議事録

2020年4月30日 総務委員会(地方税法等の一部改正案・新型コロナ対策で中小事業者への家賃補助と持続化給付金について)

【伊藤岳議員】

 日本共産党の伊藤岳です。野党は中小事業者への家賃支援法案を共同提出しましたが、中小企業庁に聞きます。国は中小事業者への家賃の補填を一体いつから始めますか。

 

【鎌田篤政府参考人】

 お答えいたします。経済産業省といたしましては、テナントとなる中小事業者などへの事業継続の支援といたしまして、日本政策金融公庫などが既に実施しているような実質無利子無担保、元本返済を最大五年間据え置くなどの融資措置を講じていますとともに、持続化給付金によりまして使途の制限のない資金を供給するということで、中小・小規模事業者の家賃負担の軽減に取り組んでいくこととしているところでございます。

 このうち、地代家賃の支払などにも用いることのできる使途の制限のない資金といたしまして持続化給付金でございますけれども、一日も早く事業者の皆様にお届けすることが重要であるというふうに考えておりまして、補正予算成立の翌日から申請受付を直ちに開始し、早ければ五月八日にも事業者への給付を開始したいというふうに考えているところでございます。

 

【伊藤岳議員】

 持続化給付金で頑張ってもらいたいと言うんですが、二百万円ですよ。事業者がばたばた倒れていきますよ。これ、見て見ぬふりをするんでしょうか。

 埼玉県商工団体連合会が昨年八月に実施した調査で、営業所得、つまり収入から必要経費を引いたものが年間三百万円未満の中小事業者が四八・一%を占めていました。四十代夫婦、子供二人で営業所得二百五十七万円のモデル世帯の場合、税や国民年金などを引きますと月十七万円となり、貯金までは回らないんです。この収入減の中、家賃を払う蓄えはないというのが実態です。

 さいたま市の飲食店のおかみさんは、売上げがゼロの日もある中で、六十三万円の家賃の請求が来て途方に暮れています。このおかみさんは、生命保険を解約して百四十万円を受け取って、これを家賃に充てるそうです。百四十万円から六十三万円の家賃を引いたら八十万円を切ります。来月分の家賃を支払ったら、もうおしまいと言っていました。

 中小企業庁、こうした事業者を救ってくれますよね。持続化給付金は追加して、継続して給付してくれますよね。どうですか。

 

【鎌田篤政府参考人】

 お答えいたします。事業者ごとに組織規模ですとか所在地による差がございますので一概に申し上げることはできませんけれども、例えば中小・小規模法人の九五%を占める五十人以下の事業者につきましては、固定費のうち地代家賃、広告宣伝費などを合計した費用の平均が年間四百万円程度、個人事業者につきましては年間二百万円程度といった推計も存在するところでございまして、こういったことも参考にしまして、持続化給付金につきましては、年間のこうした支払の負担の平均六か月分に相当する額として給付するというところでございます。

 経済産業省といたしましては、まずは持続化給付金の早期執行に取り組んでいきたいというふうに考えておりますけれども、今御指摘の点でございますが、その上で、今後の事態の推移を踏まえながら、事業者の皆様の声を真摯に耳を傾け、必要な支援について検討を行っていくこととしたいというふうに考えております。

 

【伊藤岳議員】

 今後の事態の推移見てと言いますが、もう二月、三月、四月の三か月もたっているんです。今検討していただけますね、追加の給付。

 

【鎌田篤政府参考人】

 我々といたしましては、一刻も早くこの持続化給付金を事業者の皆様にお届けさせていただきたいというふうに考えているところでございます。いずれにしましても、新型コロナウイルス感染症によります経済の落ち込みにつきましては前例がないものでございまして、残念ながら感染症の終息が見通せない中で、今後どの程度の期間にわたり経済の下振れが継続するかは見通せないという状況にございますので、このような中、今後の事態の推移を踏まえながら、事業者の皆様の声に真摯に耳を傾けて、繰り返しになりますが、必要な支援について検討を行っていくということとしたいというふうに考えております。以上でございます。

 

【伊藤岳議員】

 検討を行っていくと言われました。そこは確認しておきたいと思います。福岡市や北九州市などは家賃の八割の補償を始めています。自治体のこの動きは広がっていくと思われます。国が遅いからです。財政調整基金を取り崩して手当てする自治体もあります。例えば、毎年頻発する自然災害に備えた、そのための財政を切り崩している状況にあります。

 内閣府にお聞きする。こうした地方自治体独自の家賃補償事業に補正予算で計上された地方創生臨時交付金を適用できますか。

 

