議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
給与改定費、会計年度任用職員の処遇改善について聞きます。
地方公務員の給与改定経費は、今回、臨時経済対策費とは別に給与改定費という新たな費目を創設して算定しています。その理由について、衆議院の質疑では、算定の簡素化や地方自治体の事務の簡素化に留意しながら、昨年度と比較し、給与改定費のうち普通交付税の増額分が四千億円と額が大きい、また、自治体に対して給与改定費を措置していることを分かりやすく示すことが重要との説明がありました。
昨年、松本前総務大臣は、地方公務員の給与改定では、会計年度任用職員の遡及改定も含め、地方団体の調査結果等に基づき所要額を見込んでいる、その上で、この給与改定所要額は、あらかじめ地方財政計画に計上している追加財政需要額と今回の補正予算により増額した地方交付税の増額交付の中で対応するとしている、人事院勧告に伴う給与改定分も含めて、地方団体の体制、財政運営に支障が生じないようにしっかりと対応していくと答弁をしていました。
総務省、昨年、人事院勧告の給与改定に準じて会計年度任用職員の遡及改定、期末手当の支給を行った自治体数は都道府県、指定都市、市町村でそれぞれ幾つでしたか。
【小池信之 総務省自治行政局公務員部長】 会計年度任用職員の給与について、令和五年度に常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて改定した団体は、道府県は四十二団体、指定都市は十団体、指定都市を除く市区町村は九百五十団体となっております。
【伊藤岳 参院議員】 つまり、昨年度の実績では、千七百八十八団体のうち四割に当たる自治体で会計年度任用職員の給与改定を行わなかった。これでは会計年度任用職員の給与改定が徹底されているとは言えないと思います。
今年度、人事院勧告に沿って全ての自治体で会計年度任用職員も含めた地方公務員の給与改定が徹底されることが必要です。財源は不足することなく確保されているのでしょうか。
給与改定費は、人口を測定単位にして、単位費用、都道府県の場合千七百円、市町村の場合千五百円を掛けて算定することを基本としています。総務省は、正職員の給与改定分、会計年度任用職員の遡及改定分と期末手当分といった給与改定に必要な経費を自治体に悉皆的な聞き取りなどをした、調べた上でこの算定にしているのでしょうか。
【大沢博 総務省自治財政局長】 お答えいたします。
本年の地方公務員の給与改定に係る一般財源所要額については、七千億円程度と見込んでおります。
このうち、常勤職員の給与改定所要額につきましては、令和六年度の地方財政計画に計上した額を基に、令和六年の人事院勧告を反映をして積算をしております。
また、会計年度任用職員の給与改定所要額については、遡及改定の実施状況も含め、全ての地方公共団体に対して実施した調査結果に基づき所要額を見込んでいるところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 村上大臣にお聞きします。自治体が必要とする給与改定の経費を下回ることはないという考え方で間違いないですか。
【村上誠一郎 総務大臣】 本年の地方公務員の給与改定に係る一般財源の所要額については、先ほど大沢局長が申し上げたように、自治体への調査結果等を踏まえ、七千億円程度と見込んでおります。
その上で、年度途中に生じる財政需要に対応するため、あらかじめ地方財政計画に計上している追加財政需要額を上回る所要額については、今般の地方交付税の増額交付の中で対応することとしております。
その具体的な配分に当たっては、各自治体の人口を基本とした上で、法令により定数が定められている教職員数や警察職員数についてその実態を反映した補正を講じるなど、適切なものとなるように工夫しているところであります。
以上であります。
【伊藤岳 参院議員】 大臣、ですから、自治体が必要とする給与改定の経費を下回ることはないという考え方で算定している、これでいいですね。もう一度お願いします。
【大沢博 総務省自治財政局長】 マクロではもちろん必要な額をしっかり確保しているということであります。
ミクロで配分するときには、各団体の職員数を全部反映してきれいにやることはできませんから、人口とかあるいは人口密度による補正を講じたり、あるいは教職員数や警察官数の状況を反映した補正を講じることによって、これは基本的に標準的な経費を算定をしていると、こういう状況でございます。
【伊藤岳 参院議員】 自治体が必要とするものを下回らないように算定をしているという考え方だということはお示しになったと思います。
次に、名古屋市の会計年度任用職員の雇い止めについて聞きます。
資料一を御覧いただきたいと思います。
名古屋市では、保育所で働く千二百人の会計年度任用職員が、事前の周知、説明もなくいきなり大量の雇い止めされるということを報じている記事です。
続いて、資料二を御覧いただきたいと思います。
