国政報告

2021年12月20日 総務委員会(原油高騰対策・統計不正問題について)

【伊藤岳参院議員】

 日本共産党の伊藤岳です。原油価格高騰対策に対する特別交付税措置についてお聞きします。

 地方自治体が原油価格高騰の影響を受けた住民や事業者に助成を行った場合、必要額の二分の一について特別交付税措置を行う、いわゆる福祉灯油の購入や社会福祉施設の暖房費、農林漁業者の燃油の購入等に活用できます。

 総務省前田自治財政局長に聞きます。従前から自治体として独自に実施をしているところも少なくありません。この従前からの制度に基づいて助成を行っている自治体に対しても、今年度に発生した経費であれば今回の特別交付税措置の対象になると思いますが、確認をしたいと思います。いかがですか。

 

【前田一浩自治財政局長】

 お答え申し上げます。地方団体が原油価格の影響を受けている生活者や事業者の方の支援に不安なく取り組めますよう、地方団体が行う原油価格高騰対策に対し、本年度の特別交付税において措置を講じることとしております。

 具体的には、生活困窮者の方に対する灯油購入費等の助成、いわゆる福祉灯油ですとか、社会福祉施設に対します暖房費高騰分の助成など、地方団体が地域の実情に応じてきめ細やかに講じる対策につきまして、従前からの自治体の制度に基づくものを含めまして、幅広く今年度の特別交付税措置の対象にすることとしております。

 

【伊藤岳参院議員】

 総務省は地方公共団体にアナウンスしていると言うんですが、現場に聞きますと知らなかったという場合が多いです。早急な、また丁寧な周知徹底を求めたいと思います。

 統計法が定める基幹統計である国交省の建設工事受注動態統計で国交省の指示による調査票の改ざんなどの問題が明らかになり、統計に対する信頼が揺らいでいます。基幹統計は国の政策立案の基となるものです。三年前の厚労省の毎月勤労統計の問題も重大でありましたが、今回の国交省の受注統計の問題では、基幹統計の調査依頼に応えて提出された業者の受注実績の調査票を行政が無断で書き換え、また二重計上を行うという極めて深刻な事態となっています。

 統計法の逐条解説によりますと、統計法第六十条で言う基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者には、基幹統計調査の実施に当たって架空の調査票を捏造する行為、調査票に記入された報告内容を改ざんする行為、基幹統計調査の集計過程においてデータを改ざんする行為が含まれると明記をされています。

 調査票の書換えが国交省の指示で行われていることは極めて重大です。書換えを指示した国交省の文書、事務処理要綱の提出を私求めてまいりましたが、とうとうこの委員会が始まるまでに私の手元には届きませんでした。

 金子総務大臣、この国交省の文書について大臣は確認をしていますか。

 

【吉開正治郎政策統括官】

 今先生から御指摘のありました国交省から都道府県に対する指示文書というのは、私ども総務省の方にはまだいただいておりません。

 

【伊藤岳参院議員】

 いや、いただいているかどうかじゃなくて、確認していますか、存在を認識していますかということです。

 

【吉開正治郎政策統括官】

 報道ではされておりますけれども、私どもその存在についてはまだ確認をしておりません。

 

【伊藤岳参院議員】

 これ大変重大な問題だと思うんです、統計法に違反する行為を国が指示している疑惑ですから。統計法を所管する総務省として、確認することは当然だと思います。大臣、省庁間ですぐ確認できるはずです。怠慢だと思いますよ。直ちに確認をしていただきたいと思います。

 委員長、この書換えを指示した国交省の一連の文書を当委員会に提出することを求めたい。是非お取り計らいを願いたいと思います。

 

【平木大作総務委員長】

 後刻理事会において協議いたします。

 

【伊藤岳参院議員】

 二〇一八年十二月に発覚した厚労省の毎月勤労統計における不正事案を受けまして、基幹統計についての一斉点検を各府省が行い、総務省が取りまとめています。

 資料をお配りしました。資料の一枚目を御覧をいただきたいと思います。基幹統計の点検及び今後の対応についてという表題で、二〇一九年一月の統計委員会に配付された資料です。この下から三行目ですね、一斉点検について、点検方法、各府省が統計幹事を中心に自ら点検を実施し、総務省がその結果を取りまとめとなっています。

 総務省吉開政策統括官に聞きます。この一斉点検では、各府省の統計幹事はどのような点検を実施したのでしょうか。さらに、一斉点検の後にも統計委員会による点検、検証の機会があったと思います。なぜ今回の国交省の不正事案を見付けられなかったのでしょうか。

