国政報告

マイナンバー法等改定案 伊藤氏の質問(要旨)

参院本会議
 日本共産党の伊藤岳議員が28日の参院本会議で行ったマイナンバー法等改定案についての質問の要旨は次の通りです。


 個人情報保護委員会の直近の年次報告(2021年度)は、17~21年度の5年間で少なくとも約3万5000人分のマイナンバーに関連する情報の紛失、漏えいがあったと明らかにしています。政府は「マイナンバー制度の利用範囲を税、社会保障、災害の3分野に限定し、利用できる事務や情報連携は法律で規定している。だから個人情報は安全だ」と喧伝(けんでん)してきましたが、個人情報の紛失、漏えいはすでに深刻な事態ではありませんか。

 マイナンバーによる情報連携も大きく拡大し、制度の大転換を行うものです。情報連携の対象を法規定から外し、法律の改正なしに、下位法令で規定するとしています。政府の一存で、マイナンバーの情報連携を可能とするのはなぜですか。

 本法案は健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに置き換えます。国民の大きな不安、強い批判があるのに、なぜ現行の健康保険証を廃止するのですか。

 本法案は短期被保険者証、被保険者資格証明書の仕組みを廃止し、国民皆保険制度の根幹を壊します。さらに、マイナ保険証にせよ、創設する「資格確認書」にせよ、本人からの申請に応じた交付とします。まさに制度の一大転換です。

 健康保険証は、保険診療を受ける資格を示すもので、保険証を被保険者に届けることは、国・保険者の責務です。健康保険証の交付を申請方式に変える根拠は何ですか。国、保険者の責任放棄ではありませんか。

 申請方式とすれば、保険料を納めていても、申請漏れなどで「無資格」「無保険」の国民が大量に続出することが避けられないのではありませんか。

 公金受取口座登録の特例制度について、行政機関が把握している口座を公金受取口座として、受給者などに通知し、一定期間内に「同意しない」との回答がなければ自動的に登録可能としています。本人が知らないうちにひも付けされてしまう方法をとるべきではありません。

 本法案は、戸籍に記載されている人の「氏名の振り仮名」を、1年を経過したのちには、本籍地の市町村長が「管轄法務局長等」の許可を得て、「一般的な読み方」で記載するとしています。命名権、人格権への侵害でありませんか。

 個人情報保護対策は後回しのまま、保険証を“人質”に取ってのマイナカード取得の強制はやめるべきです。

【2023年4月29日(土)付 しんぶん赤旗・写真=しんぶん赤旗】