議事録

2022年4月14日 総務委員会(統計不正問題)

議事録

【伊藤岳 参議院議員】

 日本共産党の伊藤岳です。統計不正の問題についてお聞きします。国交省は、会計検査院から指摘を受けた後、令和二年、二〇二〇年十月に統計委員会評価分科会に対して提出した資料の中に、足し上げて合算処理をしていることを示す三枚の資料を混入させました。この件について、国交省の検証委員会報告書には次のように書かれています。

 総務省統計委員会の評価分科会で検討とされてきていた建設工事施工統計調査における欠測値の補完についての見直し作業が行われていたが、この建設工事施工統計調査の欠測値の補完の見直しに乗じ、本件合算処理を評価分科会に参考資料として提出して報告したことにし、同部会において審議を経たとの説明ができるようにしようと企図した形跡が認められるとされています。

 つまり、二重計上とは示してはいませんが、合算処理が行われていることを統計委員会評価分科会に承認されたかのように装うための国交省が企てた作戦だったということであります。

 金子大臣、本件合算処理を評価分科会に参考資料として提出して報告したことにして、同分科会において審議を経たとの説明ができるようにしようと企図したこの国交省のたくらみ、けしからぬと思いませんか。

 

【金子恭之 総務大臣】 

 伊藤委員御指摘の件でございますが、国土交通省の検証委員会の報告書において、評価分科会からの了解が得られたもののような形作りをした上で、当月分のみを計上する方法に修正したものと認めざるを得ないとの評価がなされておりまして、不適切な対応であると言わざるを得ないと考えております。

 このような事態が繰り返されぬよう、統計委員会の公的統計品質向上のための特別検討チームにおいては、事案の発生原因まで遡ることにより、品質優先の組織文化の形成、風通しの良い職場環境の醸成など、公的統計の作成に係る様々な課題の抽出を行い、それらを踏まえ、実効性のある再発防止策の検討を進めております。総務省としては、このような統計委員会における検討を引き続き全面的に支援をしてまいりたいと思います。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 大臣から、このけしからぬという思いが伝わってこないんですよね。

 タスクフォース報告書によると、国交省が統計委員会評価分科会に提出した資料について、統計委員会側は、施工統計調査以外は分科会の審議事項ではないからと当該資料を提出することを拒んだ、しかし、国交省は再度、再々度資料を提出しようとした、統計委員会側の電話での問合せに、資料を上司がどうしても残しておきたいと言っていると答えていました。ところが、統計委員会側は、今回の評価分科会の審議事項ではないので、当日の説明時間は余り取らないでもらいたいの旨伝えて、資料を最終的には受け取って、評価分科会にその資料を配付をしています。

 総務省、この資料を上司がどうしても残しておきたいと言っている、この国交省に対してどう答えたんですか。

 

【吉開正治郎 総務省政策統括官】

 お答え申し上げます。今先生からお話がございましたように、統計委員会のタスクフォースの報告書におきまして触れられておりますけれども、その第八回の評価分科会は、受注動態統計調査ではなくて施工統計調査の欠測値補完、これの見直しが議題でございました。にもかかわらず、国交省の方から受注動態統計の見直し等に関する参考資料の添付をしたいというお申出がありましたので、国土交通省に対して電話で理由を問い合わせたところ、上司がどうしても残しておきたいと言っているという旨の回答があったため、今回の評価分科会の審議事項ではないので、当日の説明時間は余り取らないでもらいたいという旨をお伝えしたところでございます。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 今回の評価分科会の審議事項ではないと今言われましたね。そして、統計委員会側がそのように拒んだのは当然だと思います。しかし、審議事項ではないと言いながら、なぜその審議事項ではない資料を受け取ってしまったんですか。何で配付をしたんですか。しかも、当日、説明時間は余り取らないでもらいたいと、説明することまでなぜ許したんですか。

 

【吉開正治郎 総務省政策統括官】

 お答え申し上げます。今御指摘の点でございますけれども、国交省から参考資料として提出したいという強い要請がございましたので、事務方ですね、統計委員会担当室の評価分科会担当でございますけれども、こちらにおきまして、当日の会議資料に参考資料として加えることとし、かつ、先ほど申し上げましたように、今回の評価分科会の審議事項ではないので、当日の説明時間は余り取らないでもらいたいという旨を申し添えた上で、それらを含めた資料全体について評価分科会に提出ということを認めたということでございます。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 おかしいじゃないですか。強い要請があったら、審議事項ではない資料も受け取って配付するんですか。それはどういうルールに基づいているんですか。何か国交省の強い要請に意図を感じ取ったんですか。どうですか。

 

【吉開正治郎 総務省政策統括官】

 お答え申し上げます。今申し上げましたとおりに、第八回の評価分科会の審議事項では、審議事項は施工統計調査の欠測値調査の見直しでございました。ただし、国交省からは、この施工統計調査の欠測値補完の見直しに伴いましてほかの統計調査への影響もあるので、それについて説明したいという要請がございました。ほかの統計調査への関連についても説明したいというお話がございましたので、その一つが受注動態統計調査であったということで、参考資料に加えるということを容認したということでございます。ただし、その評価分科会の審議事項そのものは、繰り返しになりますけれども、施工統計調査の欠測値補完の見直しでございました。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 全く得心がいきません。審議事項ではない、資料は提出してもらっては困ると拒んでおきながら、最終的に資料を受け取って説明までさせる。この資料を受け取って説明させることは、最終的に誰が判断したんですか。

