議事録

2020年4月16日 総務委員会(電波法改正・新型コロナ問題)

【伊藤岳議員】

 日本共産党の伊藤岳です。電波法の一部を改正する法律案について質問いたします。今回の改正案には賛成をいたします。人命にも関わる重要無線通信の適正運営の確保のために、技術基準に適合しない機器の流通抑制への実効性を高めていくことなどは大事だと思います。

 その上で、法案に関連して幾つか聞きたいと思います。技術基準に適合しない機器の流通抑制で、今回の改正案には、媒介等業者であるアマゾン、ヤフー、楽天などプラットフォーマー、外国の事業者に対する規制は盛り込まれてはいません。

 大臣、フォローアップ会合追加提言では、媒介等業者による自主的な取組が強化されれば、技術基準不適合機器の流通抑止が進展すると期待されると述べられていますが、総務省としてはどう取り組むのか、また今後の規制など、どういう問題意識を持っていらっしゃいますか。

 

【高市早苗総務大臣】

 技術基準に適合しない機器の流通を効果的に抑止するためには、製造業者、輸入業者、販売業者に加え、今、伊藤委員が御指摘をくださいましたように、販売に深く関与して消費者との接点となる、例えばインターネットショッピングモール運営者などの媒介業者においても適切な取組が行われることは必要でございます。この点につきまして、昨年、総務省の有識者会議で御検討をいただきました。その折、複数の媒介業者から取組を強化する旨の表明がございましたことを踏まえて、まずは媒介業者の自主的な取組を促すことが適当とされました。

 総務省としては、製造業者、輸入業者、販売業者に加えて、媒介業者も対象としたガイドラインを策定いたします。それぞれに求められる取組を明確化することで主体的な取組を促したいと存じます。そして、今後、フォローアップ検証もしっかりと実施をいたします。その上で、もしも必要な場合には、更なる制度改正も視野に入れて検討してまいります。

 

【伊藤岳議員】

 次に、ダイナミック周波数共有、共用システムですが、一次利用者、既存の免許人は災害対応や災害報道など人命に関わる無線も扱っています。大臣、こうした一次利用者、既存の免許人の電波の利用について、保護される仕組みはどうなっているんでしょうか。

 

【高市早苗総務大臣】

 総務省の有識者会議の提言でも、一次利用者の保護について十分に配慮することが適当とされておりました。これを踏まえまして、ダイナミック周波数共用の運用に当たりましては、新規利用者は、既存免許人、一次利用者の電波の使用を妨げない範囲内で電波を使用する必要があると考えております。

 総務省では、新規利用者に免許を付与する際にその旨を免許の条件として付すということを想定しております。また、既存免許人の運用を適切に保護した上で、令和三年度からダイナミック周波数共用が着実に導入されるようにしっかりと取り組んでまいります。

 

【伊藤岳議員】

 是非、公共電波の安全の確保のために必要な更なる検討を求めておきたいと思います。続いて、急がれる新型コロナウイルス対策について質問をいたします。観光業、ホテル、旅館、民宿やバス事業者などは、桁違いの深刻さに覆われています。私も、埼玉県で実情を調査してきました。

 まず、ホテル、旅館、民宿について。ホテル、民宿の経営者の方々は、春休みシーズンだった三月の予約は団体、個人とも全てキャンセルになり、四月以降も予約はありません、ゴールデンウイークも駄目、さらに夏休みまで影響が続くようなら一千万円くらいの損失になります、二百万円の給付ではとても追い付きません、大手のホテルも含めてもたないですよ、もって三か月ですねと口々に話しています。コロナウイルスの感染は先が全く見えません。このまま終息せずに一番の稼ぎどきの夏休みまで影響が続くようならば、ホテル、旅館、民宿の廃業が相次ぐだろうとの思いが観光地では広がっています。観光庁、こういう認識は持たれていますか。

 

