議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
初めに、デジタル田園都市国家構想交付金に創設されたデジタル実装タイプ、タイプSについてお聞きします。
昨年度の補正予算で、デジタル田園都市国家構想交付金のデジタル実装タイプに、新たにタイプS、デジタル行財政改革先行挑戦型が創設をされました。タイプSのスケジュールでは、ちょうど昨日、四月二日十三時までが事前相談、言わば自治体からの手挙げの締切りとなっていました。十六日までに実施計画が提出され、審査期間を経て、五月下旬には交付決定だと聞いています。
タイプSの仕組み、狙いについて質問したいと思います。
河野大臣、昨年十二月二十日のデジタル行財政改革会議の中間取りまとめは、このタイプS、デジタル行財政改革先行挑戦型を創設して、デジタル行財政改革の基本的な考え方に合致した地方自治体の取組を支援するとしています。
デジタル行財政改革の基本的な考え方に合致した地方自治体の取組とは具体的にはどういうことを指すのでしょうか。タイプSを創設した狙いなどについて教えていただきたいと思います。
【河野太郎 デジタル大臣】 今日、多くの委員の皆様から御質問いただいているように、人口が減少していく中でこの自治体がそれぞれ自分のシステムをつくり込んで独自にやりますというのは、なかなか持続可能性がないと思っております。いずれこの様々なデジタルのシステムを全国共通のものを使っていただいて、政策の部分で地方自治というふうにせざるを得ないのかなというふうに思っております。
今回のこのタイプSは、いずれ全国のこの共通基盤となり得るようなシステムに挑戦を、そういうシステムをつくってやってみようという自治体を後押しをしようということでございまして、デジタル行財政改革で、例えば、子育てとか介護という分野を少し重点にしているわけですが、そういう分野で、いずれこの全国共通の基盤システムになりそうなものを今考えてやろうとしているという自治体から手が挙がったときに、それをこのタイプSでしっかり後押しをしていく。
いずれ広域にそのシステムが展開をされていくであろうということを今考えて、そういう観点から、手が挙がったところから選んでいきたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 今大臣から説明があったように、国の推進するデジタル行財政改革の基本的な考え方に合致をした、将来的に国や地方の統一的、標準的なデジタル基盤や持続的可能な行財政基盤につながる見込みのある先進的な取組のプロジェクトを支援するのが狙いだということだったと思います。まさにこれ、デジタル行財政改革の自治体版ということではないかと私思うんですね。
デジタル行財政改革会議事務局からいただいた説明資料によりますと、デジタル行財政改革会議が主な改革分野とする分野から、今回は、先ほどもちょっとありましたが、子育て、福祉相談、介護、交通、観光、教育について八つのプロジェクトに参画する自治体を選定するとしています。交付対象者には、都道府県、市区町村又は一部事務組合、若しくは広域連合とされています。
大臣、この選定される自治体が幾つになるかは現時点では未定でしょうが、都道府県、市区町村、一部事務組合、広域連合をそれぞれの選定の中に入れていくということになるということでいいんでしょうか。また、都道府県については、その圏域下の市区町村との連携という点でも意義があると考えているのでしょうか。
【佐脇紀代志 内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官】 お答えいたします。
御指摘の都道府県、市区町村、一部事務組合、広域連合につきましても交付の対象になり得る前提で募集をしてございますし、都道府県が市区町村、配下の、都道府県内の市区町村と連携しながら行うということは、将来のより広い横展開、全国への波及という意味でも意義があるものとして評価して採択しようと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 自治体の連携ということも視野に入れているということですね。
このタイプS、デジタル行財政改革先行挑戦型では、デジタル行財政改革会議事務局による伴走支援が行われることが、これ大きな特徴ではないかと思うんですね。説明資料によりますと、令和六年度に国が別途実施する利用者起点及びEBPMに基づく公共サービスに関する調査・支援事業において、採択団体に対し、サービスデザイン及びEBPMの観点から伴走支援を行うとされています。
大臣、この伴走支援とは具体的には何を行うのでしょうか。
【河野太郎 デジタル大臣】 自治体でいろいろ事業をやっていただくんですけれども、その事業がそのサービスの利用者に真に寄り添ったものにしていただかなければなりませんので、デジ行の事務局も、その自治体と一体となってそれが実現するようなサポートをしていきたいというふうに思っております。
