議事録

2022年12月6日 総務委員会(タクシー乗務員の累進歩合制問題・旧統一協会と地方議会・松本総務相パーティー券問題)

議事録

【伊藤岳 参院議員】

 日本共産党の伊藤岳です。タクシー乗務員の労働条件について、二〇一三年の第百八十五国会において採択された附帯決議に基づいて通達が発出されてきました。通達は、過重労働や事故防止を目的に、累進歩合制を廃止すること、事業に関する経費を乗務員負担とする慣行を見直して労働条件を改善することを目的に、カード手数料控除を廃止することを求めています。

 ところが、賃金体系をこの十一月から改定をして、累進歩合制を廃止し、カード手数料の乗務員負担を廃止した埼玉県の飛鳥交通大宮営業所、これ業界大手の、最大手のグループ会社ですが、そこにおいて、新賃金体系後初めての算定日となった本日六日、タクシー乗務員の賃下げが起きている事態が明らかになりました。最多賃金帯である営業収入が四十三万円の場合、五万二千四百三円もの賃下げとなっています。

 厚労省にお聞きします。

 累進歩合制廃止、賃金体系の変更に伴い賃下げが起きないように労働基準監督署はどのような是正指導を行うのか、また賃下げなどの労働条件の不利益な変更は労働契約法上許されるのか、お聞きします。

 

【青山桂子 厚生労働省大臣官房審議官】

 お答え申し上げます。個別の事案についてはお答えを差し控えさせていただきますけれども、委員おっしゃいましたように、累進歩合制度につきましては、自動車運転者の長時間労働やスピード違反を極端に誘発するおそれがあり、交通事故の発生も懸念されることから、望ましくないものとして厚生労働省の通達により廃止すべきとしております。

 労働基準監督機関におきましては、累進歩合制度を採用する事業場を把握した場合は、労使間で検討の上、賃金制度を見直すなどにより累進歩合制度を廃止するよう指導しているところであり、引き続きこの指導を徹底してまいります。

 そして、賃金の引下げということでございますが、これも個別の事案についてのお答え差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、労働条件の不利益変更に当たると考えております。原則として、使用者は労働者と合意することなく一方的に就業規則を変更して労働条件を不利益に変更することはできず、就業規則の変更の有効性につきましては、労働契約法第十条の定めに基づきまして、最終的には司法において判断されることとなります。

 

【伊藤岳 参院議員】

 今答弁があったように、労働契約法上、賃下げという労働条件の不利益変更は許されないということです。政府も物価高騰対策の決め手は賃上げだと答弁しているときに、あってはならない事態だと思います。

 国交省にお聞きします。国交省が発出してきた通達は、労働条件を改善し、賃上げすべきという趣旨だったんではないでしょうか。なぜ労働条件を改善し、賃上げすべきとの認識なんですか。

 

【岡野まさ子 運輸安全委員会事務局審議官】

 お答え申し上げます。タクシー運転者の賃金等の労働条件については、基本的に労使間で決定されるべきものであると承知しております。他方、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、多くのタクシー運転者が離職しており、地域における移動の足を確保するためにはタクシー運転者の労働環境の改善が重要であると考えております。

 国土交通省としては、運賃改定の申請があった場合には速やかに審査を行うとともに、運賃改定後に運転者の労働条件の改善状況について公表するよう、タクシー事業者に対して指導を行っているところでございます。

 

【伊藤岳 参院議員】 

 今日取り上げた飛鳥交通でも、仕事を離れていくという人が続出しています。本当に今地域の足を守り抜くために、実態調査と必要な指導を求めたいと思うんです。

 委員長、この件の質問はここまでですので、厚労省、国交省には御退席いただくようにお取り計りいただきたいと思います。

統一協会と国、地方の政治家との関係をどう断ち切っていくかについてお聞きをしたいと思います。

 自民党は、統一協会と国、地方の政治家との関係を絶つと指示をしております。大臣、大臣は地方議員も統一協会との関係を絶つことがなぜ必要だとお考えですか。

 

