議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
暗証番号の設定の必要のない顔認証マイナンバーカードについて聞きます。
このカードの申請受付は、昨年暮れ、十二月十五日から始まっています。
総務省、顔認証マイナンバーカードの申請、交付の状況を示してください。
【山野謙 総務省自治行政局長】 顔認証マイナンバーカードの交付枚数でございますが、これ二月分は暫定値でございますけれども、令和五年十二月十五日から令和六年二月末までの顔認証マイナンバーカードの交付枚数は九千三百十三件でございます。
【伊藤岳 参院議員】 そのうちの従前のマイナンバーカードから切り替えて交付した数は分かりますか。
【山野謙 総務省自治行政局長】 お答えいたします。
新規の交付と従前のマイナンバーカードからの切替えの別は私ども把握しておりませんが、顔認証カードの導入後、幾つかの自治体にモニタリングを行いましたところ、多くが介護施設等におきまして新規に申請されるケースであったと聞いております。
【伊藤岳 参院議員】 今はまだ現行保険証があります。政府が保険証廃止の期限としている十二月が迫ってくる中で、混乱が出てくることも予想されます。無保険、無保険の状態は絶対につくり出してはなりません。
総務省、入所されている高齢者や障害を持つ方などに無保険状態を生じさせないために、顔認証マイナンバーカードや資格確認書を十二月の保険証廃止までにどのくらいを対象に普及させる必要があるか、目標数など示してください。
【山野謙 総務省自治行政局長】 顔認証マイナンバーカードでございますけれども、これにつきましては、暗証番号の設定が非常に困難だ、あるいは暗証番号を忘れてしまうといった方に備えて、要望に応じて交付をしているところでございます。
私ども、目標値を持ってこれを取得してもらうということはしてございません。
【伊藤岳 参院議員】 これ、無保険を絶対につくらない、そのための対象の範囲や目標を把握していないというのは、私、驚きです。本当にこれで大丈夫なのかと強く懸念をいたします。
昨年十二月の当委員会の質疑でも、医療機関への周知、この顔認証マイナンバーカードの周知が遅れているとの答弁がありました。私は、地元埼玉県内の医療機関から、顔認証マイナンバーカードをカードリーダーで読み取れずに、その対応に職員がかなりの時間を割かれているとか、ただでさえ多忙な診療時間中にカードの操作などの説明に職員の手が取られるのはきついなどの声を聞いてまいりました。
資料をお配りいたしました。これ、昨日の地方デジタル特別委員会でも示したものですが、松本大臣にお聞きします。
この顔認証マイナンバーカードを始めとしたマイナ保険証の操作、まあ何種類の方法もあるんですね。この対応で医療機関の義務を更に煩雑にさせている、大臣にその認識はありますか。
【松本剛明 総務大臣】 何よりも、医療DXを進めることによって国民に大きなメリットをお届けする、その基盤となるものだというふうに理解をいたしておりますが、顔認証カードの導入に当たっては、厚生労働省と連携して、医療関係者などの御意見も伺いながら検討を進めてきたところでございます。
顔認証カードにつきましては、通常のマイナンバーカードと同様、機器による顔認証を行うことにより、医療機関等において資格確認を行うことができるものと承知をいたしております。
また、医療関係者の御意見をいただいたことを踏まえて、カードの券面に顔認証と記載をしまして、顔認証カードであることを外見上区別できるようにしております。機器による顔認証又は目視による顔の確認を行い、資格確認を行っていただいているものと承知をしております。
さらに、顔認証カードの詳細や医療機関等における対応方法等については、厚生労働省から医療関係団体等に対して周知をいただいているというふうに承知をしているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 マイナ保険証、顔認証マイナンバーカード、資格確認書など、たくさんの種類で医療現場が煩雑になっているんです。是非、大臣、医療現場の実態、つぶさにつかんでいただきたいと思います。
総務省、顔認証マイナンバーカードは、暗証番号を設定しないためにマイナポータルを利用することはできません。したがって、コンビニ交付などのサービスが利用できません。これ、間違いないですね。
【山野謙 総務省自治行政局長】 御指摘のとおりでございます。
【伊藤岳 参院議員】 顔認証マイナンバーカードを利用する、例えば社会福祉施設に入所する障害を持つ方、また高齢者施設に入所するお年寄りなどは、このマイナンバーカードで本来享受できるはずのサービスが限定されるんですよね。コンビニ交付などは利用できません。
