議事録

2020年6月2日 総務委員会(新型コロナで逼迫する病院経営・定額給付金事務の民間委託問題) 

【伊藤岳議員】

 日本共産党の伊藤岳です。

 新型コロナの影響で病院経営が逼迫をしています。資料を用意いたしました。御覧をいただきたいと思います。三病院協会が五月十八日に発表した病院経営状況緊急調査で、上段の表の左欄になりますが、四月の事業収益は前年同月比で一〇・五%減、上段の表の中欄になりますが、コロナ患者入院受入れ病院は一二・七%減となっています。

 全日本民医連の調べでは、回答のあった五十五法人中約半数の二十四法人が半年のうちに資金が枯渇と答えています。全国的に、またコロナ患者を受け入れているか否かにかかわらず、病院経営は総じて深刻な減収で病院存続の危機に陥っています。

 埼玉県のA病院。四月度の収支で事業収益が前年同月比で一億四千万円の減収、一六%減となりました。この減収規模は一年間の利益分に当たるそうです。病院長さんは、これまで経験したことがない事態が起きている、このままでは資金ショートする、真水が欲しい、この認識を政府にも共有してほしいと切々と話しておられました。この認識を共有して対策に当たるべきです。

 橋本厚労副大臣、今日はありがとうございます。今、全国の病院が直面している事態はこれまでに経験のない経営の危機だという認識はありますか。

 

【橋本岳厚労副大臣】

 伊藤岳議員にお答えをいたします。いや、うれしいんです、個人的に。それはそれといたしまして。ただいまの御質問でございますけれども、医療機関の経営の実態につきまして、今お触れをいただきましたその病院経営実態調査等の結果につきましては私どもも承知をしていることでございます。これについては、その四月分の経営状況について聞かれたということでございますが、当然ながら、恐らく五月分ももしかしたらもっとへこんでいるかもしれないというような思いも持ちながら、私たちとしてはしっかりとそうしたことも受け止めて、では、その中で医療機関、さはさりながら、きちっと、この状況の中で医療機関というものにしっかりと機能していただくというのは大変大事なことでございます。

 きちんと医療提供体制を維持していただくために、その新型コロナウイルス感染症の患者さんを受け入れているかどうかにかかわらず、医療機関をしっかりと支援を行っていくことが大事だと、このように考えております。

 

【伊藤岳議員】

 埼玉県のB病院。同じく四月度で、前年同月比で九千三百万円の減収、二二%減となりました。やはり一年間の利益分に当たる減収規模だそうで、法人が持っている資金を崩していっても、つなげられて半年ですと言われていました。この病院の場合、コロナ患者を受け入れるために、一つの階、一つのフロアの病床を半分に減らして残りの半分の病床でコロナ対応をすることを決めました。

 ところが、この減らした病床には空床補償がない、このままでは受入れを続けられないと言われていました。

 感染第二波に備えて更に医療体制を強化しなければならないときに、逆行する事態が起きています。厚労省、二次補正予算で重点医療機関の病床確保の支援が計上されましたが、この重点医療機関とはどういう定義になりますか。

 

【吉永和生政府参考人】

 お答え申し上げます。重点医療機関につきましては、三月二十六日の通知で設定をしてお願いするものでございますけれども、専門性の高い医療従事者を集中的に確保するとともに、地域において新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れることで十分な院内感染防止対策を効率的に実施しやすくするという観点から、重点医療機関を各都道府県に設定をお願いしているところでございます。

 重点医療機関につきましては、新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れるため、病棟単位や医療機関単位で新型コロナウイルス感染症患者が入院する体制が取れる医療機関を設定することが望ましいという形にしているところでございます。

 

【伊藤岳議員】

 では、その今紹介したB病院のように、一つの階、一つのフロア、何階何病棟という名前になりますが、これは重点医療機関に当たるんでしょうか。

 また、先ほど紹介したB病院のように、病床の数を減らして残りの病床で新型コロナ対応をした場合に、この減らした病床への補償は行われますか。

 

【吉永和生政府参考人】

 病棟の構成につきましては、その病院によって異なっておりますので、フロア単位でという形になるかどうかというのはその病院ごとに見ていく必要がございますし、今後具体的に検討してまいりたいとございますが、重点医療機関につきましては設定することが望ましいという形でございますので、そこも含めて都道府県の指定によるものというふうに考えているところでございます。

