議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
新しい地方創生交付金について、まずお聞きします。
石破総理は、地方創生を強調し、その一つとして、地域交通は地方創生の基盤、交通空白の解消に向け、移動の足の確保に、移動の足の確保を強力に進めると述べておられます。
伊東大臣にお聞きします。
例えば、地域の基幹路線を担ってきた乗り合いバス事業者が撤退をしてしまって、自治体が、若い人たちの流出が加速してしまう、住民の足を守ろうと代替バスを無料で運行する事業を単独事業として行うといった事例も各地であると思います。
大臣、この石破内閣が創設する新地方創生交付金、第二世代交付金では、こういう事例に対応することになりますか。
【伊東良孝 内閣府特命担当大臣(地方創生)】 地方創生の交付金につきましては、これまでも交通空白の解消に向け、高齢者向けオンデマンド乗り合いタクシーの導入や、あるいは町のコミュニティーバスの人材育成支援、また自動運転バスの路線整備などに活用をされているところであります。
新たなこの地方創生の交付金につきましても、買物、医療、交通など日常生活に不可欠なサービスの維持向上を始めとした、安心して暮らせる地方の生活環境の創生は重要なテーマであると認識をいたしております。
議員御指摘の事業が具体的に本交付金の対象となるかについては、事業についての詳細に確認する必要があるため、この場でお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにいたしましても、本交付金では、自治体の自主性と創意工夫に基づいた多様な主体の参画を通じた地域独自の取組を後押ししていきたいと考えているところであります。自治体に対しては、伴走型での相談対応に努めてまいりたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 ですから、個々の事例はあるかもしれないけど、基本的には対応できるということの考え方ですよね。ということだと思います。
埼玉県下の自治体でも地域公共交通を守るために懸命の努力がされています。埼玉県ときがわ町では、民間バス事業者が、夕方以降の通勤通学時間帯の運行から撤退してしまったんです。そのために、無料代替バスの運行事業を決断をして、開始しています。町が所有しているバスを使用して、運転手は観光バス会社に委託しています。しかし、こうした事業を支援する国のメニューはありません。地方自治体の苦労に応えるべきだと思います。
大臣、大臣ですね、同時に、その事業に、その事業が対応されたとしても、ランニングコストが掛かると思います。自治体に負担が生じます。自治体の実態も踏まえて、制度を前進させていくことを重ねて求めたいと思いますが、いかがですか。
【伊東良孝 内閣府特命担当大臣(地方創生)】 地域交通を守るというのは極めて重要なことであります。ただ、地域交通を守るという一点で赤字を全てこの交付金で充てるということが妥当かどうかとなると、また別な考え方もあろうかと思います。
私もたくさんの事例を見てまいりましたけれども、茨城県の境町では、本当に八台の無人のバスが、これは八人乗りか九人乗りの小さいものでありますけれども、町内を走り回っておりました。これらの経費の取り方あるいは捻出の仕方などなどを含めて、これはやっぱりちょっと検討する必要はありますけれども、スタート時点におけるいわゆるそのイニシャルコストに対しての補助金などなどは考えることができるのではないかと、こう思っております。
【伊藤岳 参院議員】 移動の足の確保という地域のニーズに応えなければ地方創生ではないというふうに思いますので、是非善処していただきたいと思います。対応していただきたいと思います。
次に、マイナ保険証の別人ひも付け誤りなどについて、仁木厚生労働副大臣、そして平大臣にお聞きしていきたいと思います。
まず、国民皆保険制度の中で現行の保険証が果たしてきた役割について伺います。
医療法第一条の三は、国及び地方公共団体は、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならないと定義をしています。