事業の詳細段階での設計ですとか、あるいは事業が執行されるそのそれぞれの各団体においてそうなるように、デジ行の事務局も自治体としっかり組んで見ていきたいというふうに思っておりますし、その事業が執行された実績はどうだったのか、あるいはその事業の効果がどうだったのかというものをきちんとデータで取って分析ができるというのがEBPMの要になりますので、どういうデータをどのように取ってどう分析をするのかということを、デジ行も自治体と一体となってデータ収集の設計もやっていきたいと思っております。
それによって、この利用者の利便性がどれぐらい上がったのか、自治体の業務がどれぐらい効率されたのか、これがしっかり見える、そして、それがその自治体の財政の改革にもつながっていくように将来的にはやっていきたいというふうに思います。
【伊藤岳 参院議員】 自治体の事業を検証し、予算も見直して持続可能な行財政基盤の確立に結び付けていく、ここに目的があるということだったと思います。
伴走支援の仕組みについてお聞きします。伴走支援は、具体的には採択団体ごとにデジタル行財政改革会議事務局で担当の支援チームが付くということになるんでしょうか。
【佐脇紀代志 内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官】 お答えいたします。
詳細につきましては調整中でございますけれども、委員御指摘のとおり、政府におきまして、今大臣から御説明しました機能を担えるような能力のある事業者を一括して選定し業務を委託した上で、それぞれが採択された自治体に派遣などしながら伴走支援を進めていくと、そういった運び方を予定してございます。
【伊藤岳 参院議員】 それぞれに各担当支援チームが付くということだと思います。
説明資料によりますと、利用者起点、EBPM、業務効率化、財政改革に向けた伴走支援として委託調査費三億円程度が予定されていますが、これは国が行う民間事業者への委託調査費、調査事業とその予算という理解でよろしいんでしょうか。
【佐脇紀代志 内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官】 御理解のとおりでございます。
【伊藤岳 参院議員】 令和六年度に国が別途実施する利用者起点及びEBPMに基づく公共サービスに関する調査・支援事業について、その調査・支援事業の概要で、その調査・支援事業の実施結果などについては公開、公表することになりますか、どうですか。
【佐脇紀代志 内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官】 事業の詳細は調整中でございますけれども、御指摘のとおり、事業の結果報告書などの形で公表する予定としております。
【伊藤岳 参院議員】 事業の調査、実施結果などについては公表することになるということを確認します。
河野大臣にお聞きします。
第四回デジタル行財政改革会議に出席した岸田総理は、次のように言われました。国と地方のデジタル化に関する連携や役割分担の在り方を盛り込んだ基本計画を六月までに策定するよう関係閣僚に指示をしたと、これ日経新聞の報道にあります。
このデジタル化に関する連携や役割分担の在り方について、河野大臣が今考えられていることは何でしょうか。
【河野太郎 デジタル大臣】 こういう人口減少の社会の中でいろんなものをアナログで続けていくというのはもはや困難と言わざるを得ませんので、デジタル化していく、デジタル化された仕組みに移行していかなければならないというふうに思っております。特に、住民の皆さんと接点の多いのはそれぞれの市区町村でございますので、市区町村のデジタル化というのが大事になってまいります。
ただ、今日もお話がありましたように、人口の少ない自治体で、この情報システム部門、職員の担当者が一人しかいませんとか、三人しかいませんというぐらいのところまでがかなりの割合を占める中で、それぞれの自治体にデジタル人材を採用して育成をしてくださいというのは、これからだんだん困難になってくるだろうというふうに思っております。
そういう中で、都道府県であったりあるいは国が、このデジタル人材をどのように育成し確保していくのか。これも、まあ伴走支援というとあれかもしれません、伴走よりもっと前に出ないといけないのかもしれませんが、そういうところは国、都道府県、しっかり考えていかなければいけないと思っております。
そして、そのシステムそのものは、先ほどから繰り返しておりますように、個別のオンプレのシステムからガバメントクラウドに移行していただいて、デジタル庁が提供する様々なSaaSを使っていただく。そのシステムをつくったりメンテをしたりというところはもう手離していただいて、提供されたシステムをどう活用していくかというところに市区町村には集中をしてもらう。サービスの提供であったりメンテはデジタル庁が中心になってやる。
