議事録
【伊藤岳 参議院議員】
日本共産党の伊藤岳です。法案は、国の行政手続での納付において、当該手続に関する法令の規定にかかわらず、各府省の判断でインターネットバンキングやクレジットカード、電子マネー、コンビニ決済などによる支払を可能とするものです。従来の現金や印紙による支払のほか、納付方法の選択肢を広げることになると思います。法案には賛成をいたします。
同時に、システム障害の影響が懸念をされます。最近も、e―Taxの接続障害が起きて、確定申告書が送信できないという問題も発生をいたしました。こうしたシステム障害への対応について、牧島大臣は、さきの衆議院内閣委員会において、指定納付受託者が主務省令に定める指定日までにシステム障害等による納付することができなかった場合においても主務省令で必要な対応が取れるように、デジタル庁として主務省令のモデル例を作成するとの旨答弁されました。間違いないですよね。是非、システム障害への対応について万全を期していただきたいということを求めておきたいと思います。
今日は、キャッシュレス化などを進めるデジタル庁とは一体どういう組織なのかということを聞いていきたいと思います。デジタル庁について、前大臣の、平井前大臣は、組織体制を議論と試行錯誤で柔軟に変更、決定していくというアジャイルガバナンスとか、役割や必要となる権限は後から決めていければよいと語っておられました。牧島大臣も、講演などの場でアジャイル型と言われ、本当は時代への適応を考えて変更しなければならないにもかかわらず、先送りしたり遅れたりしてしまっていると述べておられます。
小林副大臣ですかね、お聞きします。アジャイル型、このアジャイル型の組織とは一体何なのか、どのような組織なんでしょうか。
【小林史明 デジタル副大臣】
いわゆるアジャイル型とは、一般に、システムやソフト開発において素早く柔軟に開発を行うものであるというふうに考えております。
デジタル庁は、多くの府省庁のような局や課といった職務を固定する組織ではなく、統括官、参事官といったその時々の情勢に応じて職務を変更することができる職から成る組織にしております。このため、アジャイル型が意味するとおり、情勢が変化すれば職員の配置を素早く、かつ柔軟に変更することができるようにしております。
【伊藤岳 参議院議員】
牧島大臣にお聞きします。そのアジャイル型の組織形態、これ、デジタル庁にとってなぜ必要なのか、どんな強みがあると考えていますか。
【牧島かれん デジタル大臣】
今御答弁申し上げましたとおり、行政需要の変化というものは多様化している、さらには情報通信技術も急速に発展している、こうした昨今の情勢に素早く機敏に対応できる体制をデジタル庁としてはつくることでデジタル化を進める、デジタルトランスフォーメーションを進めていくということが意図としてございます。政策課題の進展、業務の遂行状況等に応じて常に組織や運営体制の最適化を図ることができる、これが強みでありますし、機動的にプロジェクトを推進することができる体制となっております。
【伊藤岳 参議院議員】
それでは、もうちょっと具体的に組織のありようを聞いていきたいと思います。デジタル庁にお聞きします。デジタル庁の組織に関する訓令の中で、第五条、デジタル庁の事務分掌その他組織の細目はデジタル監が定めるとされています。このその他の組織の細目に当たるものにはどのようなものがあるんですか。
【山本和徳 デジタル庁審議官】
お答えいたします。デジタル庁の組織に関する訓令第五条におけるその他組織の細目に当たる規定は、現時点では定めてございません。
【伊藤岳 参議院議員】
それでは、デジタル監の事務分掌について、デジタル庁設置法ではどのように定められていますか。
【山本和徳 デジタル庁審議官】
お答えいたします。デジタル監の所掌事務は、デジタル庁設置法第十一条第二項におきまして、「デジタル庁の所掌事務に関する重要事項に関し、デジタル大臣に進言し、及びデジタル大臣の命を受けて、デジタル大臣に意見を具申すること。」、「デジタル大臣を助け、庁務を整理し、デジタル庁の各部局及び機関の事務を監督すること。」と規定されてございます。
【伊藤岳 参議院議員】