我が国では、国民皆保険制度が確立され、国民の健康維持に大きな貢献をしてきました。仁木副大臣、そのとおりでありますよね。
【仁木博文 厚生労働副大臣】 今、伊藤委員がおっしゃったとおりでございまして、被保険証というのは患者が医療機関等において療養の給付を受ける際に有効な被保険者等としての資格を有することを証明するものでございまして、各医療保険者が被保険者に対して交付してきたものであるという認識をしております。おっしゃるとおりでございます。
【伊藤岳 参院議員】 保険証一枚あれば医療機関を受診できる仕組みという認識でいいということですよね。
ところが、政府は、この医療提供体制を保障してきた現行の保険証の新規発行の停止をしました。これで今後どう国民皆保険制度を守れるのかが問われていると思います。
そこで、仁木副大臣にお聞きします。
現行の保険証の新規発行を停止した下で、どのように今後国民皆保険制度を守っていかれますか。
【仁木博文 厚生労働副大臣】 マイナ保険証というのは、本人の健康医療情報を活用した適切な医療の提供に寄与するものであります。
マイナ保険証を基本とする仕組みに移行したところ、十二月二日以降もこれまでどおり保険診療を受けられるようにしております。最大一年間、発行済保険証を使用可能としているほか、マイナ保険証をお持ちでない方には発行済みの健康保険証が使えなくなる前に、申請によらず資格確認書を交付することにしております。
また、何らかの事情で医療機関でマイナ保険証が使えない場合であったとしましても、マイナンバーカードと合わせてマイナポータルの資格情報画面や資格情報のお知らせが提示できる方法や、過去の資格情報の口頭確認や資格申立書への記入により、十割負担ではなく、三割負担等の適切な負担割合で保険診療を受けられることとしております。
こうした取扱いを国民の皆様方と医療機関の双方に丁寧に周知していきたいと考えております。
【伊藤岳 参院議員】 今説明もありましたし、先ほど片山委員の質問にもありましたが、結局、マイナ保険証と資格情報のお知らせを二枚持たなきゃいけないという二枚持ちが発生したり、また、それを忘れたら申立書、資格確認書の更新時期が来たら手続に行かなきゃいけないと。この資格確認の方法をどうしてこんなに複雑にするのかと私は思います。
厚労省にお聞きします。
二〇二三年十二月の総点検の時点で、健康保険情報においてマイナ保険証への別人ひも付け誤りがあった件数、何件あったか教えてください。
【榊原毅 厚生労働省大臣官房審議官】 お答え申し上げます。
健康保険情報に関する別人の個人番号とのひも付け誤りにつきまして、オンライン資格確認の本格運用を開始した令和三年十月から総点検作業依頼を行う前日の令和五年五月二十二日までに判明した保険者から異なる個人番号が登録された件数は七千三百七十二件でございます。それ以降、令和五年十一月三十日までに保険者から異なる個人番号が登録された件数が百八十一件、マイナンバー総点検本部にて総点検対象とされた千五百七十一万件について確認を行った結果判明したひも付け誤りの件数は千百四十二件、これと、医療情報という特殊性も踏まえまして入念的に全ての登録済みデータ一・六億件について住民基本台帳の情報との突合を行い検知された誤登録は五百三十九件でございました。
【伊藤岳 参院議員】 次の質問まで答えていただいたんですが、つまり、総点検時点で八千六百九十五件別人ひも付け誤りがあり、その後、保険者による登録確認済みデータの確認作業が行われて、そこで新たに五百三十九件。ですから、合計九千二百三十四件に上るんですよね、別人ひも付け誤りが。
仁木副大臣にお聞きします。
別人ひも付け誤りはもう生じないと言えるのでしょうか。生じないと言えるならば、その根拠は何ですか。
【仁木博文 厚生労働副大臣】 委員が御不安に思われているように、あるいは国民が不安に思われているように、このひも付け誤りについては起こさないようにしなければいけません。
先ほど参考人が述べたように、全保険者に自主点検を実施するとともに、更に入念な取組といたしまして、登録済みデータ全体について住民基本台帳との照合を行い、不一致があったものについて保険者等による必要な確認作業を行っておりますし、また、昨年六月からは資格停止、資格取得の届出における被保険者の個人番号等の記載義務を法令上明確化するようにしております。本年五月からは、資格情報を保険者が登録する際、その全件についてJ―LIS照会を行うチェックシステムの仕組みを導入したところであります。
