議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
まず、マイナ保険証の別人ひも付け問題についてお聞きをいたします。
報道で明らかになった、Aさんがかかりつけ医を受診した際、たまたま保険証を忘れたのでマイナンバーカードによるオンライン資格確認を行ったところ、別人Bさんの氏名と保険証の情報が表記されたという問題について、私も当人Aさんからお話を聞くことができました。
表記された別人Bさんは、結婚して変わった姓を四月一日にひも付けをしていたんですが、旧姓はAさんと同姓同名、平仮名表記という違いはありましたが、同姓同名だということが後日判明したそうです。Aさんは、他人の保険証がひも付く間違いは私だけではないのではないかと思って、厚労省、そしてデジタル庁に次々問合せをしました。
加藤厚労大臣は十二日の記者会見で、マイナ保険証の別人ひも付け問題について説明をされました。加藤大臣の記者会見では、二〇二一年十月から二〇二二年十一月までに七千三百十二件のマイナ保険証の別人情報搭載があったと公表されました。
今日は資料もお配りをしました。令和五年、二〇二三年二月十七日の厚労省マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会においても、このように中間取りまとめとして資料配付をされていました。
厚労副大臣、伊佐厚労副大臣、この別人情報搭載はどのような仕組みや経過の中で発生したのか、説明してください。
【伊佐進一 厚労副大臣】 この七千三百十二件についてでございますが、これオンライン資格確認の実施機関であります社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会が、新規に加入される方々のデータにつきまして、保険者が登録したものに誤りがないかどうかというチェックをシステム的にやることになってございます。そのシステムの中でのチェックでありますとか、あるいは保険者による自主的なチェック、こうしたプロセスの中で、令和三年から、令和三年十月から昨年十一月末までの間に判明したものが七千三百十二件だったということでございます。
その誤登録の原因については、届出に記載されたそもそものこの個人番号の届出の番号が間違っていたというものでございますとか、あるいは、被保険者が個人番号を提出していただくことができなかった、提出されなかったために保険者においてJ―LIS照会を行って、そのときに十分な確認を行わずに別人の個人番号を取得、登録したでありますとか、あるいは保険者による個人番号等の入力の誤りなどが確認をされているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 つまり、新規登録の場合、自主的点検の場合で明らかになった数が七千三百十二件ですね。
私、健康保険証の業務に関わる現場、埼玉土建国民健康保険組合からお話を伺ってきましたが、手入力の作業によるマイナ保険証とのひも付け作業のために、誤入力、ミスが起こり得る仕組みだということを強調しておられました。
具体的には次のような説明でした。
二〇一六年一月から被保険者の個人番号の収集を始めました。その際、マイナンバーが記載されていないとかマイナンバーの記載が間違っていたなどの被保険者の情報は、住民基本台帳ネットワーク、J―LISのデータベースで、氏名、生年月日、性別、住所などの四情報で照会を行い、個人を特定するということになる。ところが、四情報で照会を掛けても、一致した情報が閲覧できるかというと、なかなかそうならないそうです。この組合の場合、約九万五千人の被保険者がいますが、当健康保険組合でいえば、この照会できた人は一割、九割は不一致だったと。いいですか、九割は不一致なんですよ。これが実情です。
例えば、住所を照会する場合、住基の住所登録と一字一句同じでなければピンポイントで結果は示されません。被保険者が提出した住所が、例えば大字とか小字とか何丁目とかアパートの名称の有無などで、これ一部でも違えば正しい照会結果が表示されないそうです。なので、照会条件を限定します。例えば、市町村だけで照会するとか市町村の次の町名ぐらいで照会しないと出てこない。仮に出てきたとしても、同姓同名だったり同一生年月日などの複数の該当結果が出たりする。こうした複数の中から、この人は一体誰なのか、どの人なのかということを選定する、これ大変な作業だそうです。ですから、これ、選択ミス、誤登録が起き得る可能性が大いにある仕組みなんだと言っていました。
そして、誤登録を誘発する問題もあったと言っていました。こうした作業をオンライン資格確認の本格運用が始まる二〇二一年十月までに完了させなきゃならないということで、社保庁などからもせかされたと言っていました。マイナンバーの申告があった被保険者でも番号の誤記載があったりして、神経をすり減らす作業だったと言っておられました。
こうした経過を経て、協会けんぽや保険組合などの保険者が、加入者である被保険者の情報を社会保険支払基金や国民保険中央会のオンライン資格確認の情報提供ネットワークシステムのサーバー、中間サーバーに登録をしてマイナ保険証にひも付けられてきたわけですよ。