 

【吉開正治郎政策統括官】

 今お配りいただいたのは統計委員会からの公表資料でございますけれども、ここにございますとおり、毎月勤労統計の事案と申しますのは調査計画どおりに調査が行われていなかったということでございましたので、各省の統計幹事を中心といたしまして、各省においてその各調査が調査計画上行われているかどうかということを中心に点検を行っていただきました。

 この資料の下から三行目に、このほか、各府省において把握した不適切な事案について報告を求めたということでございますが、結果といたしまして今回問題になっている事案は発見されなかったということで、その経緯については、まずはその国交省の第三者委員会の方で御検証をしていただき、それを統計委員会の方に御報告いただいて更に精査をするということでございます。

 

【伊藤岳参院議員】

 金子大臣、今統括官が言われたように、要するに、各府省からの報告を受けるだけに等しかったんですよ。統計の司令塔である総務省、統計委員会としての踏み込んだ検証が欠落していた。何より、調査方法の適切さなど、現場の実態が把握されていなかったと思います。

 毎月勤労統計の不正事案というのは、統計委員会も以前から厚労省の統計について問題意識は持っていましたが、二〇一八年十二月十三日の厚労省との打合せの中で統計委員会自身が、全数調査からサンプル調査へ変更したことなど、調査方法の変更とその背景をつかんだことが決定的だったと思います。

 大臣、この反省に立って、五十三の基幹統計全てについて、現時点で改めて再点検、再調査を行うべきではないですか。大臣に聞いています。

 

【金子恭之総務大臣】

 失礼しました。今回、建設工事受注動態統計調査について公的統計に対する国民の信頼を損ないかねないような事態が生じたことにつきましては、どのような経緯や原因があり、どのような対応が必要となるかなどについて現時点では必ずしも明らかになっておりません。

 このため、今後一か月以内に取りまとめる国土交通省における第三者委員会の報告を受け、統計の専門家による第三者委員会である統計委員会の専門的な知見もいただきながら、政府統計への信頼を取り戻すべく、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 

【伊藤岳参院議員】

 第三者委員会も結構ですが、やっぱり総務省、また統計委員会としてのイニシアチブを発揮していただきたいと思うんです。

 本日、午前中の予算委員会を聞いておりましたら、自民党の山下委員の質問に対して、今回の統計の調査方法、集計方法について、国交省は二〇一〇年一月に国交省内に検討委員会を設置し議論を開始した。同年三月、つまり二〇一〇年三月に結論を得て必要な準備や手続を行ったと答弁がありました。これは新たな事実経過だと思います。本日の新聞にも同様の報道があります。

 総務省、これまで、八月二十日に国交省から初めて聞いた、八月二十日に初めて聞いたと言ってきましたが、違うじゃないですか。必要な準備や手続とは恐らく統計委員会の手続を指すものではないんですか。いかがですか。

 

【吉開正治郎政策統括官】

 今御指摘のありましたその手続と申しますか、それは、国交省の第三者委員会における確認は必要だと思いますけれども、この建設工事受注動態統計調査の推計方法の変更に係るものであるというふうに考えております。したがいまして、これはそのサンプル調査でございますので、抽出率からどういうふうに逆算して母集団を推計するかとか、あるいはその回収率が必ずしも高くない中でどういうふうに母集団を推計していくかと、そういうような技術的な話だったというふうに承知をしております。

 それと、今回問題になりましたのは、調査票から数か月分の実績を当月分に乗っけて集計するという話でございますので、基本的には異なる事案というふうに認識をしております。

 

【伊藤岳参院議員】

 じゃ、今日、予算委員会の答弁、訂正が必要だということですか。明確に言っているんですよ。今回の統計の調査方法、集計方法について、二〇一〇年一月に議論が始まって、同年三月に結論を得て、必要な準備や手続を行ったと答弁しているんです。これ、違うということですか。

 

【吉開正治郎政策統括官】

 これ、繰り返しになって恐縮でございますけれども、その国交省の第三者委員会の中で御検証いただくべき事項かと思いますが、推計方法の変更に係るものと、この推計ですね、推計方法の変更に係るものと、この集計ですね、集計に係るやり方とはまた違うものであろうと思います。いずれにしても、国交省の方で御確認が必要だと思います。

 