政府も松本大臣も、マイナンバーカードの普及に当たって利便性の向上を強調してまいりました。マイナンバーカードの取得を勧奨してきました。ところが、マイナンバーカードでも顔認証マイナンバーカードの場合はその利便性の享受が制限される、利便性から排除される人が出てくるんですよ。大臣、これおかしいと思いませんか。
【松本剛明 総務大臣】 顔認証マイナンバーカードにつきましては、暗証番号の設定や管理に不安があるとの御意見をいただいたことを踏まえ、本人確認の方法を顔認証又は目視確認に限定して、暗証番号の設定を不要としたカードを導入をしたところでございまして、マイナンバーカードの利活用につきまして様々な場面がございますけれども、それぞれの方々が置かれている状況や環境、御希望なども大変多様なものがあるため、マイナンバーカード利活用の前提となる本人確認などについても、幅広いニーズに対応できるよう顔認証マイナンバーカードを導入したところでございます。
暗証番号の入力を必要とするサービスにつきましては利用することができないところでございますが、健康保険証等の利用については、このような特性が、顔認証や目視により可能でありまして、該当カードを申請する際にこのような特性があることは御案内させていただいております。
暗証番号を設定しないという選択肢を増やすことで、更にマイナンバーカード利活用も進めてまいりたいと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 いや、大臣、聞いているのは、これ保険証としては使えるけれども、ここ、そのほかの、あなたが利便性と言ってきたサービスが享受できないんですよ。これおかしいと思いませんか、これ。障害を持つ方などを蔑視、差別するものではないですか。そう思いませんか。
【松本剛明 総務大臣】 障害者の、を持たれる方々などを差別をしてはならないのは申し上げるまでもないことでございますけれども、今御説明をさせていただいたように、機能に応じてそれぞれ利用できるサービスが異なるということは是非御理解いただけるように、私どもとしてもしっかり説明をしてまいりたいと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 そう言いますけど、大臣が言ってきた利便性の向上になっていない方が生まれているということですよ。
もう一つ聞きます。
三月一日に、健康保険証の廃止に伴う修学旅行等の学校行事や部活動の合宿・遠征等における児童生徒本人の被保険者資格の確認方法についてという事務連絡が出されました。こう書いています。マイナポータルに表示される被保険者情報のPDFファイルをあらかじめダウンロードしたものやその印刷物を修学旅行に持っていって医療機関、薬局に提出する方法により、保険診療を受けることは妨げられませんとあるんですよ。
大臣、これ、顔認証マイナンバーカードでは、さっき聞きましたけど、マイナポータル利用できないじゃないですか。顔認証マイナンバーカードを利用している特別支援学校の生徒が修学旅行行くとき、どうするんですか。
【松本剛明 総務大臣】 厚生労働省の事務連絡でございますけれども、これは、マイナンバーカードを持参することが容易でない場合において、児童生徒が医療機関や薬局を受診等する際の対応について示された見解であるというふうに承知をしております。
この連絡につきましては、今委員からもお話がございましたように、マイナポータルに表示される被保険者資格情報のPDFファイルをあらかじめダウンロードしたものやその印刷物、それに加えて、資格情報のお知らせ又はその写しを医療機関、薬局に提示するといった方法により、保険診療、保険調剤を受けることは妨げられませんというふうに記載をしておりまして、この資格情報に関するお知らせは、今後、各保険者から被保険者に対して配付をするものと承知をしているところでございます。
今申し上げましたように、この資格情報のお知らせ又はその写しを提示する方法により、保険診療、保険調剤を受けることは妨げられないということで、資格情報の確認につながるものというふうに理解しております。
【伊藤岳 参院議員】 つまり、障害を持つお子さんなどは、ほかの生徒と比べて制限された、区別された扱いになるということなんですよ。
大臣は、会見でも、顔認証マイナンバーカードを安心して利用していただくための環境の整備に着実に進めると言っていたじゃないですか。ここから逃げちゃ駄目だと思います。強く指摘して、質問を終わります。