議事録

2023年3月23日 総務委員会(マイナカード問題・保育士の処遇改善と会計年度任用職員の格差是正・放送法の行政文書)

議事録

【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。

 初めに、マイナンバーカード利活用特別分の交付税算定の仕組みについて伺います。

 カード普及ありきの政府の姿勢が、地方自治体の現場で、マイナンバーカードを取得しない住民に不利益を強いるようなゆがんだ形で現れていると思います。

 岡山県の備前市は、世帯全員のマイナンバーカードの取得を条件に無償化する計画を明らかにし、給食の無償化ですね、住民の批判や反対にもかかわらず、進めようとしています。ほかにも、マイナンバーカードを利用して全国のコンビニエンスストアで住民票などの証明書を取得できるサービスの手数料を四月一日から一件二百五十円から百円に引き下げる、一件百円は全国で最も低い水準、これは群馬県前橋市の例です。高齢者のタクシー利用で二十五回まで運賃の一部を助成する制度で、マイナンバーカードを取得している方には一回上限六百円に、紙の利用券より補助率を高めた、静岡の長泉町などなどの事例が相次いでおります。

 マイナンバーカードの取得は任意であるにもかかわらず、カードの取得によって行政上の利益を受ける人が特定されるという、これは大変重大な問題だと思うんです。大臣はそれぞれの地方自治体の問題だと言われてきましたけれども、期限を定めてカード普及をあおるという国の推進政策がこうしたゆがんだ事態につながっているという認識はないのですか。

【松本剛明 総務大臣】 マイナンバーカードにつきましては、これまでも申し上げてきているところでございますが、地方のDXの基盤となるツールでありまして、住民の方々の利便性向上、地域の活性化に資するものであるとともに、自治体職員の事務負担を軽減し、職員が地域の実情を踏まえた企画立案など、創意工夫をより発揮すべき業務に注力できる環境の整備にもつながるものと考えているところでございます。

 このため、総務省としては、カードの利便性の向上を図りつつ、その促進に、普及促進に取り組んでいるところですが、自治体に対してカードを取得していない方に対する特定のサービスを停止するよう要請したことはございません。自治体独自の施策につきましては、当該自治体において、住民の御意見や議会での議論なども踏まえ、丁寧に検討の上御判断いただくとともに、しっかりと説明責任を果たしていただきたいと考えているところでございます。

 総務省としては、引き続き、マイナンバーカードの普及促進のため、自治体に対して国の施策の最新情報や全国の先進的な取組事例をきめ細かく提供するとともに、それぞれの自治体における現状や課題をよく伺った上で丁寧に助言するなど、自治体の取組を後押ししてまいりたいと考えているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 ずっと大臣、地方の自主的な判断だと言われているんですけれども、主体的な判断だと言われてくるんですが、その地方行政が国の国策推進によってゆがんだ影響を受けているという、このことに対する認識がないのは、私、深刻だと言わざるを得ないと思うんです。

 そして、更に重大なことは、地方の固有財源である地方交付税の算定基準にカード普及率を盛り込もうとしているということです。

 今日、資料をお配りいたしました。御覧をいただきたいと思います。総務省の資料です。地域デジタル社会推進費、マイナンバーカード利活用特別分の交付税算定の仕組みを示したポンチ絵であります。

 ここを見ますと、マイナンバーカードの交付率が上位三分の一以上の市町村に割増しをする、さらに、交付率が高ければ高い市町村ほどその割増し率も高くなるという仕組みになっています。

 大臣、このマイナンバーカード利活用特別分の五百億円では、マイナンバーカードの交付率が全国上位三分の一以上の市町村に傾斜配分するとしています。この三分の一の根拠が何か具体的に示していただけませんか。

【松本剛明 総務大臣】 今御指摘の今回増額する地域デジタル社会推進費五百億円につきましては、全ての市町村において基準財政需要額を増額するよう算定することを予定をしております。その上で、マイナンバーカードの交付率の高い市町村については、カードを利活用した住民サービス向上のための取組に係る財政需要が多く生じると想定され、また、これまでも普通交付税の算定に際して地方公共団体を上位から三分の一ずつ区切る手法を用いていることを踏まえまして、カードの交付率の高い上位三分の一以上の市町村については、当該市町村のカードの交付率に応じた割増し率により算定を行うことを予定しているところでございます。

