議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
八潮市の道路陥没下水道事故について聞きます。
今回の事故を通して、あれだけの大規模な陥没に驚き、誰もがこうした事故に遭うのではないかという心配が全国の自治体の共通した思いとなっているのではないでしょうか。
八潮市の事故を受けて設置された有識者委員会の第三回会合が十一日に開催されました。この会合では全国特別重点調査が議題になりました。
古川国交副大臣にお聞きします。
有識者委員会で議論されたこの全国特別重点調査は、どのような調査となるんでしょうか。これまでの法定点検や緊急点検では点検、調査できなかった下水道施設全体を網羅する調査、点検になるのでしょうか。どうですか。
【古川康 国交副大臣】 お答え申し上げます。
国土交通省では、埼玉県八潮市におけます道路の陥没事故を受けまして、下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会を設置いたしまして、大規模な下水道の点検手法の見直しを始め施設管理の在り方などについて御議論をいただいています。
国土交通省では、事故発生直後に、地方公共団体に対しまして陥没箇所と同様の流域下水道管路について緊急点検を要請いたしましたが、委員会におきましては、一週間という短期間での緊急的な点検であったため、その対象や方法は限定的であったとの認識が示されました。このため、今回と同様の事故を未然に防ぎ、国民の安心、安全が得られるように、下水道管路の全国特別重点調査を実施すべく、その対象や方法などについてこれまで御議論をいただいたところでございます。
その調査の対象については、大規模陥没につながる要素と事故時の影響度の観点から、大口径で古い管路を基本とする方向で議論がなされました。
国土交通省といたしましては、今後、委員会の結論が得られ次第、速やかに地方公共団体に実施の要請をしてまいります。
【伊藤岳 参院議員】 今副大臣から説明がありましたが、全国特別重点調査、これ第三回会合の資料を見ますと、名称が全国一斉調査から特別重点調査というふうに変わっていますし、調査の対象も、下水道布設後四十年程度経過した下水道施設を調査対象とするという表現から、大口径で古い構造の管路を基本としつつ、八潮市の事故現場と類似の箇所とか腐食しやすい箇所など限定した指定に変わっているんですね。
そこで、副大臣にお聞きします。
この調査対象が変更されているのはなぜですか。
【古川康 国交副大臣】 この委員会におきましては、今回と同様の事故を未然に防ぐ、そして国民の安心、安全が得られる、そのようにするためにどのような対象や方法、スケジュールで調査を行えばよいかということで今検討が進められているところでございます。
委員から御指摘がありました様々な要素を含め、どのようにしていくのか、今委員会で検討が進められているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 今委員会で検討されていくと言われましたけれども、布設後四十年経過した下水道施設がこの古い構造という定義の中にくくられているようじゃ駄目だと思うんです。
資料では、最優先で実施すべき調査対象にこの布設後四十年の管が入っていません。国交省のデータの中では、下水道布設後四十年経過すると道路陥没事故が急増するというデータがあるわけですから、布設後四十年経過した下水道施設全体を全国特別重点調査の調査の対象として最優先で実施すべき箇所として必ず明記すべきだと思います。副大臣、どうですか。
【古川康 国交副大臣】 委員から御指摘のあった四十年という数字については、私ども国土交通省の方の調査結果から出ているものでございまして、私どもも認識をしているところでございます。
しかしながら、このそうした数字をどのように具体的な調査に反映させていくのかということについては、現在、委員会で議論が行われているところでございまして、どうか御理解を賜りたく存じます。
【伊藤岳 参院議員】 委員会の議論に任せちゃ駄目だと思いますよ。国交省が、布設後四十年たったら事故が急増するというデータあるんですから、これしっかり調査しようということを有識者委員会にも求めなきゃいけないと思います。
この全国特別重点調査の費用の負担はどうなりますか。
【古川康 国交副大臣】 その点については、国土交通省としてもこの下水道事業というものに責任を持つ省庁として、また、事業主体としては地方公共団体ということでありますので、適切な役割分担の下に支援を行ってまいります。
