議事録
【伊藤岳 参院議員】
日本共産党の伊藤岳です。
岡田大臣が代表を務める自民党石川県参議院選挙区第二支部の政治資金報告書によりますと、宣伝事業費の中に広報掲示板管理料を計上して、選挙区在住の有権者の方に一件当たり一万二千五百円から八万円を支出していました。この広報掲示板管理料という名目で現金を配る、公職に就く同じ議員として、私、こんな話聞いたことがありません。
公職選挙法の第百九十九条の二には、公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならないと定めています。同第百七十九条の二では、寄附の定義として、寄附とは、金銭、物品その他財政上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいうとしています。
岡田大臣にお聞きします。
公職選挙法では、寄附はごく一部の例外を除いて禁じられている、しかも、禁止される寄附の定義は、社会通念上の概念より広く定義されている。大臣、これ、当然同じ認識ですよね。
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】
お答え申し上げます。
委員お尋ねの公職選挙法につきましては、これは総務省の所管であり、この法律の具体的な解釈についてお答えする立場にはございませんが、私の認識について申し上げたいと存じます。
まず、公職選挙法の寄附につきましては、ただいまも御指摘がありましたように、同法百七十九条第二項において、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のもの」というふうに規定されております。
その上で、今御指摘がある広報掲示板管理料を設置の対価や管理の対価として支出することについては、債務の履行に当たるもの、該当するものであり、寄附には該当しないことから、公職選挙法第百九十九条の二に規定する寄附の禁止には何ら抵触するものではないと考えてございます。
【伊藤岳 参院議員】
寄附について、公職選挙法の解説では、党費、会費その他債務の履行について、あらかじめ定められたところに従って構成員の地位に基づいて支出する通常均一な債務及びその履行行為とされています。その他債務の履行についても、あらかじめ定められたところに従いなされることが重要であって、勝手に根拠なく対価だというのでは寄附として扱われます。そういう認識も、大臣、ありますか。
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】
私のこの参議院第二選挙区支部、石川県の、でございますが、党勢拡大を図るために政党活動の一環として支援者の土地や家屋に設置させていただいている広報掲示板につきましては、これは債務の履行に該当するものと考えており、寄附には該当しないものと考えております。
これは、先ほど申しましたように、公職選挙法については、総務省の所管でありまして、具体的な解釈についてお答えする立場にありませんけれども、私の認識について申し上げているところであります。
【伊藤岳 参院議員】
私聞いたのは、勝手に根拠なく対価だというのは寄附として扱われますかということだったんですよ。
じゃ、もっと具体的に聞いていきます。大臣ね、この認識が希薄では、大臣としてばかりか、国会議員としての資質が問われると思うんです。是非丁寧に答えていただきたい。
大臣は衆議院の委員会で、広報掲示板管理料について、設置の対価と管理の対価として支出しているというふうに答弁されました。では、この広報掲示板管理料の支出が債務の履行に沿って厳格に行えているのか、以下、お聞きしていきたいと思います。
大臣は、広報掲示板管理料は一件当たり二千五百円と答弁されてきました。二千五百円の内訳として、設置の対価は幾らで管理の対価は幾らなんですか。
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】
先ほども申しましたが、これは、掲示板を個人の所有地内に設置していただいていることへの対価や、不具合がないかの確認、不具合が生じた際の修理、事務所への連絡などの管理を行っていただくことへの対価という性格に鑑みて、全体として一か所当たり年間二千五百円という額に設定されているものであります。
実際に、例えば過去一年を振り返りますと、まあ年によって変動はありますが、過去一年では四回にわたってポスターの交換作業を行っております。その際には支援者に貼り替えの御協力をいただくなど、管理の実態はしっかりあり、こうした点からも年間二千五百円の額は妥当な水準と考えているところであります。
【伊藤岳 参院議員】
問いに答えていないです。設置の対価が幾らで管理の対価が幾らなのかと聞いているんです。
そのことと併せてもう一つ答えていただきたい。それと、二千五百円のこの積算の内訳がどのようになっているのか、具体的に示してほしいんですよ。
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】
これは先ほども申しました。広報掲示板を設置していただいていることへの対価、そして、不具合がないか、これを日常的に確認をされていることの対価、そういった不具合が生じた際の修理、連絡等の管理を行っていただいている対価を総合的に勘案して、全体として一か年当たり年間二千五百円の額に設定されていると、こういう次第でございます。
