議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。マイナ保険証の別人ひも付け誤りが新たに五百二十九件あったと、五月十五日の本会議で武見厚労大臣が答弁をされました。既に判明している分を含めて九千二百件超えになったわけであります。
デジタル庁にまずお聞きします。
デジタル庁は、今年一月、政府のマイナンバー総点検で、総点検の対象となった分の確認作業を実施し、確定数を公表していました。これでデータの点検が終わったとしていましたが、実は終わっていなかったということだったんでしょうか。
【楠正憲 デジタル庁統括官】 お答え申し上げます。マイナンバー情報総点検では、マイナポータルで閲覧可能となっている全ての情報について点検を行い、その結果として、個別データの点検対象となった八千二百八万件のデータのうち八千三百九十五件のひも付け誤りが判明し、既に解消するなどの対応を行っております。
健康保険証につきましては、総点検の取組に加えて、医療情報という特性も踏まえて入念的に登録済みデータ全体について住民基本台帳との突合を行い、不一致があったものについて保険者等による必要な確認作業を行ったところ五百二十九件のひも付け誤りが判明したものであり、総点検が終わっていないという委員の御指摘は当たらないというふうに考えております。
【伊藤岳 参院議員】 今説明がありましたように、総点検本部として保険者による点検をやった上に、更に入念にということで、健康保険証については登録済みデータ全体を住民基本台帳と突合したと。誤登録の疑いがあれば順次本人に確認するという流れだったと思います。
そして、この五月十五日に新たに五百二十九件、住所、ごめんなさい、氏名等の不一致、百三十九万件のデータの確認作業を実施した結果、五百二十九件の誤りが新たにあったと公表されました。
厚労副大臣にお聞きします。マイナ保険証の別人ひも付け誤りは、今後一切発生しないですか、絶対ないと言い切れるんでしょうか。
【浜地雅一 厚生労働副大臣】 まず、伊藤委員が今御指摘になりましたこの新たに五百二十九件の誤登録ということなんですが、厚生労働省としては、そういった認識というよりも、いわゆる不一致があった件数が、住民基本台帳との、百三十九万件ありました。そのうちに実際に別人とひも付いたものは何件かという結果、五百二十九件というものが現れたわけでございまして、新たに誤登録ということよりも、いわゆる不一致のデータの中において五百二十九件、別人との誤登録が検知されたということであります。
その上で、しっかりとまず再発防止ということを図らなければならないというふうに思っております。そこで、新規のこのひも付けの誤りを防止するために、昨年の六月から資格取得の届けの、届出の際に被保険者の個人番号等の記載の義務を法令上明確化させていただきました。そして、今年七月から、資格情報を保険者が登録をする際、その全件についてJ―LIS照会を行うチェックシステムの仕組みを導入をいたしております。
こうした取組におきまして、今後こういった誤登録の発生は防止できるものと考えております。
【伊藤岳 参院議員】 今後なんですよね、今、副大臣言われたのは。
私は厚労省から登録済みデータの確認作業の結果というポンチ絵いただきましたけど、安心してマイナ保険証を御利用いただけるように、今後、資格情報のお知らせを送る際とか保険証の更新のときに、原則全員に個人番号の下四桁を送付すると書いていますよ。だから、今そういうふうなこともして確認しないと安心できないということなんですよ。今後、誤登録がないとは言い切れないということでしょう。そこだけ確認します。
【浜地雅一 厚生労働副大臣】 済みません、その前、私の答弁の中で、先ほど、今年七月から、資格情報を保険者が登録する際、その全件についてJ―LIS照会を行うというふうに申し上げましたが、今月の、この六月の七日からという間違いでございまして、まず訂正を、あっ、五月の七日からということで、まず訂正をさせていただきたいと思います。大変申し訳ございませんでした。
伊藤委員の先ほどの御質問でございますが、まずはやはり今後の新規のひも付け誤りというものを防止しなければならないというふうに思っておりますので、今後につきましては、先ほど御答弁申し上げましたけれども、昨年六月から、この資格取得の際の届出の際に個人番号の記載の義務化を法令上明確化しております。そして、繰り返しになりますけれども、必ずこの登録をする際におきましては全件につきましてJ―LIS照会を行うチェックシステムを導入をさせていただいておりまして、これによりまして、今後こういった誤登録の、誤りというものは発生を防止できるものと考えております。