 また、割増し率の算出に用いるカードの交付率については、財政需要を的確に算定する、反映する観点から、普通交付税の算定スケジュールにおいて使用可能な最新の数値を用いる予定でございます。

【伊藤岳 参院議員】 大臣、質問に答えられていないと思います。

 私が聞いたのは、端的に三分の一にした根拠は何かということなんです。本会議の大臣の答弁を聞きますと、前例措置があると答えておりましたけれども、前例があるからというだけで、合理的な三分の一以上というこの根拠になるものはいまだ示されていないと思います。総務省が省令で決めるということだと理解をしています。

 傾斜配分の度合い、傾斜の上がり具合は何を基準に決めているんですか。示してください。

【原邦彰 総務省自治税務局長】 お答えいたします。三分の一のお話でございました。交付税はあくまでも自治体の財政需要に応じて配分するということになっておりますので、これまでの、割増しがある場合に、例えば高齢者保健福祉費ですとか徴収率とか、そういうところで上位三分の一で切るというやり方をやっておりますので、これまでの同様の三分の一という数字で割増しを行うというものでございます。

 それから、傾斜配分のお話でございますが、これは今大臣から申し上げましたとおり、このマイナンバーカードの交付率は最新の数値を使用したいと思っておりますので、この動向をにらみながら、基本的には比例的に、普通は、この今お示しの資料にありますけれども、比例的に傾斜を付けるというのが基本だろうと思っておりますが、具体的には算定の段階で数値を見ながらしっかりと対応してまいりたいと思っております。

【伊藤岳 参院議員】 局長の答弁聞いても、とにかく前例があったとかこれが基本だとか、つまり根拠を具体的に示されないんですよ。結局、総務省令で決めるということなんだと思うんですね。

 大臣、この地方自治体が上位三分の一以上に入る、しかも一%でも二%でも交付率を上げて、こういう追い立てることになるという認識はありませんか。

【松本剛明 総務大臣】 これまでも申し上げてきているところでございますが、マイナンバーカードの交付率の普通交付税算定への反映につきましては、地域デジタル社会推進費のうち、今回、マイナンバーカード利活用特別分として増額する五百億円においてカードの交付率も活用して行う予定としているところでございまして、これは、カードの普及に伴って、カードを利活用した住民サービスの向上のための取組に係る財政需要を的確に算定に反映する観点からカードの交付率を用いるものでございまして、政策誘導や自治体間の競争をあおるといった趣旨のものではないということで御理解をいただきたいと思っております。

【伊藤岳 参院議員】 先ほど紹介したように、既にゆがんだ形で地方に現れているじゃありませんか。

 この地域社会、デジタル社会推進費、マイナンバーカード利活用特別分のこの交付税算定率の仕組みですね、これ、一年限りですか、それとも二〇二四年度以降も継続するんですか。

【原邦彰 総務省自治税務局長】 お答えいたします。

 今年度は今申し上げたようなやり方でやるということでございます。来年度、来年度といいましょうか、六年度以降の扱いにつきましては、まさにマイナンバーカードの交付率の状況、それから各自治体の財政需要の状況、こうしたものを勘案して検討してまいりたいと思っております。

【伊藤岳 参院議員】 現在のところ、来年度も継続する方向ですか。

【原邦彰 総務省自治税務局長】 六年度以降の扱いにつきましては、繰り返しになりますが、マイナンバーカードの交付状況、それから自治体の財政需要、こうしたことを勘案して検討してまいりたいと思っております。

【伊藤岳 参院議員】 もしこの一年限りの交付税算定ということになれば、それこそカード普及推進の目的のためだったということになると思います。

 大臣、来年度以降もこの交付税算定の仕組みを継続するならば、地方自治体を際限のないマイナンバーカード普及競争に巻き込んでいくということになるんじゃないか、その認識はありませんか。

【原邦彰 総務省自治税務局長】 お答えいたします。繰り返しになりますが、六年度以降の扱いについては、カードの交付状況、それから財政需要を勘案して検討したいと思います。あくまでも地方交付税ですから、自治体の財政需要をどうやって反映するのがふさわしいかという観点で検討してまいりたいと思っております。