こうした取組によりまして、新規のひも付け誤りを防止し、国民の皆さんに安心してマイナ保険証を御利用いただける環境が整ったというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 新規のシステムは最近稼働したわけです。登録済みデータの確認を実施したというふうに言われましたが、そのとき、その際に、疑いのある方々には、本人にデータを郵送していると思います。しかし、その御本人から返信がいまだないというものもあるんではないですか。どうですか。
【仁木博文 厚生労働副大臣】 おっしゃるように、この本人から確認が取れていない以上はこれ以上誤りが生じないとは言えないのではないかということに対しての御指摘だと思いますけれども、この確認済みのデータについては、保険者による確認作業を実施し、閲覧停止解除をしたところであります。そしてまた同時に、加入者から回答が得られないものについては閲覧停止の措置を行っているため、誤って別人の医療情報等を閲覧することがないか回答が得られるよう保険者から督促を行うなどの対応を行っておりまして、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。
【伊藤岳 参院議員】 だから、本人の確認が取れていないものがあるということです。だから、別人ひも付け誤りはまだ存在している可能性があるということですよね。
埼玉県保険医協会が会員アンケートを実施しています。先ほどの九千二百三十四件の分かった以降のアンケートですけれども、こういう事例があるそうです。同一生年月日の別の人物の情報が表示された。これが、埼玉県で四つの医療機関から報告がありました。同時期に同じアンケートを全国の協会で取っていますが、全国的に百八十九の医療機関から別人ひも付け誤りがあったと回答しています。
副大臣、このアンケート結果、御存じないですか。
【榊原毅 厚生労働省大臣官房審議官】 アンケート結果については承知してございません。
【伊藤岳 参院議員】 是非調べていただきたい。
それで、マイナンバーカードに被保険者の保険情報を四情報で特定してマイナンバーカードにひも付ける作業をやっているわけですよね。この四情報でひも付ける際に、氏名、性別、生年月日は結構安易に照会できるんですが、住所の照会が難しいと。ある保険者の人は九割方エラーが出ると。で、ひも付けが多数不一致になっている事態があります。それで個人が特定されずに誤登録が避けられないという構造的な欠陥が、今まだ欠陥があります。ですから、その総点検の中でも、そういう欠陥の中で生まれた誤登録は解消されてないんですね。したがって、今後も、マイナ保険証の利用を開始した方がいたら、そのたびごとにカードリーダーにかざしたら誤登録だったということが判明していくことになると思います。
別人ひも付け誤りというのは、患者の命の危険に直結する問題です。また、一時的に無保険状態が生じて、医療を受けられないという事態にもつながることになります。
平大臣にお聞きします。
総点検の後も、また保険情報の登録済みデータの確認、登録済みデータの確認作業の後も、別人ひも付け誤りが確認されています。しかも、今後更に広がる可能性があります。それでも、大臣が言われるように、マイナ保険証の利用を基本にと突き進むというお考えでしょうか。
【平将明 デジタル大臣】 私の立場から、繰り返しになってしまいますが、紙の保険証は、ICチップも顔写真もなくて、不正に利用されやすい状況にあります。これを解決するには二つのオプションがあって、一つは紙の保険証に今から顔写真とICチップを付けてマイナンバーカードと二つ走らせるのか、マイナンバーカードと保険証を結び付けるのかということがありますので、デジタル大臣の立場としては、それはマイナンバーカードと保険証をひも付けていただきたいと思います。
