。約五千キロメートルでございます。

【伊藤岳 参院議員】 何県ですか、県数。

【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 四百六十七団体でございます。(発言する者あり)都道府県については、四十七都道府県でございます。

【伊藤岳 参院議員】 この調査の結果は公表しますか。

【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 調査の結果につきましては、三月中、あっ、失礼いたしました。優先的に実施すべき箇所は遅くまで夏頃まで、それ以外の箇所は遅くとも一年以内に報告を求めることとしておりますが、調査の結果につきましては、これらの報告を取りまとめ次第、公表を予定しております。

【伊藤岳 参院議員】 私は、予算委員会や当委員会で、布設後四十年経過すると道路陥没事故が急増するという国交省のデータを踏まえて、布設後四十年経過した下水道施設全体を全国特別重点調査の調査対象にするように求めてきました。

 布設後三十年以上経過した下水道管路を全国特別調査の対象にしたことは重要だと思います。しかし、人員体制や自治体の費用負担がやはり大きな課題となるのではないでしょうか。

 まず、人員体制です。国定政務官にお聞きします。

 全国重点調査の点検方法についてですが、八潮市の道路、八潮市の事故直後に実施された緊急点検では、管路内調査はマンホールの周辺十メートル程度の目視可能な範囲でした。今回の特別重点調査では、下水道管内全てを人が潜って目視するということでよろしいですか。政務官、答えてください。

【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 委員御指摘のとおり、緊急点検、事故発生直後に要請した緊急点検では、マンホールからの人による目視や管口カメラによる点検を実施したところでございます。

 今回の全国特別重点調査では、人による潜行目視やテレビカメラ、ドローンなどによる、マンホールだけではなく、対象となる管路の全線にわたって調査を実施することとしております。

【伊藤岳 参院議員】 つまり、人が潜って、下水道管路内全てを目視などを行うということです。従来の点検調査を超える規模と内容の調査事業が想定されます。全国特別重点調査は、優先箇所、優先実施の箇所を始め、管径二メートル以上、かつ平成六年、一九九四年以前に設置された下水道管路について、二〇二五年度以内に行うことになります。人員の体制が求められる調査業務になるのではないでしょうか。

 事業実施要綱を読みますと、国土交通大臣及び都道府県知事は、市町村に対し、本事業の促進を図るため、必要な勧告、助言若しくは援助するとができる、これ実施要綱の第九、監督等のところに書いてあります。この実施要綱にある援助、援助というのは具体的に何を想定しているんですか。

【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 これは、技術的助言を想定しております。

【伊藤岳 参院議員】 だから、技術的な助言の中身です。

【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 今回のその全国特別重点調査を行うに当たって、調査方法等につきまして疑義等ございましたら、調査全般についてお尋ねが、御相談ございましたら、きめ細かく技術的な助言を行ってまいりたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 下水道担当職員が五人に満たないという地方自治体も全国で五百以上ありますよ。こういうところへの人員の支援だとかということも検討されますか。

【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 いわゆる今回の全国特別重点等調査の対象となる地方公共団体のうち対象延長が長いところ、こういった団体については、いずれも都道府県や政令市、中核市といった団体でございまして、こういったところは比較的技術者が確保されていると考えているところでございます。

 それから、小規模な団体につきましては、比較的対象延長も短いということで、調査を行うに当たって、調査方法に関する相談等ございましたら、国土交通省としてきめ細かく技術的な助言を行ってまいりたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 たった担当者が五人しかいないとう自治体で調査が進むとはなかなか難しいと思います。検討を求めたいと思います。

 次に、費用についてお聞きします。

 特別重点調査の調査費用について、令和六年度、二〇二四年度の国土交通省の予備費から大規模下水道管路特別重点調査等事業として九十八億九千万円が計上されています。

 今度は国定政務官、答えてください。

 全国特別重点調査では、緊急調査とともに、緊急調査の結果、不具合が確認された箇所に対する緊急改築が対象事業とされていますが、この緊急調査によって明らかになった改築以外の修繕の方は対象となりますか。