【村上敬亮政府参考人】

 お答え申し上げます。今回の臨時交付金は、コロナウイルス対策ということでありますれば、地域の実情に合わせて、家賃補助も含めて自由度高くお使いいただく仕組みでございます。それから、既に先んじて始めておられるというお話ございましたが、交付決定前に着手した事業であっても令和二年度予算に自治体で計上している予算であれば、四月一日までは遡って、これはもう令和元年度は地財措置が別途とられているからでございますけれども、四月一日以降に遡って適用できると、こういう仕組みにしてございます。限られた財源ではございますので、国で共通でやっている制度をよく見極めた上でということではございますが、その上で、地域で御必要というふうに判断されるのであれば是非お使いをいただきたいと、こういうふうに考えてございます。

 

【伊藤岳議員】

 地方自治体の家賃補償事業へ地方創生臨時交付金が適用できると確認させていただきました。次に、補正予算に盛り込まれた徴収の猶予制度の特例では、前年同時期比おおむね二〇%以上の収入が減少した場合に無担保かつ無利子で一年間徴収を猶予できるとしています。これが幅広く適用されてスピード感を持って実施されることが重要だと思います。

 総務省に聞きます。このおおむね二〇%以上の収入の減少の適用に当たって、仮に二〇%以上に至らなくとも、例えば一八%とかでも、収入減少によるその事業者への影響を丁寧に聞き取って徴収の猶予の適用を行うべきだと思いますが、いかがですか。

 

【開出英之政府参考人】

 今回の徴収猶予の特例におきます前年同期比おおむね二〇%以上の収入の減少という基準の適用についてでございますけれども、収入の減少が二〇%に満たないことのみをもって一概に特例の適用が否定されるものではございませんで、二〇%未満の場合でありましても、個々の納税者の置かれた状況や今後の収入減少の見込みなどに応じて判断されるものと考えております。

 

【伊藤岳議員】

 大臣に一つ提案があるんです。中小事業者が所有するものに掛かる固定資産税、都市計画税に軽減措置がとられますが、所有するものに土地は対象となっておらず、これでは僅かな軽減にしかなりません。土地も対象に含めることを是非御検討いただきたいと思います。答弁は結構です。

 大臣に聞きたいのは、最後に、この新型コロナ危機の中、命と暮らしを守り、国民みんなで乗り切ろうというときに滞納者への差押えは控えるべきだと、このことを問いたいと思います。埼玉県内のある市役所でこんなポスターが貼られていました。完納しないときは滞納者の財産を差し押さえなければならない。赤字で書かれたプレートです。その隣に、滞納処分強化、担保の提供というポスターも掲示をされています。また、千葉県八街市の市民からは、コロナの影響でフルに働けなくなったが、収入が減ったが、差し押さえられて困っているという相談も来ています。徴収の猶予について丁寧に説明するどころか、滞納処分を殊更強調する。また、収入減で苦境に立たされている市民に差押えを強行する。こうした住民の首を絞めるような自治体の対応でいいのでしょうか。総務省通知、三月十八日の通知の趣旨にも沿わないのではないかと思いますが、大臣、どうでしょうか。

 

【高市早苗総務大臣】

 新型コロナウイルス感染症の発生に伴って財産に相当の損失を受けた納税者や、売上げの急減により納税資力が著しく低下している納税者などに対する柔軟な対応を地方団体の税務当局に対して要請をいたしました。また、差押えなどの滞納処分につきましては、地方税法によって、滞納処分によって生活を著しく窮迫させるおそれがあるときはその執行を停止できることとされております。ただ、地方税に対する納税者の信頼を確保するということも重要でございますので、差押えなどの滞納処分も含めて、地方税法などの規定に基づいて適切かつ公平な税務執行に取り組んでいただかなければならないと考えております。

 

【伊藤岳議員】

 通知で自治体に猶予を促しているわけですから、その自治体の判断の実行を見届けていただきたいと思います。今、滞納処分や差押えを強いることは、生活となりわいを破壊することにつながります。生活となりわいが持ちこたえられなければ、その後、経済を立て直そうとしてもできません。今、生活となりわいを応援し、家計を温めて担税能力を涵養することこそ、コロナ終息後も日本経済のまともな循環と持続可能な成長を可能にすることになると思います。

 大臣、最後に、新型コロナの影響が続く期間の間、差押えは控えるべきだと思います。改めて、どうですか。

 

【高市早苗総務大臣】

 各地方団体におかれましては、地方税法の規定をきっちりと踏まえながら、納税者の皆様の個別具体的な実情を十分に把握していただいた上で適正な執行に取り組んでいただきたいと考えております。

 

【伊藤岳議員】

 終わります。