議事録

2024年3月22日 総務委員会〈地方税・交付税法改正〉(地方自治体職員の健康と人員体制/会計年度任用職員/マイナカード)

議事録

【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。

 地方自治体職員の健康と人員体制について質問をいたします。

 地方公務員安全衛生推進協会、安衛協の二〇二二年度の地方公務員健康状況等の現況について調査結果が公表されています。

 総務省、この調査結果で明らかとなった精神及び行動の障害について、また、長期病休者に占める精神及び行動の障害の割合について説明をしていただきたいと思います。

【小池信之 総務省自治行政局公務員部長】 地方公務員健康状況等の現況につきましては、地方公務員安全衛生推進協会が、都道府県、政令指定都市、特別区、中核市、県庁所在市、人口三十万人以上の市及びそのほか百八十八の抽出した市町村を対象に調査を行っております。

 令和四年度におきましては、精神及び行動の障害による長期病休者は職員十万人当たり二千百四十二・五人であり、令和三年度より二百三十九・二人増加しており、十年前の約一・八倍、十五年前の約二・一倍となっております。また、精神及び行動の障害の長期病休者全体に占める割合は六五・八%であり、引き続き増加をしております。

【伊藤岳 参院議員】 ありがとうございます。

 資料もお付けいたしました。

 この一ページ目の上のグラフが、精神及び行動の障害による一か月以上の長期病休者が十年前の約一・八倍、十五年前の二・一倍に増加している。下のグラフは、長期病休者全体に占める精神及び行動の障害による長期病休者の割合が六五・八%、約七割にもなっています。

 松本大臣、こうした現状、大臣、どう考えていますか。

【松本剛明 総務大臣】 自治体職員の健康の確保は大変重要でございます。そういった中で、長期休務者が増加傾向にある中で、メンタルヘルス対策への取組が重要な課題であると認識をしております。

 総務省では、産業医や臨床心理士などを委員とする研究会を開催をしまして、地方公務員のメンタルヘルス対策の取組を進めてまいりました。

 昨年度は、各自治体に対しまして、組織のトップである首長のリーダーシップの下で、全庁的、継続的な取組体制を確保し、各職員が取り組むセルフケアや管理監督者によるラインケアなどを体系的に実施するため、メンタルヘルス対策に関する計画の策定を要請をしたところでございます。

 今年度は、研究会を地方で開催し、現地の課題や取組事例を聴取しており、これも踏まえて、総務省としては、小規模な自治体も含めてメンタルヘルス対策が着実に行われるように必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 この十年、十五年で地方の公務員の健康状態は悪化が進行しています。

 資料を一枚おめくりいただきますと、上のグラフですが、これ二十代、三十代の職員の精神及び行動の障害が全年齢平均値を上回っています。特に女性職員、二十代、三十代の女性職員の比率が高いんです。

 大臣、これはなぜだと認識していますか。

【松本剛明 総務大臣】 年齢別の分析についてまで詳細を承知をしていないところでございますが、やはり結果として二十代、三十代に課題が多いということをよく認識をして対策を進めていく必要があるというふうに考えるところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 二十代、三十代、課題が多いんです、確かに。

 この下のグラフは、自殺による在職中の死亡率が令和三年度と四年度を比べますと一・五倍近くに増えているんです。これ重大です。働く仲間、すぐそばにいた仲間の自死は、これ大変大きなショックをもたらしますし、同時に、現場や職場で何が起こっているのかを考えざるを得なくなります。

 大臣、これはどのように捉えていますか、自死の増加。

【松本剛明 総務大臣】 一般的にも、我が国における自死については、これまでも様々な形で対策を取られてきたというふうに承知をしておりますし、私も議員としてそういった政策の展開を注視をしてきたところではございますけれども、今委員からお示しいただきました資料におきまして、長期的にどのような傾向にあると読むかは様々な意見があろうかと思いますが、少なくとも、直近の資料の三年度から四年度に増加をしているという数字が出ているということは、この資料からはそのように読めるところでございますが、やはり、これは自殺と書いてあるんですかね、は大変重大な課題であるということで、先ほど申しましたように、社会における課題でもあると同時に、地方行政を担当する者として、地方公務員の在職死亡率としてこのようなお示しがあるとすれば、改めて、私どもとしても、実態と課題の把握に努めると同時に、必要な対応を行わなければいけないと考えるところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 私も、今回この資料を拝見して、改めて衝撃を受けました。