【伊藤岳 参院議員】 マイナンバーカードの取得というのは任意であるはずです。その任意であるはずのマイナンバーカードの交付率を地方の固有の財源である地方交付税の算定までリンクさせる、これ、地方交付税の財政調整機能にも矛盾していると思います。地域社会、デジタル社会推進費、マイナンバーカード利活用特別分の交付税算定の仕組みに、私、強く反対をしたいと思います。

 次に、保育士不足の問題について聞いていきたいと思います。

 今年に入ってからも保育園が閉園というニュースが相次いでいます。長野県信濃町では、四つの保育園を運営しているが、来年度必要となる保育士が二人足りなくなる見通しだ、四つの保育園のうち比較的規模の小さい一園を休園する方針で検討しているということが起きています。これは信濃毎日の報道です。北海道帯広市では、保育士を確保できずに乳幼児の受入れを定員より抑えているためで、保育所に預けられない待機児童も発生している、公立保育所全八施設で入所者数の定員割れが常態化している、正職員を募集しても集まらない、会計年度任用職員を募集しても賃金が民間より低い傾向にあるために応募は低調だという報道が、これは北海道新聞の報道であります。現場で保育士を確保できずに、このままでは地域から保育の場が失われてしまうという事態が広がっていると思います。

 一方で、保育園のニーズは高まっています。私の地元埼玉県ふじみ野市では、この四月から保育所入所不承諾通知、入所保留通知が届いたお子さんが百三十二人いらっしゃいます。入所を申し込んで、要件に該当しているのに不承諾、保育園に入れないという事態です。

 私、この間、地元埼玉県内の保育の現場を歩いてまいりました。その中で感じてきたことは、現場で必要な保育士さんを確保するための政府の施策が余りにも不十分だということであります。

 松本大臣にお聞きします、まず。地方自治体から保育士の配置基準の見直しを求める意見書が相次いで採択され、提出されていることは御存じですか。

【松本剛明 総務大臣】 保育士の配置基準の見直しについては、幾つかの地方自治体から意見書いただいております。

 保育士の配置基準の在り方については、まずは制度所管の府省におきまして検討されるべきものと考えますが、総務省としても、制度所管府省と連携しながら、地方自治体の財政運営に支障が生じないように適切に対応いたしたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 承知されていると。全国市議会議長会によると、昨年、保育士配置基準の見直しを求める意見書が可決されたのは、私の地元埼玉県だけでも新座市、吉川市、春日部市、秩父市、富士見市、全国では三十一の市議会に上ります。これらの意見書の中では保育士の過重労働が指摘をされて、早期離職者、保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない者などの課題が挙げられています。例えば、保育士が過重な労働環境に置かれており、精神的、肉体的な負担が大きくなっているため、早期離職者や、保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない者も多く、保育士の確保と定着が喫緊の課題となっています、これ広島市議会の意見書です、と訴えられています。

 埼玉県内の保育園長さんや保育士さんとの懇談の中で皆さんが口をそろえて言われていたのは、勤務時間内に保育士の仕事が終わったことがない、事務仕事も子供の午睡中、昼寝中に添い寝しながら手書きでやる状況だ、有休の取得を申し出る雰囲気じゃない、給料が上がらない、学生時代のバイトのときの方が自由に使えるお金が残ったといった現場の過酷な勤務実態が次々出されていました。

 和田厚労副大臣、今日おいでいただきました。現場で保育士を確保、ごめんなさい、本田厚労政務官、おいでいただきました。失礼しました。

 現場で保育士を確保できない問題の根本には保育士不足による過重労働があり、それが更に保育士不足を加速させているという問題があるのではないでしょうか。保育士の配置基準を保育現場の実態に合わせて抜本的に見直すべきではありませんか。

【本田顕子 厚生労働大臣政務官】 伊藤岳委員にお答え申し上げます。

 まず、配置基準につきましては、さきの三月十日に、委員から厚生労働大臣に対しても御質問いただきました。その際に加藤大臣からお答え申し上げましたところを、繰り返しになりますけれども、これまでの厚労省の取組としてお答えいたします。