とりわけ深刻なのは、名古屋市の地域子育て支援センターです。ここでは二十三人が五年目の公募の対象となった。しかし、公募で採用される予定者は八人、十五人は定年退職後に再任用される職員に置き換えるとしています。会計年度任用職員二十三人のうち、公募で採用予定の八人以外の十五人を再任用で入れ替えるというやり方です。現在働いている会計年度任用職員のうち、十五人は職を失うことになります。
大臣、こうしたやり方をしたら、会計年度任用職員の採用の枠を狭めて、どんなに専門性や経験があっても大量に雇い止めされることになると思います。大臣、これ問題ではないですか。
【村上誠一郎 総務大臣】 この複雑化する、多様化する行政需要に対応するために、常勤職員に加え非常勤職員も地方行政の重要な担い手となっていると認識しております。会計年度任用職員は、一会計年度を超えない範囲で任用する職であることから、その任期の終了により任用関係が終了するものであります。
個々の職にどのような職員を任用するかについては、各自治体において、対象となる職務の内容や責任などに応じて、任期の定めのない常勤職員や臨時・非常勤職員の中から適切な制度を選択していただくべきものであります。その上で、各自治体において必要な行政サービスを提供できる体制を確保していただくことが重要であると、そういうふうに考えております。
【伊藤岳 参院議員】 大臣、逃げちゃ駄目だと思うんですよ。
自治体の判断と言いますが、この会計年度任用職員という仕組みをつくったのは国ですよ。その下で起きている。専門性や、どんなに専門性、経験があっても大量に会計年度任用職員は雇い止めされるという事態が起きています。
これまでも私、この委員会で取り上げてきましたが、埼玉県狭山市の図書館では、一度に全体の三割に当たる十一人の会計年度任用職員が一気に雇い止めをされました。東京都では、会計年度任用職員のスクールカウンセラー二百五十人が一斉解雇されて、そのほとんどが五年以上の勤務、中には十五年以上働いてきたカウンセラーもいました。そして、今回、名古屋で千二百人の会計年度任用職員が、事前の周知、説明もなくいきなり大量に雇い止めされることになります。
大臣、こんなことで誰が会計年度任用職員に応募することになりますか。これでは地方公務員に専門性や経験のある人材を確保することはますます遠くなるとは思いませんか。
【村上誠一郎 総務大臣】 小池さんに実態をちょっと説明してもらいます。
【小池信之 総務省自治行政局公務員部長】 会計年度任用職員の任用に当たりましては、地方公務員法に定める平等取扱いの原則や成績主義を踏まえ、できる限り広く募集を行うことが望ましいと考えております。
ただし、自治体に対しては、公募を行う場合であっても、客観的な能力の実証を経て再度任用されることがあり得ること、選考において前の任期における勤務実績を考慮することも可能であることなどについてこれまでも通知をしており、適切な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
【村上誠一郎 総務大臣】 要するに、委員の気持ちはよく分かりますが、最終的に決定するのは各地方自治体であります。やはり、地方自治体もそれぞれの財源だとか財政事情がありますから、その判断について我々がどこまで言えるかは限界があると思います。
【伊藤岳 参院議員】 はい。
まとめますが、とにかく、自治体の判断って逃げちゃ駄目だと思います。会計年度任用職員の大量雇い止めを食い止めるべきだと求めて、質問を終わります。
以下反対討論
【伊藤岳 参院議員】 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等改正案に対する反対討論を行います。
現行法は、年度途中に増額となった地方交付税はその全額を地方自治体に特別交付税として交付すると定めています。地方の固有財源であり貴重な一般財源は、現行法に基づき、その全額を地方自治体に交付すべきです。
しかし、本法案は、増額となった地方交付税二兆七百四十八億円のうち、三割以上に当たる六千八百二十二億円を翌年度に繰り越すものです。物価高騰の影響が深刻となる中、住民の命と暮らし、営業を守るため、地方自治体にはその役割を果たすことが求められており、そのための財源が必要ですが、交付する地方交付税一兆一千九百二十六億円のうち、臨時財政対策債の元利償還のために充てる基金分四千億円を除けば、調整額の復活分を合わせても七千九百二十六億円程度にとどまっています。
地方自治体が地域の実情に応じたきめ細かな独自の施策を進めるためにも、地方単独事業分を算定することが重要ですが、昨年度に続き、二〇二四年度補正も算定していないことも指摘するものです。
本法案は、地方自治体の財政需要には十分応えず、地方交付税増額分の三割以上を翌年度の地方交付税総額に繰り越すことを優先するものであり、反対するものです。
今回、職員給与の改定に対応するため給与改定費を創設しました。専門性と経験のある人材を地方公務員として安定して確保し、会計年度任用職員の処遇改善と給与改定を確実に実施することを強く求めて、討論とします。