【国定勇人 国土交通省大臣政務官】 今回、今ほど御指摘いただきました大規模下水道管路特別重点調査等事業におきまして、修繕についての御指摘でございますが、これに必要な費用は補助対象とはしていないところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 修繕は補助対象としていないということです。

 緊急改築については事業の対象となるが、そのための費用はどのように見積もっているんでしょうか。過去の実績など示していただけますか。

【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 過去の点検、調査の実績等から改築の所要額推計しておりますけれども、例えば、都道府県などにおける管経千ミリ以上を対象とした過去の点検において、速やかな対応が必要とされるような対象が調査対象管路の延長の大体〇・三%であったということから、これに延長とこの〇・三%を乗じて、それに改築単価を、これ改築単価も政令市へのヒアリングを基にした数値でございますけれども、この改築単価を掛けた数字ということで見積もっております。

【伊藤岳 参院議員】 過去のデータに基づいて試算しているということでした。

 国定政務官にお聞きします。

 今回の特別重点調査の九十八億九千万円については、国庫負担は事業費の二分の一ということで、その根拠は下水道法、下水道法の施行令第二十四条の二ということですが、これ、大災害と同じように、国の負担割合を増やすという考えはないでしょうか。

【国定勇人 国土交通省大臣政務官】 既に御案内のとおりかと思いますが、そもそもこの下水道事業でございますけれども、下水道使用料等におきます独立採算を基本として実施をしているというのが基本構造になっているところでございます。

 そうした中におきまして、この施設の改築につきましては一時的に大規模な投資規模が生ずるということがありまして、この点に着目をして国の方で精いっぱいの支援を設けさせていただいているという制度の立て付けになっておりますので、今般もまたこの制度設計に基づきまして各自治体の方で御判断をいただきたいと、このように考えております。

【伊藤岳 参院議員】 独立採算というのは分かっていますよ。ただ、今回この大規模な事故が起きたんですね。

 政務官、もう一度お聞きします。もう一つ、もう一件、政務官にお聞きします。

 全国特別重点調査の実施要綱では、第九、監督等を設けて事業の推進を図るとしています。つまり、関係市町村が全国特別重点調査を行うことになりますが、行うにしても、財政力が弱い自治体でこれまでを超える点検を行う。これ、財政負担が重くなります。

 その財政負担を考えると、幾ら国が特別重点調査に基づいて緊急調査だと、改築だというふうに言っても、自治体が十分に対応できないことになりかねないんではないですか。

 さらに、全国特別重点調査を通じて修繕が必要な箇所が新たに分かっても、先ほどお答えになったように修繕の費用がない。これ、自治体が負担できるんでしょうか。

 政務官、国として財政的に後押しするような検討、これ検討必要じゃないですか。

【国定勇人 国土交通省大臣政務官】 まず、今般お示しさせていただきましたこの大規模下水道管路特別重点調査等事業の要綱に基づきまして各市町村の方で進めていただきたい、このように考えておりますが、基本的に、先ほど申し上げましたような下水道事業の大きな立て付けがございます。

 そうした中にありまして、改築につきましては、これまでも答弁申し上げてまいりましたとおり、国の方で特別に更なる財政支援の措置も設けさせていただいているところでございます。

 私自身も市長を経験をしておりましたが、物によりますけれども、実際に調査を行い、これがかなり長期間にわたって地域住民の、利用者の受益の観点から少なからずの影響を与えるということになったときには、これは更新等によりまして、所定の耐用年数を新たに確保する改築の道を基本的には御判断をいただけるものではないのかなというふうに考えているところであります。

【伊藤岳 参院議員】 そうはいったって、修繕の箇所は相当出てきますよ、これ。従来にない点検やるんですから。

 この九十八億九千万円で、改築のためには費用は充てるといいますが、これ、改築の費用全て充当できるというふうに言えるんでしょうか。仮に事業費が、まあ、そこをちょっと答えてくれますか。