 この調査は、今回、数的な調査だけで終わっています。今大臣もこの分析はよくまだ見ていないと言われましたが、これ、総務省として原因の分析をしっかり行うべきじゃないでしょうか。この現状の背景に何があるのか分析をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

【小池信之 総務省自治行政局公務員部長】 この調査結果を踏まえまして、私どもとしてもいろいろ研究してまいりたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 今後も新たな感染症対応などが必要となることが予想されます。そういう中で、全国の地方自治体の職場が精神を病むほど余裕のない人員体制が課題となっていることが大問題だと私は思うんです。

 次に、危機管理部門への女性職員の配置について聞きます。

 資料を一枚めくっていただきますと、新聞の切り抜きですが、内閣府が危機管理局の女性職員数を調査したデータを基に集計したところ、全担当職員に占める女性職員の割合は一一・五%で、五五・四%の自治体が女性職員ゼロだった、被災地石川県でも、避難所を開設した市町の約半数が女性職員ゼロ、まあ防災部門の女性職員がゼロだったという結果です。

 もう一枚資料をめくっていただきますと、もう二枚ですね、めくっていただきますと、内閣府が防災担当の女性職員の割合を地図上で色分けをして見える化に乗り出すという記事です。

 内閣府にお聞きします。

 この防災関係の女性職員の集計結果、そして、この内閣府が見える化するということにした経緯を説明していただけますか。

【小八木大成 内閣府大臣官房審議官】 お答え申し上げます。

 令和二年に閣議決定いたしました第五次男女共同参画基本計画におきまして、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインに基づく各自治体の取組状況調査の実施及び調査結果の見える化を掲げております。

 同調査は令和三年から毎年実施いたしまして、防災担当部局の女性職員数についても結果を公表してきております。しかし、データを一覧で公表するだけでは各自治体の取組の進捗度合いの比較や評価が困難なため、取組状況を一目で分かるようにマップ化する予定でございます。これにより、全国各地におきまして防災に係る男女共同参画の視点からの取組を加速することを期待しております。

 引き続き、関係部局と連携しながら、男女共同参画の視点に立った防災施策や災害対応を促進してまいりたいと思っております。

【伊藤岳 参院議員】 女性の視点に立った災害対応ってとても大事だと思います。これ、内閣府がこれを促進するということは非常に大事だと思うんですね。

 内閣府にもう一つお聞きしますが、二〇二〇年に策定された防災業務への女性参加を促すガイドラインの内容、どうなっているか説明してもらえますか。

【小八木大成 内閣府大臣官房審議官】 お答え申し上げます。

 一般に、地震などの大規模災害の発生時には、女性と男性では災害から受ける影響が異なり、とりわけ女性や子供、脆弱な状況にある方々がより多くの影響を受けることが知られておりまして、被災者の多様なニーズに適切に対応するためには災害対応の現場に女性職員が参画することが大変重要と考えております。

 そのため、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインにおきまして、防災・危機管理部局の女性の男女比率を少なくとも庁内全体の職員の男女比率に近づけるよう地方自治体に求めているところでございます。

 また、発災時には、同ガイドラインに掲載されております女性の視点からの避難所チェックシートを活用しまして、女性や男性のニーズの違い、例えば授乳室ですとか男女別の更衣室の設置などでございますが、こういったことにきめ細かく対応できているか、避難所を継続して巡回、確認する、男女共同参画センターや女性団体等とも連携しながら女性が抱える様々な不安や悩みの相談対応を行うなど、男性だけでは見落としてしまいがちな女性の視点からの取組を促しているところでございます。

 引き続き、関係部局と連携しながら、防災担当部局の女性職員の参画拡大に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

【伊藤岳 参院議員】 ありがとうございます。

 資料を一枚戻していただきたいんですが、これ、今回の石川の被災の避難所の状況です。段ボールの間仕切りに隠すようにブラジャーを干しているという女性の悩みの声、女性更衣室や授乳スペースがないという実態、そして、避難所の男性本部長が、いやあ、そんなこと考えたこともなかったという、この声紹介しています。

 大臣、災害時などに女性や社会的弱者の視点で十分な対応ができる地方自治体の人員体制が求められるのは明らかだと思います。危機管理部局の全担当職員に占める女性職員の割合が一一・五%、五五・四%の自治体が女性職員ゼロという現状について、大臣、どのように捉えていますか、今後どのように検討していきますか。

