議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
まあ本当に次から次に出てくるという感じですが、マイナンバー法案は、前回の委員会において、多くの国民の不安の声や我が党と立憲民主党などの反対を押し切って質疑を終局し、採決が強行されました。改めて、怒りを込めて厳しく抗議をいたします。法案は通りましたけれども、審議を通して浮かび上がった問題は何ら解決をしていません。週末に行われた世論調査でも、マイナンバーの活用に不安を感じると答えた人が七二%、これJNNの調査ですね。
河野デジタル担当大臣にお聞きします。大臣、先ほどの本会議で、私の質問に対して、国民の皆様の不安解消のため、既存のデータの総点検を行うと答弁されましたが、先ほど世論調査でも示しましたように、国民は活用に不安と書いている、述べているんです。マイナンバーカードの運用は直ちに中止すべきじゃありませんか。どうですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 日本の行政のデジタル化を進めるということは、これはもう国民の皆様の利便性を高める、そして行政を効率化していく、待ったなしだと思いますのでしっかりと進めてまいります。
【伊藤岳 参院議員】 それは当たり前ですけど、まずは運用を中止すべきじゃないですか、点検でしょうと言っているんです。どうですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 今、しっかりと総点検をしているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 では、具体的に聞いていきたいと思います。
まず、命の危険につながるマイナ保険証の別人ひも付け事案が後を絶たず続いている問題についてです。
全国保険医団体連合会は、五月三十一日、マイナ保険証で別人の情報が登録されるトラブルをめぐり、医療機関で別人の情報が表示された事例が四月以降に少なくとも四十九件あったと調査の結果を公表しています。
厚労副大臣、この調査の結果、確認していますか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 この十一月、昨年十一月末までの誤登録につきましては、既に申し上げておりますとおり七千三百十二件と、そのうち薬剤情報また医療費の通知情報が閲覧された事案は五件と認識をしております。
この五月二十三日から登録済みのデータ全体のチェックを行うこととなっておりまして、この五月二十三日までの間、先ほど四月の時点というふうに委員もおっしゃっていただきましたが、昨年十二月以降、そして五月の二十二日までの事案につきましては、この全保険者による点検作業前までの事案については保険者による今事実確認、そしてまた、実施機関であります社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険中央会による今確認を行っておりまして、六月中をめどにしつつ、できるだけ早期に公表できるように集計を進めているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 いや、今精査をしているということなんだと思いますけれども、マイナ保険証の別人情報搭載の新たな事案が報告されているんですね。イエスかノーかで。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 今、保険者からオンライン資格確認の実施機関に一報がなされて、これに対して保険者による今事実確認、これは発生原因でありますとかあるいは事案の、一報がなされて今件数を確定しようという作業をやっているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 最初から言ってほしいんですよ。一報はあるわけですよね。つまり、別人情報搭載の新たな事案は報告されているんです。
それで、お聞きしますけれども、政府もようやくそれで総点検を実施を表明したところだと思うんですね。加藤厚労大臣は、マイナ保険証の別人情報搭載について、全国の保険組合に七月末までに作業結果の報告を要請しました。
伊佐厚労副大臣にお聞きします。この七月までの作業結果で何が判明するんでしょうか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 この全保険者に対しまして、今厚労省が示している基本的な留意事項と異なる方法で事務処理をしていなかったかを点検をしていただいておりまして、六月末までに作業状況の報告、七月末までに作業結果の報告を求めていきたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 ちょっとよく分からないんですが、つまり、七月末までの調査で分かるのは、誤った方法で入力されていないかどうかの洗い出しということでいいですか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 七月末までに、まず各保険者が、厚労省からは基本的な留意事項をお示ししております。つまり、こういう形でデータ登録をし、また誤ったデータがあれば報告をしてくださいというような留意事項がございまして、この留意事項と、例えば三情報を照合するのか、四情報を照合するのかと、こういったところが厚労省が示すやり方と違うやり方でまず事務処理をしていなかったかという点検をしていただきまして、それによって、最終的には七月末までに、委員おっしゃった洗い出しの結果を、作業の結果を報告をいただくということでございます。