加えまして、先ほど委員から指摘もございましたとおり、現在もこの加入者全員に個人番号の下四桁の送付も行っているところであります。
【伊藤岳 参院議員】 だから、今、最後に副大臣言われましたけれども、下四桁の番号を送付して改めて点検しないと誤登録があるかもしれないということなんですよ。
実際、既に起きている誤登録の修正は極めて困難です。元々、マイナンバーカードと保険情報のひも付けは、保険者が、住民基本台帳ネットワーク、J―LISのデータベースで氏名、生年月日、性別、住所などの四情報で照会を行って個人を特定してきました。だけど、住民基本台帳の住所登録が、今日もいろいろ議論になったように、大字だとか小字だとか、何丁目とかアパートの名称だとか、一部でも違えば正しい照会結果は出てきません。そうした中で個人を特定してひも付けてきているわけですから、誤登録が既に生じていることは避けられないという構造的な欠陥があるんですよ。
そこで、厚労副大臣にお聞きしますが、氏名、生年月日、性別の三情報までは突合して追えても、住所の不一致までは完全に追えていないのではありませんか。どうですか。
【浜地雅一 厚生労働副大臣】 この度の、この不一致の百三十九万件につきまして、生年月日、そして性別、仮名氏名、漢字氏名、そして住所の情報を突合しておりますので、住所につきましても突合というものを行わさせていただいております。
【伊藤岳 参院議員】 では、その五百二十九件のうち、住所の不一致というのは何件あったんですか。
【浜地雅一 厚生労働副大臣】 今回、昨年十一月以降、誤登録が判明しました五百二十九件のうち、そのうち住民基本台帳の情報と照らして住所が不一致だった件数につきましては把握をしていないというところであります。
【伊藤岳 参院議員】 これ把握していない。これ、重大なことだと思いますよ。だから、先ほど言ったように、住所の不一致というのが、住所の照会というのが一番困難だと言われているんですよ。これまだまだ、だから、住所の照会が困難の下で誤登録がまだ残されているということだと思いますね、今の答弁だと。
こうしたひも付けにおける構造的な欠陥がある下で、幾ら一・六億件分の登録済みデータ全体を住民基本台帳と突合したといっても、誤登録の疑いがあるものを全て洗い出していないと思います。これ、総点検ではなく部分点検だったということだと思うんですね。
河野大臣に聞きます。
別人ひも付け誤りは、私、一件あったとしても重大問題だと思うんですよ。しかし、新たに五百二十九件見付かった、まだ残されているかもしれない。これ、大臣、重大だと思わないんでしょうか。それでもマイナ保険証の一本化に突き進んで現行の保険証を廃止するということでしょうか。どうですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 この厚労省が点検をしていただくときに、恐らく二情報でひも付けをしたものが確率的にあって、五百件ぐらい誤りがあるだろうという想定の下で五百二十九件でございますから想定どおりだった。それを発見をして訂正をしたということでございます。
アナログだろうがデジタルだろうが、どんな事務作業にもヒューマンエラーというのは起こるわけで、それをどうやって早く発見をして訂正をするかというのが大事なことだと思います。紙の上の情報だと、それがとじられて書棚の上に載せられてしまえば分かりませんけれども、デジタルデータはマイナポータルその他で御本人でも確認することができますから、何か誤りがあれば発見をしやすいということになります。
今までは年間五百万件を超える返戻がありましたけれども、デジタル化すればそれは恐らく相当減るだろうと思いますし、今度のシステムは、ただの紙の健康保険証でどれだけ成り済ましがあったか件数すらも分からなかったという状況を大幅に改善することができるわけでございます。
また、これから、この人口減少社会の中でいろんなことをアナログで続けていくわけにはいかないわけでございますから、速やかに十二月二日で新しい保険証の発行を停止する、デジタルに向けて医療DXしっかり進めてまいりたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 私はアナログのままでいいって言っているわけじゃないんです。デジタル化は必要です。しかし、今構造的な欠陥がある下で、住所の不一致、特に誤登録がまだ残されているんじゃないかと言いました。そういう下で現行の保険証の廃止に突き進むのはどうなのかというのを聞いたんです。非常に残念な答弁だったと思います。