【伊藤岳参院議員】

 何か曖昧ですね。もう本当、引き続き究明が必要だと思います。

 金子大臣、大臣は、総務省は八月二十日、国交省から初めて聞いたと答弁していましたが、大臣、それは間違いないですか。

 

【金子恭之総務大臣】

 おっしゃるとおりです。

 

【伊藤岳参院議員】

 仮に八月二十日に初めて聞いたとしましょう。ならば、大臣、聞きますが、その時点から総務省統計委員会として、国交省の受注統計についてどのような調査、点検、検証を行ってきましたか。

 

【金子恭之総務大臣】

  国土交通省からの八月二十日の報告は、会計検査院からの指摘を受けて必要な改善を行ったというものであったために、総務省としては特段の対応を行っておりませんでした。

 総務省としては、当時のこういった判断も含め、今後、統計の専門家による第三者委員会である統計委員会において精査してまいりたいと考えております。

 

【伊藤岳参院議員】

 対応してこなかったということは、統計委員会にも報告していなかったということですか。

 

【吉開正治郎政策統括官】

 今大臣から御答弁申し上げましたとおり、国土交通省から、今後、会計検査院からこういう指摘を受けますという御報告と申しますか、その情報提供があったのは八月二十日でございまして、その中身は、今大臣から御答弁申し上げたとおり、問題点を指摘されたのでもう既に改善をしておりますという中身でございました。私どもとしては、それは改善につながるものであるのであれば特に問題ないというふうに判断いたしまして、統計委員会にも報告はその時点ではいたしておりません。

 

【伊藤岳参院議員】

 改善したからよしって、甘いですよ。だから繰り返されるんじゃないですか。統計委員会にすら報告していなかった、総務省統計委員会として何ら対応していなかった、もうこれ驚き以外何物でもありません。統計の司令塔である総務省統計委員会として直ちに問題を究明することこそ問われていると思います。

 委員長、国交省の受注統計の調査方法、集計方法の変更の事実経過、総務省及び統計委員会の対応の経過の詳細などをまとめたものを当委員会に提出を求めたいと思います。お取り計らいを願いたいと思います。

 

【平木大作総務委員長】

 後刻理事会において協議いたします。

 

【伊藤岳参院議員】

 国交省は、調査票の保管期間は二年間としているそうです。つまり、二週間後には二〇二〇年以前の調査票が破棄されてしまうかもしれない。統計の公正性、真実性に対する国民の信頼を取り戻すためにも、調査票の保存が必要だと思います。

 総務省がイニシアチブを取って、政府間、省庁間で至急調整すべきだと思います。大臣、決意を伺いたい。どうですか。大臣の決意です、大臣。大臣です。

 

【金子恭之総務大臣】

 ちょっと済みません。今回の事案の経緯や原因などについては今後一か月以内に国土交通省において第三者委員会で取りまとめると承知しております。その報告を受けて、統計の専門家による第三者委員会でございます統計委員会において精査を行ってまいります。

 

【伊藤岳参院議員】

はい。時間がないのでやめますが、問うたことに答えていないんですよ。調査票が破棄されないようにイニシアチブを発揮してほしいと改めて強く求めます。

 総務委員会としての集中審議を行うことも求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

 

 

【以下、地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部改正案についての反対討論】

 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等改正案に対する反対討論を行います。

 今回の地方交付税法の改正は、当初予算における所得税等の国税収入見込みを超える税収が生じたため増額となった地方交付税四兆二千七百六十一億円の措置を行うものです。

 年度途中に増額となった地方交付税はその全額を地方自治体に交付するというのが地方交付税法の趣旨であります。ところが、本法案によって二一年度分として地方に追加交付するのは政府の経済対策に伴う地方負担分に対応するものにとどまり、調整額の復活分を含めても四千七百億円にすぎません。

 残りの三兆八千億円のうち、臨時財政対策債の償還分一兆五千億円、交付税特別会計借入金への償還分八千五百億円を充てていますが、これらを除いた一兆二千六百五十一億円に上る額を来年度、二〇二二年度の地方交付税に繰り越しています。

 これは法律の趣旨に反するやり方であり、認められません。年度途中で生じた増額分は全額地方自治体に交付することを強く求めたいと思います。

 政府の経済対策は、コロナで困窮する国民への支援は極めて不十分です。コロナ禍で脆弱さが浮き彫りになった保健所など、地域の公衆衛生体制や医療体制を復元し、拡充していくことは急務です。社会保障関係費の自然増分を十分に反映するなど、対策を緊急に取るべきです。

 以上で反対討論といたします