 その上ででございますが、新型コロナウイルス感染症の対策につきましては、一次補正予算につきまして、新型コロナウイルス感染症の緊急包括支援交付金に基づきまして、一部病床を新型コロナウイルス感染症患者のために確保した医療機関に対しまして、確保された病床が空床の場合についての空床確保の支援を行うという形にしてございましたけれども、今般の第二次補正予算案におきましては、本交付金を二兆二千三百七十億円という形で抜本的に拡充してございますけれども、空床補償部分につきましても大幅に増額するとともに、新型コロナウイルス感染症患者対応のために病床を確保するために休止した病床につきましても支援を行うこととしているものでございます。

 

【伊藤岳議員】

 減らした残りの半分も補償されるということを確認をいたしました。是非是非、重点医療機関の定義、広げていただきたいと思います。収入に大きな穴を空けています。ここにしっかり補填を行ってもらいたいと思います。

 コロナ患者受入れ病院では、外来患者も減少していますが、新型コロナ感染症患者を受け入れていない、受け入れているか否かにかかわらず病院全般で受診抑制が生じています。深刻な減収です。

 厚労省、二次補正予算で新型コロナ感染症対応していない病院が医療提供体制を維持するための対策、融資以外に何かありますか。

 

【迫井正深政府参考人】

 御答弁申し上げます。新型コロナウイルス感染症が、今後の感染拡大が生じた場合でも、新型コロナウイルス感染症以外の診療機能も併せて維持をすることで国民が必要とする医療をきちんと提供できる体制を構築することが必要であると考えております。

 このため、第二次補正予算の案でございますけれども、そこにおきまして、福祉医療機構の優遇融資の貸付原資として一・二七兆円を財政融資として追加するほか、地域医療の確保に必要な診療を継続する医療機関への支援といたしまして、緊急包括支援交付金の新たなメニューの中で、救急・周産期・小児医療機関に対し新型コロナウイルスの感染の疑いのある患者が受診をした場合に、外来診療や入院診療を適切に行うことができるよう設備整備等の補助でありますとか、感染拡大防止対策や診療体制確保等に要する費用の補助を行うことといたしております。また、医療機関や薬局等に対しまして、新型コロナウイルスの感染の疑いのある患者とその他の患者が混在しない動線確保等、感染拡大防止対策や診療体制確保等に要する費用の補助を行うことといたしております。

 

【伊藤岳議員】

 要するに、感染症対策の設備ということですよね。減収分に対する対策は何もないということだと思います。

 さきに紹介した病院はいずれも、このままでは職員に一時金手当、つまりボーナスを支給できないと話していました。橋本岳厚労副大臣、医療従事者に感謝をと言いながら、ボーナスも出ない、こんなことがあっていいと思われますか。減収分をストレートに概算払で補填してもらいたいというのが医療現場の共通した声です。この声に正面から応えるべきじゃないでしょうか。

 

【橋本岳厚労副大臣】

 ありがとうございます。この場には長谷川岳総務副大臣もおられまして、まあそれはともかくといたしまして。今のお尋ねでございますけれども、コロナウイルス患者への対応を行っているかにかかわらずその経営が今悪化をしているということ、そして、その中で地域医療を継続しなければならないということについては先ほど申し上げたとおりでございます。

 特に、複数の医療機関が、その地域の医療というものは連携をして成り立っておりまして、面で対応するものであります。その一部が欠ければ成り立たないということになりますので、医療機関全体として必要な診療の継続を確保することによって初めて医療提供体制を維持することができる、このように考えております。このため、そのコロナ対応を行う医療機関に対しましては、診療報酬において、重症の新型コロナウイルス感染症患者に対する一定の診療への評価を三倍に引き上げるとともに、緊急包括支援交付金の新たなメニューとして、新型コロナウイルス感染症患者専用の病院や病棟を設定する医療機関における病床確保や設備整備に対する支援の拡充を行うことによりまして更なる支援を行っていく、これは今答弁のあったとおりでございます。