厚労副大臣、このマイナ保険証の別人情報搭載の事例数の公表は、令和四年、二〇二二年の十一月末が最後の時点です。それから五か月経過しています。七千三百十二件以外に今後一切発生しないと言い切れますか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 こうした様々な誤登録に対して、本年二月には、まず、検討会、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の中間取りまとめでの対応でありますとか、あるいは本年四月には保険者に対して基本的な留意事項についての改正を行わさせていただきました。
その中で、例えば、今まで委員の御指摘のあった保険番号、個人番号が書いていないものについて今までJ―LISで登録チェックをさせていただいておりましたが、これは六月一日以降の施行になりますが、この資格取得時における被保険者が個人番号を記載することを、これを義務化、法律上明確化をさせていただこうというふうに思っております。
そしてまた、個人番号がそれでも書かれていない方々については、記載がない場合にはやむを得ずJ―LISに照会をすることになりますが、その際にも、加入者の個人番号をその中で取得する場合に必ず五情報により照会を行うと。例えば、先ほど委員の御指摘のあった仮名の氏名だけでは何人もいると、そこを漢字の氏名もしっかりとチェックをする、そしてまた、生年月日、性別、住所、この五情報が一致しない場合には、これは取得せずに本人へ確認を行うということをさせていただきたいというふうに思っております。
更に申し上げれば、たとえ個人番号を書いていた方であったとしても、最終的にオンライン資格確認等システムに載せる場合には必ず全てのデータをJ―LISに照合させるということで、正確性確保の徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 いや、副大臣、聞いたことに答えてほしいんですよ。だから、今後一切発生しないと言い切れますかという一点聞いているんです。
今副大臣言われたことはこれからの対策でしょう。今言ったように、二〇一六年から始まった作業の中で既に誤登録が相当あるだろうと保険者の方は言っているんですよ。既にあるんですよ。誤登録されたまま残っているんですよ。発見されていないだけなんですよ。一切ないと言い切れますかと言っているんです。副大臣、どうですか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 まず一点、先ほど、もし、私、法律上義務化と申し上げたかもしれませんが、これは法令上義務化でございました。失礼いたしました。
一切今後ない、ないと言い切れるのかという点でございますが、今、あるいはまた、今このデータの中にそもそも誤っているものがあるんではないかということですが、これは、例えば転職などによって保険が変わった場合の新規加入者のデータのシステム的なチェックは、これは継続的にまず実施をするということと、保険者による自主的なチェックも行われるというふうに承知をしておりまして、こうした中で、データの確認、修正を行って、もし誤っているものがあれば、速やかにその都度保険者においてデータの確認、修正を行っていくということになるというふうに認識をしております。
【伊藤岳 参院議員】 聞いていることに答えていません。とにかく誤登録が残ったままなんですよ。
これ、厚労省自身もこう言っていますよ。二〇二一年三月二十六日の社会保障審議会医療保険部会でこう言っています。この保険者が登録した個人番号の誤りなのですけれども、先月二月現在、つまり二〇二一年二月現在では三万件以上ございましたと報告しているんです。当時、厚労省はこう言っています、人為的ミスが起きることを前提に対応を強化する。つまり、人為的ミス起こることが前提にしているんですと言っているじゃないですか、厚労省が。
つまり、被保険者の資格データを入力して登録する際には、特定できない場合や誤りが生じることはもう仕組み上避けられないと厚労省自身が言っているんですよ。言わば、構造的な問題なんです。当時からも明らかになっている。これ、結局、是正し難い問題なんだということだと思うんですよ。
厚労副大臣、もう一つ聞きます。
別人の医療情報や薬剤情報に基づいて医療行為や薬剤投与が行われるということは生死に関わる重大事案だという認識はありますか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 これ、別の方の資格情報がひも付いたことによって薬剤情報等が閲覧される事案が五件ございました。国民の皆さんに御心配をお掛けしていることについて、申し訳なく思っているところでございます。
オンライン資格確認については、患者本人の健康、医療に関する情報に基づいたより良い医療を受けることができるようにするというものでございまして、こうした保険者による登録データの誤りによって別の方の薬剤情報等が閲覧されるようなことがないように、しっかりと徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 今回マイナ保険証の別人ひも付けをされた当人のAさんはこう言っていました。受診をした際、別人の方の情報が出てきたんです。そうしたら、薬剤師さんから、軽い薬同士であっても飲み合わせが悪いと命の危険に及ぶことがありますよ、何度も何度も何度も確認して申し訳ないですが、この三種類の薬、つまり別人Bさんの処方されたお薬、あなたは本当に処方されたことはないんですか、何度も聞かれたそうです。そこで、Aさんはとんでもないことが起きたと気付かされたそうです。私の体が今大事に至ることがなかったのは薬剤師さんのおかげだったというふうに話しておられました。これ、背筋が寒くなるような状況じゃありませんか。こういう事態が起きているんです。