 まず、保育士の配置基準の改善につきましては、厚生労働省としても重大な課題であると考えており、平成二十七年度には、三歳児に対する保育士の配置を二十対一から十五対一に改善した保育所に対して公定価格上の加算を設けたところでございます。

 一方で、消費税分以外で財源を確保することとされている、いわゆる三兆円強の質の向上に含まれる一歳児や四・五歳児に対する保育士の配置改善については未実施となっており、引き続き、安定的な財源の確保と併せて検討が必要と考えております。

 令和五年度予算案におきましては、チーム保育推進加算において定員百二十以上の保育所に保育士二名までの加算を可能とするとともに、保育体制強化事業において、登園時や園外活動時等の多くの人の目が必要な時間帯における支援員の配置の充実を図ることとしております。

 いずれにしても、いずれにいたしましても、こども政策担当大臣の下、子ども・子育て政策として充実する内容を三月末を目途に具体化し、六月の骨太方針までに、将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示するものと承知しております。

 そして、今ほど人材の件で過重労働の件がございましたけれども、厚生労働省としても、保育所等のICT化の推進など、保育士の業務負担の軽減を通じた就業継続のための環境づくりといった人材確保に総合的に取り組んでいるところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 本田政務官、先ほど、昼寝中に事務仕事をするような状況がある、これは前近代的な状況だと思いませんか。

【本田顕子 厚生労働大臣政務官】 済みません、申し訳ありません、もう一回お願いしていいですか。

【伊藤岳 参院議員】 先ほど、保育現場の実態として、勤務時間に終わらない、子供の午睡中に、昼寝に寄り添いながら事務仕事をするという実態を紹介しましたが、これ前近代的な改善されるべき事態だと思いませんか。

【本田顕子 厚生労働大臣政務官】 失礼いたしました。

 はい。保育人材確保には課題があるということは、厚労省でも認識をしております。

 そこで、先ほど私申し上げたように、ICT化の推進など、そうした人材確保も含めて就業継続のための環境づくりに取り組んでいきたいというふうに考えております。

 あと、先ほど、申し訳ございません、予算の部分で、消費税分以外で財源を確保することで、私、三兆円と申し上げましたけれども、〇・三兆円強でございます。訂正させていただきます。

【伊藤岳 参院議員】 今、政務官も課題があるというふうにお認めになりましたけれども、先ほど、この政府の今後の施策の幾つか紹介ありました。例えば、二十五対一の大規模施設に加配という話が、政府やる予定でおりますけれども、この保育士の配置基準を現行より手厚い二十五人以上に一人などとしている施設に加算、これ、対象保育施設というのは何%ぐらいなんでしょうか。

【北波孝 内閣府子ども・子育て本部審議官】 お答え申し上げます。

 機械的に計算いたしますと、約四%程度でございます。

【伊藤岳 参院議員】 四%ですね、僅かですよね。

 私の地元埼玉県もそうですけれども、六十人から九十人定員の保育園というのは圧倒的なんですね。政府のこの施策では圧倒的な保育園は加算の対象外となるということを指摘しておきたいと思います。

 和田内閣府副大臣、あっ、ごめんなさい、本田政務官にもう一問お聞きします。

 ある保育園長は次のように語っています。例えば、一歳児の国の配置基準は六対一だと、一歳児を七人受け入れると保育士を二人配置することになると、しかし国は公定価格で一・一六人分しか見てくれない、マイナス〇・八四人分は保育園の持ち出しとなる、逆に加配をしないと決めたら保育士に過重な負担を強いることになる、経営に当たる者として率直に言って悩ましい、昨年のケア労働者への九千円の賃上げ策も人件費の園の持ち出し分のやりくりで相殺せざるを得なかった、結局、保育士一人当たりの賃上げにはほとんどつながらなかったと話しておられました。

 現場に見合った保育士の配置基準とそれに対応する人件費増額を見た公定価格を設定すること、人件費、事務費、施設整備費の科目別に必要額を増額することが必要ではないでしょうか。

