議事録

2023年11月9日 総務委員会(会計年度任用職員の給与引き上げ・期末手当の確実な支給と処遇改善を求める)保険証存続が最も確実で簡素な方法と迫る)

議事録

【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。

 会計年度任用職員の給与の遡及改定と期末手当の支給、その財源について質問いたします。

 地方自治体の非正規職員は全職員の三人から四人に一人にまで広がっています。図書館職員の七三・三%、保育士の五六・九%、消費生活相談員の八三%、婦人相談員の八三%が非正規職員など、専門職にも非正規職が広がっています。

 資料を御覧いただきたいと思います。

 日本自治体労働組合総連合、自治労連が地方自治体の非正規職員、会計年度任用職員に実施した誇りと怒り二〇二二アンケートの集計です。会計年度任用職員の年収は二百万円未満の人が何と六割近くを占めています。

 鈴木総務大臣にお聞きします。

 会計年度任用職員の六割近くが年収二百万円以下という実態は御存じですか。どのような評価を持っておられますか。

【鈴木淳司 総務大臣】 私も改めて、ああ年収二百万以下の方が半数以上かと思いまして、ある面では愕然とするものありましたけれども、会計年度任用職員の給与につきましては、地方公務員法において定める職務給の原則等の給与決定原則にのっとりまして適切に決定する必要があろうかと思います。各自治体におきまして、その制度の趣旨に沿って適用されることが重要と考えております。

 総務省としましては、今後も実態を丁寧に把握しつつ、ヒアリングの機会などを活用して、処遇の適正化が図られますように取り組んでまいります。

【伊藤岳 参院議員】 大臣、問いに答えていないですよ。聞いているのは、多くの会計年度任用職員が年収二百万円以下という状態に置かれていることを大臣としてどう考えているのかであります。

 最低賃金割れさえも生じている場合があります。会計年度任用職員の四分の一は家計の主たる担い手ともなっています。深刻な実態という認識すら持っていないのでは、総務大臣は自治体現場を支えている非常勤職員のリアルな姿を分かっていないということになるではありませんか。

 もう一度、会計年度任用職員が六割が年収二百万円以下、これ、大臣としてどう考えていますか。お答えください。

【鈴木淳司 総務大臣】 先ほど申し上げましたように、これはある面では大変な事実でありますので、それはしっかりと踏まえたいと思います。

【伊藤岳 参院議員】 私、埼玉県狭山市で会計年度任用職員として図書館司書として従事していたAさんのお話をお聞きしました。

 Aさんは、児童書に精通したベテラン司書として、児童図書の選定、除籍、図書の修復、児童への読み聞かせ、学校図書室等へのアドバイスなど、図書館業務の根幹を担当してきました。人事評価も三年連続で最高評価を得ていました。ところが、再任用の公募を実施することが昨年十月末に知らされて、十一月に入り、民間企業に委託された一次試験を受けました。この一次試験では、これまでの人事評価、勤務実績は一切考慮されずに、十二月初めには郵送で不合格通知が届いています。不合格通知を受けても、フルタイムの会計年度任用職員は公務に集中しなければなりません。休めば給与は出ません。生活できません。他の労働者のように次の就職先を探すことができずに三か月以上にわたって懸命に公務をこなし、そして三月、いよいよ職場を追われることになりました。

 この狭山市の図書館では、Aさんを含めて一度に会計年度任用職員三十七人中十一人、約三割が一気に雇い止めになっています。狭山市側は、法的に違反には当たらない、他市でもやっていることだと繰り返しています。

 こういうやり方で淡々と、合法だから、他の自治体でもやっているとまかり通る実態について、大臣、どう考えますか。

【鈴木淳司 総務大臣】 そうした事実が多いことは承知をいたしております。

 ただ、もう一つ、会計年度任用職員は一会計年度を超えない範囲で任用されるものでございまして、その任用に当たりましては、地方公務員法に定める平等取扱いの原則や成績主義を踏まえて、できる限り広く公募、募集を行うことが望ましいと考えております。

 その上で、各自治体に対しましては、公募を行う場合にありましても、客観的な実証を経て再度任用することがあり得ること、選考において前の任期における勤務実績を考慮することも可能であることなどの考え方をお示しをいたしております。

 今後とも、丁寧な情報提供を行ってまいりたいと思います。

【伊藤岳 参院議員】 各自治体の判断というのでは済まされないと思いますよ。

 任用中の公募が雇い止めのために使われるのであれば、会計年度任用職員の制度のそもそもの目的であった任用の安定化どころか、会計年度任用職員によって支えられる公共サービスの現場で大量の任用が奪われる事態となります。働いて生きる権利、家族を養う権利、誇りを持って公務に従事する権利への侵害になるのではありませんか。任用中の公募についての実態調査を行い、会計年度任用職員制度が抱える欠陥、問題を洗い出して制度を改めるべきだと思います。

