【伊藤岳参議院議員】
日本共産党の伊藤岳です。総務省が先日公表したアクションプランでは、携帯電話は生活を支えるライフラインと位置付けられました。コロナ感染急拡大の中で、学生や社会的弱者の生活を支えるライフラインである携帯電話の料金についてお聞きします。
今、学生はリモート授業が続いていて、携帯料金の負担がかさんでいます。学生が利用している携帯料金プランは、一般的には二ギガバイト等の低容量プランで、リモート授業によって、月々その通信容量制限をオーバーしてしまいます。
埼玉の青年団体、民青同盟の皆さんが学生二百三十三人から生活実態を聞き取った調査が私の手元にあります。その生活実態調査を見ますと、大学によってはWiFiルーターを貸し出すなどのリモート授業支援を実施しているところもありますが、月々三千円以上、年間にすると四、五万円にもなるWiFi使用料が掛かります。また、WiFi環境がない場合には、通信容量制限をオーバーしたギガの追加など、携帯料金は自己負担となります。こうした中で、毎日一食しか食べていないという学生の声もありました。
総務省は、電気通信事業者団体に対して、四月三日に、学生等の学習に係る通信環境の確保に関する要請を発出しました。竹内総合通信基盤局長、この要請の概要と携帯各社の対応実績について示してください。
【竹内芳明政府参考人】
お答えいたします。総務省は、本年四月三日、電気通信事業者関連団体四団体に対しまして、新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴う学生などの学習に係る通信環境の確保について要請を行いました。これを踏まえまして、本年四月から八月末までの間に、携帯電話事業者計二十九社が携帯電話のデータ容量追加分を無償化するなどの取組を実施いたしました。例えば、携帯大手三社は、二十五歳以下の全ての利用者を対象として、月間のデータ容量を超過した場合の追加利用料金の支払について五十ギガバイトを上限に無償化を実施したところでございます。
【伊藤岳参議院議員】
携帯各社は、総務省の要請に、通信容量制限をオーバーしたギガの追加など柔軟に対応はしましたが、その対応はもう既に、ごく一部の社を除き、終了しています。総務省の四月三日の要請は、期限を切ってはいません。武田大臣、今後の新型コロナウイルス感染の動向を判断して、同様の通信環境の確保の要請を行うことはあり得ますか。
【武田良太総務大臣】
要請を行った四月の時点、この時点はコロナウイルスの影響が拡大しまして緊急事態宣言が発動されるなど、未曽有の事態になった時期だったと記憶をいたしております。大学においては、対面授業等が困難になって遠隔授業が余儀なくされるという状況が続きました。自宅などに通信環境が整っていない学生等の教育機会の確保が必要となり、我々としては要請を行ったものであります。
その後、現在では、遠隔授業が行われる場合についても、文科省において、遠隔授業のための学生への無線ルーター対応などの予算支援を実施するなど、コロナ禍でも学生が学習を受けるための環境整備がなされているものと承知しており、現時点では再度要請を行うことは考えておりませんが、今後、新型コロナウイルス感染症の影響の拡大に伴い、大学側の体制や学生を取り巻く環境が大きく変わるようなことがあれば、必要に応じて対応について検討をしていきたいと考えています。
【伊藤岳参議院議員】
大臣言われたWiFiルーターの貸出しも、予算が行き渡らず、大学によって様々のようです。しかも、このままでは中退を考えるという学生が急増しています。是非、判断し、検討いただきたいと思います。
総務省は電気通信事業者団体に対して、三月十九日に、新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴う料金支払延長等の実施に係る要請も発出しました。局長、この要請に基づいて料金支払猶予を受けた実績件数を示してください。
【竹内芳明政府参考人】
お答え申し上げます。総務省からの要請を受けまして、電気通信事業者合計二百一社が支払期限の延長措置を実施いたしました。その結果、合計約四十万の利用者がこの措置を利用しております。
【伊藤岳参議院議員】