【松本剛明 総務大臣】 やはり、災害の教訓から、女性の視点に配慮した対策を進めるために、災害対応業務に女性が参画することは大変重要で、意義あることだというふうに考えられると私も思っております。

 このため、政府では、防災・危機管理担当部局の職員の男女比率を庁内全体の職員の男女比率に近づけるよう努めることや、地方防災会議の委員に占める女性の割合を三割まで高めることなどに取り組むこととしておりまして、自治体向けに事例集を作成し展開するなど、災害対応に女性の視点を生かす取組を推進いたしているところでございます。しかしながら、防災部局の女性職員の割合が低い自治体も多い現状であることは十分認識をしておりまして、十分とは言えないと言わざるを得ないかもしれません。

 消防庁におきましても、自治体の地域防災計画に、防災に関する政策、方針決定過程及び防災の現場における女性の参画を拡大し、男女共同参画の視点を取り入れた防災体制を確立することについて定めるよう要請するとともに、地方防災会議の女性委員の割合を高めるため、説明会等を通じて働きかけを行っております。自治体の防災部局の責任者を対象とした研修において、女性の視点に配慮した防災対策について習得する機会を設けているところでございます。

 今回の能登半島地震で私も現地の避難所へ伺ったところは、ちょうど応援職員には男性も女性も加わっているチームでやっていただいていたところでございまして、被災者の皆様に寄り添って活動いただいていたんではないかと感じたところでございますけれども、これからも内閣府と連携をして、女性の視点に配慮した防災、災害対応の取組を推進をするため、会議や研修などのあらゆる機会を通じて働きかけを進めてまいりたいと思っております。

【伊藤岳 参院議員】 今後の検討をしていくという中で、やっぱり、地方自治体の職員数、職員の全体像を改めてやっぱり見直す必要があると思うんです。

 今、地方自治体の職員数は全国的にどのようになっているか。二〇〇五年度から集中改革プランが行われ、以降の五年間で一般行政部門の職員は十一万一千九百九人も減りました。その後も人員抑制路線が続いて、途中若干の増もあったものの、集中改革プラン、二〇〇五年度以降現在までに十一万四千三百三十九人も地方の公務員が減っているんです。そして、集中改革プラン以降の一般行政部門の職員の人員減は取り戻せていません。

 大臣、平成の大合併が行われて、それに連動するように集中改革プランが実行されたのは東日本大震災の前でした。当然のことですが、東日本大震災のような大災害は想定されなかった段階でのプランです。その後も、大規模災害は全国各地で多発、激甚化しています。さらに、新型コロナ感染症による健康被害、暮らしとなりわいへの影響も全国的規模で甚大でした。

 今、住民の生活を支え、奮闘する中で、自治体職員が健康を害してしまって、また、災害時はもちろん、日常公務の中でもジェンダーの視点に立った細やかな対応を行き渡らせることができない、そんな余裕のない人員体制が現にあります。公務の力が足りていないのが現状ではないでしょうか。地方自治体の職員を増やしていくことが必要なのではないでしょうか。

 大臣の基本認識を伺いたいと思います。いかがですか。

【松本剛明 総務大臣】 これまでもこの委員会で申し上げてきておりますけれども、やはり地方自治体は、住民の皆様が安心して暮らせるような行政サービスを提供する、そして地方活性化に向けた、住民の皆様に希望を届ける施策を展開をするという意味で大切な役割を果たしておりまして、その政策を推進するのに必要な適正な規模の行政そして職員を、常勤、会計年度任用職員も含めた常勤でない方も含めて、どのような雇用でどのような体制で整えていくか、それぞれの自治体の御判断があろうかというふうに思っておりますし、当然、行政サービスを提供するに掛かるコストの負担というのも住民の皆様の御理解をいただいて御相談をして決めることになろうかと思っています。

 そのような中で、これまでも地方公共団体におかれてはそれぞれ適切に定員をお決めをいただいてきたものというふうに理解をしておりますし、これも何度か当委員会でも御説明申し上げてまいりましたけれども、これまでも確かにピーク時からは地方公務員の定員、職員数も減少してきておりますが、最近は地方財政計画におきましても常勤職員の数を増やすことを予定をしているところでございます。

 これからもまたどのように考えるかということでございますが、私自身は兵庫県でもございますので、阪神・淡路大震災もじかに見てきておりますので、東日本大震災の前から防災、災害対応も大変重要であるという認識は常に変わらずに持ち続けてきていると申し上げたいと思います。