【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 今回の調査対象管路の延長ですとか、過去の、先ほども答弁申し上げたとおり、過去の実績を基に必要十分な額を計上しておりまして、現時点においては予算が不足する事態が生ずるとは想定しておりませんが、万が一不足する事態が生じた場合には、どのような支援が可能か検討してまいります。

【伊藤岳 参院議員】 不足した場合、どのような支援か検討と言われましたが、政務官の口からも、どういうふうなことを考えているか言ってくれますか。

【国定勇人 国土交通省大臣政務官】 これ、今回、埼玉県八潮市に発生をいたしました道路陥没事故を受けての全国的な調査ということになります。

 私ども国土交通省も、本省を挙げまして、各市町村の調査に対してしっかりと寄り添いながら見届けていきたいというふうに思っておりますし、都度都度相談に乗りながら必要な対策を講じてまいりたいというふうに考えております。

【伊藤岳 参院議員】 事業費が足りなくなったら必要な相談、対策が必要だということを言われました。

 ただ、修繕は全てが地方自治体の負担となる。改築費用も、そうはいっても地方自治体に重くのしかかることになる。そして、今後、有識者委員会の検討議題では、通常の点検、つまり法定点検の見直しも議題になると聞いています。

 法定点検の点検対象も見直されるようなことになれば、これまた点検の費用も、調査費用も、修繕、改築の費用もどんどん拡大していくことになるんだと思うんですよ。

 地方自治体の負担の重さは恒常的、もう毎年毎年の恒常的なものになっていくと思うんですね。これで果たして地方自治体が担っていけるのか、地方自治体の財政は耐えていけるのかという局面だと思うんです。

 総務省にお聞きします。

 先ほど独立採算ということも言われました。前回の当委員会では汚水私費ということも言われましたが、下水道管等の汚水事業の修繕などに対して、総務省として財政措置、公費支出している事例はありますか。あるならば示してください。

【大沢博 総務省自治財政局長】 下水道事業につきましては、一般的には、投資的経費はほとんどは国庫補助事業として国が補助している、国交省の方で補助をされていると思います。

 その裏負担、いわゆる地方負担については、全額を下水道事業債という形で地方債を発行いたしまして、これは団体によって違いますけれども、元利償還金を交付税措置をするという仕組みがございます。

【伊藤岳 参院議員】 この下水道事業債について言われましたが、これ修繕にも充てられますか。

【大沢博 総務省自治財政局長】 それが投資的経費と観念される場合には充当することは可能でございます。

【伊藤岳 参院議員】 だから、修繕には全部当たるということにならないと思うんですよね、多くの部分は。今回、特別重点調査や今後の法定点検の見直しによって地方自治体の財政負担が大きくなってきます。点検によって必要となった改築以外の修繕、修繕のための費用について、地方財政措置などによる支援を検討すべきではないかと思うんですが、局長、どうですか。

【大沢博 総務省自治財政局長】一般的には、投資的経費、つまり耐用年数が延びるような改築等の場合には下水道事業債を充当するという仕組みがございますけれども、通常の維持管理に該当するような修繕という場合には、これは一般的には経常的経費という形で、料金収入等で回収をしていただくというのが基本になると考えております。

【伊藤岳 参院議員】 つまり、ここまで話聞いてくると、国土交通省の防災・安全交付金は修繕のための費用には使えない。

 予算委員会でも、前回の当委員会で聞いたら、その他の補助メニューもあるけれども、それも修繕のために使える費用はないという答弁がありました。

 そして、今日、総務省の下水道事業債も改築には使えるが修繕全般には使えないということでした。

 そこで、村上大臣にお聞きします。

 私は、今回の八潮市の大規模な事故を踏まえてみて、下水道事業は、これまで総務省が繰り返し言ってきた独立採算だとか、修繕は自治体持ちだとか、汚水私費だとかというように、どこまでも固定的に構えていくのが正解なのかどうなのかということを私考えます。これ、内閣が掲げる地方創生どころか、地方疲弊になってしまうじゃないですか。