【和田義明 内閣府副大臣】 お答え申し上げます。

 保育所等の現場において公定価格上の配置基準を超える職員が実際に配置されていることは承知をしており、課題と認識しております。

 保育の質の向上のためには、保育士等の配置の改善を図っていくことは重要な課題と考えておりこれまでも、保育士等の配置の改善については、本田政務官からも答弁がありましたとおり、一定の努力を重ねてきたところでございます。また、保育士の有効求人倍率は全職種平均よりも高い水準で推移しており、保育を担う人材の確保に向けてこれまで累次の処遇改善に取り組んでまいりました。

 総理からは、保育の量、質、両面からの強化を柱の一つとして、子供政策として充実する内容の具体化するように指示がなされております。

 その取りまとめに当たりましては、社会全体の意識を変え、子ども・子育てを応援するものとなるよう、個別の施策ではなく、ライフステージを通じた施策のパッケージを示す必要があると考えております。現時点では個別の施策の是非を述べる段階にはないと考えておりますが、様々な意見に耳を傾けながら、今月末を目途として、小倉大臣の下で、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化してまいりたいと思います。

【伊藤岳 参院議員】 済みませんでした。内閣府に対する質問でございました。

 次は、これ多分厚労に対する質問になるんだと思いますが、別の園長さん、こう言っていました。待機児をつくらないとの二〇一七年以降の国の求めに応えてこの間保育士を増やしてきた、今、入所児が減ってきている中で、職員を辞めさせるわけにはいかない、とうとう一千万円の園の赤字になっている、この赤字解消のためにやむなく保育士の賞与支給額を減らすことで調整をしているとの状況だということでした。

 保育所においては入所児の年度ごとの変動もあります。保育の現場には一定の余裕のある保育士の配置が重要だと私思うんですが、どういうお考えでしょうか。

【北波孝 内閣府子ども・子育て本部審議官】 公定価格の仕組みについての御質問と受け止めておりますので、まずはそれにつきましてお答えさせていただきたいと思います。

 子ども・子育て支援法におきましては、教育・保育給付の認定を受けた子供が保育所等から教育、保育の提供を受けた場合に、その子供、当該子供につきまして公定価格に基づいて施設型給付費を支給する仕組みということにしておるところでございます。例えば、御指摘でありますような年度途中入所者がいた場合については、その途中入所者を含めて各月初日に実際に利用する子供の数に応じた給付費が支給されて、これによって利用者数に応じた保育士の配置に必要な経費というものを支給されるものということになっているというふうに承知をしているところでございます。

 以上でございます。

【伊藤岳 参院議員】 内閣府の方に答えていただきましたので、厚労の方は結構です。

 ただ、私、訴えたいのは、四、五歳児の配置基準の三十対一は何と七十四年間ずっと変わっていません。これこそ直ちに抜本的なメスを入れるべきだということを強く要望したいと思います。

 こうした現場に保育士が確保できない中でどういう事態が起きているか。民間の人材派遣保育士が保育現場で増加傾向にあります。さいたま市の公立保育園では、平成二十七年度、二〇一五年度、人材派遣保育士は二人でしたが、令和三年度、二〇二一年度は十二人と四倍に増えています。

 埼玉県内のある私立保育園でお聞きした話ですが、人材会社を通じて雇った保育士パートさんが三か月で辞めた、一年分の人件費の三割、七十万円余を派遣会社に手数料として既に支払っているが、三か月たったと返金されていない、こういう話を聞きました。

 これ、厚労省、どういうことなんでしょうか。説明していただけますか。

【松本圭 厚生労働省大臣官房審議官】 お答えいたします。

 御指摘のような話があるということは承知してございます。

 前提といたしまして、お尋ねの件は、職業紹介、有料職業紹介事業者の件だと存じますので、その御説明を申し上げます。

 紹介の手数料、また一定の要件があったときに手数料の全部又は一部をお返しするといった制度にするかどうかというのは、これは業者がそれぞれ設定できる制度でございます。そういうことでございますので、職業紹介事業者がその紹介手数料や、早期に離職、紹介した人が早期離職したときの返戻金制度などをしっかりと明示して、その職業紹介を依頼しようとする保育園等の事業者におかれては、そういったサービスについて正しく御理解いただいた上で御契約いただくことも重要ではないかと考えてございます。