【伊藤岳 参院議員】 その洗い出しの作業の後、どういう調査に進むんでしょうか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 こうした全保険者の作業以外にも、データチェック以外にも、今、これまで登録された加入者情報について誤りがないかについてはこの実施機関においても作業するということになっておりまして、住民基本台帳情報と照合、J―LIS照合をする準備を今進めておりますので、この八月以降、順次J―LIS照合を行いまして、この照会結果を踏まえて、異なる個人番号が登録されている疑いがあるものについて順次速やかに御本人に送付するということを予定しています。
【伊藤岳 参院議員】 八月以降、J―LISに照会掛けて、その後、御本人に確認していくんですね。これ、いつまでに終わるんですか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 この八月以降の照会になりますが、その中で順次、できるだけ速やかに御本人に送付することを予定しておりまして、迅速に対応してまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 つまり、厚労副大臣、結局のところ、マイナ保険証の別人情報搭載の全容解明、被保険者本人の一人一人との確認作業を行わなければ判明しないということですよね、最終的には。しかも、いつまでに判明するかがまだ見通せないということでしょう。マイナ保険証の誤入力、誤搭載の解消のめどは今の時点で立っていないということでいいですね。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 この登録作業自体が、いずれにしても、人が介在する以上、どこかで誤りが起こって、その誤りをできるだけ少なくすると。そしてまた、誤りが起こった際には、それを発見して、できるだけ速やかに修正するということが大事だろうというふうに思っておりますので、今後の様々なチェックの中でもそうしたことができるだけ起こらないように対応してまいりますが、そういう意味では、常にデータのチェックと、そして常に修正をしながら、安全、安心の医療を届けていく必要があるというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 いや、私お聞きしているのは、今後、チェックを重視してもらうというのは当然です。しかし、今厚労省がやっている七月までの調査では、全ての被保険者の情報が正しくマイナンバーにひも付けられているかどうかは確認できないということでしょう。その本人との確認をやらないと、一体、誤登録、誤搭載がどれぐらいあるのか分からないということでしょう。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 まず、全保険者でしっかりとデータ全体を見ていただくと。その上で、J―LIS照会、J―LIS照合をやっていくということでありますので、こういうものを、誤りが発見され次第、順次データ修正してまいりますので、そういった取組を通じてしっかりと対応していきたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 つまり、この別人ひも付け問題というのは七月までにははっきりしない、八月でもはっきりしない、どれぐらいの時期掛かるか、まだ分からない。ですから、マイナ保険証の別人ひも付け問題の全容解明というのはまだまだ先だということですよ、今厚労副大臣の答弁から言えばね。
私、当委員会でも埼玉土建国保組合に伺った話を紹介しました。手入力による作業、特に一番多いケースは、被保険者の個人番号と被保険者の情報をひも付ける際、住基ネット、J―LISのデータベースで四情報照会を行って個人を特定することになる、そこで起きる誤入力、ミスだということを紹介しました。その上に立って、社会保険支払基金や国民保険中央会のオンライン資格確認の情報提供ネットワークシステムのサーバーに登録してマイナ保険証にひも付けられてきています。
つまり、手入力のひも付け作業で起きた誤入力は今もそのまま残っているということですよね。だから、厚労省も調査するでしょう、七月までに。八月以降、本人に確認するわけですね。だから、残っているんですよ、誤入力が今。その誤入力が今も残っているということはお認めになりますね。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 今、誤入力を発見し次第修正を今させていただいているところでございますので、これからも、先ほど申し上げたとおり、人が介在する以上、誤りが起こるということを前提に、しっかりとそれに対応できる体制を構築していくということが大事だというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 ただ、今誤入力が起きているのかどうかは七月まで分からない、八月以降、一定の時期になるまで分からないということですよね。