【伊藤岳議員】
日本共産党の伊藤岳です。安倍総理にお聞きします。新型コロナウイルス感染の広がりは、中小零細企業にとって、年度末も迫る中、資金繰りを心配する声として渦巻いています。
埼玉県狭山市のあるバス会社は、学生の送迎バスやゴルフ場の運行バスが、新型コロナウイルスの影響で、三月の運行予約のうち九五%もがキャンセルになったといいます。三月だけで前年比百五十万円の売上減となっています。社長さんは、融資だけでなく、助成金や補助金を期待しますと言っています。飯能市のある飲食店は、これまでお客さんがゼロの日は月一、二回あるかどうかでしたが、今は週二回はお客さんがゼロ、また、例年この時期は送別会がたくさんあるのに全てキャンセルで一切なくなったと話しています。どの業者も口をそろえて、過去のどの時期よりも深刻な景気の悪化だと言っています。無担保、無利子の融資といっても、そもそも多くの事業者が借金を抱えています。手続も大変で間に合っていません。
総理、とりわけ今、中小零細企業の年度末の資金繰りの心配に応えて、緊急、大胆に手続の簡素化を図り、資金繰りへの不安に応えるべきではないでしょうか。そして、消費税増税以降の景気の冷え込み、加えて新型コロナの影響が全国に広がる中、リーマン・ショックのときや東日本大震災のときで行った対応を踏まえて、融資の返済猶予、特例的な助成金や補助金、消費税減税など、今まで以上のあらゆる手だてを迅速に講ずるべきではないでしょうか。いかがですか。
【安倍晋三内閣総理大臣】
新型コロナウイルスの影響については、現在、全国で一千か所を超える経営相談窓口を設けておりますが、中小・小規模事業者の皆さんから声が寄せられています。最も多いのは厳しい資金繰りに関する相談でございます。
そのため、先般取りまとめた第二弾の緊急対応策では、日本政策金融公庫などにおいて特別貸付制度を創設をし、そして、売上げが急減した個人事業主を含む中小・小規模事業者に対して、実質無利子、無担保の融資を行うこととしました。そして、最長五年間、元本返済を猶予する据置期間を設定することにより、当面の間、一切の返済負担を軽減できるようにします。これほどの強力な措置を全国規模で展開するのは、これまでに前例のない対応であります。その上で、年度末が迫る中、融資をできる限り早期に実行することが必要であります。そのため、資金繰り表を原則不要とするなど提出書類を簡素化するとともに、実地調査を省略するなど、審査プロセスも簡略化しております。第二弾対策決定後の僅か一週間で通常の二倍を超える一万件以上の融資の申込みを受けておりまして、大変厳しい状況に置かれている中小・小規模事業者の皆さんの資金繰り対策に今後とも万全を期してまいりたいと思います。
【伊藤岳議員】
先ほど紹介した、融資だけではなく特例的な助成金、補助金という声にも応えていっていただきたいと思います。
フリーランスへの十分な休業補償はますます求められている状況にあります。本会議での私の質問に対して、総理から四千百円の補償についての納得できる根拠は示されませんでした。一昨日、十七日に、この院内で開かれた院内集会で、今、コンサートを開催してもしなくても非難されます、どこに怒りをぶつけていいのか、興行がないと収入はゼロ、経費としてはマイナスになりますと言うコンサートプロモーターの方。三月に予定していたミュージカル、衣装もセットもできていたが三十公演全て中止になった、みんな号泣でした、今のままでは才能のあるこれからの日本の文化を担う若者がやめていくと言う音楽プロデューサーの方。イベントの仕事は、五十人、二百人という温泉浴場などで歌を歌うなどのキャンペーンもなくなりました、役者の精神的ケアも必要な状態になっていますと言う音楽業界の方。
胸が締め付けられる思いです。日額四千百円の補償ではどうにもなりません。そして、それは政府のイベント自粛要請に従って生じている事態だということです。
フリーランス協会は、三月九日、声明を出しました。総理も御存じだと思います。そこでは、政府要請という不可抗力によって休業を余儀なくされているフリーランスからの悲鳴や不安の声、官房長官記者会見を受けて救済措置に期待する声が寄せられているとして、見込み収入の消失だけでなく、支払済み経費で損害を被り、資金繰りにあえぐ事業者を考慮した上限額をとか、二〇一九年度の確定申告実績に基づく平均月額所得の八割程度の給付型支援をなどと要請をしています。総理、そもそもフリーランスの四千百円の補償の対象者について、厚労大臣は十二万人であると答弁をしていますが、余りにも少ない。政府の要請によってフリーランスが不可抗力的な深刻な事態に直面しているんです。政府の責任で対象を拡大し、補償の引上げをしていくべきではないですか。
【安倍晋三内閣総理大臣】