 地方自治体が負担をしている老朽下水道管の修繕のための費用について、公費、財政措置による支援について検討すべきときではないかと思うんです。大臣、大臣の思いを答えてください、しっかり。

【村上誠一郎 総務大臣】 下水道施設に対する国庫補助の在り方については、国土交通省において検討されるものと考えております。

 総務省におきましては、下水道の管路の改築等に対して地方財政措置を講じているところであります。

 総務省としましては、自治体が国庫補助金や地方財政措置を活用するなどして下水道の耐震化や老朽化対策等を計画的に進めるよう助言するとともに、下水道事業を実情をよく伺いながら、関係省庁と連携しつつ、地方財政措置を含め適切に対応していきたいと考えております。以上であります。

【伊藤岳 参院議員】 今地方財政措置も含めと言われました。是非、検討、推進していただきたいと思います。強く求めます。

 次に、八潮市の事故の早期復旧のための緊急下水道管路改築事業四十五億円についてお聞きします。

 国交省、この緊急下水道管路改築事業についても総事業費の二分の一を国が負担するということでしょうか。

【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 今回の御指摘の事業につきましては、八潮市で発生した道路陥没事故に係る損傷した上下水道管の早期復旧を支援するものです。

 具体的な内容としては、埼玉県による陥没箇所を迂回するための仮排水管の整備や、破損した下水道本管の復旧工事等を対象としておりまして、国庫補助率については二分の一となっております。

【伊藤岳 参院議員】 総務省にお聞きします。先ほど、下水道事業債、改築には使えると言いましたから、これ使えるんだと思いますが、この県負担分、二分の一の負担分について、下水道事業債を充当できるということでよいのか、充当できるとすれば充当率はどうなるのか、また元利償還金に対する交付税措置はどうなるのか、お示しください。

【大沢博 総務省自治財政局長】 八潮市のような流域下水道の改築事業につきましては、国庫補助の裏の地方負担につきまして、一〇〇%充当率で下水道事業債を発行することが可能でございます。また、その元利償還金については、おおむね七〇%の交付税措置があるというふうに認識しております。

【伊藤岳 参院議員】 充当率一〇〇%で下水道事業債充当できる。元利償還金は七〇%措置される。それでも、十数億円程度の持ち出しになると思うんですね。

 そもそも、下水道の広域化を進めて、改築費用がかさむ大きな口径の、大口径の下水道管路を広げていったのは国の政策によるものではなかったのかと私は強く指摘したいと思うんです。

 国土交通政務官にお聞きします。

 埼玉県から、国土交通省また有識者委員会に提案意見が寄せられていると思います。その提案意見の中では、老朽化する流域下水道の更新及び補修の困難さを挙げ、このことに対する支援を求めています。

 大野埼玉県知事は、最近の記者会見でこう言っています。三メートルを超える口径の下水道管の更新は我々埼玉が初めてやるんだと言っています。

 この下水道管の更新のための支援を国に求める埼玉県、地方の要望について、国交省でどのように、また有識者委員会でどのように検討されたのか。この三メートルを超えるような大きな口径、我々埼玉が初めてだと言っていますが、果たしてこれだけ大きな口径の更新ができる事業者はいるのか、いるのであればどの程度全国にいるのか、そして費用はどれぐらい掛かるのか、お示しください。

【国定勇人 国土交通省大臣政務官】 今ほど御指摘いただいております埼玉県さんからの要望でございますけれども、少なくとも現時点におきましては有識者委員会におきましてこれまでの検討はなされていないところでございます。

 他方で、今後の施設の維持更新や再構築、それらを支える制度の在り方につきまして、今ほど委員の方からも具体の言及をいただいたところでございますが、こうした制度の在り方等につきましては有識者委員会において今後議論をいただくこととしているところでございます。 【伊藤岳 参院議員】 お聞きしたことに答えていただいていないんですが。事業者はいるのかどうか、三メートル口径の更新できる事業者。いるのであればどの程度いるのか、費用面がどうなのか、答えてください。

