議事録

2021年5月19日 国際経済・外交に関する調査会(委員間の意見交換)

【伊藤岳参議院議員】

 日本共産党の伊藤岳です。この国会での調査を感想的に振り返りながら意見表明をさせていただきます。今国会の調査会は、コロナ禍での調査会となりました。私も、新型コロナウイルス感染と海洋をめぐる環境問題との関係で、参考人に幾つか質問をさせていただきました。

 地球温暖化の下で永久凍土が融解して炭疽菌に感染したトナカイの死骸が露出して炭疽菌が集団発生した事故に関わって、参考人から、永久凍土の中には見えない危険がいろいろ潜んでいる、温暖化が進むと大変だと早く警鐘を鳴らすことが大事だと指摘をされました。

 また、森林破壊によって人が自然の領域に過度に接近したことにより、コウモリから人への新型コロナウイルスの感染ルートが生まれた可能性が高いとの研究発表に関わって、参考人からは、調査、報告、防止、知見の体制が全く不足をしている、予算が充てられないと解決に程遠い、森林伐採でどのように病気が感染していくのか着目する必要があると述べられました。

 いずれにしても、これまでの社会経済活動の在り方をこのまま続けていってよいのかを考えさせられる、私にとっては非常に刺激的な調査会となったと感じています。

 参考人も強調されたワンヘルスアプローチ、健全な環境、人間の健康、動物の健康を一つの健康と捉えて、今後の社会経済活動の在り方や海洋をめぐる環境問題について深めていきたいと思いました。

 関連して、海洋プラごみ問題が何回かの調査会で議論となりました。私は、サーマルリサイクル、熱回収に依存せざるを得ない方策では、プラスチックごみの焼却処理によってCO2を排出することになり、気候変動や海洋気象に影響を与える、リデュース、削減を優先的に取り組むべきだと思うと伺いましたが、参考人からは、リサイクルだけだとやはり必ず海に出ていくものが出てくる、まずはプラスチック全体の量を減らしていくことだとお話しされました。これ、重要な指摘だと受け止めて、プラスチックの製造企業責任の課題などを今後の調査に生かしていきたいと思いました。

 海洋の安全保障、特に海警法など今の時の話題がテーマになったことは非常に重要だったと思います。私は、那覇市議会の意見書も紹介して、日本政府が、歴史的にも国際的にも尖閣諸島が日本固有の領土であることを、中国に対しても国際社会に対しても道理を尽くしてしっかりと主張することが重要ではないかと尋ねましたが、参考人からは、もう領有権を争うような問題は存在していないと言われるが果たしてどうなんだろうか、中国と日本の主張はどっちがどうなんだというところは国際社会の中には実は十分に浸透していない、もっと主張していく必要があると意見を述べられました。なるほどとうなずきました。

 尖閣諸島をめぐる中国の力による現状変更、覇権主義的な行動は、国際法から見てもどんな理由でも決して許されるものではありません。そして、領土に関する紛争問題の解決においては、道理を尽くして主張し続け、国際法にのっとり、外交的、平和的解決に力を尽くすことが何より重要だと意を強くしました。引き続き、調査を進めていきたいと思います。

 最後に、鶴保会長、理事の皆さん、また事務方の方々の御苦労に感謝を申し上げて意見表明とします。ありがとうございました。