ずっと残るんですね、この数か月間。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 この前回の十二月に公表させていただいたときから、そしてこの五月二十二日からしているデータ、この間にも様々な、今公表するに当たって今精査をしているところでございますが、五月二十三日以降の今データのチェックについても、今まさしく取り組んでいただいているところでございますので、具体的な、誤りがあるかないか、何件あるかということについては、今この場で申し上げることはできないというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 だから、七千三百十二件じゃ済まないということなんですよ。これから更に新たな事案が発覚するということなんですね。これ否定できないと思います、厚労副大臣も。
要するに、マイナンバーと個人情報をひも付ける作業、システムには、今言ったような構造的な奥深い欠陥があるということですよ。先ほど河野大臣は、いや、運用中止しないと平然と言われましたけれども、奥深い欠陥がある、誤登録がある中で、中止しないで運用していいのかと私は言いたいんです。
こういう報道記事もありますよ。これ、朝日デジタルの三十一日の配信ですけれども、マイナめぐるトラブル、医師から不安と怒り、現場で頑張れと精神論という記事です。こう言っています。マイナ保険証を使ったとき、機器の画面には該当資格なしと表示されるトラブルが目立つ、保険の切替えの際、データ登録作業が滞ったことなどが理由だ、国は手間が減ると説明しているが、保険者への問合せなどでむしろ負担は増している、マイナ保険証は現場の要望でやっていることではない、何かトラブルが起きたときに現場で頑張れと精神論になっていると、医師の憤りの声を紹介しています。
厚労副大臣にお聞きします。
このマイナ保険証をめぐるトラブルにおいて、現場の医師が手間が減るどころか負担が増していると憤っておられる、こうした声をどう受け止めますか。このままでは医療現場が疲弊してしまうんじゃないですか、どうですか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 医療現場の皆さんが、このマイナンバーと健康保険証の一体化に向けて様々御協力いただいていることに、まず感謝を申し上げたいというふうに思います。
先ほど、今委員の御指摘のあった無効あるいは該当資格なしと表示される、この件につきましては、一定、この資格変更後の保険者が中間サーバーに資格情報を登録するに当たってタイムラグがある場合などにこうした無効エラーが表示されるということになります。
この件につきましては、現在でも、この紙の健康保険証でも、持参忘れでありましたりとか転職をすることの保険者異動によるタイムラグで同じようなことが発生をしておりまして、マイナンバーカードで受診した際には、これをしっかりと、これに対して対応できるために、例えば資格確認がその場で行えない場合においたとしても、スマートフォン等を利用してマイナポータルの被保険者資格画面を提示いただくと、これで本人の確認を行うということでありますとか、あるいはカードの券面に記載された生年月日情報に基づいて自己負担分をお支払いいただいて後ほど調整するでありますとか、こうした対応が可能かというふうに思っておりますので、これを現在、医療関係者と調整を行わさせていただいておりますので、この取扱いを明確にした上で医療現場に周知してまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 現行保険証でも起きていると言いますけれども、しかし、マイナ保険証で構造的に起きているわけですよ、今回。
この先ほど紹介した記事、続けてこう書いています。別人情報がひも付けられた事故も現場のミスとされている、しかし、そのミスとなった基になったのはオペレーション、ひも付け作業を命じたことにある、一体これ命じたのは誰なのか、オペレーション自体に無理があったんではないかと政府の責任逃れの姿勢を批判しています。
河野大臣、この今、記事にあるようなマイナ保険証の別人ひも付け事案について、ミスの基となったひも付け作業を命じたのは誰なのか、オペレーション自体に無理があった、この声どう受け止めますか。
【河野太郎 デジタル大臣】 前にもこの委員会で申し上げたと思いますが、コロナワクチンの接種のときも、デジタルシステムを使うのは現場の負担が大きいという話がございました。しかし、あのときにデジタルシステムを使わなければ予防接種法の自治体の接種だけしかできず、職域接種や大規模接種はできなかったわけでございます。いろいろ現場から声がありましたけれども、様々な改良もすることで、今日までそのシステムでこのコロナワクチンの接種はやらせていただいております。
ひも付けの間違いにつきましては、六月一日に厚労省の方から、マイナンバーを確認をして登録をするようにというルールの変更をしていただきましたので、新しいひも付けの間違いというのは、そこでマイナンバーをきちんと当てていただければ防げるようになります。
