議事録

2023年11月29日 総務委員会(顔認証マイナンバーカード導入で医療現場はさらなる混乱と負担が持ち込まれると追及/交付税法及び特別会計法の改正案の反対討論)

議事録

【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。

 暗証番号の設定の必要のない顔認証マイナンバーカードについてお聞きします。

 十月三十一日付けの事務連絡では、顔認証マイナンバーカードの導入開始日については十一月二十七日以降としていましたが、十一月二十日付けで新たに事務連絡が発出され、準備期間を考慮し、十二月前半を目途に調整しておりますと、導入期日が訂正されています。

 総務省に聞きます。

 導入期日を訂正したのは、何らかの問題が生じたからですか。

【山野謙  総務省自治行政局長】 お答えいたします。

 暗証番号の設定が不要な顔認証マイナンバーカードでございますが、福祉施設等の御意見を踏まえ、認知症などで暗証番号の設定や管理に不安がある方が安心してカードを取得し利用できるような方策として検討してまいりました。その導入に当たりましては、申請受付、交付等の事務を担う市区町村等からの御意見を丁寧にお聞きしながら検討を進めてきたところでございます。

 具体的には、市町村に対して顔認証カードに係る事務フローをお示しし、それに対する質問をお受けするとともに、円滑な事務処理に資するよう質疑応答集をお示しするなど、きめ細やかなコミュニケーションに努めてきたところであり、その上で、自治体における十分な準備期間を確保するため、導入開始日を十二月前半を目途に調整するということにしたところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 準備期間を確保すると言いますが、十月三十一日時点でその質疑応答集は十問十答だったんですよ。ところが、何と四十七問四十七答、追加されているんです。これを導入開始予定日の一週間前にどっと出してきた。質疑応答集を大きく追加しなければならなくなっている。これ総務省の責任が問われていると思います。

 私は埼玉の医療機関からお話を聞いてきましたが、顔認証マイナンバーカードについては何の通知も来ていないと口をそろえています。医療機関には周知されていない。その医療機関の方は、マイナンバーカードの利用を勧奨するように国から言われている、そんな中で職員が従来どおりに患者さんに暗証番号を入力してくださいと案内してしまったら、患者さんから、いや、私は暗証番号のないカードなんだ、何を言っているんだというようなトラブルが続出するんではないかと真剣に危惧の念を持たれておりました。

 ただでさえ忙しい医療機関に混乱と更なる負担が持ち込まれることになりませんか。どうですか。

【山野謙  総務省自治行政局長】 総務省といたしましては、市町村の窓口に混乱が生じないよう、市町村とコミュニケーションを取りながら取り組んでおります。

 また、医療機関に対しては、厚労省の方で、ただいま御指摘のあった点も含め周知徹底を図っているものというふうに承知しております。

【伊藤岳 参院議員】 だから、周知徹底さえされていないというんですよ、医療機関には。混乱が起きるのは当たり前ですよ。

 大体、この間、全てこんなふうに医療機関や福祉施設の現場、自治体の現場を考慮しない見切り発車ばかりで事を進めてきているではありませんか。そのたびに国民の信頼は離れていく、マイナンバーカードに対するね。その繰り返しだと思います。

 大臣に聞きます。

 マイナ保険証の欠陥が指摘されれば、それを補うものとして顔認証マイナンバーカードを新たに導入すると言い出した。で、そのほかに資格確認書があります。また、負担割合の変更などを知らせる資格情報のお知らせも導入されます。これ、全て保険証を廃止してマイナ保険証に一本化しようとするから出てくる施策ではないんですか。こんなことをしなくても、現行の保険証を残せば済む話ではないですか。大臣、そう思いませんか。

【鈴木淳司 総務大臣】 我々が進めておりますマイナンバーカードと健康保険証の一体化は、医療DXの推進において基盤となる実は取組であります。そのために、一人でも多くの住民の皆様にマイナ保険証を安心して御利用いただくことが重要と考えております。

 これを踏まえまして、総務省としましては、マイナンバーのひも付けに関する総点検を進めながら、カードと保険、健康保険証の一体化について、住民の声を受け止めながら、デジタル庁、厚生労働省とも連携をし、カードの利便性の向上と取得環境の整備に取り組んでまいりたいと思っています。

【伊藤岳 参院議員】 国民に安心していただけるようにって言いますけど、安心できない、できない、できないと続いて、次から次へと策を弄じなきゃいけなくなっているというのが現実だと思いますよ。

 現行の保険証を残せば、新たな予算は全く掛かりません。医療機関や福祉施設に混乱や負担を押し付けることもありません。現行保険証を残すべきだと強く求めておきたいと思います。