厚労副大臣、既に発生しているであろう個人番号の登録ミス、残っていると思います。今も解消されずに残されたままになっているんですから、このままマイナ保険証への一体化に突き進むわけにはいかないんじゃないですか。中止すべきではないですか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 先ほども申し上げましたとおり、一度、今回、健康保険証とマイナンバーカードとの一体化のこのタイミングに合わせまして、必要な方々に対してしっかりと御本人に確認をしていただくというようなことも今現在検討しておりますので、こうした取組を通じて、ほかの方が閲覧するようなことがないようにしっかりと対応を図ってまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 先ほどお配りした資料見ていただきたいんですよ。資料のこれ一番下のところに括弧三ってありますね。こう書いています。あわせて、今後、マイナンバーカードと保険証の一体化の御案内とともに、確認が必要な方に対して既登録データを送付し、御本人による確認も検討って書いてあるんです。
これ、つまり、どういうことですか。最終的には本人に見てもらわないと誤登録なのかどうか分からないってことを厚労省が言っているんじゃありませんか。しかも、その誤登録について解消する対策は、厚労副大臣からさっきから何一つ出ていませんよ。全部これから、新規登録の場合、自主点検の場合ということだけじゃありませんか。違いますか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 今委員の御指摘いただいたこの配付資料の括弧三、今後、マイナンバーカードと保険証の一体化の御案内とともに、確認が必要な方に対して既登録データを送付し、御本人による確認も検討とございます。
これは、御指摘いただいたような、今既存の中でも誤登録がある場合に、もしあれば、こういうことをできるだけなくしていこうという観点で、確認が必要な方に対して、今後、まあやり方は検討させていただこうと思いますが、御本人の確認も併せてやろうというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 命に関わる問題だから、できるだけじゃ困るんですよ。実際、だから誤登録が残っているんです。
そこで聞きますけれども、現行の保険証でオンライン資格確認を行った場合には、今回のような保険証の別人ひも付け問題、別人情報搭載問題というのは起こり得ますか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 まず、マイナンバーカードによるオンライン資格確認においては、これは、例えば転職で新しい保険証に切り替わっている場合でも、最新の資格情報がリアルタイムで確認できると。一方で、今委員のあった健康保険証でオンライン資格確認等システムに照会を行った場合には、直近の被保険者資格情報を取得することはできません。健康保険証が有効か否かの確認のみを行うことができるというふうになっております。この健康保険証で受診する場合には、医療機関においてそもそも患者の健康、医療情報を閲覧することはできません。
【伊藤岳 参院議員】 だから、副大臣、答えていないんですよ。現行の保険証でオンライン資格確認を行った場合は、別の人の保険証がひも付いているなんてこと出てこないでしょう。これ、当たり前のこと聞いているんですけど、別に複雑なことじゃないですよ。そうですよね。
【伊佐進一 厚労副大臣】 申し上げたとおり、健康保険証で受診する場合には、そもそも別人であったとしても御本人であったとしても、患者の健康、医療情報を閲覧することはできません。
【伊藤岳 参院議員】 それはそうなんです。だから、いいんです。現行保険証でオンライン資格確認を行って別人がひも付いているのが出てこないんですよ。これはっきりしているんです。
河野デジタル担当大臣にお聞きしますが、今回、明らかになったマイナ保険証の別人ひも付けという事案は、事案の当人Aさんは、こうしたトラブルがありましたけど、その日のうちにお医者さんで受診することができました。薬を処方することもできました。どうして受診できたか、薬処方されたか、大臣、御存じですよね。
【河野太郎 デジタル大臣】 詳細は承知しておりません。
【伊藤岳 参院議員】 ちょっと余りにも無関心過ぎると思う。
この方は、家にわざわざ現行の保険証を取りに帰って、現行保険証を、紙の保険証を持ってきて、それを示してようやく受診できたんですよ。現行保険証様々という状態なんです。
マイナ保険証のトラブルが今後いろいろ発生すると思うんです。その場合、現行の保険証があることが安心して確実に保険医療を受けることができる保障じゃありませんか。河野大臣、現行の保険証は残すべきではないですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 厚労省で誤った登録については是正を進めるというふうに承知をしておりますので、来年秋のマイナンバーカードと健康保険証の一体化のための環境整備に厚労省とともにしっかり取り組んでまいりたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 命に関わる問題があっても突き進むということですね。
