議事録

2022年12月2日 総務委員会(NICT法改正〈民間技術開発支援の検証なしの拡充〉・井野防衛副大臣の香典問題)

議事録

【伊藤岳 参院議員】

 日本共産党の伊藤岳です。

 情報通信研究機構は、民間基盤技術研究促進業務で五百七十二億四千四百万円もの繰越欠損金を抱えており、回収見通しも持てない状況であることが会計検査院から厳しく指摘されています。

 大臣、この繰越欠損金について会計検査院からはどのような指摘がされていますか。

 

【松本剛明 総務大臣】

 伊藤委員からは民間基盤技術研究促進制度運用に係る御指摘をいただいたところでございますが、NICTにおける繰越欠損金につきましては、会計検査院から、他の法人とともにでございますが、繰越欠損金の解消について、法人において効率的な業務運営を図ることや業務の公共的な性格を踏まえた検討を行うこと、政府出資金が回収されないおそれがある状況を国民に丁寧に説明すること、中期目標等に改めて目標を設定するなどすることといった御指摘をいただきました。

 この会計検査院からの指摘を受けまして、総務省におきましては、令和三年二月に策定したNICTの第五期中長期目標において、これまでの事業の状況に関して、できる限り定量的に検証、分析し、今後の対応等も含め公表すること、業務経費の低減化を進めることにより繰越欠損金の着実な縮減に努めることなどを指示いたしたところでございます。この中長期目標に沿って、NICTにおいてはホームページにおいて繰越欠損金の状況や事業の実施状況を公表しており、また総務省においてもホームページを通じて同様の情報提供を行っております。

 今後とも、総務省及びNICTにおいて繰越欠損金の回収に係る状況について国民に丁寧に説明するとともに、NICTにおいては中長期目標に従い繰越欠損金の縮減に向けて努力していただきたいと考えているところでございます。

 

【伊藤岳 参院議員】

 この業務を機構に位置付けた基盤技術円滑化法の改正で、国民の財産であるNTT株配当金を投入してきた政府と基盤技術研究促進センターの運営を主導してきた経団連の責任を覆い隠して、ツケは国民に押し付けて、大企業の負担なしに成果は全て企業に帰属させるというやり方が進められ、我が党はこれを厳しく指摘しました。

 こうした民間技術開発の支援の方向性や手法が適切だったのか検証することなしに支援の対象を広げ、恒常的な仕組みをつくり、拡充していくやり方には問題があります。

 中間答申では、宇宙、HAPSを挙げて、宇宙空間での活動への地上からの遠隔操作等の研究課題が記されています。今日は質問の時間の関係で飛ばさせていただきますが、こうした将来の研究について、国民の税金を投入しながらも収益は回収されず、欠損金は拡大し続け、国民には説明できないのでは済まされないということを指摘しておきたいと思います。

 井野防衛副大臣の公職選挙法に係る政治と金の疑惑がしんぶん赤旗日曜版に報じられました。今日、資料をお配りしております。公職選挙法を所管するのは総務省です。当委員会でお聞きをしたいと思います。

 井野副大臣にお聞きします。

 選挙区内の有権者に議員本人に代わって秘書、妻、母などが香典を渡していたという公職選挙法違反の疑いの報道、これ事実ですか。

 

【井野俊郎 防衛省副大臣】

 御説明申し上げます。

 過去、まあ四、五年前だったか、数年前だったと思いますけれども、私の方でもどの方の告別式だったかは確認はまだ、確認はできておりませんけれども、秘書が香典を持参して選挙区内のお葬式に出席したこともあったかと思います。

 しかしながら、その秘書はあくまでも私の政党支部の自由民主党第二選挙区支部を代表して出席したものでございまして、香典にも第二選挙区支部の旨記載し、受付でも秘書の名前を記憶していたというふうに思います。

 また同様に、私の親族の方も、親族もですね、私と一緒になって選挙運動だったり政治活動をする場面もございます。そういう中で、御縁をいただいた方、その私の家族が御縁をいただいた方の告別式等について、私の家族が私の家族の名前でその告別式等に出席していたということもあったかと思います。

 いずれにしても、私の代理ではなくて、その支部ないしは故人との関係で出席したものであると認識をしております。

 

【伊藤岳 参院議員】

 井野副大臣、とぼけてもらっては困りますよ。あなたの代表を務める政党支部は、三百四十三件もの葬儀をあなたの指示なしに勝手に回る支部なんですか。

 しんぶん赤旗日曜版には、会葬一覧というリストが届けられています。そこには、故人、亡くなった方の名前、葬儀の日付、斎場、香典の金額等が詳細に記載されていて、参列者の欄には、代議士妻、代議士母など、副大臣の親族の名前が記されています。副大臣の指示なしに妻や母が葬儀に参列できますか。個人の判断で参列できますか。とぼけてもらっては困ると思います。

 会葬一覧は、井野副大臣と井野事務所で作成したものですね。

 