 地方交付税法改正案についてお聞きします。

 まず、総務省に聞きます。

 二〇二三年度の地方交付税分として五千七百四十一億円を増額交付するとしていますが、補正予算に伴う対応等について、これ総務省自治財政局財政課の事務連絡、十一月十日付けですが、この事務連絡の中では、国の補正予算における歳出の追加に伴う地方負担及び地方公務員の給与改定を実施する場合に必要となる経費の一部を措置するとされています。

 二〇二二年度のときの第二次補正予算では、独自の地域活性化策等の円滑な実施に必要となる財源についても交付税増額分が算定されていました。

 総務省、今回は地方単独事業分は算定されていないのですか。

【大沢博 総務省自治財政局長】 お答えいたします。昨年度、令和四年度の補正予算におきましては、地方団体が経済対策の事業や経済対策に合わせた独自の地域活性化策等を円滑に実施するために必要な財源を措置をいたしました。

 令和五年度補正予算におきましては、地方交付税法定率分の増が〇・九兆円と昨年度よりも大幅に少ないことや、別途、地方団体が地域の実情に応じて物価高騰対策に柔軟に活用できる重点支援地方交付金が〇・五兆円追加されることなどを踏まえまして、今般の地方交付税の増額におきましては、補正予算に伴う地方負担、追加財政需要額で賄えない給与改定額への対応などの財源を措置することとしたものでございます。

【伊藤岳 参院議員】 重点支援地方交付金のメニューがあるからというふうに言われましたけど、したがって地方単独事業分は交付税算定していないという答弁でしたが、交付金と交付税は別物じゃないですか。

 地方交付税は地方の固有財源です。きちんと算定して増額交付をすべきではないですか。どうですか。

【大沢博 総務省自治財政局長】 内閣府におきまして予算計上されました重点支援地方交付金については、柔軟に地方団体が地域の実情に応じて物価高騰対策に取り組める予算であると考えておりまして、総務省としては、経済対策が円滑に実施できるという観点から、補正予算に伴う地方負担を中心に措置をしたところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 きっちり地方交付税算定して、増額交付すべきだということを指摘しておきたいと思います。

 最後に、大臣にお聞きします。

 今回、地方財政計画上の追加の財政需要額四千二百億円では不足が生じました。今後、来年度以降ですね、地方公務員の給与改定とか会計年度任用職員の給与遡及改定などに必要となる経費の十分な確保など、しっかり対応していくべきではないでしょうか。どのようにお考えですか。

【鈴木淳司 総務大臣】 本年度の地方公務員の給与改定につきましては、会計年度任用職員の遡及改定も含めて、地方団体の調査結果等に基づき所要額を見込んでおります。

 その上で、この給与改定所要額につきましては、あらかじめ地方財政計画に計上しております追加財政需要額と今回の補正予算により増額した地方交付税の増額交付の中で対応することとしております。

 今後とも、人事院勧告に伴う給与改定分も含めて、地方団体の体制、財政運営に支障が生じないようにしっかりと対応してまいります。

【伊藤岳 参院議員】 要は、地方財政計画の中で地方が必要とする財源の確保を算定しておくことだったと思うんです、算定しておくこと。このことを再度強く求めて、時間ですので、質問を終わります。

 

 

以下反対討論

【伊藤岳 参院議員】 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法及び特別会計法の改正案に対する反対討論を行います。

 反対理由の第一は、地方交付税法は、年度途中に増額となった地方交付税はその全額を地方自治体に特別交付税として交付すると定めており、地方固有財源であり貴重な一般財源である地方交付税は、現行法に基づき、その全額を地方自治体に交付すべきだからです。

 とりわけ、今回の措置は、今年度当初に予定していた交付税特別会計借入金への償還分一兆三千億円から三千億円を来年度の地方交付税の総額に回し、四千八百四十三億円を来年度に繰り越すものです。翌年度の地方交付税総額への繰越しを優先する、こうしたやり方には反対です。

 反対理由の第二は、自治体独自の施策の拡充、会計年度任用職員給与の遡及改定の徹底など、地方が必要とする財源確保に応えるものになっていないからです。

 二〇二三年度の地方交付税として五千七百四十一億円を増額交付するとしていますが、臨時財政対策債の元利償還のために充てる基金分を除けば、調整額の復活分を合わせても二千七百億円程度です。増額交付分は、総額、総合経済対策事業による地方負担分と地方公務員の給与改定分、災害対応分であり、地方単独事業に充てる交付税は算定されていません。深刻な物価高騰が住民の暮らし、営業を苦しめています。地方自治体が地域の実情に沿って取り組むきめ細かな施策を進めるためにも、地方単独事業に充てる交付税増額が必要です。

 以上述べて、反対討論といたします。