大臣は、この間、私も問いましたし、いろんな方が問いましたけれども、マイナ保険証の一体化はどうして進めるんだ、現行保険証、何でなくすんだと聞いたら、現行保険証の誤入力を防ぐためだと言い続けてきましたよ。でも、マイナ保険証こそ誤入力によって別人の情報にひも付くことが明らかになったじゃありませんか。これまでの大臣の言い分はもう成り立ちませんよ。
マイナ保険証に対する国民の信頼は大きく揺らいでいます。マイナ保険証への一体化は中止すべきです。このまま質疑終局、採決に持ち込むことはまかりならないと強く訴えたいと思います。
先日の参考人質疑を受けて、幾つか伺いたいと思います。
竹田参考人は、保険証廃止で医療崩壊が加速に向かっていると警告をされました。家平参考人は、申請主義で影響を大きく受けるのが障害者で、不利益を被ると告発をされました。石井参考人は、困難を抱える方のケアがきちんとできない制度設計を推し進めてしまうというのは慎重に考えるべきだと強調されました。こうした参考人の証言に当委員会の委員一人一人が真摯に向き合うことが私は求められていると思うんです。
総務審議官に伺います。
障害を持つ方がマイナ保険証を取得するためにカードの申請をする際の困難事例として、先ほども紹介がありましたが、顔写真の背後に車椅子のヘッドレストが写っていたので却下されたとか、全盲で、病気のため黒目がない人でも黒目が写っていないので撮り直しなどの実態が参考人質疑の中で示されました。
なぜこのようなことが起きるんですか。どのように対応しているんですか。
【三橋一彦 総務省大臣官房審議官】 お答えいたします。
私ども、マイナンバーカードの申請の際に必要となる顔写真につきましては、従前から、障害のある方や寝たきりの方など、やむを得ない理由により規格に合った写真、つまり正面、無帽、無背景というものでございますけれども、これを撮影できない場合でありましても、申請者の、申請書の氏名欄に理由を記載して送付いただくか、あるいはコールセンターに連絡していただくことで使用可能というふうにしております。しかしながら、御指摘ございましたとおり、窓口によりましては十分にこのことが認識されておらず、また、私どもの周知が不十分であったという御指摘だろうというふうに考えております。
顔写真の取扱いにつきまして、本年三月に自治体に対しまして具体的な例を示しつつ改めて周知を行ったところでございます。その中では、車椅子が写り込んで、御指摘ありました車椅子が写り込んでいても使用可能な写真として認められるものというふうに例示をいたしております。
また、先月行いました自治体向けの説明会におきましても改めて周知を行ったところでございますが、今後ともカードを円滑に取得するための課題に取り組みまして環境整備を進めてまいります。
【伊藤岳 参院議員】 つまり、申請書にいろいろ書かないと認められない。障害者に新たな手間を取らせるということですね。そうしないと認められない。障害者に新たな手間を取らせるということですね。
【三橋一彦 総務省大臣官房審議官】 マイナンバーカードは申請に基づくものでございますので、障害のある方におきましても申請書を出していただくことが必要でございますけれども、これは、マイナンバーカードの申請する際には、オンラインあるいは郵送、窓口での提出、こういうもので可能でございます。私ども様々な手法を用いまして対応していきたいというふうに考えておりますし、また、自署、自分で交付申請書が書けないという方につきましても、介護者や市町村職員に、代筆の上、申請者本人が押印したもの等につきましても、これは有効なものというふうに認める取扱いをこれまでも例示をいたしてきております。
先月行いました自治体向けの説明会におきましても、この点についても改めて周知を行ったところでございまして、引き続きこれらの事務が適切に行われるように努めてまいりたいというふうに考えております。
【伊藤岳 参院議員】 要するに、障害を持っているがゆえに、新たな手間を取らされるということですよ。それが、家平参考人が言っていた、障害者を差別することになるんだといったことじゃないんですか。
障害を持つ方がマイナンバーカードの代理申請を行う場合ですが、成年後見人は、費用面などから障害を持つ方はほとんど選任をしておられません。選任している場合も、家族の貯金を下ろすなどして費用に充てているのが実態です。成年後見人の補助を必須とするような検討はしているんですか。
【三橋一彦 総務省大臣官房審議官】 お答えします。
マイナンバーカードの申請する際には、オンライン、郵送、窓口への提出と、様々な方法により申請が可能でございます。これは、窓口につきましては成年後見人以外の方からも提出はいただけます。
そして、交付の際でございますけれども、交付には本人確認が必要でございますが、病気、身体の障害等やむを得ない理由により交付申請者の出頭が困難であると認められるときは、例外的に交付申請者の指定した方の出頭を求めて、その方に対しまして交付することを可能といたしております。この代理交付の仕組みにつきましては、成年後見人に限らず、交付申請者が指定した代理人に対して交付することができるところでございます。