【松本剛明 総務大臣】

 私も、自民党のことについて、方針などについて総務大臣として答えるべき立場にはございませんが、私といたしましては、これまで国会で総理がお答えになっておられるとおり、多くの議員が社会的に問題がある統一教会及びその関連団体と接点を有していたことが明らかになり、国民からの政治に対する信頼が損なわれていることを踏まえ、未来に向けて関係を絶たなければならないというふうに考えているところでございます。

 御案内のとおり、自民党におきましては、ガバナンスコード、これを改定をいたしまして、既に発表されているところでございますが、党所属の国会議員は、活動の社会的相当性が懸念される組織、団体からの不当な政治的影響力を受けること、又は、その活動を助長すると誤解されるような行動について厳にこれを慎むものとする、党本部はこれら組織、団体に関する党所属の国会議員からの照会に対応する体制を整備するというガバナンスコードを十月の二十五日に決定をいたしておりまして、十月の二十六日には都道府県の支部連合会の会長、幹事長各位に、世界平和統一家庭連合、旧統一教会との関係遮断についてということで、本部においてこのガバナンスコードの改定を正式に決定をしたこと、この党の方針、対応について理解の上、周知徹底をということで文書を発出したというふうに聞いておるところでございます。

 

【伊藤岳 参院議員】 

 今、自民党のガバナンスコードの話が出たけど、厳に慎むなんですよ、統一協会との関係。甘いと思います。

 統一協会の故文鮮明総裁の御言選集の存在が明らかになりました。そこにはこう書いています。国会議員との関係強化です、そのようにして国会内の統一協会をつくるのです、国会の協会ですよ、国会議員たちを百二十人以上束ねることができる名簿を作成するように言っただろう、それ、日本の国会議員が協会の組織になるようにするのです、原理を教育するだとか、そして、日本の中央の国会議員だけでなく地方もだという発言が掲載されています。恐ろしいと思いました。

 こうした統一協会の思惑どおりに、今や自民党国会議員三百七十九人中百八十人、約半数が関係を持っていたことが判明をしています。

 地方の自民党議員はどうでしょうか。深刻な広がりがあることが明らかになりました。

 共同通信が昨日アンケート結果を発表しましたが、教団や関連団体との接点があったと答えた都道府県議は三百三十四人です。うち八割強が自民党です。

 私の事務所で地方紙などから調べてみたところ、四十六都道府県の都道府県議が統一協会と何らかの関係を持っていたことが分かりました。これもほとんどが自民党です。

 大臣、この統一協会の故文鮮明総裁が、国会内に統一協会をつくる、国会議員だけでなく地方もと指示をし、そのとおりに、国会議員にとどまらず、地方議会に接近を図り、地方議員をからめている事態について、大臣、どう受け止めますか。

 

【松本剛明 総務大臣】

 まず、先ほど私、ガバナンスコードについて申し上げましたが、これは、活動の社会的相当性が懸念される組織、団体からの不当な政治的影響力を受けること、又は、その活動を助長すると誤解されるような行動について厳にこれを慎むということで、今お話がありました世界平和統一家庭連合、旧統一教会については、関係を持たない方針を徹底すると。これは総裁の立場で岸田総理がおっしゃっておられますし、先ほども申しましたが、地方の都道府県支部連合会会長、幹事長に発出された文書も、世界平和統一家庭連合、旧統一教会との関係遮断についてという表題で発出されている文書でございまして、一般的なルールとしての表現と具体的な旧統一教会との関係については、既に方針を明確に、関係遮断、関係を持たないという形で自民党が言っているということをまず申し上げたいと思います。

 先ほど、国会、そして地方議員のお話についてもございました。いずれにいたしましても、今申し上げましたように、政治への信頼回復のためにも、自民党として、国会議員が関係を持たないと同時に、地方においてもそれぞれこれを御理解をいただき、このことを周知を徹底していただくように党が要請したというふうに私は承知をしております。

 

【伊藤岳 参院議員】

 要請したと言いますけど、ここまで深刻な広がりがあるということについて、大臣から深刻な受け止めが聞かれないのは残念です。

 被害者救済新法の国会審議がいよいよ始まりましたが、地方議員が統一協会と関係を持って広告塔の役割を果たし、深刻な被害を生み出してきたのではないでしょうか。来春は統一地方選挙が控えています。統一協会と地方議員との関係をはっきりさせて選挙に臨むことが政治の責任ではないでしょうか。