また、様々な保険者からオンライン資格確認システムへの登録は、恐らく次の日の朝までにはできるようになります。もちろん、市町村の国保は窓口で保険証が発行されますから、そのスピードにはかなわないかもしれませんが、市町村国保以外はそこから保険証を郵送されるわけでございますから、むしろマイナンバー保険証をしっかりと使っていただいた方が、この資格が確認できない期間というのは短くなるわけでございます。
導入当初、いろいろ問題は起こりますけれども、デジタル化をすることでそういうメリットがもうすぐにも出るようになりますので、そこはしっかりやってまいりたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 これだけたくさんのトラブル事案が起きているのに、何か大臣からの反省というのは全く伝わってこないんですね。この現場の声をしっかり受け止めるべきだと私は思いますよ。
マイナ保険証の別人情報搭載の問題は、別人の情報に基づいて医療行為や薬剤投与が行われる危険性があります。言わば、命の危険が伴う問題、生存権に関わる問題だと思います。
厚労副大臣、その認識はありますよね、命に関わる問題だと。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 この別人の薬剤情報でありますとか、こういうものが閲覧される事案が生じたことは、国民の皆様に御心配をお掛けしていることについては申し訳なく思っております。
このために、この本人、事業主、保険者それぞれの段階において登録データに誤りが生じる可能性を踏まえて適切に確認が行われる仕組みを構築すること、そしてまた、たとえこの情報に疑義があった場合には速やかに具体的な対応を行われる仕組みを確立すること、これにしっかり取り組んでいくことが重要だというふうに思っております。
なお、医療現場におきましては、こうした各患者さんの情報につきましてもしっかりと確認をするということをしていただいておりまして、こういったものと相まって、現場において安全、安心な医療を提供していただけるものというふうに認識をしております。
【伊藤岳 参院議員】 いや、聞いているのは、命に関わる問題が、事案が発生している、それ解消されていない、それでもマイナ保険証の運用を止めずに突き進むんですかということです。副大臣、どうですか。突き進むんですか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 先ほど大臣の方からも発言がありましたとおり、今、この健康保険証との一体化におきましても様々なメリットを、実際に使っていただいて、活用していただいて定着している、着実に活用が進んでいる状況でございます。
その上で、こうした様々な誤登録などについてはしっかりと今後もリスクを最小化すると、そして何か誤りが起こったときにはできるだけ速やかにこれを修正していくというシステム構築もこうして行わさせていただいております。
その上で、また国民の皆様の御不安に対しても、また御相談できる窓口、コールセンターを含めて、この体制も強化をさせていただきたいというふうに思っておりますので、こうした取組を通じて安心、安全な医療をお届けしたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 デジタル化云々を否定しているわけじゃないんですよ。
大臣、もう一点、一点だけ言います。
命の危険が進んでいます、生じています。それでもマイナ保険証の運用は中止しないんですか。もう一度答えてください。生存権に関わる問題が発生しています。
【河野太郎 デジタル大臣】 厚労大臣や厚労省から度々御答弁があったと思いますが、医療関係者は、それを見ながら患者御本人に、この処方が出されているけれども薬を飲んでいるかどうか、しっかりと確認をされながら医療行為を行っているわけでございます。もちろん、そういうことがあっていいと言うつもりはございません。しかし、このマイナンバーカードを保険証にひも付けることによって様々なメリットが出るということはこれまでもるる御説明を申し上げてまいりました。今、日本の国のデジタル化が諸外国と比べても遅れていると言われている中で、やはり物事をきちんきちんと進めていくというのは大事なことなんだろうというふうに思っております。
今、厚労省の方で新規のひも付けの誤りが起きないようなルール変更もしていただいておりますように、保険者を通じての点検あるいはその後の総点検もしっかりやっていくというところでございますので、しっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 残念ながら、大臣、答えてもらっていないんですよ。私言っているのは、先ほどから聞いているように、七月までの調査でもまだはっきりしない。本人の確認は八月以降始まるんですよ。別人情報搭載はそのまま残るんですよ、イコール命の危険じゃないですか。医療機関は、今、さっき大臣は医療機関の方で注意してはいただいていると言うけど、そういう負担掛けているんですよ。だったら、国がまず運用を中止して医療機関の負担も軽減させるべきじゃないですか。特に答弁は要らないですけど、同じ答弁でしょうから。ひどいと思います、私。
改めて、マイナ保険証の運用を直ちに中止して徹底調査を行うことを厳しく求めていきたいというふうに思います。大臣も生存権の問題と認めたんだから、是非受け止めてほしい。