【伊藤岳 参院議員】 今大臣、最後に述べられましたけど、自治体現場では、もうやっぱり、これ、ここから増員しなければならないという現状があるということだと思うんですよね。実際、それ、そういうことで若干増えてきている傾向もある。

 大臣、私、本会議で、地方財政制度審議会の意見が地方の歳出構造についてこれまでと同様の対応を続けることは極めて困難な状況となってきていると指摘していることを示して、地方財政の在り方を転換すべきだと質問しました。

 地方自治体がその地域の現状にふさわしく自治体の力を発揮して住民生活、福祉の向上を図っていくことができるように、中長期的な視点を持って自治体職員の増員に必要な地方財政措置の在り方を検討すべきときじゃないですか。いかがですか。

【松本剛明 総務大臣】 これまでもお示しをさせていただいたように、地方の行財政をしっかりと支えていくべく、地方財政につきましては措置をとらせてきていただいてきていると認識をしておりますし、先ほどの公務員につきましても御説明をしてまいりましたが、特に最近ニーズの高い技術職員やデジタル人材などの人材確保についても、地方財政措置も含めてお支えをする仕組みを設けさせていただくなど、そのときそのときの課題に対応してしっかりと行政が、サービスが行われるように財政措置を進めてきているというふうに認識をいたしておりますが、さらに、これからも自治体の皆様のお声をお聞きすると同時に、ニーズに対応できるように努めてまいりたいと思っております。

【伊藤岳 参院議員】 それでは次に、会計年度任用職員について質問いたします。

 会計年度任用職員として働く専門的知識と経験が必要な東京都のスクールカウンセラー、何と二百五十人もが再任用の公募の面接試験だけで一斉に不採用通知を受けている問題を、私、本会議で取り上げました。

 そのほかにも、埼玉県狭山市立中央図書館では、書類審査、論作文等の試験だけで、会計年度任用職員三十七人のうち何と十一人、約三割が不合格通知が届きまして雇い止めをされています。このうち一人のAさんは、図書館司書として二十二年間勤続して、学校図書館支援として、学校が購入する図書二、三百冊を選定するために、それの数倍の本を読みこなして情報提供していたそうです。まさに経験とスキルを持つ会計年度任用職員が雇い止めされました。

 資料を御覧いただきたいと思います。これ、信濃毎日の社説です。長野県を含む会計年度任用職員の実情を書いています。

 会計年度任用職員がカバーする業務は多岐にわたる、保育所、図書館などのほか、多く配置されているのが相談支援の窓口だ、DV被害を支える女性相談員、生活保護のケースワーカー、専門知識を必要とし、市民の生活と命を守るために欠かせない公共の業務だと指摘しています。

 大臣、専門知識、経験とスキルを持ち、自治体の多岐にわたる業務をカバーし、女性や子供たちを始め、市民の生活と命を守るために欠かせない職務に就く会計年度任用職員が公共の現場から一瞬にして大量に雇い止めされるという事態が各地で続々と起きています。

 この問題について大臣の基本認識を伺うとともに、この事態どう思われているかお聞きしたいと思います。

【松本剛明 総務大臣】 先ほども申し上げましたが、自治体におきましては住民の方々に行政サービスを適切に十分に届けることが使命でありまして、それに必要な定員を確保しなければならないわけでございます。もちろん、公務員の人件費は住民の負担にもなることから、各自治体においてそのことも考慮して適切に定員管理をいただいているものと考えているところでございます。

 常勤職員が近年増加傾向にあることは先ほども申し上げたとおりで、令和六年度の地方財政計画におきましても職員数全体で約一・四万人の増としております。

 一方で、個々の職員、個々の職にどのような職員をどのような雇用形態で、ごめんなさい、個々の職にどのような雇用形態でどのような職員を任用するかについては、各自治体において、職務の内容や責任などに応じ適切な制度を選択をしていただき、適切な採用をしていただいているものというふうに考えているところでございます。

 なお、会計年度任用職員については、やはり大切な役割を担っていただいておりますので、適正な処遇の確保、改善には取り組んできたところでございます。

 以上です。

【伊藤岳 参院議員】 何か大臣の言葉から危機感が感じられないんですよね。

 だって、先ほど来紹介しているように、公募が行われて、経験とスキルを持つ会計年度任用職員がたった一回の面接で大量に振り落とされているじゃないですか。

 総務省にお聞きします。

 会計年度任用職員の再度の任用について、総務省が出している会計年度任用職員の適正な運用等についてでは、再度の任用を行わない場合には、事前に十分な説明を行うと明記されています。この事前に十分な説明を行うとは具体的にはどのようなことを求めるんですか。