【加藤進政府参考人】

 お答え申し上げます。今般の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、訪日外国人旅行者が大幅に減少するとともに、国内旅行についても旅行のキャンセルあるいは予約の控えが相次いで、全国の宿泊業は大変厳しい状況に置かれていると認識しております。また、先日、国土交通省において発表をさせていただきました調査におきましても、宿泊の予約状況、これが昨年の同月と比べて七〇%から九〇%程度減少したと回答した施設、二月は二%程度でございましたが、四月は約七割まで大幅に増加しております。さらに、臨時休館を余儀なくされる旅館なども増えてくるなど、事態は更に深刻なものになっていると認識しております。

 

【伊藤岳議員】

 廃業が相次ぐという認識はありますか。

 

【加藤進政府参考人】

 お答え申し上げます。地域の方々、あるいは地域の旅館組合等からいろいろとお話を伺っております。そういった声の中には、例えば五月から七月はほぼ予約が入らないといった声も聞いているところでございます。いずれにいたしましても、観光産業、大変厳しい状況に置かれているものと認識しております。

 

【伊藤岳議員】

 このまま予約が入らなければ廃業ですよね。観光地が観光地として生き延びられなくなる深刻さだと思います。

 緊急経済対策に盛り込まれた中小・小規模事業者に上限二百万円の現金給付を幅広く中小業者が受け取れるようにすることはもちろんですが、一回きりの給付では持ちこたえられないという観光業の実態を踏まえるべきだと思います。そこで、観光庁、追加の給付を行うというメッセージ、具体的な対策が求められているのではないでしょうか。

 

【加藤進政府参考人】

 お答え申し上げます。今般の緊急経済対策におきましては、まずは雇用の維持、そして事業の継続が喫緊の課題、このような認識の下、厚生労働省や経済産業省などの制度を所管する関係省庁と連携しながら、雇用の維持や資金繰り対策の強化あるいは税制措置などの対策を講じることとしております。

 具体的には、委員御指摘の持続化給付金の導入に加えまして、雇用調整助成金の助成率の引上げ、あるいは民間金融機関による無利子無担保融資の実施、法人税、所得税等の支払猶予や中小企業に対する固定資産税の減免などの対策が盛り込まれたところでございます。このような支援策が、大変厳しい経営環境に置かれておりますホテルや旅館を始め地域の観光産業の方々にしっかりと活用されるよう、観光庁といたしましても、プッシュ型で制度の周知を徹底し、雇用の維持と事業の継続ができるよう、隅々まで行き届くよう取り組んでまいります。

 

【伊藤岳議員】

 お聞きしたいのは、追加の給付ですとか更なる具体的な対策が求められているのではないかという質問なんですが、どうですか。

 

【加藤進政府参考人】

 今般の緊急経済対策におきましては、重ねての答弁になって恐縮ですが、やはり雇用の維持と事業の継続が喫緊の課題という認識の下、先ほど御答弁させていただいた様々な対策を講じているところでございます。また、状況の、終息状況を見極めながらですけれども、反転攻勢として官民一体となったキャンペーン、こういったことを通じまして需要喚起の取組を行ってまいる考えでございます。

 

【伊藤岳議員】

 先ほど五月から七月が予約がないと言われました。このままでは本当にもちませんよ。次に、バス事業者について聞きます。ある観光バス会社は、スキー関係は全てキャンセルになったのを始め、三月だけで百九十件のキャンセル、前年比六〇%の収入減という状況に加えて、オリンピック・パラリンピックの選手、観客の送迎の予約も全てキャンセルとなって、これだけで三千百万円の収入予定が断たれてしまったと言っていました。

 今日は内閣官房にも来ていただいていますが、オリンピック・パラリンピックに当たっては大会関係者の輸送用のバスが相当数必要で、バス事業者の協力を得てきたと思います。どのような手だてを取ってバスを確保してきましたか。

 

【鶴田浩政府参考人】

 お答え申し上げます。この夏予定されていました東京大会に向けまして、大会組織委員会におきましては、大会パートナーとなっている旅行会社を通じまして、今年の七月から九月まで、七月上旬から九月上旬までの間、全国のバス事業者から一日最大で二千台のバス車両を調達すると、こういう計画であったと承知しております。

 