次に、マイナ保険証、資格確認書の申請主義によって無保険者が生じることを政府も否定できなかった下で、現行の保険証を廃止して強行してよいのかという問題です。当委員会で、マイナ保険証を申請、更新漏れした場合に資格確認書を自動交付するんですかという質問に対して、あくまで申請に基づいてというのが厚労省の答弁でした。
厚労副大臣にお聞きします。マイナ保険証を申請、更新漏れした方が医療機関を受診した場合、保険医療を受けられるんですか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 恐らく、今委員のおっしゃった無保険、日本の保険制度の上では無保険というものは存在しませんで、恐らく十割負担の、窓口十割負担のことじゃないかというふうに認識をしております。
その上で、マイナンバーカードの申請、更新漏れをした方が受診した場合どうなるかということでございますが、基本的にはこのカード、電子証明書が有効でない場合は健康保険証として利用することはできません。そういった意味で、有効期限を迎える住民に対しては期限の約三か月前に通知書を出すでありますとか、あるいは医療機関、薬局の窓口で資格確認を実施した際に有効期限が三か月以内の場合にはカードリーダーで、顔認証付きのカードリーダーでこの更新手続を行うようにアラートを出すというような機能でありますとか、あるいは健康保険証として利用登録の申込みを、その際には、マイナンバーカードを更新しても改めて健康保険証としての利用登録する必要はない仕組みとしております。
こうした申請、更新漏れを起こさないという取組をさせていただいた上で、更に申し上げれば、こうした方々がたとえ……(発言する者あり)受けられます。
【伊藤岳 参院議員】 いや、もう一度聞きますよ。
申請漏れした方、つまり今日からマイナ保険証の資格が切れちゃっている方が、今日ですよ、医療機関に受診したら十割負担を求められなくて済むんですかということ、保険医療を受けられるんですかということです。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 失礼いたしました。
マイナンバーカードで受診した際に、資格確認がその場でそうすると行えないということになります。そういった場合には、カードの券面に記載されました生年月日情報に基づいて自己負担分、三割負担をお支払いいただいて、事後に正確な資格情報の確認ができた段階で訂正の必要がある場合には所要の手続を行うというような、医療機関において柔軟に対応していただくことが考えられるというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 でも、これはちょっとおかしいと思います。だって、マイナンバーカードの期限が切れているんですよ。それでも券面表示で確認していいんですか。マイナンバーカードの有効期限が切れているんです。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 電子証明書の期限は五年間でございますが、この五年間の期限が切れたことについては、先ほど申し上げた券面情報で、生年月日の情報に基づくやり方で対応できるということでございます。
【伊藤岳 参院議員】 初めて聞きましたね。そうなんですね。マイナンバーカードの有効期限が切れても、そのマイナ保険証は有効だと、そういうことでしょう、今言っているのは。違うの。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 切れたときに、そのカード券面に記載された生年月日情報に基づいて自己負担分をお支払いいただいて、その後、更新がなされて訂正の必要がある場合には、所要の手続を行うことで対応ができるということでございます。
【伊藤岳 参院議員】 だから、申請漏れした方は一旦無保険扱いになるってことなんですよ。十割負担なんだから。そうでしょう。いや、もう一度答えてもらってもいいけれども。一旦払ってもらわなきゃいけないってことでしょう。
じゃ、もうちょっと聞きます。
先ほど紹介した全国保険医団体連合会の調査では、マイナ保険証のシステムを運用していた医療機関の六三・八%が既にトラブルを経験しているそうです。そのトラブルのうち、マイナ保険証を使った際に、加入者の情報が正しく反映されずに画面に無効とか該当資格なしと表示されるケースが六七%と最も多いそうです。今はそのマイナ保険証の申請、更新漏れした人の話を聞きましたが、それ以外にも、カードリーダーにかざして無効、該当資格なしとされる人が既に生まれているんですよ。
厚労副大臣はこの当委員会でも無保険は生まないようにすると繰り返し言われてきたけれども、無保険扱いが現に生じているんじゃないですか。こういう事実があるということは承知していますか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 こうした無効エラーが、タイムラグが、さっき申し上げた、先ほどの答弁でも申し上げましたが、例えば転職等によって資格変更があった場合に、この資格変更後の保険者が保険者向け中間サーバーに被保険者の資格情報を登録しますが、ここにタイムラグがございますので、このタイムラグがある場合に利用していただくと無効エラーが表示されるということは認識をしております。
