議事録
【伊藤岳 参議院議員】
日本共産党の伊藤岳です。
月二百九十八時間を超える時間外労働など、労働基準法第三十三条第三項により命令が可能とされている超過勤務による時間外勤務が常態化していること、地方自治体の職場において厳しい働き方の実態があること、当委員会でも紹介してまいりました。その対応について聞いていきたいと思います。
金子大臣、十一日の予算委員会で、時間外勤務の改善について、時間外勤務の要因の分析や検証、それらを踏まえた時間外勤務縮減に取り組むことを徹底する旨、自治体へ通知したと答弁されました。自治体が時間外勤務の要因の分析をし、対策を取ることは大事だとは思いますが、新型コロナ対応で業務量が増大したことが時間外勤務が増えた一番の要因であると私は思います。
大臣、どう思われますか。
【金子恭之 総務大臣】 伊藤委員にお答え申し上げます。
コロナ禍において、自治体の職員の皆様には厳しい環境の中で御尽力いただいていることに改めてまず感謝を申し上げたいと思います。
地方公務員の時間外勤務の原因は、要因はコロナ対応によるものではないかとの御指摘ですが、総務省としても、感染症に対応する中での勤務実態を把握するため、令和三年四月から六月までの期間について、上限時間を超えて時間外勤務を実施した職員の状況を特別に調査しております。この調査からも、感染症対策の業務に関与した多くの職員が長時間労働を余儀なくされていた状況にあったことを把握しているところでございます。
総務省としては、こうした現状を踏まえると、各自治体で時間外勤務の上限規制や健康を守るための対策を取っていただき、職員の健康を確保することが極めて重要であると考えております。このため、各自治体において、感染症に対応する中においても、個々の職場ごとに時間外勤務を回避できなかった理由などの分析や検証をしっかりと行っていただき、業務分担の見直しや人員の適正な配置などの時間外縮減対策につなげていただくことや、医師による面接指導を効果的に実施することなどについて、改めて自治体に通知しております。
引き続き、実態を把握しながら、各自治体における取組がしっかりと行われるよう必要な支援を行ってまいります。
【伊藤岳 参議院議員】 今大臣もお話しになったように、新型コロナ対応で業務が膨大になっている、この認識は大臣もお示しになりました。根本的には人手が足りないんだと私は思うんです。
今大臣のお話にもありました一月の自治体への通知で、医師による面接指導、面接指導を効果的に実施すると一月の自治体への通知でありました。この面接指導の対象となる要件はどうなっていますか。示してください。
【山越伸子 総務省自治行政局公務員部長】 お答えいたします。
長時間労働者への医師による面接指導につきましては、労働安全衛生法に基づきまして、時間外勤務時間が一か月当たり八十時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者について、本人の申出があった場合には行われなければならないこととされております。
これに加えまして、国家公務員との均衡を踏まえ、総務省からは、各地方公共団体に対して、時間外勤務時間が一か月について百時間以上の場合又は二か月から六か月までの平均で八十時間を超える場合には、本人からの申出がなくとも医師による面接指導を行うよう助言を行っているところでございます。各地方公共団体におきましては、これを踏まえ定められているところでございます。
【伊藤岳 参議院議員】 つまり、過労死ラインを超えるような働き方が面接、医師の面接指導の対象となっているということだと思います。
二月の自治体への通知では、面接指導の対象となる職員が業務多忙で面接時間を確保できないといった状況が生じていたことが明らかになったと述べられています。通知に添付されている勤務条件等に関する調査の附帯調査によりますと、医師による面接指導を受ける必要があるのに、業務多忙で面接時間を確保できなかった職員が二八・二%、約三割に上っています。この二八・二%、実数に換算すると何人になりますか。
【山越伸子 総務省自治行政局公務員部長】 お答えいたします。