 そういうことで、そもそも適切な業者を選択できるよう、政府といたしましては、まず、平成三十年一月から、手数料などの情報開示を義務付けてございます。また、令和三年度から、職業紹介を利用する側である医療、介護、保育分野の業界団体も参画した協議会において、適正な有料職業紹介事業者を認定する制度の運用を開始してございます。

 また、今年の二月に、都道府県労働局で医療、介護、保育求人者向けの特別相談窓口を新たに設置いたしまして、寄せられた情報等に基づき必要な対応を行うこととしてございます。法令などに違反する事例等を把握した場合には、都道府県労働局が適切に紹介事業者を指導監督してまいりたいと考えております。

 最後に、ハローワーク、これは職業紹介手数料無料でございますが、保育を含む人材不足分野の人材確保支援を行うコーナーの拡充も図ってございます。

 ありがとうございます。

【伊藤岳 参院議員】 埼玉県内の幾つかの私立保育園でお聞きしたんですが、この人材会社を通じて雇ったパートさんが三か月で辞める、これはもう結構有名な話だそうです。人材会社は、派遣される保育士に、三か月たってから辞めてこいと、三か月は辞めるなと、こういうふうに公言しているという話がありました。

 そういう実情、御存じですか。

【松本圭 厚生労働省大臣官房審議官】  お答えいたします。

 先ほど申し上げたその都道府県労働局の窓口、これは窓口をつくる前から事業所管の部局としてそういった声が届いているのは承知してございます。

 御指摘のような話でございますと、職業紹介事業者が自らの紹介で就職した者に対して転職を勧奨する行為、これは職業安定法に基づく指針において、就職から二年の間禁止してございます。

 ということでございますので、そういった事案を把握した場合には都道府県労働局で適切に指導監督を行ってまいりたいということでございますが、何分、その働く方にも職業選択することができるので、どういった事由でお辞めになったのかというところも含めて調査をするということになると存じます。

【伊藤岳 参院議員】 私、この話をお聞きして、深刻だと思うんですよ。三か月は辞めてくるな、三か月たったら辞めろ、これ、現場でどういう事態が起きているか。現場は保育士が足りないから人材会社に保育士を頼む、しかし、三か月たったらいなくなる、人手が足りなくなる、そして、一定のお金を払っていますから保育士の賞与などを減額するという事態に響いてくる。

 これは、厚労省、やっぱりこれしっかり調査するべき新しい事態じゃないですか。対応が必要じゃないですか。もう一度お答えください。

【松本圭 厚生労働省大臣官房審議官】  お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、自ら紹介した者に対して二年間そういった勧奨をすることは禁止しております。そういったルールの下で、それぞれの事案について、それぞれ事情を調査した上で適切に指導監督を行ってまいりたいと思います。

【伊藤岳 参院議員】 一定の調査する予定がありますか、どうですか。そこだけ答えてください。

【松本圭 厚生労働省大臣官房審議官】  事案ごとに調査するということかと存じます。

 以上でございます。

【伊藤岳 参院議員】 是非、調査、対応を求めたいと思います。

 保育関係の質問はここまでですので、厚労関係、内閣府関係の方、委員長、御退席いただくようにお取り計らいください。ありがとうございました。

【伊藤岳 参院議員】 次に、会計年度任用職員についてお聞きをしたいと思います。

 会計年度任用職員の低賃金の実態はどうなっているか、日本自治体労働組合総連合、自治労連が、会計年度任用職員一万三千七百六十二人からアンケートを取り、その集計結果を公表しました。それによりますと、会計年度任用職員の二〇・六%が何と保育士だそうです。会計年度任用職員の中で、年収二百万以下、いわゆるワーキングプアと答えた人は何と五九%に達していることが分かりました。

 松本大臣にお聞きします。年収二百万以下、こういうワーキングプアで安定した暮らしが築いていけるとお考えですか。また、住民の願いに応え、安心できる保育を提供できるとお思いですか。この点、基本的な認識を伺いたいと思います。