【伊藤岳議員】

 そういう中で、先ほど紹介した観光バス会社もオリンピック・パラリンピックに協力することになった。そして、大会に備えて新車のバスに買い換えたそうで、月々三百万円のリース料も支払っているそうです。当然のことながら、オリパラ期間中とその前後のバスの予約は全て断ってきました。協力してくれたバス事業者は、オリンピック・パラリンピック大会組織委員会と一体となってオリパラ成功へ取り組み、経営の上でもバスを新規に購入したりリースをしたりして準備をしてきました。内閣官房、そのことも当然認識をしていますよね。どうですか。

 

【鶴田浩政府参考人】

 お答え申し上げます。東京オリンピック・パラリンピック大会では世界中から大勢の方々が日本を訪れるということが想定されていたこともありますので、全国のバス事業者におかれましては様々な準備をされていたものと考えられます。一方、大会輸送に関しましては、大会組織委員会においてバス車両の調達を進めている中で、全国のバス事業者と様々な情報交換を行ってきましたけれども、新車の購入などといったことはバス事業者から特段は伺っていないというふうに組織委員会から聞いてございます。

 

【伊藤岳議員】

 事実、こういう事業者が幾つもあるということを認識してください。

 内閣政務官にお聞きします。オリンピック・パラリンピック大会組織委員会や政府に協力して一体となって取り組んできたこういうバス事業者が、新型コロナの影響に加えてオリパラ延期で甚大な影響を受けようとしています。どういう対応をされる予定でしょうか。

 

【青山周平大臣政務官】

 お答えいたします。新型コロナウイルスの感染症の拡大によって全国のバス事業が大きな影響を受けているということは承知をいたしております。その状況の中で、オリンピック・パラリンピック大会の延期に伴い、大会組織委員会においては、来年の大会に向けて、この夏予定されていたバスの運行計画を念頭に置きながら、今後できる限り早期に旅行会社を通じてバス車両の再調達交渉を開始し、バス事業者との協力体制を再構築していく予定と承知しています。

 政府としても、バス事業を含む幅広い業種に対し、関係省庁が連携して、緊急経済対策で決定された資金繰り対策、雇用調整助成金の特例拡大、感染症拡大の終息後の観光需要喚起策等により、事業者の経営状況を注視しながらしっかりと支援に取り組むこととしております。

 

【伊藤岳議員】

 事業者の経営状況を注視しというお話がありましたけれども、このままでは来年までバス会社の経営がもたない状況です。来年のオリパラにバスの再調達をお願いするというのであれば、今、バス事業者の経営を守り抜いてオリパラに協力してもらえるようにすることが必要ではないでしょうか。バス事業者を倒れさせてはならない、倒してはならないという思いはないですか。

 

【青山周平大臣政務官】

 思いは共有しているところでございます。バス事業者を含む多くの業種が新型コロナウイルス感染症の影響によって厳しい経営環境にあり、まずは事業の継続が喫緊の課題であるというふうに考えております。

 政府といたしましては、先ほども申し上げましたが、関係省庁が連携をして、緊急経済対策で決定された各種方策により、事業者の経営状況を注視しながらしっかりと支援に取り組みたいと考えております。

 

【伊藤岳議員】

 思いを具体的にしていかなきゃいけないと思うんです。先ほど来紹介しているように、今の緊急経済対策の範囲では来年までもたない状況があるんです。協力してくれたバス事業者を倒させることなく、みんなで一年後を迎えようと、そういう何か政治からのメッセージはないでしょうか。

 

【青山周平大臣政務官】

 先ほども申し上げましたとおり、現在の緊急対策等、経済対策といたしましては、資金繰りの対策、雇用調整助成金の特例拡大、感染症拡大の終息後の観光需要の喚起策等、こういった対策をしっかりと使っていただいて大会を迎えられるようにしていただきたいと、そのように考えております。

 

【伊藤岳議員】

 繰り返しますけれども、今の状況の対策ではもたないんです。もう何らかの政治からのメッセージがないと、来年に向けて一緒に頑張りましょうというメッセージがいただけない、非常に残念だと思います。

 直ちに必要な検討を求めて、オリパラの延期に伴って中小業者が廃業に追い込まれるということは絶対あってはならないということを重ねて訴えて、質問を終わりたいと思います。