 人事院にお聞きします。

 人事院は、国家公務員の非常勤職員制度の適切な運用の在り方について実態調査を実施しています。こうした実態調査は初めての実施だと聞きました。どのような必要性があってのことですか。

【原田三嘉 人事院事務総局人材局審議官】 お答えします。

 近年は、有効求人倍率が上昇し、非常勤職員の人材確保も厳しさを増しており、行政サービスの提供のために必要とされている一定の知識、経験等を有する非常勤職員の確保が従来より困難となっているとの意見が一部府省から寄せられております。

 こうした状況を踏まえまして、引き続き行政サービスの提供を支える有為な人材を確保できるような環境整備が必要との認識に基づき、非常勤職員制度の適切な運用の在り方等について検討していくこととしております。検討に当たっては、各府省における期間業務職員の任用実態を把握する必要があることから、今回の調査を実施することといたしました。

【伊藤岳 参院議員】 人事院の公務員人事管理に関する報告には、各府省の実態を把握しつつ、非常勤職員制度の適切な在り方等について検討を行っていくと明記をされています。

 再任用の公募の在り方についても検討の視野に入れていくべきではないですか、どうですか。

【原田三嘉 人事院事務総局人材局審議官】 お答えします。

 具体的な方策につきましては調査結果の分析を行った上で検討していくことになりますけれども、御指摘の再任用を行う際の公募の在り方につきましても含めて検討してまいりたいというふうに考えております。

【伊藤岳 参院議員】 再任用の在り方、再任用の公募の在り方についても検討から除外するとは言われなかったということを確認しておきたいと思います。

 次に、会計年度任用職員の給与の遡及改定、期末手当に移ります。

 二〇二三年八月の人事院勧告では、国家公務員の大卒初任給一万一千円、高卒初任給の一万二千円引上げなどが示されました。地方公務員も国家公務員との均衡原則に沿った引上げが求められます。

 人事院は、今回、非常勤職員の給与に関する指針も改正をしています。国の非常勤職員の場合、人事院勧告が初任給引上げの実施時期を令和五年四月一日と示しており、常勤職員の給与改定に係る取扱いに準じて改定するよう努めることとの改正に従って、非常勤職員も四月に遡って支給すること、つまり四月遡及改定が基本となる。

 人事院、これで間違いないですか。

【役田 平 人事院事務総局給与局次長】 人事院におきましては、各庁の長が非常勤職員の給与を決定する際に考慮すべき事項を示すものとして非常勤職員の給与に関する指針を発出いたしております。

 非常勤職員の処遇を確保する観点から、これまでも累次の改定を行ってきており、本年四月には、委員御指摘のとおり、給与法等の改正により、常勤職員の給与が改定された場合には非常勤職員の給与についても常勤職員に準じて改定するよう努める旨を追加しております。

 本年の人事院勧告に基づいて常勤職員の給与が本年四月に遡及して改定された場合には、非常勤職員の給与についても本年四月に遡及して改定されるものと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 四月遡及改定が基本だということですね。

 総務省にお聞きします。

 総務省も、五月二日に発出した常勤職員の給与改定が行われた場合における会計年度任用職員の給与に係る取扱いについての通知で、改定の実施時期も含め、当該常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とするとして遡及改定を基本としました。給与改定を受けて十月二十日に発出された副大臣名通知でも、再度同様にしています。

 会計年度任用職員の給与に係る取扱いについて、当該常勤職員の改定に係る取扱いに準じて改定する、つまり、遡って遡及改定すると、従前からは明確に踏み込んで自治体に対応を要請しているということで間違いないですか。

【小池信之 総務省自治行政局公務員部長】 お答えいたします。

 今委員から御指摘がございましたように、今年の五月に給与能率推進室長の通知として、常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とするよう、そして十月の副大臣通知におきましては、同じように基本として適切に対処することというふうに言ってございますので、これはそれぞれ今年初めて言ったことでございます。

【伊藤岳 参院議員】 初めてのことだ、明確に踏み込んだということですね。

 総務省、遡及改定と期末手当及びその財源措置について、八月七日の令和五年度給与改定所要額概算では、人事院勧告に準じた給与改定を行った場合の所要額を三千三百四十億円程度、うち一般財源二千八百七十億円としています。これは正規職員の分だと思います。