【松本剛明 総務大臣】 今御指摘の保育士を含めた会計年度任用職員の給与水準につきましては、地方公務員法に定める職務給の原則、均衡の原則等の給与決定原則にのっとりまして、類似する職務に従事する常勤職員の給料表を基礎としつつ、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、職務経験等を考慮するとともに、地域の民間企業における同一又は類似の労働者の給与水準の状況等にも十分留意をする必要があると考えておりまして、これまでも自治体に対し丁寧に助言をしてきたところでございます。

 また、これまで会計年度任用職員に期末手当を支給することとするなど処遇の改善が図られるよう取り組んできたところでありまして、今国会に勤勉手当の支給を可能とする法律案を提出したところでございます。

 総務省としては、会計年度任用職員の処遇の改善が図られるように引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 勤勉手当の支給と言いますが、正規と非正規、会計年度任用職員との格差が放置されてきたことが、私、大問題だと思うんです。

 大臣、ちょっとこの自治労連のアンケートに寄せられた声を聞いていただきたいと思います。紹介します。

 ある会計年度任用職員の保育士の方。子供は大好きだし仕事を続けたい、しかし、先々自分の子供の学費や生活費を考えると辞めるしかないかな。別な保育士、会計年度任用職員の保育士。正規採用も望めないなら転職するしか道がないと思う。また、別の会計年度の任用職員保育士。来年も同じ仕事で継続雇用されるのかと不安を常に感じているなどなどの声が寄せられています。

 報道記事の中にもこんな記事がありました。会計年度任用職員のある婦人相談員の方の声です。これ、朝日新聞、三月九日付けに載っていました。DVでつらい思いをしている人たちを助けたいと思ってこの仕事に就いた、しかし、月に十四万円の収入では手元に残らない、もう限界だ、転職を考えているというインタビュー記事でした。

 大臣、専門性を有し行政の重要な分野で役割を担う人材が、会計年度任用職員という不安定な雇用で流出、外に出てしまう、自治体の現場から出ていってしまう、住民のサービスの低下につながる、こういう指摘、声をどう受け止めますか。

【松本剛明 総務大臣】 御指摘の新聞記事も私の記憶に若干ありますので、読んだような気がするので、正確な記憶ではありませんが、今の御質問に御答弁を申し上げたいと思います。

 個々の職にどのような職員を任用するかについては、各自治体において、対象となる職務の、職務の内容や責任などに応じて、任期の定めのない常勤職員や臨時・非常勤職員などの中から適切な制度を選択していただくべきものと考えております。その上で、各自治体において必要な行政サービスを提供できる体制を確保していただくことが重要であると考えております。

 総務省としては、自治体が住民のニーズに的確に応えつつ行政サービスを安定的に提供できるよう、令和五年度の地方財政計画において、常勤の職員数を約二千六百人増員するなど必要な経費を計上した上で、前年度を上回る一般財源総額を確保したところでございます。

 今後とも、各自治体におかれまして適切な任用が確保されるように必要な対応をいたしたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 保育士、婦人相談員を始めとした専門性を有して継続的な経験も有している方が自治体の現場から流出してしまう、これ、自治体現場の未来にとって大変な損失だと思います。日本の未来にとって大変損失だと思います。

 会計年度任用職員の再度の任用に当たっては、前の任期における勤務実績を考慮して選考を行うことは可能である、総務省、十二月二十三日に発出した通知にこう書いてあります。

 この総務省の通知の適用を徹底して、任用三年目の公募による雇い止め、いわゆる三年目の壁で行政サービスの低下を招くような事態は避けるべきではないでしょうか。大臣、どうですか。

【松本剛明 総務大臣】 会計年度任用職員は一会計年度を超えない範囲で任用されるものであることは委員もよく御案内のとおりかと思いますが、地方公務員法の規定に従って任用する必要があることから、地方公務員法に定める平等取扱いの原則や成績主義を踏まえ、できる限り広く募集を行うことが望ましいと考えるところでございます。

 その上で、各地方公共団体に対しましては、公募を行う場合であっても、客観的な能力の実証を経て再度任用されることがあり得ること、選考において前の任期における勤務実績を考慮することも可能であることなどの考え方を示しております。公募によらない再度の任用回数については、国で一律に制限を設けているわけではなく、各自治体で地域の実情などに応じて適切に判断すべき旨、昨年末にも重ねて助言をいたしているところでございます。