学生、社会的弱者を含むこれだけ多くの方が料金支払猶予を受けたということになります。しかし、その対応も既に終了しています。大臣と携帯電話利用者との意見交換会においても、携帯料金を支払えず携帯電話を手放すと、仕事探しもできず、生活基盤が脅かされるという不安の声も出ています。大臣も聞いたと思います。
新型コロナ感染の影響で携帯電話を手放さなければならないというような事態はあってはならないと思います。大臣の認識はどうですか。猶予が終わって、数か月分の料金支払が今迫られる方々についても関心を払う必要があるんではないでしょうか。
【武田良太総務大臣】
御指摘のとおりだと思います。私どもは、とにかく家計の負担、この固定費の負担というのは本当にダメージが大きいわけであって、安価かつ質のいいサービスというものを提供することによってこうしたリスクを回避できるものと、このように思っております。
【伊藤岳参議院議員】
生活を支えるライフラインというアクションプランの位置付けにふさわしい対応を更に検討、実行していただきたいと思います。
次に、マイナンバーカードの普及について伺います。マイナンバーカードについては、国民の中に個人情報漏えい等への危惧の念が大変強いです。諸外国の例を見ましても、個人情報漏えい等の観点から、カードの普及はまちまちという状況があります。例えばアメリカは、社会保障番号、社会保障カードという制度がありますが、カードは紙製で携帯しないことが前提で、身分証明書としての機能は持たない。イギリス、国民保険番号という制度がありますが、カードについてはプライバシー侵害等の理由から廃止をされました。韓国、住民登録番号という制度がありますが、カードについては、個人情報漏えいと予算の無駄遣いを理由に導入はいまだ頓挫していますし、番号の民間利用も不可となっています。
髙原自治行政局長、マイナンバーカードのように、カードにICチップを埋め込んで、そこに様々な情報を入力して活用している国はどれくらいありますか。また、国名を示してください。
【髙原剛政府参考人】
御答弁申し上げます。悉皆的に調査しているわけではございませんが、我が国のマイナンバーカードと同様にICカードを採用している国としては、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、エストニアなどがあると承知をしております。以上でございます。
【伊藤岳参議院議員】
日本のようなICチップを埋め込んでカードを活用するという国は世界的にはまれだということです。国連の電子政府ランキング一位のデンマークさえも、カードそのものは導入していません。国民の情報を一元管理し、民間との連携も比較的自由に認め、統制型の典型的な国とも言われるシンガポールも、カードにはICチップを埋め込んではいません。
武田大臣、マイナンバーカードの紛失、盗難によって、今の時点では四情報が流出することになります。この流出リスクをどう認識しておられますか。
【武田良太総務大臣】
御指摘、基本四情報、氏名、年齢、性別、生年月日、この危険性についてですけれども、そもそも我々が社会生活を営んでいる上で、一定の範囲の他者には当然開示することが予定されているものであります。仮にマイナンバーカードを紛失、盗難された場合であっても、運転免許証や健康保険証などといった他の本人確認書類と比べて特別なリスクがあるとは考えておりません。
なお、マイナンバーカードは、特殊な印刷技術によりまして券面の偽造防止措置がとられており、また内部の情報を読み取ろうとすると内容が消去される機能を有するICチップを活用しているなど様々なセキュリティー対策が講じられております。さらに、仮にカードを紛失しましても、二十四時間三百六十五日体制のコールセンターに連絡することで速やかにその機能の一時停止を行うことができるなど、他の本人確認書類と比べても個人情報には十分配慮したものになっていると考えております。あっ、済みません、年齢じゃない、住所でした。ごめんなさいね。
【伊藤岳参議院議員】