つまり、デジタル監という立場は、規定に余り縛られることがない、しかも、デジタル庁の所掌事務に関してデジタル大臣に具申することができるし、デジタル庁の各部局及び機関の事務を監督することなど、デジタル庁の事務全体を左右する位置にあるということだと思います。
そのデジタル監の下でデジタル庁の組織体制を見ますと四つ、現在四つのグループに分かれていて、戦略・組織グループ、デジタル社会共通機能グループ、国民向けサービスグループ、省庁業務サービスグループと、この四つになっています。このグループを設置した根拠となる規定は何でしょうか。
【山本和徳 デジタル庁審議官】
お答えいたします。これらのグループにつきまして定めた規定はございません。これらのグループにつきましては、関連する職務命令を受けた者の集まりのことをそのように呼称しているものでございます。
【伊藤岳 参議院議員】
とにかくアジャイル型というのはなかなか規定というのはない、なかなかないんですよね。じゃ、そのデジタル庁の四つのグループの事務分掌を定めている規定は何かあるんですか。四つのグループが何をやるかの規定は。
【山本和徳 デジタル庁審議官】
お答えいたします。先ほどのお答えと重なってしまいますけれども、この戦略・組織グループ、デジタル社会共通機能グループ、国民向けサービスグループ、省庁サービスグループにつきましては、この事務分掌を定めている規定はございません。これらは関連する職務命令を受けた集まりを、職員の集まりのことをそのように呼称しているものでございます。
【伊藤岳 参議院議員】
あらかじめ定めた、定義された業務についての、業務については規定がないということです。
大臣にお聞きします。昨年四月二十日、参議院内閣委員会、当時はまだ平井前大臣でしたが、平井前大臣がこう答弁されています。デジタル庁の組織や運営体制自体が政策課題の進展や業務の遂行状況等に応じて常に最適化を図り、柔軟な業務配分の見直しを可能とすることが重要だと、こう言われています。つまりこれ、四つ今あるグループがありますが、この四つのグループの編成の変更もあり得るのか、また、そのグループの中に各部署がありますが、ある部署が状況の変化において廃止をされるということがあり得るのか、そうなると、公共サービスの執行や業務の継続性というのは何によって担保されるのでしょうか。
【牧島かれん デジタル大臣】
これまで御答弁申し上げましたとおり、必要な人員が必要な業務に当たることができるという編成を取っております。この人員数が例えば減少したプロジェクトから優先度の高いプロジェクトへ人員シフトするといったような、組織運営上必要な場合には体制を柔軟に見直すことができるようになっておりますし、そうした対応ができるような体制というものがこのデジタル庁においては重要であるというふうに考えております。
一方で、皆様の御懸念をしっかりと払拭をしなければならないということもございます。体制が仮に縮小する場合であっても、例えばデジタル庁がリリースしたシステムに対してはデジタル庁として責任を持って運用に当たっていくということは当然でございますので、その責任は果たしてまいります。
また、デジタル庁が策定した情報システムの整備及び管理の基本的な方針などがございます。ここでは、プロジェクトに関連する業務や制度に理解を持ち、コア要員として中長期的にプロジェクトに関与する職員を確保すること、人事異動の際には決定事項だけではなく経緯も含めて確実に引継ぎをすることなどを示しております。これらの方針に沿って、責任を持ってシステムを運用してまいりたいと考えております。
【伊藤岳 参議院議員】
各グループのある部署の縮小はあり得るということですね。縮小、廃止があり得るということだと思います。今大臣言われましたけど、例えば医療に関わるシステム、今ではオンライン資格確認システムなどがありますが、こういうものを扱う部署が縮小若しくは廃止されるというふうになっていくことも状況の変化によってはあり得るということだと思いますが、本当にそういう中で公共サービスの業務の継続性が担保されるのか、これは非常に懸念を持っております。