 今後とも丁寧な情報提供に行ってまいりたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 是非この総務省の通知を徹底して、三年目の壁で行政サービスの低下を招くようなことのないように是非検討を進めていただきたいと思います。強く求めたいと思います。

 最後に、放送法の政治的公平に対する政治的圧力を記した総務行政文書について質問をしたいと思います。

 大臣、十七日の予算委員会委嘱の審査のこの当委員会の質疑で、公表された行政文書について、公文書管理法、行政文書の管理に関するガイドラインに違反して行政文書ファイル管理簿に記載されていなかったその経緯について報告を求めておりました。

 大臣は、確認をして国会に報告できることは報告すると答弁されましたが、大臣、その経緯について確認をされましたか。報告をお願いします。

【松本剛明 総務大臣】 総務省が三月七日に行政文書として公表した文書は行政文書ファイル管理簿への記載が行われていなかったということは既に御答弁の中でも申し上げてまいりました。

 これらの文書の中には作成者や作成経緯が不明なものもございますが、この時期の担当課の文書管理者に確認をいたしましたところ、行政文書ファイル管理簿に記載されていなかったとすれば記載の必要性の認識が十分でなかったかもしれないとのことでございました。このようなことから、特段の意図があったとは承知しておりませんが、本件行政文書が管理簿に記載されていなかったことは遺憾に思っております。

 行政文書の作成、管理に当たりましては、法令の規定にのっとり適切に行われるよう徹底してまいりたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 今の御答弁聞いて思うんですが、行政文書のガイドライン、私、読まさせていただきましたけれども、これ改定前のガイドラインを見ても、行政文書を作成したら行政文書ファイル管理簿に仮記載するという言葉で丁寧にガイドラインで示しているんですよ。

 本当にこんなことが単純ミスで起こるとお思いですか。どうですか。

【松本剛明 総務大臣】 繰り返しになりますが、この時期の担当課の文書管理者に確認したところは、先ほど申し上げたとおりで、行政文書ファイル管理簿に記載されていなかったとすれば記載の必要性の認識は十分でなかったかもしれないとのことでございまして、本件行政文書が管理簿に記載されていなかったことは遺憾に思っていると申し上げざるを得ないとも考えてはおりますが、以上です。

【伊藤岳 参院議員】 じゃ、お聞きしますけれども、この行政文書ファイル管理簿への不記載は公文書管理法違反という認識ですか。

【松本剛明 総務大臣】 公文書管理法第七条において行政文書ファイル管理簿に記載することが求められているというふうに承知をいたしております。

【伊藤岳 参院議員】 まあ法令違反だということはお認めになりました。

 行政文書の管理に関するガイドラインでは、行政文書ファイル管理簿の意義と機能について、法第一条に定める健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として主権者国民が主体的に利用し得るために必要不可欠なツールであると定めています。

 これを怠っていたということは、この法に違反していたということは、主権者国民から見れば隠していたということにほかなりません。桜を見る会の招待者名簿の行政文書ファイル管理簿への不記載が問題に過去になりましたが、やはり安倍政権下で官邸サイドからの放送法の政治的公平への政治的圧力を示した行政文書が不記載になった、安倍又は官邸案件は不記載として扱うということに誰かがしてきたのではないか、そういう疑念が生じて当然だと思います。

 事は法律の違反であり、桜を見る会の不記載では当時の安倍総理が国会答弁で陳謝しました。もう一度、直ちにこの不記載の経緯、改めて調べて当委員会に報告していただきたい。どうですか。

【松本剛明 総務大臣】 御報告申し上げたように、この時期の担当課の文書管理者に聞き取りを行わせていただきまして、ただいま御報告申し上げたとおりでございます。

 御指摘のとおり、法令に定めがあるところでもあり、管理簿に記載されていなかったことは遺憾であると申し上げざるを得ないというふうに思っているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 はい。文書管理者は、年度末の時点で保有している行政文書ファイル等の現況が法令及び訓令などに従い正確に管理簿に記載されたかどうか確認し、その内容を確定するとされています。

 こうしたガイドラインに基づく扱いからも不記載のままというのは到底あり得ないということを指摘して、質問を終わります。