議事録

2024年5月28日 総務委員会(偽造マイナカード・「顔認証マイナンバーカード」について)

議事録

【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。

 偽変造マイナンバーカードの目視確認についてお聞きします。

 十五日の本会議でこの問題を質問しましたが、その後、十七日にデジタル庁、総務省連名で事務連絡が発出されました。そこでは、マイナンバーカードの券面においては偽変造対策が施されておりますと、目視による本人確認の留意点を事業者に示しています。

 総務省にお聞きします。

 十七日の事務連絡を発出したのは、マイナンバーカードには偽変造される危険性がある、安全、安心とは言えないからですよね。どうですか。

【山野謙 総務省自治行政局長】 お答えします。

 五月十七日に総務省、デジタル庁から関係機関に対しマイナンバーカードの変偽造対策に関して周知、注意喚起を、事務連絡を発出しましたのは、偽造マイナンバーカードによる被害報道を受けたものでございまして、安全、安心でないということではございません。

【伊藤岳 参院議員】 被害報道を受けての注意喚起ということだと思うんですが、要は注意喚起しなきゃならないほど危険性があるということじゃありませんか。偽変造対策が施されておりますについて、マイナンバーカードには特殊インク、パールインクが施されて、マイナちゃんのマークの背景の色が見る角度によって二色に変化して見え、偽変造が困難と政府が説明をしています。

 松本大臣も当委員会でこの偽変造対策があることを紹介されましたが、大臣は実際に試してみられましたか。見る角度というのがかなり職人技だとは思いませんでしたか。

【松本剛明 総務大臣】 見る角度によって色が変わるのは私も確認をしております。

【伊藤岳 参院議員】 大臣、確認されたというのだったら、なかなか優秀だと思いますよ、これ。なかなか職人技ですよ、私やってみましたけど。

 マイナンバーカードの偽物か本物かを見抜くのは技量次第ということになると思うんですよ。しかも、偽変造が発覚した時点と、現在七三%の国民が保有している今のカードの券面には何ら変わりはありません。これでは詐欺被害などが繰り返される、安全、安心とは言い切れない、大臣はそうは考えませんか。

【松本剛明 総務大臣】 私どもも御紹介をさせていただいたのも、また何よりも関係機関に対して事務連絡を発出させていただきましたのも、このように個人の確認をするための書類等につきましてはこれまでも残念ながら悪意を持った者による偽変造等が行われてきたことはあったわけでありまして、私どもも、マイナンバーカードについては先ほど目視による確認のためのことであるとか、また、何よりも、マイナンバーカードはICチップにおいて情報が確認できるなど、そもそも偽変造対策を行ってきたことについてまだ周知広報が更に進める必要があるとの考え方から、関係をするところに特に注意喚起をする事務連絡を出させていただいたところでございます。

 マイナンバーカードの場合は顔写真が添付をされていることもありまして、顔写真がない証明書等よりは偽造されるリスクは相対的には低いとも言われているところでありまして、厳格な本人確認が行われますように、マイナンバーカードの偽造対策の確認を徹底をしてまいりたいと思っているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 大臣、私、リスクが高いとか低いという、聞いておりません。目視による確認では安全、安心とは言い切れないということを聞いているんですね。

 これ、既に目視による確認ができることが施されているといっても、偽変造起きているわけですから、もうこれで安全、安心とは言い切れないと思います。これ、幾らその方法を業者に示したところで詐欺被害は食い止められません。マイナンバーカードの券面の目視確認の安全、安心は通用しないと言いたいと思います。

 マイナンバーカードをめぐって誤登録、誤発行などのトラブルが一向に止まらずに、そして今回のようなカードを悪用した様々な手口の犯罪まで横行する中でも、総務省はマイナポイント事業を推し進め、カード普及を促進してきました。

 総務省にお聞きします。

 先ほど浜口委員の質問の中にも若干ありましたが、もう一度確認ですが、マイナポイント事業に幾らつぎ込んだかです。第一弾では一千六百四十六億円が執行されたと聞いていますが、第二弾では幾ら執行されて、合計、マイナポイント事業全体では現在幾らの執行額になっているのか、お答えください。