 では、会計年度任用職員給与の遡及改定及び期末手当の所要額については、地方自治体への調査の上、算定作業を進めていますか。

【大沢博 総務省自治財政局長】 お答えいたします。

 会計年度任用職員の給与改定につきましては、各地方公共団体に対しまして遡及改定予定等について調査を行っているところでありまして、その調査結果に基づき所要額を見込むこととしております。

 会計年度任用職員の給与改定に係る所要額も含め、年度途中に生じる財政需要につきましては、あらかじめ地方財政計画に計上しております追加財政需要額により対応することを基本としております。年度途中に生じる財政需要の見込みがこの追加財政需要額を上回る場合には、補正予算による地方交付税の増額も含めて適切に対応してまいりたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 今の答弁がありましたように、今年度の地方財政計画上の追加財政需要額で対応する、それを上回る場合には追加で措置をするということだと思います。

 総務省は、会計年度任用職員の給与の遡及改定と期末手当の実施について、会計年度任用職員の給与等に関する調査を実施をしています。この調査で遡及改定の実施状況をつかみ、追加財政需要額で足りるかどうか、補正予算で追加の対応が必要かどうかなどを判断するということの理解でよいですね。再確認です。

【大沢博 総務省自治財政局長】 御指摘のとおり、調査結果を踏まえまして、給与改定だけではありませんけれども、追加財政需要額で充足できるかどうかということを検討した上で、それで不足する場合には、先ほど申し上げましたように、補正予算による地方交付税の増額も含めて適切な対応を検討してまいりたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 そうすると、補正予算が編成されるときには遡及改定及び期末手当の所要額についての算出額がはっきりしている、その財政措置についての対応はもう明確になっているということだと思います。

 会計年度任用職員の給与の遡及改定と期末手当の所要額については公表すべきではないかと思いますが、どうですか。

【大沢博 総務省自治財政局長】 現在、金額については調査中でございますけれども、補正予算で仮に財政需要が充足しないということで、あっ、追加財政需要額で足りないということであれば、それについて地方交付税の増額も含めて検討いたしますので、その中で求めがあればどのような積算になっているかというのは明らかにできるかと思います。

【伊藤岳 参院議員】 求めに応じて公表できるということを確認します。

 大臣にお聞きします。

 ある政令市の話ですが、マイナス改定の際には遡及改定しなかったから、これに準じて、プラス改定であっても遡及改定しないと話しておる自治体があります。遡及改定をしないという地方自治体に対しては、大臣、どのように対応していきますか。

【鈴木淳司 総務大臣】 会計年度任用職員の給与改定のことでいいですか。

 先ほど来答弁しておるとおりでございますが、会計年度任用職員の給与改定につきましては、本年五月に地方公共団体に対して常勤職員の給与改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とする旨を通知を発出しております。それを受けて、現在、地方公共団体におきましては検討いただいているものと承知しておりますが、一方で、システム改修が間に合わない等の理由から今年度の実施は困難としている団体があることも事実であります。

 令和五年十月二十日付けの通知で要請したところでございますけれども、地方団体において適切な対応をいただけますように、今後ともその対応を促してまいりたいと思います。

【伊藤岳 参院議員】 先日、私、滋賀県の大津市に行きまして、大津市の市職員組合からこういう話聞きました。大津市の場合は、遡及改定すると二億六千万円くらいの規模になるそうです。額が額だけに、国の財政措置を明確にしていただきたいとの要望を受けました。このように、地方自治体には国が間違いなく必要な額を財政措置するのかという不安の声が現にあります。

 大臣、そこで、もう一言答弁いただきたいんですが、補正予算の提出に当たって会計年度任用職員給与の遡及改定及び期末手当の所要額が明らかになり、追加財政需要額では不足するという事態になった場合にも、その不足分については安心してくださいと、追加で財政措置するとはっきり明言していただきたいと思いますが、どうですか。

【鈴木淳司 総務大臣】 先ほど来答弁をやっておりますけれども、会計年度任用職員の給与改定に係る所要額につきましては、地方団体に対する調査結果も踏まえまして、その財政運営に支障が生じないよう、しっかりと対応していきたいと思います。

【伊藤岳 参院議員】 しっかり対応するということですね。

 大臣、その会計年度任用職員の給与改定に伴う遡及については、来年度以降、今後においても基本とする、遡及改定を基本とする、今回と同様の取扱いを続けていくということでいいですか。

【鈴木淳司 総務大臣】 その方向にあると承知します。

【伊藤岳 参院議員】 岸田内閣がコストカット型の経済からの脱却を言うのであれば、足下の公務員の給与改定引上げ、とりわけ非常勤職員の改善を真剣に取り組んでいただきたい、取り組むべきだということを強く求めて、時間ですので、質問を終わります。