保険証なら経費不要
日本共産党国会議員団の「保険証廃止撤回・マイナンバー問題追及委員会」は9日、7回目の会合を開き、「マイナンバー情報総点検本部」の中間報告などについて政府をただしました。
議員からは来年秋の保険証廃止以降の「資格確認書」の有効期限を「5年以内」と区切った根拠を質問。厚生労働省は「退職や転職などにより資格を失っても、期限がないと不正使用される可能性がある。現行での有効期限の平均を見て5年以内とした」などと答えました。議員側からは「現行の保険証で対応すればいい話だ」との指摘が相次ぎました。
伊藤岳参院議員は「ある保険者は、マイナ保険証や資格確認書交付のためのシステム改修に3億円かかったと言っている」と紹介しました。他の議員からは「システム改修や資格確認書の交付の費用に全体でいくらかかるのか。その負担は誰がするのか」と質問。厚労省は「システム改修については検討中。現行もランニングコストは保険者が負担しており、それを踏まえて決めていく」と答えました。議員からは「現行の保険証のままであれば必要ない費用だ」との批判の声があがりました。
中間報告は、不安のある国民に、マイナポータルでひも付けが正しいかどうか自己確認することを推奨しています。しかし、ひも付けに誤りがあれば、他人の情報をのぞくことにもなります。個人情報保護委員会事務局は「一般的に他人の情報が閲覧できるのは適切な状態ではない」と述べました。
追及委責任者の塩川鉄也衆院議員は「他人の情報を閲覧してくださいと大臣が推奨しているのが間違いではないか。個人情報保護委はマイナ制度全体を個人情報保護の観点でどうするのかを考えるべきだ」と批判。「マイナンバーカードの取得を強要してきたゆえに生まれているさまざまな問題だ。保険証廃止は撤回すべきだし、個人情報のひも付けについても、いったん立ち止まって見直すべきだ」と指摘しました。
マイナ総点検中間報告のポイント
政府が8日に公表したマイナンバー情報の総点検の中間報告のポイントは以下の通りです。
◇
一、「マイナ保険証」別人の情報とのひも付けを新たに1069件確認
一、マイナンバーと公務員らの年金記録とのひも付けミス118件確認
一、障害者手帳とのひも付け、調査した237自治体のうち50自治体で不備確認
一、原則11月末までに個別データ点検実施
一、マイナンバー登録で人為的ミスを防ぐためのガイドラインを9月中に策定
一、各種制度の申請者にマイナンバー記載を求める旨を明確化
一、マイナンバー照会を原則4情報(氏名、生年月日、性別、住所)で行うようシステム改修
【しんぶん赤旗2023年8月10日(木)付 写真=伊藤岳事務所】