このように、成年後見人がおられなくても手続は可能でございまして、これを、成年後見人を必須とするというふうな検討は行っていないところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 これは、今度、厚労副大臣の分野だと思いますが、障害を持つ方がマイナンバーカードの申請において福祉事業者の移動支援を受けた場合、マイナンバーカードの申請に行くときに医療支援を受けた場合、その費用負担はどうなりますか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 この居宅介護等の障害福祉サービスについては、障害者の皆さんが公的手続のために官公署を訪れる場合等の移動中の介護として利用することが可能でございます。この場合は所得に応じた自己負担が必要でありますが、市町村民税の非課税世帯に対しては自己負担を求めていないところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 自己負担になるんですね。自己負担となれば、更新の時期ごとにも負担がのしかかることになります。障害を持っているがゆえに不利益を被る仕組みになっていると思うんですよ。
マイナ保険証が取得できても、医療を受けるとき、受診するときはどうでしょうか。
厚労副大臣にお聞きします。
障害者施設や居宅介護サービスで行っている通院支援は、施設の側がマイナンバーカードを預かって、暗証番号を教えてもらわなければ行えません。しかし、施設側の多くは、カードと暗証番号の管理はできないと言っております。通院支援を受ける障害者本人や家族も、カードを預けて暗証番号を教えることに不安や抵抗があると言っています。これでは通院支援が受けられなくなってしまいます。通院支援が今までどおり受け続けられることが必要ではないか。どう対応しますか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 現在、この障害者施設等においては、入所者等の健康保険証を施設側が預かっている例もあるというふうに承知をしております。
この点については、政府のこの検討会においても、障害者支援の関係団体の方々からヒアリングも行わさせていただいて、本年の二月に中間取りまとめを、取りまとめを行いました。
その中で、施設職員、支援団体の方々にマイナンバーカードの申請、代理交付等の支援の協力を要請すると、そして、その申請の取りまとめ、代理での受取をしていただいたことに対してしっかりとした助成を行うという点でありますとか、あるいは、暗証番号の設定、ここを不安に思っていらっしゃる方々もいらっしゃいますので、この暗証番号の取扱いについてはしっかりと今後検討していきたいというふうに思っております。そしてまた、マイナンバーカードの管理の在り方などについても、この取扱いの留意点等を整理した上でしっかりと周知をして、丁寧にお示ししてまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 それらの厚労省の方針聞いてもなお対応できないと言っているのが施設側なんですよね。高齢者施設もそうです、介護施設も障害者施設もそうなんですよ。現場に合わせた対応が必要だと思いますよ。
障害を持つ方が医療を受診時に、不随意運動によって顔ぶれや顔を向けられないといった障害の特性によって顔認証がエラーになったり、暗証番号入力でボタンがうまく押せない、先ほども出ましたけど、こういう事例も紹介されました。資格確認ができないという事態が起きています。これはどういう対策を取っていますか、また取る予定ですか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 医療機関の受付に配置しております顔認証付きカードリーダーで患者御自身のマイナンバーカードを置いて顔認証か、あるいは、暗証番号の入力ということに、いただく仕組みにしておりますが、御指摘のような顔認証あるいは暗証番号の入力が難しい方については、マイナンバーカードの写真によりまして、職員が、医療機関の職員が目視をすることで本人確認を行うことも可能としたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 ちょっとよく分からないんですが、医療機関の職員が目視をするというのはどういうことですか。受付の職員がということですか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 本来であれば、顔認証で自動的にされる、あるいは暗証番号の入力で本人確認を行うということになっておりますが、このマイナンバーカードに添付しております御本人のお写真と、そして実際に来ていただいた御本人の顔を見比べて、医療機関の窓口において目視をして本人確認を行うということも可能にしたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 医療のデジタル化というけど、結局、目視とかが必要になることが出てくるということじゃないですか。現行保険証残したらいいんですよ、やっぱり。問題解決すると思います。
家平参考人は、今回の法改正について、障害者や高齢者など支援を必要とする人たちの社会的地位を大きく引き下げて、障害者を厄介な者、いなくてよい者など、人間としての生きる価値や意味までもおとしめることになることを政府関係者の皆さんや国会議員の皆さんに考えていただきたいと訴えられました。
この言葉をしっかり受け止めようじゃありませんか。対応しようじゃありませんか。そして、対応なしにこのままマイナ保険証の一体化に突き進むことは断じてあってはならない。このことを訴えて、質問終わりたいと思います。