【井野俊郎 防衛省副大臣】

 私も赤旗の記事は拝見をさせていただきました。しかし、ほとんど黒塗りでございまして、どこの文書なのか、これだけではちょっと私自身としては確認しようもございませんので、コメントしようがないということで申し上げさせていただきます。

 

【伊藤岳 参院議員】

 あなたとあなたの事務所しか知り得ないような内容が記されていますよ。直ちに確認して国会に報告していただきたい。

 こういう証言もしんぶん赤旗日曜版には報道されています。秘書はいつでも代理で参列できるように香典袋を用意しています。議員の代理で香典を渡す行為が井野事務所ぐるみで常習的に行われていたんだと私は思います。

 総務省に聞きます。

 議員本人に代わって秘書、親族が選挙区内の有権者の葬儀に出席して香典を支払うことは、公職選挙法上許されますか。

 

【森源二 総務省自治行政局選挙部長】

 お答えします。

 総務省は、個別の事案についての実質的な調査権を有しておりませんで、具体的な事実関係を承知する立場にございませんので、お答えを差し控えるところでありますが、その上で公職選挙法の規定について申し上げますと、公職選挙法上の寄附は、同法百七十九条第二項において、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のもの」と規定をされており、同条第四項において、金銭、物品その他の財産上の利益には、花輪、供花、香典又は祝儀として供与されたものも含むというふうにされております。

 そして、この寄附の制限に関しまして、公職選挙法では、公職の候補者等、それから公職の候補者等の関係会社や政党、政党支部、あるいは後援団体、こうした寄附を行う主体別に異なる内容の制限規定が設けられております。ただ、これらの者以外の者が自ら寄附すること、すなわち、その経費を自己負担して秘書本人や親族本人として寄附することについては特段の制限はございません。

 いずれにしても、個別の事案が公選法の規定に該当するか否かは具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。

 以上です。

 

【伊藤岳 参院議員】

 いろいろ説明されましたけれども、公職選挙法百九十九条の二には、自ら出席し、議員がですね、支払う場合除いて、香典を渡すのは禁止をされています。

 井野副大臣、選挙区内の新盆、新盆を迎えたお宅を訪ねてお包みを渡していたという報道は事実ですか。

 

【井野俊郎 防衛省副大臣】

 いつの時点のことなのかは、ちょっと私自身も御指摘の点はよく分かりませんけれども、選挙区外の方の私の御縁のある方、例えば同じ群馬県内で県議さんだとか会社の経営者の方であるとか、そういう方のお盆、初盆、新盆、新盆、そういうときには持参したことはあったかと思いますけれども、選挙区内の方のところには持参したことはございません。

 

【伊藤岳 参院議員】

 報道では選挙区内の方の証言が出ています。しかも、衆議院議員井野俊郎と判こが押された御仏前袋、これ編集局が入手しています。香典と違って、御仏前は議員本人でも公職選挙法では規制をされています。

 副大臣、秘書や親族に香典を持参させるとか、また新盆に御仏前を渡すとか、今も続けられているんですか。

 

【井野俊郎 防衛省副大臣】

 先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、選挙区内の方のところには御仏前等をお持ちしたことはございません。また、現時点でもそのようなことはございません。

 

【伊藤岳 参院議員】

 はい。これだけ複数の証言があって、事実が出されている、突き付けられている。説明できないのであれば、副大臣も議員も辞任されるべきですよ。これ、菅原元経産大臣の案件と全く同じじゃないですか。そのことを強く指摘して、質問を終わりたいと思います。

 

 

以下反対討論

【伊藤岳 参院議員】

 私は、日本共産党を代表して、国立研究開発法人情報通信研究機構法及び電波法の改正案に対する反対討論を行います。

 本法案は、将来における我が国の経済社会の基盤となる革新的な情報通信技術の創出推進のためとして、基金を情報通信研究機構に設置するものです。社会実装などの支援を含めた将来にわたる恒久的な枠組みづくりです。

 しかし、同機構は、既に新規募集を停止している民間基盤技術研究促進業務で五百七十二億円もの繰越欠損金を抱えて、回収されないおそれがあると厳しく指摘をされています。

 この業務を機構に位置付けた基盤技術円滑化法の改正では、NTT株配当金を投入してきた政府と運営を主導してきた経団連の責任が曖昧にされ、ツケは国民に押し付け、大企業の負担なしに成果を企業に帰属させるというやり方が進められてきました。こうした民間技術開発支援の方向性や手法が適切だったのか、検証することこそが求められます。

 その検証総括もなく、ビヨンド5Gの世界市場で、我が国の企業シェアを拡大し、国際競争力確保を目指すとして、基礎、基盤的な研究開発の段階から国費による集中的な支援を進めるとしていくことは問題であり、更に対象を広げ恒久的な仕組みをつくることには反対です。

 また、電波法の改正案では電波利用料を基金に充てることを可能とします。電波利用料は、免許を受けた者から徴収する共益費としての性格を有し、国民が広く電波を利用しやすくするために使われるべきであり、電波利用料の性格を超える措置には反対です。

 以上を述べ、討論といたします。