議事録

2023年12月5日 総務委員会(第三種郵便の承認調査の行きすぎた調査実態や対応を示し、是正と丁寧な対応を求める)

議事録

【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。

 第三種郵便の重要性については、郵政民営化の際にも焦点になりました。

 第三種郵便の中の心身障害者団体の発行する定期刊行物向けの低料第三種郵便制度についての質問主意書に対して、政府は、心身障害者の福祉向上を目的とした社会政策上重要な制度であり、今後とも存続していかなければならないとの答弁書を送付しています。

 ところが、第三種郵便、低料第三種郵便物は激減しているのが実態です。資料をお配りしました。

 二〇〇七年時点の五億三千二百九十二万三千通が二〇二二年時点で一億六千三百四十三万四千通、つまり三分の一以下に減っています。また、第三種郵便物の承認団体三千百九十六、承認刊行物三千九百八十二の一割近くに当たる二百六十三団体、二百八十七刊行物がこの四年余りで承認を取り消されています。低料第三種郵便物も六団体、六刊行物が承認を取り消されました。

 鈴木大臣に聞きます。

 第三種郵便物、低料第三種郵便物が減少し続けている、このことをどう考えますか。

【鈴木淳司 総務大臣】 第三種郵便制度は、郵便物制度は、日本郵便から承認を受けた新聞、雑誌等の定期刊行物を低廉な料金で送付できる制度でありますが、その引受通数や承認団体件数は、承認団体数は近年減少しているものと承知いたしております。

 日本郵便からは、減少の理由につきまして、デジタル化などにより郵便物全体の引受通数が減少しているほか、新型コロナの影響による経済活動の停滞などにより発行の停止や廃刊に至る場合や、発行頻度の低下等で承認条件を満たさなくなって承認の取消しを受ける場合もあるものと聞いております。

 利用は減少しているものの、第三種郵便物制度は年間一億通以上の利用があり、国民文化の普及向上に貢献すると認められる定期刊行物の入手を容易にし、社会、文化の発展に資するという観点で引き続き重要な役割を果たしていると認識をいたしております。

【伊藤岳 参院議員】 第三種郵便物が激減し始めたのは、二〇〇七年の郵政民営化以降なんですよ。第三種郵便制度の趣旨、目的に照らしても、ゆゆしき事態が今発生していると思います。

 資料を御覧をいただきたいと思います。三枚目ですね。内国郵便約款百六十六条の規定する承認条件で、これを満たせば承認される。ところが、実際には違う事例が発生しています。

 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会に加盟するある障害者団体発行の機関誌は、全ての有料販売読者について、その一人一人の代金納入状況が全部分かる一覧表の提出を求められています。

 日本郵便に聞きます。これは承認条件を確認するのに必要なことですか。

【市倉 昇 日本郵政株式会社常務執行役】 お答えいたします。第三種郵便物の承認条件のうち、有料発売条件を確認するための資料提出を求めているところでございますが、基本的には、発行部数、それから有料発売部数、購読料収入合計額、購読料収入状況を提出いただいております。必ずしも全ての有料販売読者の代金納入状況を一覧表にして提出する必要はございません。

【伊藤岳 参院議員】 全読者の代金納入状況一覧表までは求めていない。しかし、求めているという事例が生まれているんですよ。

 資料にもありますように、承認条件が求めているのは、一回の発行部数に占める発売部数の割合が百分の八十を満たしていることが判断できることであって、全ての有料販売読者の代金納入状況の一覧表の提出をかたくなに求めることがあってはならないと思います。これ、行き過ぎた対応は是正されるべきだと思います。

 全国生活と健康を守る会発行の新聞は、都道府県別有料販売部数一覧表又は支部別有料販売部数一覧表等の資料不提出を理由に承認取消しの通知が届きました。当団体の担当者は、都道府県別有料販売部数一覧の代替措置として購読料収入合計額を指定の書式に記載して提出することも可能だということを後に第三種郵便手引で知りましたが、そんな説明は一切なかった、不親切極まりないと話しておられます。

 日本郵便に聞きます。これ、丁寧さに欠ける対応ではありませんか。

【市倉 昇 日本郵政株式会社常務執行役】 その件に関しましては、具体的な刊行物名は承知しておりませんので、事実関係については、申し訳ありません、お答えいたしかねますけれども、承認条件の確認の必要な資料については、調査の都度、あらかじめ発行人の方に丁寧に御説明を申し上げ、資料が提出されない場合においても改めてお示しをしているところでございます。

 このうち、購読料収入合計額につきましては、例えば決算報告書等の会計書類による購読料による収入の合計額が明らかになる部分の写しを求める、写しの提出を求めることとしております。

 仮に当社側の説明不足で承認を取り消されたということであれば、担当の郵便局にお申し出いただくことによりまして、改めて承認条件の確認を実施いたします。御理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

【伊藤岳 参院議員】 もう一度聞きますが、不親切極まりない対応だと怒っていますが、これは丁寧さに欠けていましたね。

【市倉 昇 日本郵政株式会社常務執行役】 お答えいたします。先ほども申し上げましたとおり、個別の事実関係について承知いたしておりません。お申し出いただいて、更に丁寧に対応してまいります。

【伊藤岳 参院議員】 対応をいただきたいと思います。

 郵便法は、第三種郵便制度の趣旨、目的について、国民文化の普及向上に大いに貢献すると認められる新聞、雑誌等の定期刊行物を低廉にして、低廉にして購読者の負担の軽減を図ると規定しています。元々、収益を稼げる事業ではないのは明らかです。第三種郵便制度の趣旨、目的を大事にした、丁寧で低廉で負担軽減につながるような対応が必要だと思います。

 大臣にお聞きします。

 今、二つの団体の第三種郵便物の実態について聞いていただいたように、第三種郵便物、あっ、郵便の、第三種郵便の趣旨、目的に沿わない運用があります。それが第三種郵便物の減少し続けていることにつながっているのであれば重大ではないでしょうか。大臣、どう考えますか。

【鈴木淳司 総務大臣】 委員お示しのように、第三種郵便物制度は、国民文化の普及向上に貢献すると認められる定期刊行物の郵送料を安くして、購読者の負担軽減を図ることにより、その入手を容易にし、もって、社会、文化の発展に資するという趣旨で設けられたものであります。

 第三種郵便物制度の対象となります定期刊行物は、郵便法に基づいて日本郵便が承認することとなっておりまして、日本郵便におきましては、かつて不正な利用があり、事務手続を整備した経緯があると承知しておりまして、利用者に承認の条件や手続を分かりやすく示すための手引を作成、公表するなど、制度の適正な運用に努めているものと認識いたしております。

 総務省としましては、引き続き、日本郵便におきまして、本制度の丁寧な説明を行いつつ、適正な運用に努めていただく必要があると考えております。以上です。

【伊藤岳 参院議員】 大臣、国民文化の普及向上と言うならば、今、例示しましたように、行き過ぎたり、丁寧さに欠けた運用が事実あるんです。この制度の存続をし続けてきた政府の姿勢とも逆行する事態が起きているんです。これ、重大だという認識はありますか、是正するという認識はありますか。

【鈴木淳司 総務大臣】 引き続き、丁寧な運用に努めてほしいと思います。

【伊藤岳 参院議員】 第三種郵便物の趣旨、目的に照らして、しっかり運用していただくことを再度強く求めたいと思います。

 第三種郵便物は、要件を満たせば、条件を満たせば適切に承認されるように運用すべきだということを重ねて申し上げて、質問を終わります。