【山越伸子 総務省大臣官房地域力創造審議官】 お答えいたします。

 マイナポイント事業は、マイナンバーカードの普及とともに、キャッシュレス決済の拡大や消費の喚起等を目的として実施いたしました。

 マイナポイント事業の第二弾の執行額は一兆二千百三十三億円でございまして、第一弾、第二弾の合計は一兆三千七百七十九億円でございます。

【伊藤岳 参院議員】 一兆三千七百七十九億円、約一兆四千億円もの巨額を投じてマイナンバーカードの普及を先導してきました、総務省。総務省が、どんな問題が起ころうが、こうしてカードのシステム運用を停止することもせずにカード普及に常に突き進んできた責任は重いと指摘をしたいと思うんです。

 マイナンバーシステムが自治体の現場で機能していない問題について、次にお聞きします。

 会計検査院の調査報告書では、マイナンバー情報照会の未実施理由の状況、照会実施率が五〇%未満の自治体について、市町村の場合、添付書類を提出してもらった方が効率的だって答えが一四・六%で一番多かった。

 新潟県の難病患者のある担当者は取材に答えてこう言っています。設計上、マイナシステムで入手できるのは必要書類の情報の一部だけで、システムを使ったとしても紙で書類を受け付ける窓口業務はなくならない、従来の窓口業務に加え、システム対応の作業が純増、増えることになってしまうと話しています。

 大臣、これマイナンバーシステムが使われていないごくごく一例ではありますが、難病患者さんの立場に立って申請を受理しようと考えたら、私もっともな対応だと思うんです。こうした対応の一体どこが問題なのか、申請者、住民との関係で何か問題があるとお考えですか。

【山野謙 総務省自治行政局長】 お答えいたします。

 会計検査院の報告書によりますと、情報照会を実施していない自治体に尋ねた結果としましては、業務フローの見直しが未了であったり、また添付書類を提出してもらった方が効率的であるといった回答があったということを承知をしております。

 一方で、報告書では、自治体の半数以上が利用していた事務手続に係るマイナンバー情報照会について、これは照会実績の多い事務でございますけれども、時間短縮ですとか作業負担が軽減されたといった団体の回答が七割以上を占めたということでございます。

 国民利便性の向上からは、九割強の団体が添付書類を準備する手間が掛からなくなった、あるいは手数料負担が不要になることを回答しているということから、業務効率化、負担軽減に加えまして、国民の利便性向上にも大きくつながっているものというふうに考えております。

 お尋ねの件につきましても、業務フローの見直し等について、現場での見直しも含め、そういったことが重ねられることによって、より利便性を向上させていく必要があるというふうに考えております。

【伊藤岳 参院議員】 聞いたことを端的に答えてほしいんですよ、局長。

 私、聞いたのは、この新潟県の担当者のように、添付書類を提出してもらった方が効率的だと、この対応をしたことは何か問題がありますかと聞いているんです。どうですか。

【山野謙 総務省自治行政局長】 ただいま申し上げましたとおり、様々な業務フローがございますけれども、その業務フローの見直しが未了であるような場合には委員御指摘のようなことがあったというふうに認識しております。

【伊藤岳 参院議員】 都道府県の場合、業務システムから情報照会ができないが一二・六%と二番目に多かった。情報照会が未実施の理由は、自治体の情報更新の遅れであったり、住所履歴のない照会に時間が掛かるなどでした。

 総務省に聞きます。

 マイナンバーシステムの利用では、かえって住民のための業務が効率的ではない、時間が掛かるというものがある、だから自治体の現場で機能していないということではないでしょうか。総務省、どうですか。

【山野謙 総務省自治行政局長】 お答えいたします。

 これは、マイナンバーを用いた情報照会、対象範囲が拡大されてきておるわけでございますが、今まさにその取組が進められているところではございます。平成二十九年度の百三十九万件から、令和四年度においては一億七千三百九万件と大きく増加しておるところでございます。特に、住民基本台帳関係情報あるいは地方税関係情報に対する情報照会が大半を占めてございまして、これは住民票の写しや課税証明書の提出省略によりまして住民負担軽減や職員の業務の効率化につながっているものと認識しております。