総務省で行いました令和三年四月から六月までの期間の時間外勤務の状況調査、この対象にいたしました知事、市町村部局等の職員約百二十万人中、医師の面接指導の対象となる要件に該当した職員は、三か月間で延べ四万六千七百二十五人となっております。そのうち、約半数の延べ二万五千百八十一人が医師の面接指導が行われなかったものでありまして、そのうちの二八・二%の延べ七千九十九人が職員が業務多忙で面接時間を確保できなかったというものとなっております。
【伊藤岳 参議院議員】 七千九十九人というお答えがありました。
これだけの方が業務多忙で医師の面接指導が必要なのにもかかわらず、これまた業務多忙で面接時間を確保できない。人員不足はそこまで深刻なんだと思います。人員を増やすしかないのではないでしょうか。
総務省は、昨年十二月二十四日、自治体職員のメンタルヘルスに関する初の調査の結果を公表しました。精神疾患などで一週間以上休職した職員、全体の二・三%に当たる二万一千六百七十六人に上るという調査でした。休職した職員の休職理由、長時間労働などが理由に挙げられています。業務の多忙が自治体職員のメンタルヘルスにも色濃く反映しているんだと思います。
総務省、一般行政部門の職員数が、集中改革プラン、二〇〇五年度の集中改革プランと現在ではどう推移したか、示してください。
【山越伸子 総務省自治行政局公務員部長】 お答えいたします。
一般行政部門の職員数は、集中改革プラン開始年度の平成十七年度において百四万八千八百六十人であったものが、五年間の集中改革プラン期間以降も平成二十六年度まで減少基調が続きまして、この間、約十四万人の減少となっております。その後は増加に転じまして、以降七年連続で増加しており、この間で約二万六千人の増となっているところでございます。こうした経緯を経て、直近の令和三年四月現在の一般行政部門の職員数は九十三万四千五百二十一人となっているところでございます。
【伊藤岳 参議院議員】ありがとうございました。
私の事務所でも資料を作ってみました。お配りしました。使った題材が違うのかもしれません、若干数字が違っていますけれども、傾向はこの表のとおりだと思います。
大臣が予算委員会で、前年度と比べ一般行政部門の職員が六千八百七十二人増えたと答弁されたので、集中改革プラン以降の一般行政部門の職員の推移を私の事務所でグラフにしてみました。
一般行政部門の職員は、集中改革プランの二〇〇五年度から五年間で、私どもが作った数字では十一万一千九百九人減となった。その後も人員抑制路線が続き、途中若干の増もあったものの、集中改革プランから現在は十一万四千三百三十九人の減となっています。集中改革プラン以降の一般行政部門の職員の人員減が取り戻せていないんです。
十一日の予算委員会で大臣は、令和三年度は前年度と比べ一般行政部門の職員が全国で六千八百七十二人増えたと言われましたが、なぜ一般行政部門の職員が増えたんですか。
【山越伸子 総務省自治行政局公務員部長】 お答えいたします。
令和三年度の一般行政部門の職員に関します前年度からの増加要因につきましては、都道府県と市町村にお聞きしましたところ、まず新型コロナウイルス感染症対策のため体制強化をしたというのが六千二百十八名と最大になっております。このほか、子ども・子育て支援関連で二千二百七十四人、生活保護関連の二百四十七人などが主な増加要因でございます。
一方、一部、東日本大震災等の災害復旧関連やオリンピック、パラリンピック関連の減少もございますので、全体として六千八百七十二名の増ということでございます。
【平木大作 委員長】 時間が来ておりますので、おまとめください。
【伊藤岳 参議院議員】 はい。
つまり、職員を減らし過ぎて人員が足りていないということですね。
時間ですので、大臣、一言だけ。公的基盤の再構築をしていくべきではないですか、お答えください。
【金子恭之 総務大臣】 自治体の定員については、各自治体において行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、適正な定員管理に努めていただくことが重要だと考えております。
総務省としては、今後とも、自治体が直面する行政課題に的確に対応しつつ、自治体の実態などを十分に踏まえ、必要な対応を行ってまいりたいと思います。