これ、当初、この医療機関向けの運用マニュアルあるいはトラブルシューティングにおいても運用当初からお示しをしているところでございまして、それに対応してどういった対応ができるかについては様々お示しをさせていただいているところでございますが、より具体的には、今医療機関と様々調整を進めているというところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 では、聞きますが、先ほど来、何人か委員の方が質問されていましたが、マイナ保険証を医療機関のカードリーダーにかざして無効とか該当資格なしと表示された方の医療費の窓口負担はどうなるんですか。
先ほど来の答弁を聞いていると、マニュアルを六月二日に改訂したという話もありました。十割負担でも三割負担でも柔軟にという話もありました。しかし、私、昨日、ある医療機関の医師から聞いたんですが、仮にマニュアルで十割負担でも三割負担でもと書かれたって、医療機関は困惑すると。なぜならば、療養担当規則と違うマニュアルだし、資格確認義務とは違うマニュアルだから、自分としては困惑する、罰を受けては困るからやっぱり窓口十割負担を求めることになると言っていましたよ。
結局、窓口十割負担を求めることになるんじゃないですか。どうですか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 この十割負担あるいは三割負担の問題は、現在の紙の健康保険証でも起こっている問題でございまして、ただ、その上で、このマイナンバーカードで受診した際には、例えば転職で事業者が変わられるといった場合でも、紙の保険証を待つことなくデータの登録さえ終わってしまえば利用できるというような形になっております。
また、先ほどの十割、三割、医療機関の窓口でどちらも可能ではございますが、この取扱い、今後どうするかについては、先ほども申し上げたとおり、現在医療関係者と調整を行っているところでございまして、できるだけ速やかに示してまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 副大臣、ちょっと、事態をもうちょっと正確に認識した方がいいと思いますよ。
先ほどの全国保険医団体連合会の調査では、無保険扱いとなって窓口十割負担を患者に請求した事例が全国で既に二十五県で三百九十三件、無保険扱いになった事例があるそうですよ。十割負担を求められたんですよ。これ、どういうふうに認識していますか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 こうした窓口で十割負担を求められた方々については、今現状でも様々なもちろん課題が、同じようなケースもございますが、ただ、そうした、十割あるいは三割、どちらでも可能ではございますが、ただ、今後の方針につきましては、どういった対応ができるかについては今医療関係者と調整を行っておりますので、しっかりとまた示してまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 伊佐副大臣、無保険はつくらないと約束したじゃないですか。もう既に三百九十三件ですよ。
これ、私、無保険扱いというのは大変だと思いました。これ、こういうふうになるそうですよ。例えば、コロナの陽性の疑いで受診した場合、今、初診、窓口は三割負担の方は三千百七十円だそうです。ところが、十割負担になると一万五百七十円。これ、十月以降、コロナ陽性治療の公費負担がなくなると六万三千八百九十円払わなきゃいけないんですよ、無保険扱いで。六万三千八百九十円ですよ。全国保険医団体連合会は、受診の際にどれだけ手持ちが必要なのかと既にお年寄りから不安の声が出ていると言っています。払えないからと受診抑制になるのではという危惧の念も出ています。これ、国民皆保険制度を崩壊させる重大問題じゃないかと思いますよ。
厚労副大臣、聞きますが、この無保険扱いで窓口で十割負担を求められた方が、その後、お金を返金された方も結構いらっしゃいます。どうやって返金されたか御存じですか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 医療機関から各被保険者に対して連絡があり、その後、医療機関、保険者から医療機関を通じて返金があるというふうに伺っております。
【伊藤岳 参院議員】 いや、私聞いたのは、わざわざ後日、現行保険証を家に取りに行って、後日その医療機関に提示して返金されたという例が圧倒的なんですよ。これからもし、現行保険証廃止になっちゃうわけでしょう、二〇二四年に、私たちはあくまで反対しますけど。現行保険証が廃止しちゃったら簡単に返金できませんよね。どうですか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 先ほどの例であれば、健康保険証の持参忘れということだと思いますので、同じくこのマイナンバーカードの持参忘れであれば同じような対応になろうかというふうに思っております。
ただ、今恐らく問題にされておりますのは、例えばさっき申し上げた登録のタイムラグでありますとか、こういったものに起因することについては、ここは我々、先ほど申し上げたとおり、例えばカードの券面に記載された生年月日情報に基づいて後ほど調整できると、柔軟に対応できるということも考えられますので、医療関係者と調整を行って示していきたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 ちょっと真剣に受け止めてもらいたいんです。カード、マイナ保険証を申請漏れした方は、さっき言ったようにやっぱり無保険扱いになるんですよ。それ否定されなかった。そして、仮に保険証忘れだとしても、六万三千八百九十円も一旦払わされるんですよ。こういう事態が起きているんですよ。