 先ほど大臣は、自民党県連に対して統一協会との関係の遮断についてという通知を発出したと言われましたが、ところが、この通知には地方議員の接点調査は盛り込まれていないんですよ。甘いと思います。大臣、これで統一協会との関係を絶つことができると思いますか。統一協会と自民党地方議員との接点についての調査を行うべきじゃないですか。

 

【松本剛明 総務大臣】

 私はただいま政府の総務大臣の職にございますので、私から、自民党がどのようにすべきであるとか、自民党に対してということを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

 先ほどは、事実として既に自民党が行った行動については手元で把握することができましたので答弁をさせていただきましたが、今後の対応につきましては、政府・与党の一員である自民党において、政治の信頼を回復すべく、しかるべく御対応をいただけるものというふうに思っております。

 

【伊藤岳 参院議員】

 自民党の幹部でしょう、あなたは。何ですか、その答弁は。大臣としてなんか聞いていないですよ。大臣としてじゃない、松本さん、あなたからの立場を聞いているんですよ。調査すべきとも言えないんですか、自民党の幹部の一員として。これでは統一協会と自民党との関係は断ち切れないと思いますよ。これ、強く指摘しておきたいと思います。

 最後に、松本大臣の例のパーティーの問題について聞きたいと思います。

 大臣、二一年のパーティー会場は着席形式の最大収容人数が三百十五人なのに、販売したパーティー券はその三倍近い八百八十六枚、二〇年のパーティー会場は着席形式の最大収容人数百十人なのに、販売したパーティー券はその九倍を超える九百九十四枚だった。これまでの質問ではっきりしました。パーティー券を購入していただいた人数のパーティー参加者は想定、準備していなかったということがはっきりしたと思います。

 このことは、パーティーの記念品代などからも見えてきます。

 二〇年の記念品代について、その詳細を大臣にお尋ねしましたが、収支報告書から御推察いただきたいということだったので、私、推察いたしました。

 二〇年の収支報告書には、パーティーの記念品代として例年より格段に高い二百二十八万五千円が支出され、受注者は大和生研と記されています。セミナー形式で例年のような宴席が設けられない代わりに、この会社が扱っている折詰弁当を記念品として配ったのではないかと推察します。この会社のメニューを見ますと、五千五百円の弁当ならば四百十五人分、四千九百五十円の弁当ならば四百六十一人分が購入し、準備できることになります。販売したパーティー券は九百九十四人なのに、おいでいただいている方、おいでいただける方、参加者は四百十五人とか四百六十一人としか想定、準備していなかったということじゃないですか。

 何か反論ありますか。

 

【松本剛明 総務大臣】

 まず、先ほどの御質問についてでございますが、私は自民党の幹部ではございません。私も、外交の仕事も担当しておりますので、世界には様々な政体があり、政党の幹部と政府の役職を兼ねている政治形態もあるように承知をしておりますが、現在、私どもにおいて、閣僚においては、総理におかれましては総裁でいらっしゃいますが、他はそれぞれ政府・与党の役職に専念すべく役職を受け持っているものというふうに承知をしております。

 そして、私の政治資金パーティーにつきましての御質問がございましたが、まず、収支報告書から是非お読み取りをいただきたいというふうに申し上げておりますのは、収容人数についてもお話がございましたが、セミナー代、また室料としてお払いをしているものから、どの部屋をどう使っているのかも是非お読み取りをいただいて、収容人数の計算もお願いをいたしたいというふうに思っております。

 また、記念品代につきましては、もう今も御指摘がありました、お支払をさせていただいたことは事実でございますが、おいでいただいた方には全て対応させていただくような形で対応させていただいており、そもそも参加をいただく対価としてお支払をいただき、それに対する対応をいたしておりますので、法にのっとった形で運営させていただいて収支報告をさせていただいていると重ねて申し上げさせていただきたいと思います。

 

【伊藤岳 参院議員】

 はい、まとめます。疑惑について説明がなされていません。パーティーの参加の予定のない者にパーティー券を販売した場合には、これは寄附に当たります。収支報告書への記載が必要です。しかし、記載がありません。政治資金規正法に違反することだと思います。

 このままでは大臣としての資格がないと言って、質問を終わりたいと思います。