 また、そのほかの医療機関への支援として、緊急包括支援交付金の新たなメニューとして、新型コロナウイルス感染症の疑い患者受入れのための救急・周産期・小児医療機関の院内感染防止対策や、医療機関、薬局等における感染拡大防止のための支援を行うとともに、福祉医療機構による無利子無担保等の危機対応の融資の拡充及び六月の診療報酬の一部概算払などを行うこととしております。

 こうしたことによりまして、きちんと医療機関の経営が成り立っていくように、あるいはその経営が成り立たないのでボーナスが払えないようなことというのは防いでいきたいと思っておりますし、まずはそのためにもその二次補正の予算、これから国会で御審議をいただくということになろうと思いますが、こちらを御審議をいただいた上で、成立の暁にはしっかり執行していく、まずはこれをしっかり取り組んでまいりたいと思いますとともに、引き続き医療機関の経営状況につきまして私どもとしてしっかりアンテナを高く持ってウオッチをしていきたいと、このように思っているところであります。

 

【伊藤岳議員】

 医療従事者にボーナスを支給するには減収補填をしないとできません。これ一番の解決の方法のはずです。

 これまでに経験のない経営の危機という認識というのならば、これまでの枠組みを超えた対策、減収補填に踏み出すべきだと思いますが、これまでにない対応を考える、検討するという点でどうでしょうか。

 

【橋本岳厚労副大臣】

 何というんでしょう、この今のコロナ禍という状況が至上と言ってよいか分かりませんが、少なくとも私どもの経験している範囲においてやはりそんなにない出来事であって、例えば一部のどこか地域が災害でというようなことはあったかもしれませんけれども、もう全国的に起こっている状況だということは理解をしておりますし、その中でも、感染症ですから、医療機関が大変大事な役割を果たしていただくということについても同様に思っているところであります。

 その中で、我々なりに知恵を絞り、また関係の各省庁とも御協議をいただきながら、二次の補正予算としてこうした形でのメニューを準備をさせていただいたということでございますので、まずはその早期の成立を目指してまいりたいと思っているところであります。

 

【伊藤岳議員】

 必死に頑張っている病院を次々と潰すようなことがあってはなりません。一旦医療体制が崩壊してしまったら立て直すことは非常に困難です。是非、これまでにない対応、踏み込んだ対応、減収補填を検討していただきたいと思います。

 高市大臣にお聞きします。公立・公的病院もふだんから医療提供体制を整備しておくことが大事だと思います。とりわけ感染第二波に備えて新型コロナ感染症患者を積極的に受け入れる医療体制を整えることが求められていると思います。行政が開催する病院長会議などでも、民間も頑張っている、公的病院こそ積極的に受け入れるべきだという声が強いと聞きました。

 大臣書簡、二月二十五日付けで、公立病院について、新型コロナウイルス感染症重症者を優先的に受け入れる医療機関となるなど、その役割を果たすことが求められていると思うと、大臣、書かれました。公立病院は最後のとりでという答弁もされました。

 大臣、公立病院の新型コロナ感染症患者受入れ体制の構築が今まさに急がれているのではないでしょうか。いかがですか。

 

 

【高市早苗総務大臣】

 公立病院は感染症病床の全体の約六割を占めますので、今般の新型コロナウイルス感染症対策におきましても非常に重要な役割を果たしていただいております。現在、感染症指定医療機関はもちろんのこと、多くの感染症指定医療機関以外の公立病院において患者を受け入れていただいております。大きな病院が少ない地方部において重要な役割を担っていただいております。

 今後、感染者数が急増した場合に備えること、それから感染者が適切に治療を受けられること、とても重要でございますので、しっかりと公立病院の状況を丁寧に伺いながら私どもも対応してまいりたいと思っております。

 

【伊藤岳議員】

 次に、特別定額給付金についてお聞きします。今、地方自治体は給付金をいち早く住民の皆さんに届けるよう懸命な努力をされています。その中で、特別定額給付金の業務を民間委託する自治体もあります。

 埼玉県のある自治体は、人材派遣業者に委託をしましたが、振り込み口座、本人証明の写しを記入した申請用紙の送信先、返信先がその人材派遣業者となっています。住民からも不安の声が出ています。振り込み口座などの個人情報は厳格に保護されなければなりません。民間の一事業者に自分の大事な振り込み口座を送信し明かしてしまう、これ不安ですよね。