【伊藤岳 参院議員】
つまり、総合的に勘案してというところの、設置の対価が幾らで管理の対価が幾らという仕分はないということですよね。具体的にと聞いているんだけど、全然具体的に示されないんですよ。ただただ妥当な金額だということしか聞こえてきません。
例えば、当時自治省が出したQアンドAというのがあります。こう書いてあるんです。お寺への寄附や寄進はもちろん寄附とされるが、墓の維持管理は債務の履行と扱われる、なぜかといえば、墓の管理料はそれぞれのお寺であらかじめ定められており、まさに債務の履行として行われるものだからだと。
ところがですよ、大臣のこの広報掲示板管理料は、政党支部の側が一方的に一律に二千五百円と決めているものです。これが債務の履行を構成するのか、極めて怪しいと私は思います。
広報掲示板を掲示してもらう有権者と管理料についてのあらかじめ定めた文書などは存在しますか。
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】
これは、文書というものは存在しないと思います。しかし、口頭をもってしても契約というものは成り立つものであり、債務というものは生じると、そういうふうに考えております。
【伊藤岳 参院議員】
驚きましたね。文書などはない、履行すべき債務であることを取り交わしている文書などがないということを今確認しました。
設置して、じゃ、そうしたらですよ、文書がないとすると、設置して管理してもらえば二千五百円ですよと個々の方が勝手に個々人の言い方で触れ回って掲示しているということですか。これ、金の掛からない透明な選挙に照らして、それこそ問題ではないかと思うんですよ。
大臣、もう一度聞きますが、その二千五百円の積算の根拠、具体的に示されないですよね。設置の対価が幾ら、管理の対価が幾らと言えないんですね。勘案してなんですね、総合して。
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】
これは、どれだけが設置の対価、そしてどれだけがそれを管理していただく対価と、これを截然と、あるいは截然とと言うのかもしれませんけれども、区切りを付けるということはなかなか難しいところでありまして、これを総合的に勘案して、そうした対価というものを総合的に勘案して決めているところであります。
【伊藤岳 参院議員】
大臣、難しくないですよ。棒を立てることに使ったので棒のお金とか、掲示板を見張りに行ったときにガソリンが掛かったからガソリンのお金と具体的に示せるはずだと思いますよ。
じゃ、別な角度でお聞きする。
大臣が代表を務める政党支部では、広報掲示板を設置していただいている有権者から、設置料、管理料が支払われていないとか、請求を受けることはあるんですか。
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】
お答えを申し上げます。
この管理料の支出というのは、これは年に一度ないし四回、最近では四回、年に貼り替えたわけでありますけれども、そうした際に、ポスターを、新しいポスターを管理者に持参をする、そうした際にこの管理料を支出をすると、これが例になっておるようでございます。そうした請求を受けるといったことは聞いたことがございません。
【伊藤岳 参院議員】
まあ、文書もなければ請求されたこともないということですね。
もしですよ、債務の履行、公職選挙法の言う債務の履行を厳格に貫くのであれば、一件一件の有権者に広報掲示板管理料がどのように渡されているのか、渡っているのかが問題になると思います。
例えば、私、政治資金収支報告書を見ましたけれども、ある方が、あるお一人の方ですけど、二〇一八年と二〇一九年に八万円、管理料を受け取っていることになっています。翌二〇年には七万七千五百円が広報掲示板管理料として支払われていることになっています。で、この方に支払われたこの八万円、大臣の説明でいうと、これ八万円ですから広報掲示板三十二件分ということになると思いますが、七万七千五百円は三十一件分ということになると思います。
じゃ、この場合、この方が三十二件、三十一件の全ての掲示箇所の有権者の方に管理料を手渡しに歩くんですか。その方から領収書を一人一人受け取っていることになるんですか。(発言する者あり)
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】
いやいやいや。これはですね、多くの方、支出しておる方は、この自民党の金沢における地域の党員あるいは支持者の方のグループの世話役とでも申すべき方でありまして、そこに支出をいたしております。そして、きっちりと、これは申し上げますが、領収書も、この広報板の管理料の名義で明記された領収書をいただいているところであります。
【伊藤岳 参院議員】
ちょっと曖昧なんですが、つまり一件一件のお宅には回っていないということですね。八万円の方、八万円を払った方が取りまとめて、その方に払っているということなんですね。どうなんですか。
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】