 

【吉開正治郎 総務省政策統括官】

 お答え申し上げます。御指摘の資料を当日の会議資料に参考資料として加えることといたしまして、それらを含めた当日の資料全体につきまして、当時の評価分科会長に御相談の上、決定したものでございます。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 評価分科会長に相談したって、誰が相談したんですか。誰が相談したんですか。評価分科会長が誰と相談して決めたんですか。

 

【吉開正治郎 総務省政策統括官】

 お答え申し上げます。政策統括官室の中にあります統計委員会の担当室、これの評価分科会担当の職員が相談したものと承知しております。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 大臣、今聞いていただきましたように、結果的には、国交省は資料を配付して、説明も許されて、国交省の作戦成功しちゃったんですよ、たくらみが。国交省のたくらみに総務省はまんまと乗せられてしまったということじゃないですか。

 大臣、もう一度聞きます。合算処理が行われていることを統計委員会評価分科会に承認されたかのように装った国交省のこの極めてあくどい作戦、たくらみ、許せますか。

 

【金子恭之 総務大臣】

 先ほど伊藤委員から、けしからぬという思いが伝わってこないとおっしゃいました。私自身も、表現はちょっと違いますが、不適切な対応であると言わざるを得ないという、私自身も語気を強めて言ったつもりでございます。思いは同じでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 統計委員長の当委員会への出席もいまだ実現していません。是非、出席を大臣からも要請していただきたいと思います。思いは同じだということなんで一応受け止めますけれども、もうちょっと聞いていきます。

 こうした国交省のたくらみの中で、ほかの、例の事案が発生しました。基幹統計の一つ、建築着工統計の作成に必要な工事費の調査において、毎月業者に配付している調査票が最大で一年超えて配付されていないという事態が生じていることを国交省が統計委員会で報告をしました。同調査は、二〇二一年分から、都道府県が実施していた調査をやめて民間事業者を活用した調査に変更し、国交省が直接集計するようにしたものです。

 ところが、調査票が届けられず、二〇二一年一月以降の調査が実施されていません。国交省は業務が多忙だというのが言い分であります。斉藤国交大臣は統計部門の業務過多やマネジメント上の問題があると述べていますが、じゃ、ではこの時期に国交省がやっていたことは何だったでしょうか。建設工事受注動態統計の不正について、国交省はそれを取り繕おうとして、書換え、合算処理の業務を都道府県から本省に移しました。合算処理が行われていることを統計委員会評価分科会に承認されたかのように装ったりしていました。その時期と、建築着工統計に係る工事費の調査において都道府県集計やめて国交省が集計するようになった、そして調査が遅れた時期とは全く重なるんですね。

 つまり、受注統計の不正を取り繕って、不正をごまかそうとして忙しかったということじゃないですか、業務多忙というのは。業務多忙、業務過多と言いますが、そういうことが実態だったということじゃありませんか。大臣、これもけしからぬ、とんでもないということじゃないですか。

 

【金子恭之 総務大臣】

 お答え申し上げます。国土交通省の建築工事費調査について、調査票の配付が調査計画で示された当初の予定より遅れているとの報告があったことは遺憾であります。遅れている背景としては、国土交通省からは、慢性的な業務過多があったことや統計部門のマネジメント上の課題があるといったことがあったと聞いておりますが、いずれにせよ、国土交通省から統計委員会に対し、当初の公表期日である九月末に間に合うよう速やかに作業を進めるとの説明があったと承知をしております。

 国土交通省においてしっかりとした体制を整えていただくとともに、総務省としても、スケジュールの遅れにより調査結果の利活用に支障が生じることがないよう、しっかり協力してまいりたいと考えております。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 大臣、統計法の第一条では、公的統計は国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報とされています。また、第三条、基本理念を定めています。第三条の二では、この基本理念に基づく行政機関等の責務などを定めています。統計法に照らして、今回の事案は極めて重大ではないかと言わざるを得ないと思います。

 建築着工統計において、都道府県が実施していた調査を民間事業者に委託をして、それを国交省が直接集計するという調査方法の変更がありましたけれども、この調査方法の変更についても検証が求められているんじゃないかと私は思います。

 総務省に聞きます。統計委員会の建築着工統計調査の変更についての答申では、調査業務の民間委託に当たっては、結果精度を確保するため、各層において十分な回答数が得られるよう、回収率の向上に努める必要がある、また、安定的な調査の実施や結果の提供等が必要であることから、調査の実施後において、今回の変更による実施状況の確認や調査結果の影響分析を行うことが必要であるとされていました。こうした答申を出したにもかかわらず、調査そのものが遅れというか、調査が、そのものが送られていなかった。答申を出した統計委員会として国交省に言うべきことは何かないんですか。

 

【吉開正治郎 総務省政策統括官】

 お答え申し上げます。統計調査におきましては、所管する府省が自ら調査票の配付、回収、結果の公表までの進捗をしっかり管理すべきものであると考えておりまして、その上で、統計委員会等は、各府省自らの管理が適切に機能しているかどうかを診断し、必要に応じて指導をするということでございます。

 国交省の今後の取組につきましては、統計委員会で進められている公的統計の改善のための検討の中で十分議論をしていただきたいというふうに考えております。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 時間ですので終わりますが、前回の委員会でも指摘しましたけれども、統計の専門員が足りてないという問題もあると思います。このこと指摘をして、質問を終わります。