議事録

2022年4月20日 国際経済・外交調査会「海を通じて世界とともに生きる日本について」(意見表明)

議事録

【伊藤岳 参議院議員】

 日本共産党の伊藤岳です。今後の海洋政策の在り方が検討されていく時期に当たって、本調査会での参考人の方々の御意見や議論を是非生かしていただきたいと思います。

 まず、海洋秩序の維持及び海洋の安全保障についてです。

 ロシアによるウクライナへの侵略は断じて許されません。この間、二回にわたる国連の緊急会合や百四十か国を超える国々の賛同で決議が採択されたことが、徐々にロシアを政治的に追い詰めています。国連憲章、国際法に基づいて、いかなる理由であれ力による現状変更は認められないと国際社会が対応を強化していくことが今こそ求められていると思います。海洋秩序の維持及び海洋の安全確保においても、この国連憲章、国際法の原則が貫かれるべきだと思います。

 伊藤参考人は、やらなくていい戦争をやらないような制度構築が必要、複数の国家間で国際協調することが欠かせないと述べられました。

 国家間で、あっ、済みません、北岡参考人は、地域秩序の成功のためには、参加国の平等を含め、健全な原則が必要であると、ASEAN憲章を紹介されました。ASEAN憲章では、共通の利益に重大な影響を与える案件に関する協議の強化などを掲げていますが、意見の対立を平和的な話合いで解決することを義務付けた友好協力条約、TACを締結し、協議を強化しています。

 もめ事や意見の対立を紛争や戦争には発展させない、非常に重要な実践だと思いました。日本の今後の海洋政策に生かされるべきではないかと思います。

 寺島参考人は、沿岸域総合的管理で地方創生と併せて海の安全を進める、見守ることの重要性を語られました。沿岸の陸域、海域を沿岸域として、そこを町域に編入して地方交付税の算定面積に入れて、環境、生態系の保全と持続可能な開発利用を進める、そして、そのことが海の安全の見守りにもつながるとの提案でした。今後の海洋政策の検討課題に位置付けられるべきだと思いました。

 海洋環境保全について述べます。

 が、何回かの調査会で議論となりました。植松参考人は、海洋科学の十年が終了する二〇三〇年には、誰もがその明確な成果に共感し、人と海洋の調和が実現でき、更に変貌を続ける地球環境に対応できる社会になることを願っていますと強調されました。

 私は、海洋プラごみ問題は3Rでといいますが、サーマルリサイクルに依存せざるを得ない現在の方策では、プラスチックごみの焼却処理によりCO を排出して気候変動、海洋気象に影響を与えるリデュース、削減に優先的に取り組むべきだと思うと意見表明をさせていただきました。プラ製品の大量製造、大量消費という経済社会の在り方を見直すとともに、プラスチックの製造企業責任の課題などが今後の海洋政策で明確にされるべきだと思います。

 最後に、水資源の管理と持続可能な利用についてです。

 小林参考人は、漁業権のない漁獲や漁獲量を報告しない漁獲などのIUU漁業の廃絶を課題として挙げられました。水産資源の管理が重要であることは当然です。同時に、個別の漁獲枠が妥当だという魚種もあると思いますが、その場合でも、漁業者自身が規制方法などを決める、若しくは最低でも同意するということが必要だと思いました。また、漁獲圧、漁獲資源への影響の強い巻き網など、大規模漁業から規制を強化するべきだということも感じました。今後の海洋政策に反映されることを望みます。

 最後に、鶴保委員長並びに理事の皆さん、委員の皆さん、また事務方の皆さんの御苦労に感謝を申し上げて、意見表明といたします。ありがとうございました。