今大臣からお話がありましたけれども、免許証などと紛失したのと変わらないという話もありましたけれども、しかし今、マイナンバーカードを全国民に普及しようとされているわけですよね。その四情報の流出で、間違いなくストーカー被害とか詐欺等の犯罪が起こり得るということになりますよ。そして、全国民へのカードの普及ということで、その危険性は拡大するということになるじゃないですか。しかも今後、ICチップの空き領域に、総務大臣の定めるところ、また、市町村、都道府県の条例に定めるところにより様々な情報が入力されていった時点では、先ほど言われた情報は簡単に盗めないとはいえ、流出リスクは計り知れないと思います。
局長、マイナンバーカードの紛失、盗難に対して今どのような検討をされ、対策を取ってきているんでしょうか、そして、マイナンバーカード交付開始以後、国民にはどのように周知をされてきたんでしょうか。
【髙原剛政府参考人】
御答弁申し上げます。マイナンバーカードを紛失された場合には、警察に遺失物届を提出するほか、専用のコールセンターへ連絡し、機能停止の手続を取るなどの必要な手続について、カード交付時の案内文やホームページなど、様々な媒体を通じて周知してきたところであります。また、地方公共団体に対して通知を発出し、マイナンバーカードの安全性について周知、広報に取り組んでいただくよう繰り返しお願いしてきております。引き続き丁寧な周知、広報を行い、誤解や不安が払拭できますように努めてまいります。以上でございます。
【伊藤岳参議院議員】
じゃ、お聞きしますが、デジタル・ガバメント閣僚会議などの資料等を見ますと、マイナンバーカードの紛失、盗難に対して検討したという資料は見付かりませんでしたが、デジガバ閣僚会議では検討されているんですか。
【髙原剛政府参考人】
委員御指摘のように、マイナンバーカードを紛失された場合、もし部外の方が見られた場合、四情報が目に入ってくるといいますか、そういう状態は否定できないわけでございますが、それにつきましては先ほど大臣が答弁されましたように、一定程度、これは最高裁の住基ネット判決でも言われておりますが、四情報については、一定の範囲の他者には当然開示されることが予定されている情報であるといったことが示されております。そして、ICチップの、何というんでしょう、中に入ってくる情報につきましても、私ども、基本的にその個人の税務情報とか健康情報とか、そういったものをICチップの中に入れるという仕組みではございませんで、あくまでいろんなデータベースとの連携する鍵を入れるということでございますので、先ほど申し上げましたような機能停止の手続を取ることによって、一定程度安全性を確保できるというふうに考えております。
【伊藤岳参議院議員】
私聞いたのは、デジガバ閣僚会議で検討したのかと聞いたんですが、お答えありませんでした。私見た限りは検討した経過はありません。マイナンバーカードの普及の掛け声は盛んですが、一方で個人情報漏えい等によるリスクの問題が置き去りにされているのではないかと思います。
質問を一つ飛ばさせていただきます。そういう中で、「保険証 将来的に廃止 マイナンバーカードと統合」という新聞報道、これは産経の十八日付けの記事ですが、この記事に私、大変びっくりしました。この記事では、自民党のデジタル社会推進本部が第一次提言として、健康保険証をマイナンバーカードと一体化した上で、移行を進めるため、将来的には保険証の廃止を求めたとしています。保険証が廃止されるようなことになれば、マイナンバーカードを通院のときなどふだんから持ち歩くことになり、カードの紛失、盗難、個人情報漏えい等の危険性は更に格段高まることになります。
今日は、山本厚労副大臣に来ていただきました。この自民党のデジタル社会推進本部の第一次提言、つまり健康保険証とマイナンバーを一体化した上で将来的には保険証の廃止との立場は、厚労省も同じ立場なのですか。
【山本博司厚労副大臣】
伊藤委員にお答え申し上げたいと思います。このマイナンバーカードを健康保険証として利用する目的、これは診療時における確実な本人確認と保険資格確認を可能として、医療保険事務の効率化、さらには患者の利便性の向上等を図るものでございます。
マイナンバーカードを保険証として利用するためには、電子証明書を読み取るための端末などの医療機関等での利用環境の整備、これが必要でございます。骨太方針等の中では、令和四年度中におおむね全ての医療機関での導入を目指すこととされておりまして、少なくともそれまでの間は従来の保険証とマイナンバーカードの利用とは併用することになると思います。あわせて、できる限り多くの方々にこのマイナンバーカードを取得いただくことが必要でございまして、まずは令和四年度中までにほとんどの被保険者のマイナンバーカードの取組を実現すべく、関係省で協力しながら全力で取組を進めているところでございます。