【伊藤岳 参院議員】 大臣にお聞きします。

 自治体はマイナンバーシステムが便利であれば使うと思うんですよ。不便や非効率であれば使わないと思うんです。

 そもそも、一律にどんな業務においてもマイナンバーシステムを使わせるのではなくて、こうした現場の自治体の判断と自主性を尊重した対応が必要だと思いますが、大臣の考え、お聞かせください。

【松本剛明 総務大臣】 マイナンバーを用いた情報照会については、これまでも随時法制度を整備した上で対象範囲や利用範囲が拡大され、まさに現在その取組が進められているところでございます。局長から御答弁申し上げたように、国、地方全体でのマイナンバーを活用した情報照会の件数については大きく増加をいたしております。行政機関等の間においても文書による照会が不要となるなど、地方公共団体にとっても職員の負担軽減に大きくつながっていると考えているところでございます。

 マイナンバー照会を含むマイナンバーシステム、マイナンバー制度の活用につきましては、行政の負担軽減はもとより、国民の利便性向上の観点もございまして、住民の皆様が住民票の写しや課税証明書等の提出を省略できたり、手数料負担が不要となるなど、住民の皆様の負担軽減にも大きく資するところがあると考えております。

 このようなことから、住民、行政双方に与えるメリットについて御理解をいただけるように努めていきまして、引き続き地方自治体の取組が進むように努めてまいります。もちろん、地方公共団体における課題を丁寧に伺いつつ、助言等をしてまいる所存でございます。

【伊藤岳 参院議員】 さっき言ったように、便利であれば使われるんです。使われていないその自治体の判断、自主性を是非尊重していただきたいということを強く求めておきたいと思います。

 大臣は、十五日の本会議で、顔認証マイナンバーカードは暗証番号が必要なマイナンバーカード機能のスマートフォン搭載はできませんが、希望される場合には、通常のマイナンバーカードに切り替えることでスマートフォンへ搭載することは可能だと答弁されました。

 希望される場合は通常のマイナンバーカードに切り替えることでと言いますが、通常のマイナンバーカードの利用に不安がある利用者、国民、事業者がいるから顔認証マイナンバーカードを作ったのではなかったんでしょうか。なのに、また希望される場合はと、通常のマイナンバーカードへの取得になぜ導くのか。総務省、どうですか。

【山野謙 総務省自治行政局長】 お答えいたします。

 顔認証マイナンバーカード、御指摘のように、暗証番号の設定や管理に不安があるとの御意見、これは御家族ですとか福祉施設からいただいたことを踏まえまして、暗証番号の設定を不要としたカードでございます。一つの選択肢としてこのカードが取得できるようにしたわけでございますが、このカードにおきましては、暗証番号が必要なサービスの利用はできませんが、健康保険証等について使用いただくことは可能でございます。

 マイナンバーカードの機能のスマートフォンへの搭載、これは、利便性向上の点から、カードを持ち歩かなくてもカード同等の本人確認を行えるようにするものでございますが、搭載に当たりましては、これは厳格な本人確認を行う必要がありまして、暗証番号の入力を求めることとしてございます。

 したがいまして、顔認証マイナンバーカードについては暗証番号の入力が必要なスマートフォンへの搭載はできませんが、スマホ搭載を含む暗証番号の入力サービスが、入力が必要なサービスの利用を希望される方については、窓口で通常のマイナンバーカードに切り替えることで、このカード機能をスマートフォンへ搭載することは可能であるということで御理解をいただきたいと思います。

【伊藤岳 参院議員】 まとめます。つまり、大臣、これ、顔認証マイナンバーカードは一つの選択肢として今後も継続し続けるんですよね。時間がないので問いは、答えはいいですけれども、継続し続けるということを強く求めて、質問を終わります。