その前段階として、それぞれの自治体の業務を標準化していただかなければこのSaaSの利用というのもなかなか難しくなってまいりますので、まずは業務を標準化していただく、そして共通化されたシステムを使っていただく、そしてこの人材育成については国も都道府県もしっかり協力をしていく、そういうことになるのかな。デジタル庁としては、標準化の支援をすると同時に、共通化され得るシステムとサービスを提供していく、そうした役割分担ということになっていくのが望ましいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 るる伺いましたが、タイプS、新しいタイプSは、デジタル行財政改革会議が直接所管をして、国の行財政改革の考え方に合致した取組を地方自治体の場で行っていくということだったと思います。そして、このデジタル実装を通じて、地方自治体の事業や予算を見直して、政府が言うこの持続可能な行財政基盤をつくっていくということだということを直接今日詳しくお聞きすることができました。この実施状況について、今後、注視をして、しっかり見ていきたいと思っています。
次に、日本版ライドシェアについて質問をいたします。
国土交通省は、三月二十九日、タクシー事業者の管理の下で地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供することを可能とする制度の創設を発表しました。
昨年十二月、デジタル行財政改革中間取りまとめでは、アプリによる配車とタクシー運賃の収受が可能な運送サービスを二〇二四年四月から提供するとされていました。
このアプリによる配車で生じている事柄について、大臣の認識を伺いたいと思います。
まず一つ。このアプリを使ってタクシーを呼んだとき、行き先が長距離の乗車になる場合、このときはアプリ系列のタクシー運転手に配車が優先されるという事柄を何人もの幾つかのタクシー事業者の下で働くタクシー運転手から聞いています。また、これも何人かの運転手さんから聞いたんですが、アプリによる配車を何回受けたかによって圏域ごとに順位が付けられるそうです。例えば浦和圏域だったらあなたは一位、二位、十位と。で、この順位によって、タクシーを呼んだときの配車がどの運転手に行くかということが優先されるという話も聞きました。
私は、これでは運転手の間に仕事量、そして手取り賃金に格差が生じることになってしまうんではないかと懸念をいたします。
河野大臣は、アプリによる配車であればこうしたアプリ系列のタクシーへの配車が優先されることはあることだと考えますか。どうでしょうか、認識は。
【河野太郎 デジタル大臣】 アプリによる配車といったときに、多分二つあるんだと思うんですね。
現在のタクシーもGOとかエスライドとかいろんなアプリがあります。それに、いろんなところのタクシー会社がそのアプリを使っていて、アプリで呼んだ人のところにタクシーが配車をされる。これは、タクシーが配車をされて、呼んだ人が待っているところへこの車ですといって来るわけでございます。これは民間企業がやっていることでございますから、それについてどうこう申し上げるものでもないんだというふうに思っております。
もう一つは、今委員おっしゃったそのライドシェアですが、ライドシェアのアプリは、スタートの時点でどれぐらいの車があるのか、あるいはどういうアプリがスタートの時点に間に合うのか、まだまだやってみなければ正直分からないというところがありますが、例えば海外のライドシェア、このアプリでここからここまでと指定をすると、いろんな近くの車がアプリに示されます。中にはフェラーリというのもあるかもしれませんし、カローラというのもあるかもしれませんし、近くにいる、一分で来るところもあれば五分掛かるのもあるし、アプリによってはその運転手さんの趣味はジャズだとかロックだというのが出るものもあります。
そういう中から、乗りたい人は、近くの車に乗るんだったらこれだし、いい車に乗ろうと思ったらちょっと遠くてもいい車のやつを選ぶしということになりますから、そのアプリによって配車されるというよりは、アプリによって提供された車の中からどれを乗る人が選ぶかというのが今までライドシェアと言われているもののアプリ、少なくとも私が見た、私が実際に乗ったものについてはそういうことでございます。
ただ、この日本版のライドシェアのアプリというのがどういうものが開発されるのか、あるいはどれだけの台数がそこに入ってくるのか、これはまだまだやってみないと分からないところでございますから、そこはデータを集めて様子を見ながら見ていくということで、スタートの時点で今何かということが、特に申し上げるべきものはないというのが正直なところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 大臣、民間のことだと言われましたが、実際、この賃金格差が生じて、これではやっていけないとタクシーの運転手が辞めていく。これ、移動の足が不足するということにもこれつながっていく問題だと思うんですよね。これ、ライドシェアが始まれば、そのアプリ系列のライドシェアがますます優先配車するということになって、ますます格差が広がるということになると思うんですよ。
あともう一つ、これだけ聞きたいんですが、こういうのがあるんですよ。今、駅にタクシーがいない。手を挙げてもタクシーが止まってくれない……
【伊藤岳 参院議員】 はい。じゃ、質問やめますが、こういう問題もあるんです。これ、やっぱりアプリによって支配されているということの一環だと思うんですね。
こういうことも是非、地域公共交通ということに照らして、利用者、国民に多様なアクセスを保障する、交通手段を示して提供するという責任があると思うんですね。是非検討いただきたい、見ていただきたいと思います。以上で終わります。