次に聞きます。次に移ります。
マイナ保険証の移行に際してはデジタルとアナログの併用期間を設けるなど必要な環境整備に取り組んでまいります、これやっぱり本会議での武見厚労大臣の答弁でした。
そこで、浜地副大臣にお聞きします。
このデジタルとは何を指すのか、マイナ保険証のことでしょうか。アナログとは何を指すのか、紙の保険証、資格確認書のことなのでしょうか。御説明をお願いします。
【浜地雅一 厚生労働副大臣】 委員の御質問でございますが、デジタルとしては、このマイナ保険証の利用を進めること、そしてアナログとしては、最大一年間現行の保険証を使用可能とするほか、マイナ保険証を保有しない方には申請によらず資格確認書を発行することなどを指すものでございます。
【伊藤岳 参院議員】 そして、大臣の言われた、デジタルとアナログの併用期間を設ける。これ、わざわざ併用期間という言い方をしているのはなぜですか。期限を決めるということですか。
【浜地雅一 厚生労働副大臣】 今後も、例えばマイナ保険証を保有しない方、保有しないということを望まれる方につきましては、資格確認書等の仕組みによりまして今後資格確認を行っていくものでございまして、それにつきましては制度上、期限を設けているものではございません。
【伊藤岳 参院議員】 つまり、マイナ保険証を保有せずに資格確認書を使うという方には、期限があるわけじゃなくて、資格確認書を発行し続けるということでよろしいですか。もう一度確認です。
【浜地雅一 厚生労働副大臣】 繰り返しになりますけれども、この資格確認書の仕組みにつきましては今回の改正の上で制度上創設されたものでありまして、期限は設けていないということであります。
【伊藤岳 参院議員】 マイナ保険証を保有しない方には資格確認書を発行し続けるという答弁だったと思います。そのことを確認して、質問を終わります。
以下反対討論
【伊藤岳 参院議員】 私は、日本共産党を代表して、デジタル社会形成基本法等の改正案について反対の討論を行います。
反対理由の第一は、公的基礎情報データベース、ベース・レジストリの整備は、行政手続の簡素化、効率化をもたらすその一方で、プライバシー保護が不十分な目的外使用や、政府保有情報システムと民間企業等が保有するデータ連携を通じて官民連携での個人情報の利活用を推し進めるものだからです。
当面、公的基礎情報データベース整備計画に基づいて整備されるのは、法人・不動産ベース・レジストリとアドレス・ベース・レジストリとされています。地方自治体や民間事業者にとって一定の業務の効率化につながる面はありますが、整備改善計画の対象範囲は政府に委ねられています。どのようなデータを整備し、連携するかは見通せません。
また、地方自治体は公的基礎情報データベース整備改善に関する施策を講ずるよう努めなければならないと規定されており、行政の効率化の下、自治体独自の施策が後退させられることにもなりかねません。
反対理由の第二は、マイナンバーカードのICチップに収納されている住所、氏名、生年月日、性別の基本四情報と顔写真、マイナンバーをスマートフォンに搭載することです。
スマートフォンを使ってマイナンバー法上の本人確認をする、可能とすることは、同時に、紛失や盗難などを通じてマイナンバーカードの搭載情報が他人に渡る危険性を格段に高くし、犯罪の標的になる危険を広げることになります。
政府は、マイナンバーカードは安全、安心と繰り返してきました。しかし、SIMスワップ詐欺やマイナンバーカードの偽変造などの重大犯罪が繰り返されており、それと同じ券面のカードが現在もそのまま使われています。マイナンバーカードの安全、安心が通用しないことはもはや明白です。政府は、ICチップを読み取る機器の開発、普及を検討し、それによって本人確認を厳格に行うと言いますが、ICチップの読み取り場面の広がりは、すなわちマイナンバーカード搭載情報が読み取られる場面が広がることにほかなりません。犯罪と対策のイタチごっことなる懸念は拭えません。
最後に、政府のデジタル政策を国民、事業者、自治体に強引、高圧的に押し付けるべきではなく、現行保険証の廃止はきっぱり撤回することを求めるものです。
以上述べて、討論といたします。