また、従来の健康保険証で資格確認を行っている訪問看護や柔道整復等におきましても、マイナンバーカードを保険証として利用するための環境整備、これが必要でございます。今後、こうした環境整備の導入、検討状況を踏まえながら、保険証の在り方、これを検討する必要があると思っております。
【伊藤岳参議院議員】
この将来的には保険証の廃止ということについては副大臣触れられていませんでしたが、これは大変重大な報道だと思います。注視をしていただきたいと思う。
保険証とマイナンバーカードの一体化では、医療機関の財政的負担も大きくなります。マイナンバーカードでの受診には顔認証が使われる。カードに記録された顔写真データと窓口に来た人の顔を確認して同一人物か確かめるというオンライン資格確認システムというものですが、このシステムを導入するためには多額の設備投資をしなければならないし、設備投資後のメンテナンス費用も掛かります。このオンライン資格確認システムについて、二〇二一年、つまり何と来年三月までに六割程度の医療機関、薬局において導入を目指すとしていますが、副大臣、なぜそんなに急ぐ必要があるんですか。
【山本博司厚労副大臣】
今委員御指摘のとおり、六割程度の導入を令和三年三月までに目指している次第でございます。このマイナンバーカードを所持して医療機関、薬局を利用する患者にとりまして、利用できる医療機関等を限定されることなく望む医療機関を選択できるということは大変重要でございまして、より多くの医療機関や薬局に迅速に導入いただく必要ございます。
例えば、患者が利用するメリットとしては、申請をせずに窓口での限度額以上の支払が不要になったり、また転籍等で保険者が変わっても手続をすれば保険証の発行を待たずに受診が可能であります。また、過去の薬剤情報等を医師に提供することで、より良い医療も受けることができることが可能でございます。また、医療機関等にとりましても、例えば事務作業の縮減であるとか特定健診情報の閲覧によってより質の高い診療が可能になる等のメリットがあるわけでございます。
こうしたことに鑑み、厚労省としては、より多くの医療機関、薬局にこのオンライン資格等のシステムを導入していただけるように、積極的な支援をしてまいります。
【伊藤岳参議院議員】
住所が変わったときに簡単だと言いましたけど、人間、そんなに何度も住所変えるものじゃないと思いますよ。先ほど本人確認がスムーズになると言いましたけれども、来年から変更される保険証には個人を識別する二桁の番号が記載されます。これを目視する方が顔認証システムよりもはるかに本人確認がスムーズになる。しかも、カードと保険証が混在して窓口が混乱したりという問題も現れてくるんじゃないでしょうか。
副大臣、オンライン資格確認システム導入整備等の支援は医療情報化支援基金で行うということですが、設備メンテナンスの費用については含まれていますか。
【山本博司厚労副大臣】
今のこの医療情報化支援基金ですね、九百十八億円でございまして、これは初期導入費用の補助事業ということで行っている次第でございます。その意味では、顔認証の一台無償であるとか、診療所、薬局に対しては、また、そのシステム改修やパソコン等の費用に関しましても、十一月十七日で四十二万九千円を上限に実質補助、全額補助ということになっている次第でございます。そうしたことを、メリット等あるということもございまして、この導入後に発生する機器のメンテナンス等の対応に関する費用は補助対象としていないところでございます。こうしたオンライン資格の確認の導入のメリットに関しまして、医療機関等に対しては丁寧に周知をし、そのメリット等の効用を訴えてまいりたいと思います。
【伊藤岳参議院議員】
メンテナンス費用については補助がないと。今、医療機関は減収に大変苦慮しています。収入減です。この医療機関に更なる負担を新たに負わせることになるじゃないですか。今医療機関に必要なのは、マイナンバーカード診療に伴う設備投資支援より減収補填だということを強調して、私の質問を終わります。