日本共産党の伊藤岳議員は10日の参院予算委員会で、埼玉県八潮市の下水道事故を受け、公共インフラの老朽化対策を怠ってきた国の責任をただし、「軍事費を3年で1・6倍の8・7兆円に増やしながら、国民の命は置き去りにする政治を転換すべきだ」と政府に迫りました。
伊藤氏は、現行の下水道法と同施行令が「腐食の恐れが大きいもの」に絞って点検を求めており、「同事故現場の口径の大きな下水道管路を点検対象にしていれば事故を防げたのではないか」と指摘し、同法の点検・調査の基準を見直すよう要求しました。
また伊藤氏は、下水道管路の敷設後40年を経過すると道路陥没箇所が急増するとの国土交通省の2007年度のデータを示し、17年間『下水道管の標準耐用年数は50年』と言い続けてきた政府を批判。「50年安心」とする見解を見直すよう求めました。石破茂首相は「人手が減っているので、その分、ドローンやAI、ロボットを活用して維持する手法は劇的に改善する」などと答弁しました。
伊藤氏は「人手を減らしてきたのは自民党政府だ」と指摘。05年度からの5年で下水道職員が2割減り、下水道の広域化、共同化を進めた15年の下水道法改定以降も減り続けているとし、「政府の施策の誘導で減ってきている。下水道の広域化、共同化の方針はよかったと思うか」と追及しました。石破首相は「生産年齢人口も減っている」などと開き直りました。
伊藤氏は、公共インフラの維持・管理、老朽化対策などを集中的に支援する「防災・安全交付金」が、24年度に自治体の要望額の61%しか配分されず、交付対象は点検・改築で、修繕の費用は該当しないと指摘。「点検・改築の費用は地方からの要望に応えられない。修繕に至っては地方の独立採算。つまり住民の負担にはね返ってくる。公共インフラの老朽化対策は自治体の負担だけでは限界がある」と主張しました。
石破首相は「どのような負担が適切かは常に検討されねばならないことだ」と答えました。
【2025年3月11日(火)付 しんぶん赤旗・写真=しんぶん赤旗】

(写真)パネルを示して質問する伊藤岳議員=10日、参院予算委