もう一問、大臣に聞きます。先ほど紹介した昨年の内閣委員会で、平井前大臣が、局長級の統括官や課長級の参事官といった柔軟な業務の分配を可能とする組織形態を取る、また、その上で、職務を適切に配分し、指揮監督関係を明らかにすることにより、デジタル庁内での権限と責任の所在を明確にすると答弁されていました。
しかし、先ほどお話があったように、柔軟な業務配分の見直しを可能とするというのがデジタル庁ですから、ある部局が縮小、廃止になることもある。そういう中で、この権限や責任の所在を明確にする保証というのはどこにあるんでしょうか。
【牧島かれん デジタル大臣】
機動的にプロジェクトを進めてはおりますが、リリースしたシステム、サービスに対しての責任はデジタル庁としてしっかりと持っております。
その上で、デジタル庁設置法上に基づいて御答弁いたしますと、デジタル庁においては、デジタル大臣が事務を統括し、デジタル監が庁務を整理し、事務を監督すること、その上で、命を受けて事務を分掌する統括官を置き、さらに、命を受けて統括官のつかさどる職務を助ける審議官及び参事官を置くことなどは法令によって定められております。
このように、庁内の権限と責任の所在が法令上明確になっているということは申し上げられると思いますし、引き続き適正な業務遂行に努めてまいります。
【伊藤岳 参議院議員】
今日は、非常に懸念をするということをお伝えをしておきたいと思うんです。今後の委員会で更にちょっとお聞きしていきたい。特に、いろんな状況の変化で、ある部署が縮小、廃止になっていく。本当にその業務の継続性が担保できるのかどうかというのは、また随時聞いていきたいと思います。デジタル監や大臣が責任持つといっても、その部署がなくなっちゃったら一体誰を頼って責任持つのかということになりますので、今後も聞いていきたいと思います。
デジタル庁にお聞きします。四つのグループごとの、一つ、職員数、二つ、うち民間出身者数、常勤、非常勤の別で、三つ、民間出身者のうちの任用根拠別人数を示していただけますか。
【山本和徳 デジタル庁審議官】
お答えいたします。大変恐れ入りますが、グループをまたいだ兼務も多うございまして、令和四年四月現在での数値は精査中でありますので、お許しを得て令和四年一月一日時点における数値で回答申し上げたいと思います。令和四年一月一日現在におけるデジタル庁におけるまずグループ別の職員数でございます。戦略・組織グループが二百二十六名、デジタル社会共通機能グループが百七十七名、国民向けサービスグループが七十五名、省庁業務サービスグルー
プが八十八名でございます。
次に、各グループにおける常勤、非常勤別の民間出身者の数をお答えいたします。戦略・組織グループにおきましては、常勤職員の数が三名、非常勤職員の数が四十八名、デジタル社会共通機能グループにおきましては、常勤職員数が一名、非常勤職員数が九十二名、国民向けサービスグループは、常勤職員数が五名、非常勤職員数が三十三名、省庁業務サービスグループは、常勤職員数が一名、非常勤職員数が十一名でございます。以上でございます。
【伊藤岳 参議院議員】
つまり、デジタル庁の職員というのは他省庁と違って民間出身者の占める割合が非常に多いということです。役職者であるデジタル審議官、顧問、参与、CA、CDO、CISO、CPO、CTOについても民間出身者が多数を占めています。その点では、利益相反などが生じないように、デジタル庁という公務の職場における公平性、公正性の確保が大きな課題となっていると思います。
時間なので、大臣、簡潔で結構なんですが、昨年九月のコンプライアンス委員会で、適用除外、調達の公平性に関して適用除外があることについて委員から懸念が表明されていました。これ、大臣の見解、どう対応するか、お答えください。
【牧島かれん デジタル大臣】
デジタル庁コンプライアンス委員会からは様々御指摘をいただいておりまして、実効性担保のために、例えばこのコンプライアンス委員会では、ペナルティー、事後的なペナルティーを設けることが有効なのではないかなど御意見をいただいた上で、現在、コンプライアンス委員会のこの様々なルールについて一定の評価をいただいておりますので、当面は現行のルールのまま運用していくということで了承いただいているところでございます。
【伊藤岳 参議院議員】
終わります。ありがとうございました。