【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 事業者がいるのかと言われれば、そこは、いわゆる今回の流域下水道もきちんと事業者が整備してきたわけでございますので、更新に必要な事業者はいると考えています。一方、全国にどのぐらいいて、事業費がどのくらい掛かるのかということについては、今手元にお答えできる材料ございませんので、お答えを控えさせていただきます。

【伊藤岳 参院議員】 明確に答弁してください。いると考えているじゃなくて、いるんですか。

 大野埼玉県知事は、お願いしてもなかなか受けてくれないと言っていますよ。いるんですか。

【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 例えば、今の陥没事故が起こった箇所についても、いわゆる事業者の方々がその復旧のために活動を行っておりますので、実際事業者はいるものと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 何かはっきりしない答弁ですね。

 どうなんですか。果たして、この三メーター以上のこの更新というのが一体どれぐらいの事業者が担えるのか、どれぐらいの期間が掛かるのか、費用がどれぐらい掛かるのか、見通せないということじゃないですか。

 今後、どういう課題が明らかになっていくのか、国交省としてしっかり検討していくこと、政務官、約束してください。

【国定勇人 国土交通省大臣政務官】 先ほども答弁申し上げましたとおり、この今後の施設の維持更新あるいは再構築、こうしたものを支える制度全般の在り方等につきまして、有識者会議、有識者委員会におきましても今後しっかり御議論をいただきたいというふうに考えております。

【伊藤岳 参院議員】 私は、さきの予算委員会で、内閣府が、老朽公共インフラの更新、これ単純事後更新の場合ですが、二〇一五年度から二〇五四年度までの四十年間に土木インフラだけで三百九十九兆円に上ると試算していることを示しました。これは一年当たりにすると十兆円で、国交省の一年分の予算の一・七倍に当たると指摘をしました。

 そこで、国定政務官、お聞きします。

 国交省の公共インフラに係る予算は、大型開発優先から老朽化対策としての点検、維持更新、それに伴う人件費にこそ今後予算の重点的、優先的な配分を行うように転換すべきだと私は思いますが、政務官のお考えはどうですか。

【国定勇人 国土交通省大臣政務官】 全てが一〇〇、ゼロで決まっていくわけではございません。もちろん、社会インフラの整備を進めていくに当たりまして、まだまだ不十分な地域から様々な御要望をいただいていることもこれまた事実でございます。

 他方で、施設更新から長時間を経過した中にありまして、長寿命化対策、こうしたものもやっていかなければいけない、こういうような声も他方でいただいているところでございまして、全体のバランスを加味しながらしっかりと取り組んでいくことが肝要かというふうに考えております。

【伊藤岳 参院議員】 バランスと言われますが、維持更新の費用はバランスが余りにも低いです。検討を求めます。

 次に、マイナンバーカードの電子証明書の更新について伺います。国交省についてはここまでです。ありがとうございました。

 総務省にお聞きします。

 マイナンバーカードの保有状況について、現時点での保有枚数、人口に対する保有割合どうなっていますか。

【阿部知明 総務省自治行政局長】 お答えいたします。

 マイナンバーカードの保有枚数は、令和七年二月末時点で約九千七百三十七万枚、人口に対する割合は約七八・〇%でございます。

【伊藤岳 参院議員】 九千七百三十二万人のマイナンバーカードの保有者の方は、取得から十年でカードの有効期限を迎えます。

 五年で署名用電子、ごめんなさい、電子証明書の有効期限を迎えることになります。カードが更新されなければ本人確認としては使えません。電子証明書が更新されなければマイナ保険証としては使えません。つまり、無保険状態になるということです。

 総務省、マイナンバーカードの証明書、電子証明書の有効期限を迎える人が今後どう推移していくか示してください。

【阿部知明 総務省自治行政局長】 お答えいたします。

 オンライン資格確認に用いられます利用者証明用電子証明書の更新必要件数でございます。二〇二四年度約六百九十万件、二〇二五年度約一千五百八十万件、二〇二六年度約一千四百三十万件を見込んでいるところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 増えていくんですね。ずっと毎年毎年多数が更新を迎えなきゃいけないんです。