私、テレビの報道だったと思いますが、今、トランザクションは保険証を使って要は請求が年間二十億あって、その中で、まず資格が間違ったとか記入が間違ったとか二重請求だったとか、こういうのが年間五百万件あると言われているんですよ。こちらのアナログのミスは放置して、デジタルのひも付けのとかは、これはあってはならないんだけど、それを殊更に、だからデジタルは駄目なんだ、今までどおりアナログでやるんだということにはなかなかならないので、これからミスを一つでもなくすように、一個一個潰すように関係者と取り組んでいきたいと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 現行の保険証でもいろいろあると言いますけれども、一体どういう統計でどれぐらいあるんでしょうか。私がこの委員会で聞いた限りでは、統計は取ってないという話がありましたよ。
で、これ、私、ここの委員会で何度も、そちらに河野太郎さんが座られて何度もやり取りしたんですが、河野太郎前大臣、こう言ったんですよ。そういうトラブルに係るアンケートを突き付けるけれども、こういうアンケートは役に立つとは思ってない、百害あって一利なしだと、イデオロギー的に反対する人はいつまでたっても不安だ不安だと言うと、こういうふうに言われたんですよね。医療現場からのひも付け誤りの指摘や国民が不安に感じること自体をこれは敵視する発言だったと私思っております。
しかし、国民がマイナ保険証に対して不安を思うのは、現にトラブルが起きていて、ひも付け誤りが避けられないという構造的な問題に対しての不信があるからであります。反対する人は反対するんだという問題じゃないんです。
平大臣、河野前大臣のこの発言と同じ立場に大臣は立たれますか。
【平将明 デジタル大臣】 まず、紙の保険証の不正は、ICチップもないし顔写真もないので、普通に受け付けられてしまうので、その不正の数を定量的に把握することすら難しいという大きな欠陥がありますので、定量的に証明できなくても、定性的にはもう十分これはこのロジックでこれを塞ぐべきだと思います。
河野さんの発言ですが、別人格でもありますし、性格も違います。別に河野さんのこういった発言を引き継ぐわけではありません。
【伊藤岳 参院議員】 まあ、引き継がないどころか、批判的な立場に立っていただきたいと思います。
平大臣にもう一つお聞きしたいのは、二〇二二年の十月十三日に河野前大臣がマイナ保険証一本化の表明をされましたね。その当日に、関係三大臣会合、つまり、デジタル大臣、厚労大臣、総務大臣の関係三大臣会合が行われたと言われています、となっています。
そこで、これまで、それまでの方針、つまり現行の保険証との併用制からマイナ保険証への一本化へと突如方針転換されたのが、その二〇二二年の十月十三日の関係大臣会合でした。この関係大臣会合の中身、特に現行の保険証との併用制を変えるということについて、前大臣から、なぜそうなったのかというのをどのように平大臣は引き継いでおられますか。
【平将明 デジタル大臣】 私、これ役所に確認をして経緯のメモをもらっていますが、その中に関係大臣会合というのはないです。多分、関係閣僚間で逐一協議をしていたんだろうというふうに想像をいたします。
そういった中で、現行保険証の廃止の方針については、政府を挙げてマイナンバーカードの普及や利便性向上に向けた方策に総合的に取り組む中で、そういった関係閣僚の間で協議を経て、マイナンバーカードと保険証の一体化のメリットを早期実現するために二〇二四年の秋に保険証の廃止を目指すこととしたと、そして二〇二二年十月十三日に当時の河野デジタル大臣から発表をしたというふうに承知をしています。
その上で、同年十月二十八日に閣議決定をした総合経済対策において、健康保険証との一体化を加速をし、令和五年秋に健康保険証の廃止を目指すための環境整備等の取組を行うことを明記をし、当該内容を含む法改正案を令和五年の通常国会において審議をいただきまして、可決、成立したものと承知をしています。
【伊藤岳 参院議員】 時間がたっており、まとめます。
大臣、昨年の十月三十一日の予算委員会、岸田総理はここではっきり言っていますよ。十月の十三日、関係閣僚で確認したと。岸田総理の答弁、これ間違いということになりますよ。もう一度これ精査して、当委員会に報告してください。以上で終わります。