これ、国民皆保険制度の崩壊じゃないですか。そういう認識ないですか、副大臣。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 現状、健康保険証、例えば健康保険証が何らかの理由で、例えば保険料が払えない場合でありますとか、こういう方々についても、短期の保険証を発行してできるだけ窓口三割負担でというようなことを、特別な事情をできるだけ認めながらこういった対応をやらせていただいております。
こうしたものと今回のマイナンバーと健康保険証の一体化で起きる様々なことについては、このシステムを通じてしっかりとデータチェックを含めて、またタイムラグをできるだけ短くしていくというような観点でも今回政省令も改正をさせていただいておりますので、こちらの観点で起こるようなことについてはこうした対応をしっかりと行っていきたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 じゃ、別の角度から聞きます。
要介護高齢者や障害の重い方も無保険になる可能性があります。当委員会でも私紹介しましたが、保険証の廃止に伴う高齢者施設等への影響調査、これ全国保険医団体連合会の調査ですが、利用者、入所者本人が申請できない場合の利用者、入所者のマイナンバーカードの代理申請について、対応できると回答した施設は全体の六・五%、つまり圧倒的多数の施設は代理申請対応できないという回答でした。これ、福祉事業所でも同じような結果があると聞きました。
そこでお聞きします。
要介護高齢者や障害の重い方のマイナンバーカード、マイナ保険証の代理申請にはこれ対応できないと答えている施設、事業所が圧倒的です。副大臣、これ、あくまで代理申請を強要することはしないですか、どうなんですか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 マイナンバーカードの保険証利用の登録をしていない方々に対して、代理申請を含めて資格確認書の申請を勧奨するという対応を今お願いしたいというふうに思っておりますが、それも無理な場合、保険者が資格確認書の交付申請を行うことが期待できないというふうに判断をした場合には、ここは本人の申請によらず、強制することなく職権で交付するというものでございます。
【伊藤岳 参院議員】 これも先ほど来、何人かの委員から質問がありましたけど、その職権による交付というのが認められない場合があるんですか。認められない場合というのはどのようなケースがあるんですか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 要介護の高齢者でありますとか、あるいは重い障害のある方を含めまして、職権交付の具体的な基準また運用については、今、保険者と関係者、保険者あるいは関係者の意見を伺いながら検討していきたいというふうに考えておりますが、こうした申請が難しいと想定される方々などが資格確認書がないために必要な保険診療が受けられないと、こういったことがないように、空白の生じないきめ細かい対応に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 もう一度聞きますけど、要介護高齢者や障害の重い方が、職権による交付というのは受けられないケースがないと言い切れますか。無保険者にしないという、言い切れますか。
【伊佐進一 厚生労働副大臣】 同じ答弁になりますが、この資格確認書がないために必要な保険診療を受けられないといったことがないように、空白の生じないきめ細やかな対応に取り組んでいきたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 もう、ないようにということでは言い切れないんですよね。これでは本当に、要介護高齢者、障害の重い方、一人で申請、交付に伺えない方の無保険者が出てくるということになりますよ。
河野大臣にもお聞きします。要介護高齢者や障害の重い方の無保険者、今の時点で生まれる可能性があるということですね。
【河野太郎 デジタル大臣】 そのようなことがないように、厚労省で努力していただいております。
【伊藤岳 参院議員】 否定はできないですね。
そもそも、私思うんですよ。要介護高齢者や障害の重い方のことを考えて法案が提出されていない、ここに一番大きな根本的な問題があるということを指摘したいと思います。
次に、障害を持つ方やLGBTQの当事者に不利益と差別を持ち込んでいる問題についてお聞きしたいと思います。
障害を持つ方がマイナ保険証を取得しようとカード申請したところ、当委員会での参考人の、家平参考人のお話ですが、顔写真の背後に車椅子のヘッドレストが写っていたので却下された事例や、全盲で、病気のため黒目がない人が黒目が写っていないと撮り直しになった事例などを紹介されました。
河野大臣にお聞きします。