 総務省、業者との間で守秘義務を結んだとしても個人情報の流出の危険性がある、どういう対策を取っていますか。

 

【前田一浩政府参考人】

 お答え申し上げます。特別定額給付金におけます個人情報の取扱いにつきましては、銀行口座情報を含め、各市区町村が定めております個人情報保護条例に基づき適正に取り扱うことが必要でございます。各市区町村の個人情報保護条例におきましては、外部の事業者などに業務を委託する場合を含め、本人の同意や法令の定めなどに基づかない個人情報の目的外利用の禁止や個人情報の漏えい等の防止が規定されますとともに、業務に関して知り得た個人情報の盗用等につきまして罰則規定が設けられているところでございます。

 また、市区町村において外部の事業者などに個人情報データベース等を用いる業務を委託する場合には、当該委託先につきましては、個人情報取扱事業者として個人情報保護法の適用を受けることとなります。同法におきましても、個人情報保護条例と同様に、本人の同意や法令の定め等に基づかない個人情報の目的外利用の禁止や個人情報の漏えい等の防止が規定されますとともに、業務に関して取り扱った個人情報データベース等の盗用等につきましては罰則規定が設けられているところでございます。総務省といたしましては……(発言する者あり)

 

【伊藤岳議員】

 ありがとうございます。いや、だからね、守秘義務を結んだぐらいで対策ですかということを聞きたいんですね。

 この自治体に確認したところ、委託業者に返信された振り込み口座などを業者のパソコンに業者の社員が打ち込むんです。そのデータを業者が自治体に送信するんです。自治体が振り込み作業をそして行うんです。つまり、住民基本台帳と振り込み口座などの個人情報が委託業者がデータ化するんです。そのデータを委託業者が保存することが可能だということじゃありませんか。

 大臣、今回の給付金事業において一件たりとも個人情報を漏えいさせてはならないと思いますが、どうですか。特別定額給付金の業務委託の実態をつかんで、自治体の職員の立会いとか必要なチェックなどを通知すべきではないですか。

 

【高市早苗総務大臣】

 先ほど、個人情報保護法の適用を外部の委託事業者が受けること、そしてまた罰則もあること、そしてまた各市区町村における助成金ですとか他の給付事務、また公金徴収の事務と同様に、この個人情報保護については各市区町村の条例に基づき適正に対処すべきことについて答弁をさせていただいたと存じます。

 このことについては、給付事務の実施要領についても、その実施要領でもお示しをしましたし、各市区町村で適切な措置が講じられていると思います。各市区町村の条例なども私幾つか拝見しましたが、国の個人情報保護法よりもかなり厳しい罰則を定めている、懲役又は罰金の年数やその額についても非常に厳しい条例もございますので、ここは適切に対応をしておられると思います。

 

【伊藤岳議員】

 先ほど紹介した例など、本当に個人情報の漏えいの危険性がある業務委託の形態がある、これ是非、全国的に実態をつかんでいただきたいと、そして是正していただきたいと思います。

 住民からは、民間業者には送りたくない、別な方法で受け取りたいなどの声が多数届いていますし、給付金を迅速に届けるという総務省の方針とも逆行する事態になっています。

 そこで、総務省、住民が振り込み口座を業者に返信したくないと申し出た場合、また、個人情報保護の観点から現金での給付金の受取を希望するなどの場合、自治体の役場の窓口で現金給付で給付金を受け取ることは可能ですか。

 

【前田一浩政府参考人】

 お答え申し上げます。特別定額給付金につきましては、感染症拡大防止に留意する観点から、申請については郵送申請方式、そしてオンライン申請方式を基本としておりまして、給付につきましても、口座振り込みを原則としているところでございます。

 そういった観点からは、窓口での手続を希望される方に対しましては、個人情報の適正な管理について、それぞれの市区町村の個人情報保護条例や個人情報保護法の規定により担保されることについて丁寧に御説明し、御理解をいただくということに努めることが適当だとは考えております。

 ただし、世の中には様々な御事情によりまして銀行口座を持たないという方もいらっしゃると思いますので、こういう方につきましては窓口においての支給ということも対応できるというふうに示させていただいているところでございます。

 

【伊藤岳議員】

 現金給付も可能だということを確認したいと思います。以上で終わります。