その八万円の方に限らず、幾つかのそのグループの世話役というかリーダーのような方々に、その具体の一つ一つの掲示板の設置については地域の協力者の御支援も得てやっていただいておりますので、その管理料の扱いについてはそのまとめ役となる世話役の方にお委ねをしておるところであります。
【伊藤岳 参院議員】
大臣、この間の衆議院の答弁の方では一件一件全てからと何度も繰り返していますよ。違うじゃないですか、答弁が。一件一件全てなんか回っているかどうか怪しいですね、今の大臣の話だと。お任せしているんですから。
大臣、三百七十六か所設置されていて二百八十一か所に管理料を支払っていたと答弁しています。二百八十一か所分の領収書、大臣自身が現認しているんですか、見ているんですか。
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】 はい。支出すべき方に支出をして、その領収書をいただいておる、その件については報告を受けております。全て、そのお名前、書かれたもの、印鑑もつかれたもの、そして金額がはっきり入ったもの、そうしたものを確認しておるところであります。
【伊藤岳 参院議員】
先ほどの質問に戻りますけれども、大臣は、この間、一件一件全てからと繰り返してきたけれども、束ねている方に委ねているところもあるわけだから、一件一件全てからとは言えないですね。大臣、それはいいですね。一件一件全てから、全てにお願いして回った、一件一件全てに現金渡した、一件一件全てに領収書もらったというふうには任せているんだから言えないですよね、確認できないですよね。領収書はあったかもしれない。でも、領収書は誰が書いたか分からないからね。
どうですか。
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】
そうした支出すべき方からは全ていただいているということでありまして、その領収書が本当かどうか分からないというのは、これは正真正銘、しっかりとお渡ししたところには領収書をいただいております。
【伊藤岳 参院議員】
委ねた方には、本当に全部回ってもらったか確認しているんですか。全部回ってくれましたかと確認しているんですか、領収書以外に。
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】
それは、例えば五件、その広報掲示板を管理すると、二千五百円掛ける五で一万二千五百円ということで収支報告書にお名前が載るわけでありますけれども、そうした方々については全て適切な管理をしていただいておると、こういうふうに確認をいたしております。
【伊藤岳 参院議員】
広報掲示の設置と管理に対する対価であり、債務の履行である、寄附ではないというのであれば、文書等であらかじめ債務の発生について共有されているのか、債務の履行の結果である領収書は存在するのか、領収書は広報掲示板を了解し管理を行うとされている有権者が書いたものであるのか、確認することが必要ですよ。
大臣、設置、管理についての文書、そしてあると主張する領収書、提出してください。いつまでに提出していただけますか。
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】
それは委員会の御判断だと思いますが、領収書と、もう一つは何とおっしゃいましたでしょうか。(発言する者あり)管理についての文書というものは、明示的に文書を作ったことはないと承知いたしております。それは、資料については委員会の御判断になるのかと思います。
【伊藤岳 参院議員】
もう一つ聞きます。
大臣、広報掲示板、石川県内に三百七十六か所、ほとんどが金沢市内と言われました。金沢市外にも、私、相当数広報掲示板があるんだと思いますね。金沢市外の設置している広報掲示板の設置者の方には管理料は支払われていないと。
管理料が支払われている広報掲示板の設置箇所と、そうじゃない設置箇所があるということでいいんですね。
【岡田直樹 内閣府特命担当大臣(地方創生)】
広報掲示板、石川県内に三百七十六か所ありまして、そのうち、広報掲示板管理料を支出しておる二百八十一か所と、支出せずに事務所等が直接管理する九十五か所がございます。
直接管理する九十五か所については、県内各地に所在する党の支部や企業後援会等の敷地内に設置したものが中心となっております。
他方、広報掲示板管理料を支出している二百八十一か所については、かねてから党勢拡大に向けた政党活動を重点的に実施してきた金沢市内できめ細かく広報を行っていくために、個人の所有地内に設置させていただいておるものであります。
それで、党の支部や企業後援会等が管理している広報掲示板については、党の支部は、これ党勢拡大を図るための政党活動を行うことは主な目的でありますし、広報掲示板の設置対価、設置、管理等の広報活動も本来業務に当たるということで、対価の支出は要さないものと考えております。また、企業後援会等も、これは党勢拡大に理解と協力をいただける団体であり、また、党の支部と同様に組織として一定の体制を有しているため、個人と比べ相対的に管理の負担が小さく済む、こういうことを踏まえて対価の支出は要さないと考えているところであります。
【伊藤岳 参院議員】
はい。いろいろ聞いてきましたけれども、あらかじめ定めた債務の履行ということを裏付ける証拠は示されませんでした。私は大臣の辞任を強く求めたいと思います。
以上で終わります。