【小池信之 総務省自治行政局公務員部長】 昨年十二月に発出した通知では、結果として複数回にわたって同一の者を同一の職務内容の職に再度任用している場合に、何の予告もなく再度の任用を行わないことは当該者に多大な影響を及ぼすことが想定されることから、事前に十分な説明などを行うことが望ましい旨助言をしております。

 説明、事前の説明に当たりましては、例えばですけれども、会計年度任用職員の任期は一会計年度内であり、任用時に明示した任期の満了をもって会計年度任用職員としての任用は終了すること、再度の任用に当たっては客観的な能力の実証を経る必要があり、その結果として再度任用を行わない場合があり得ること、当該自治体における公募の実施に関する基準の内容などについて説明を行うことが考えられると考えております。

【伊藤岳 参院議員】 大臣、今、通知説明してもらいましたが、東京のスクールカウンセラー、狭山の図書館司書、僅か一回の試験で、しかもその試験の結果がどういう基準で行われたかも開示されないで、突然雇い止めなんです。こんなことでいいんですか。会計年度任用職員として公務に就きたいと多くの市民がこれで公募に応じると考えますか。どうですか。

【松本剛明 総務大臣】 それぞれの自治体のそれぞれの個別の採用につきまして私からコメントをするのは差し控えたいと思いますが、先ほども申しましたように、自治体におかれては、一般的に申し上げれば、住民に必要なサービスを届けるために必要な人員の確保に努め、その選抜についても適正に行っていただけるものと期待をいたしているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 それでは、もう一枚資料を示したいと思います。

 次の資料ですね、二ページにわたって書いていますが、これ、上林陽治立教大学特任教授の新聞のインタビュー記事です。二枚目の方になりますが、こう書いています。非正規職員で勤続年数の長い人は公務員に最も必要とされる使命感を持っている人が多い、相応の評価や安定雇用がなければ住民の生命や財産を守る仕事が危うくなる、こうやって厳しく指摘をしています。

 大臣、この上林教授の指摘は、地方公務員法と自治法を改正して会計年度任用職員制度を導入した、国としてですよ、今正面から受け止めるべきじゃないですか。

 住民の生命や財産を守る仕事が危うくなる、この上林教授の問題意識、大臣、どう受け止めますか。

【松本剛明 総務大臣】 各自治体におかれましては、複雑化、多様化する行政需要に対応する質の高い行政の効率的な実現を図るために、常勤職員に加えて非常勤の地方公務員に御活躍をいただいておるものと認識をしております。

 会計年度任用職員の処遇につきましては先ほど申し上げましたとおりでございますが、これも繰り返しになりますが、個々の職にどのような雇用形態でどのような職員を任用するかにおいては各自治体において適切に御判断をいただいているものと思います。その結果で必要な行政サービスを提供できる体制を確保していただいてきていることが重要だというふうに認識をいたしておりまして、各自治体においては、会計年度任用職員の方も含めて、住民の皆様にサービスを提供すべく、雇用形態を定め、またそれぞれ職員を採用されているというふうに理解をいたしているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 いや、私聞いているのは、大臣の認識なんですよ、各自治体のことじゃなくて。大臣は、一瞬にして大量に経験、スキル持つ会計年度任用職員が雇い止めされている、上林教授は、これでは公務の仕事が危うくなると言っているんですよ。大臣の認識はどうなんですか。地方自治体のこと聞いていないです。

【松本剛明 総務大臣】 各自治体におかれては、しっかりと住民に行政サービスを届ける公務を行うという使命を全うしていただくように努めていただいていると認識をしておるということを申し上げたつもりでございます。

【伊藤岳 参院議員】 こういう中で、既に全国各地の地方自治体で、会計年度任用職員の評価や雇用の在り方について地方自治体として独自に改善の取組などをやっているんですよね。

 大臣に聞きます。

 地方自治体では、例えば、会計年度任用職員の正規化を後押ししたり、これ高知市です、また、現職に対する公募は行わずに現場に精通した非正規職員を継続雇用する、これ広島市などですが、会計年度任用職員の在り方について検討と改善の取組が始まっているんですよ。