今回の臨時休校要請に伴い新たに設ける助成制度については、正規、非正規問わず、雇用されている方を対象とするとともに、従来の雇用施策では対象としていなかったフリーランスの方々にも対象を広げることとし、昨日、申請受付を開始したところであります。ただし、こうした方々については、働き方や報酬の定め方が多種多様で、実際に支払われる予定であった金額を把握することは容易ではない中、迅速な支払とすることを第一に考え、就業実績にかかわらず一律の金額をお支払いすることとしました。その水準については、雇用されている方々についても勤務実績により支払水準は様々であることとのバランスも踏まえて、その上限額を八千三百三十円の半額程度を定額でお支払いするものとしたものであります。その積算上の申請人数については、十二万人程度を見込んでいるところでございます。
ただ、この十二万人程度というのは、今のこの中において、積算上、この申請人数についての予測をしているところでございまして、この十二万人を上回ったら対応できないのかということはないわけでございまして、もちろんそれは上回ってまいりましたらしっかりと対応していくということでございます。
さらに、フリーランスを含め生活に困難を生じている方については、今回の返済免除特約付きの緊急小口資金等の特例を創設することで、これは最大八十万円まで支援を可能とし、所得の減少が続く住民税非課税世帯の場合には、その返済を免除し、生活の立て直しを強力に支援することとしております。
【伊藤岳議員】
四千百円というのが提示されてもう日にちがたっています。経過を見ながら、見ての判断をして、補償の引上げを急いで図っていただきたいと思います。
今総理からお話のあった返済免除の特例が付いた緊急小口資金についてお聞きします。この特例を本当に使えるようなものにしていく必要が私はあると思うんです。困窮に追い詰められている人にとって、融資は結局借金です。ここには期限は三か月間となっていますが、この三か月にとどまらない仕組みとすることや生活が安定するまで安心して資金を受けることなど、一律ではない細やかな対応を徹底する、そういうふうに先ほどの総理の発言は受け止めてよいでしょうか。
【安倍晋三内閣総理大臣】
景気悪化への懸念が高まる中において、生活に不安を感じておられる方々に対する追加的な措置が急務であると認識をしております。
先ほど答弁をさせていただきました、返済免除特約付緊急小口資金等の特例を設けまして、学校休業の影響の、これ有無にかかわらず、広く生活への不安に対応することとしたところであります。利用者の方々は生活上の困難な様々な困り事を抱えておられることから、社会福祉協議会や市町村とも連携をしながら周知徹底を図るとともに、迅速に手続を行うなどきめ細やかな施策を実施してまいります。
【伊藤岳議員】
この期間の延長も含めて、弾力的に是非運用を進めていただきたいと思います。
公立・公的医療機関の検討、削減の計画と感染症医療の拡充について、最後に伺います。埼玉県は、新型コロナウイルスの感染拡大に備えるために、入院患者の受入先として県内百二十医療機関を調査しています。感染症指定医療機関の拡充はもちろんですが、それだけでは足りなくなる状況です。これは全国どこでも同じ状況だと思います。そして、医療スタッフの整備、個室の確保など厚い財政支援も必要となってくると思います。
総理、公立・公的医療機関検討、削減の四百二十四の病院リスト、これ、今やもう白紙撤回するべきではないでしょうか。そして、公衆衛生、感染症医療の体制強化と厚い財政支援を行うべきではないでしょうか。いかがですか。
【安倍晋三内閣総理大臣】
地域医療構想は、地域の医療ニーズに合わせ、効率的で質の高い地域医療提供体制の確保を目指して取り組むものでありまして、地域の医療機関が担うべき役割や在り方などを機械的にこれは決めるものでは、御承知のように、ありません。御指摘のリストも、それぞれの地域において、構想の実現のために医療機関が今後の医療機能の在り方を考える際の材料としてお示しをしたものでありまして、病院が将来担うべき役割や在り方、統廃合の方向性を機械的に決めるものでもありません。公立・公的医療機関等については、ほとんどの感染症病床を担い、感染症対策において重要な役割を果たしていただいていると承知をしています。このような機能や役割も含め、それぞれの地域において必要とされる医療提供体制の議論を深めていただきたいと考えています。なお、政府としても、引き続き、地域の感染症対策にとって重要な役割を果たしている感染症指定医療機関の整備等について支援をするとともに、地域医療介護総合確保基金等も活用して、地域の医療体制の確保に必要な支援を行ってまいりたいと思います。
【伊藤岳議員】
時間が参りました。財政措置の抜本的な引上げを求めて、質問を終わります。