これ、政府は、本人確認をするために、正面、無帽、帽子なしですね、無背景が適切な撮影としているんですが、デジタル庁は誰一人取り残さないということをスローガンに掲げられていますが、障害を持っている方にも正面、無帽、無背景を適切な撮影と求めることは、誰一人取り残すことになってしまうんじゃないですか。マイナンバーカードの申請において障害を持つ方が排除されているんじゃないでしょうか。これ、適切な撮影を障害の重い方までに求めるというのは今後の検討課題だという認識はありませんか。
【村上敬亮 デジタル庁統括官】 御指摘のような写真の撮り方のケースにつきましては、行き過ぎた指導にならないよう、こういうふうに事情があって横を向いている方、こういう事情があって帽子かぶっている方、それらは全て適切なものとして認められるということで、改めて総務省の方からも事務連絡、通知を各自治体の方に出して、その周知徹底に努めている最中でございます。
【伊藤岳 参院議員】 通知、もう出したんですか。
【村上敬亮 デジタル庁統括官】 ちょっと通告にございませんでしたので日付は確認する必要がありますが、この春、三、四月、どこかで一回もう既に出させていただいてございます。
【伊藤岳 参院議員】 確認しました。
障害の重い方に正面、無帽、無背景が適切な撮影とは求めないということですね。確認したいと思います。
障害を持つ方がマイナンバーカードを申請する際に福祉事業者の移動支援を受けたり成年後見人や福祉事業者職員の援助を受けたりする場合、本人の自己負担が発生します。
河野大臣、マイナンバーカードの申請において障害を持つ方に自己負担が発生するということは、これ障害者に不利益を与えていると思います。これ、対策の検討を進める考えはないですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 デジタル庁、総務省、厚労省の三省庁で進めてきたマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会のワーキンググループでは、昨年十二月に関係団体からのヒアリングを行ったところ、障害者の関係団体の方から、役所に出向くための支援が重要ではないかといった意見もいただいております。
カードの申請のために役所に出向く際は、居宅介護等の障害福祉サービスを障害者が公的手続のために官公署を訪れる場合等の移動中の介護として利用することが可能です。
また、庁舎等に出向くことが難しい方もおられることから、二月に公表された中間取りまとめではカードの取得に課題がある方に向けた環境整備について方向性が示されたところであり、代理交付を活用できるケースの拡充、明確化、市町村職員による出張申請受付の推進や国費による支援、施設職員や支援団体等の方向けのマニュアルの作成、それらの方が行う申請の取りまとめや代理での受取等に対する助成など、取得に課題がある方についても円滑にカードを取得していただけるよう環境整備に取り組むこととしております。
引き続き、関係省庁と連携して、カードを円滑に取得するための環境整備や支援にしっかりと取り組んでまいります。
【伊藤岳 参院議員】 いや、私がお聞きしているのは、自己負担が発生していることに対して、この自己負担をなくすという検討はされているのか、されていないのか、また、検討を進める考えはないのかと聞いているんですが。
【河野太郎 デジタル大臣】 これ、今申し上げましたように、市町村職員による出張申請の受付ですとか、施設の方や支援団体の方々が代理で申請をしたり受取をしていただくときの助成、国費の支援というのは、これは様々検討していきたいと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 LGBTQの当事者の配慮から、マイナンバーカードの券面表示、住所、性別や個人番号を券面から削除することを検討しているという読売オンラインの記事の報道について、先日、この当委員会で大串副大臣が、こうした検討の必要性があるとお認めになりました。
河野大臣にお聞きします。
この券面表示の検討は、今後、具体的にいつどのように変更を行う予定でしょうか。二〇二六年の新マイナンバーカードの質問も、この間、当委員会で出ましたけれども、そこまで先送りされるのでしょうか。
【河野太郎 デジタル大臣】 マイナンバーカードの券面に性別の記載があることにつきましては、カードの創設当初にLGBTの皆様から御心配の声をいただいたため、カード交付時に性別欄をマスキングするカードケースを配布しております。
マイナンバーカードの券面記載事項につきましては、本人確認のためのカードの在り方として重要な事項でありますので、関係者の御意見を伺いながら丁寧に検討を進めていくべき課題だと考えております。
現在発行しているカードは、今後、順次有効期限を迎えていきますので、その際の次世代のカードを設計するに当たっては、カードの券面記載事項について様々な関係者の御意見を丁寧に伺いながらしっかり検討を進めてまいりたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 是非、先送りせずに検討を急いでほしいと思います。
法案は採決を強行されましたけれども、マイナンバーカードをめぐるトラブルや矛盾は更に噴き出すというふうに思います。
私ども日本共産党は、多くの市民の皆さんと力を合わせて、現行保険証の廃止、マイナ保険証への一体化は実施させないということを強く表明しまして、質問を終わります。