 大臣、各地で国家資格を有するような専門性と十分な経験を持った会計年度任用職員が瞬時にまた大量に雇い止めされているという事態を前にして、地方自治体は改善を始めている。国はどうするんですか、何も検討していないんですか、何もやらないんですか。

【松本剛明 総務大臣】 地方の財政をお預かりをしている私どもとしては、会計年度任用職員の処遇の改善を支える財政的な対応をこれまでも重ねることで、また制度においても会計年度任用職員の処遇改善につながる仕組みの改変は行ってきたところでございますが、今委員からお話がありましたようなそれぞれの採用の在り方などについては、それぞれの地域における雇用状況であるとか地域の事情であるとか、また地域の人材の活用の在り方、地域経済との関係も含めてそれぞれの地域で御判断をいただき、先ほどからも繰り返して申し上げておりますけれども、各自治体におかれては、やはり適切な言わば人材、人員を確保することによって適切に公務を提供いただけるように、是非その使命を全ういただくようにお願いをしておりますし、そのように御活躍をいただいているものと認識をしているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 最後の資料を見ていただきたいと思います。

 会計年度任用職員の継続雇用を制限する公募基準を設けているのは、全国の自治体や一部事務組合の何と八一・四%です。これ、総務省の集計で分かったことです。最も多かったのは、試験なしで継続の上限が一、二年。要するに、大臣、全国こういう状況なんですよ。

 私、言っているのは、地方自治体が必要な人材を確保できるように、国として会計年度任用職員の継続雇用の方向性を求めるような、そういうことを後押しするような検討が必要ではないかということなんです。もう一度お願いします、どうですか。

【小池信之 総務省自治行政局公務員部長】 今、新聞記事にございましたように、新聞記事の御指摘がございましたけれども、都道府県、市町村における今回の調査の対象の部門、職種のいずれかにおいて公募の実施に関する基準があると回答したところが全体の八一・四%でございました。

 先ほど、それから、いろんな各地の事例もお聞きしましたけれども、そういった事例も踏まえまして、私どもとしてもいろいろ検討をしてまいりたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 大事な答弁ですね、検討していくと。是非検討していただきたいと思います。

 最後に、新マイナンバーカードについて質問をしたいと思います。

 新マイナンバーカードの導入が、三月十八日に開催された次期個人番号カードタスクフォースにおいて最終とりまとめが確認されました。二〇二六年に新マイナンバーカードの導入を目指すとしています。性別は券面に記載しないこととする、最終とりまとめにはこう記載されていますが、これ間違いないですか、総務省。

【山野謙 総務省自治行政局長】 お答えいたします。

 令和五年六月に閣議決定されましたデジタル社会の実現に向けた重点計画におきまして、二〇二六年中を視野に次期マイナンバーカードの導入を目指すとされたことを受けまして、政府では、デジタル庁を中心に次期マイナンバーカードタスクフォースで検討を行い、総務省もこれに参加してまいりました。

 御指摘の最終とりまとめ、タスクフォースの最終とりまとめでは、健康保険証と同様の配慮を求める要望があること等の理由から、性別を券面には記載しないこととするとされたものと承知しております。

【伊藤岳 参院議員】 一歩前進だと思います。LGBT関連団体などが繰り返し要望してきたことが実りました。

 最終とりまとめには、次期カードについて、現行カードの電子証明書の更新の際には、電子証明書の更新ではなく、次期カードの取得を推奨し、次期カードへの切替えが進むように検討するとあります。

 これ、次期カードへ一〇〇%切り替えるのが目標ということですか。現行カードは一定時期に廃止するということですか。

【山野謙 総務省自治行政局長】 御指摘のとおり、タスクフォースの最終とりまとめに記載がございますが、これは、より強固な暗号方式によってセキュリティーを高めるということのほか、申請者の来庁負担軽減の観点からこの考え方を取ることにしたものと承知しております。

 次期カードの導入後においては、新たなカードの発行や既存のカードの更新の申請があった場合には、これは次期カードを発行することになりますので、現行カードの有効期限が到来した後は、順次次期カードに切り替わっていくことになるというふうに承知しております。

【伊藤岳 参院議員】 次期カードに切り替えていく。当然、自治体のカードリーダーなんか取替えや改修が必要になってくると思うんですが、その費用負担が地方自治体に負わせるようなことは絶対あってはならないと指摘して、質問を終わります。