 リキッド社というところが調査しました。この更新手続をするつもりですか、するつもりはないと答えた人が一割います。二十代は二〇・五%、三十代は一二・五%に上ります。

 総務省、この電子証明書の更新漏れ、どのように対応していきますか。

【阿部知明 総務省自治行政局長】 お答えいたします。

 電子証明書の更新に当たりましては、余裕を持って更新いただきますよう、有効期限の約三か月前に電子証明書の発行者である地方公共団体情報システム機構、J―LISから有効期限切れの通知書を送付してございます。

 さらに、自治体に対しましては、更新増加に対応して円滑な更新体制を構築できるよう、窓口体制の強化、具体的には、土日や平日夜間の開庁の拡大、駅周辺や公共施設等での臨時交付窓口の設置等の取組を推進するよう助言を行ってきてございます。

 また、必要な経費につきましてはマイナンバーカード交付事務費補助金によりまして支援してございまして、今後とも円滑な更新手続がなされるよう取り組んでまいります。

【伊藤岳 参院議員】 マイナンバーカード交付事務費補助金で対応するということでしたが、令和六年度の補正で七百八十・二億円、令和七年度当初で百五十五・八億円、合わせて九百三十六億円、約一千億円を電子証明書の大量更新の対応として予算を組んでいます。

 先ほど、毎年毎年相当数の更新者が生まれるという数字をお示しいただきましたが、これに対応して、毎年、その大量更新のための費用も毎年一千億円程度に上るということですね。

【阿部知明 総務省自治行政局長】 お答えいたします。

 今御指摘のございました予算につきましては、マイナンバーカードそのものの発行自体も入っております。電子証明書も入ってございますけれども、様々な出張申請の推進等の経費も入ってございます。状況に応じまして適切に予算要求はしていきたいというふうに考えてございます。

【伊藤岳 参院議員】 いや、私、大量更新のための対応という総務省の資料から言っているんですよ。別にマイナンバーカード云々だけじゃないんです。大量更新の対応だけで一千億円掛かるという資料ですよ。

 同時に、これだけ巨額の予算が掛かるのと同時に、電子証明書の更新漏れを完全に防ぐということは私難しいと思うんです。

 仁木厚生労働副大臣に来ていただきました。電子証明書が更新されなかった場合、どう対応しますか。

【榊原毅 厚生労働省大臣官房審議官】 お答え申し上げます。

 マイナ保険証を利用する方々に確実に電子証明書を更新していただけるよう、有効期間満了日の三か月前に地方公共団体情報システム機構、J―LISから各御家庭に更新の御案内を送付しているほか、同じく有効期間満了日まで三か月となった場合には、医療機関等の資格確認の際に、顔認証付きカードリーダーの画面に市区町村の窓口で更新手続を行うようアラートを出す機能を設けているところでございます。

 加えまして、電子証明書の有効期限を過ぎた場合でも直ちに保険診療が受けられなくなるという事態が生じないよう、有効期限を過ぎてから三か月間はお手元のマイナンバーカードで資格確認を可能とし、さらに、その期間内に更新手続が行われない方々にはマイナ保険証が使えなくなる前に申請によらず資格確認書を発行するといった対応を行っているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 マイナ保険証を基本にということをするためになかなか複雑な作業が国に求められるんですね。

 仮に更新漏れしても三か月間は猶予期間がある、大丈夫だ。三か月を過ぎる前に資格確認書を申請なしで交付するということでした。

 じゃ、お聞きしますが、この申請なしに交付された資格確認書も有効期限が来ます、一年から五年のうちに。副大臣、申請なしで更新されますか、更新時。(発言する者あり)

【仁木博文 厚生労働副大臣】

 伊藤委員にお答えします。更新されるようになっております。

【伊藤岳 参院議員】

 いや、更新されるようになっていないんでしょう。当分の間は資格確認書が交付されるということになっていますよ。じゃ、この当分の間っていつですか。当分の間はいつと言えないじゃないですか。いつまで申請なしで資格確認書が交付されることになりますか。

【榊原毅 厚生労働省大臣官房審議官】 お答え申し上げます。

 当分の間につきましては、新たな制度が施行したばかりの現時点においては具体的な期間は考えておらず、円滑な移行を図るための運用であるという趣旨を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】

 つまり、当分の間はいつかは決まっていない。だから、資格確認書を申請なしで交付されると言っても、もしその来年更新時期を迎える方が申請なしで交付されると言い切れないんでしょう。二年後に更新時期を迎える方が二年後に確実に更新されると言えないんでしょう、申請なしで。どうですか。

【榊原毅 厚生労働省大臣官房審議官】

 今申し上げたように、適切に対応してまいりたいというふうに考えておりますが、基本的には、資格確認書の方が新しいものが来なくて困ることがないようにしっかり対応していきたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】

 困ることないと言いますが、電子証明書の更新漏れは一〇〇%ないと言い切れますか。

【仁木博文 厚生労働副大臣】

 一〇〇%ないとは言い切れないわけでございますが、そういうことがないような対応をしていくということで考えておりますので。

【伊藤岳 参院議員】

 一〇〇%ないとは言い切れないということなんですよ。

 これは重大なことですよ。無保険状態の人が日本国中に生まれる、国民皆保険制度が始まって以来、初めての歴史的な事態になるということなんですね。マイナ保険証の一本化を基本にということをごり押しすれば、先ほど言ったように巨額の費用が掛かる。それだけじゃなくて、安心して医療を受け続けることが保証されないということじゃないですか。

 仁木副大臣にそこでお聞きします。

 やっぱり保険証を残すことこそが、最も簡素、安上がりで、最も確実に国民皆保険制度を保証する道ではないですか。十二月の猶予期間までに、やっぱり保険証を残す決断をすべきではないですか、どうですか。

【仁木博文 厚生労働副大臣】

 伊藤委員にお答えします。

 従来どおりの保険診療が確実に受けられるよう、必要な対応を現在講じているところでございまして、引き続き、こうした運用によって国民や医療機関への双方に対する周知を取り組んでまいりたいと思います。今の紙ベースにおきましても、様々なそういう一時的に空白地帯もあります。そういうことで、デジタルにおいてもそれがないような形で、医療の現場に対しても周知することによって、保険診療が確実に受けられるような仕組みというのは担保されるというふうに考えております。

【伊藤岳 参院議員】

 担保されないじゃないですか、一〇〇%言い切れないんですから、更新ができないと。

 最後に、村上大臣にお聞きします。

 今お聞きいただきました。大臣、この委員会で私何度も聞いてきました。三大臣の確認で、総務大臣も同席して保険証の廃止が決められました。しかし、今お聞きいただいたように、やっぱり保険証を廃止するということはまずかったんじゃないか、やっぱり保険証を残すことが安心して確実に医療を受けられる道、最も簡素な道じゃないかと、大臣、そう思いませんか。保険証を残す決断をすべきじゃないですか。

【村上誠一郎 総務大臣】

 何回も申し上げますが、その当時は閣外におりましたので、私としては残念ながらその当時のことはよく分かりません。

 ただ、マイナ保険証につきましては、総務省の直接の所管ではありませんが、本人の薬剤情報や健診情報を活用した適切な医療提供に大きく寄与するものと承知しております。

 前から申し上げていますように、本当は委員がおっしゃったように、二十年前にこのマイナンバーと電子レセプトと電子カルテをつないでおれば、かなりの削減が図れたと思います。そういう中で、マイナ保険証の推進に当たり、国民の不安に丁寧に対応することは大切でありまして、国民の皆様の理解を得ていくための制度の周知等を図ることは重要であると考えております。

 私は、科学の進歩を政治に活用していくということは、やっぱり前進あるのみで必要であると、そのように考えております。

【伊藤岳 参院議員】

 もう保険証を残すしかないということを訴えて、質問を終わります。