【伊藤岳 参院議員】 地方自治体は、通常、この特別点検とは別に、地方自治体の判断でやる調査の箇所もあると思うんですよ。そうすると、この特別重点点検が入りますと、点検する箇所も費用もかさんでくるということになりますね。つまり、地方自治体の負担が増えていくということに、重くなるということになると思います。
是非、この費用負担について、今のスキームでは地方自治体の財政状況任せになりますから、国として財政的に後押しとなるような検討が必要ではないかと、これ指摘しておきたいというふうに思います。
次に、老朽化した公共インフラの点検、改築を集中的に支援する国交省の防災・安全交付金について聞きます。
この交付金は、公共インフラの点検と改築に対する補助ですが、地方自治体からの要望額に対する配分率は六割程度で推移をしてきています。
国交副大臣にお聞きします。
地方の要望額に満たないのに、なぜ防災・安全交付金の予算を増額してこなかったんでしょうか。
【古川康 国交副大臣】 この防災・安全交付金につきましては、議員御指摘のように、下水道を含めまして、地方公共団体からは予算額を上回る額の要望をいただいているところでございまして、要望額に対する配分額、私ども措置率と呼んでおりますけれども、それは令和六年度の実績で約六一%でございます。
一方で、御指摘ありましたような地方公共団体のインフラの老朽化対策や防災・減災対策の取組への支援措置については、この防災・安全交付金だけでなく、個別の補助制度を設けているところでございまして、特に下水道につきましてはこうしたものも併せて支援を行ってきているところでございます。個別の補助制度の創設、拡充と併せて防災・安全交付金の活用を図っているということでございます。
【伊藤岳 参院議員】 つまり、防災・安全交付金の予算は足りていないということですよね。
で、ほかのメニューがあると言われました。十日の予算委員会でも、中野大臣が防災・安全交付金のほかに検討している国交省の支援、補助制度があると言われていましたが、支援、補助制度がこれあるのならば、どういう制度があるのか列挙してもらえますか。
【古川康 国交副大臣】 既に事業化されているものから申し上げますと、令和元年度予算におきまして、下水道整備と河川事業とを一体的に計画的、集中的に実施することによりまして、浸水に対する安全度を早急に高めることを目的としました事業間連携下水道事業が創設をされました。令和二年度予算におきましては、雨水処理を担う大規模な下水道施設の設置、改築事業を集中的に実施することを目的とした大規模雨水処理施設整備事業が創設をされました。また、本予算、令和七年度予算案におきましては、下水道システムの言わば急所となります基幹施設の耐震化を推進するための下水道基幹施設耐震化事業の創設などが行われる予定となっているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 今いろいろな制度の説明がありましたが、それらのうち下水道管の修繕に使える補助はありますか。
【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 お答え申し上げます。
例えば、先ほど、令和七年度に創設を予定しております下水道施設の急所となる基幹施設の耐震化を推進する事業につきましては、耐震化がされるということは老朽化している管が新しくなるということでございますので、こういうこと、こういうものに活用することができます。
【伊藤岳 参院議員】 いや、耐震化のじゃなくて、修繕。つまり、点検して修繕が必要だと、ひびがあるところを修理しようと、その修繕に使えますかと聞いているんです。
【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 修繕に使えるものはございません。
【伊藤岳 参院議員】 ないんですよね。防災・安全交付金も修繕には使えない、改築なら使える。いろいろメニューはあると言われたけれども、そのメニューも修繕に使えるものはないんですよ。
国交副大臣にお聞きします。
政府も国交省も、予防保全と強調されます。これ、大事なことですよ。しかし、そのための国費の当てはないということですよね。これで予防保全進みますか。
【松原英憲 国土交通省大臣官房審議官】 国土交通省におきましては、地方公共団体が計画を作って、その計画に基づいて点検、調査を行い、その結果を踏まえた改築に対していわゆる国の補助制度を設けているところで、国庫補助を行っているところでございます。
一方、修繕につきましては、下水道事業は下水道使用料等による独立採算を基本としておりますので、汚水に係る維持、修繕については使用料で賄うということになっております。
【伊藤岳 参院議員】 地方が求める防災・安全交付金は配分率六割、その上、修繕は地方持ちだと。これで地方がやっていけるわけないじゃないですか。老朽化対策の予算の抜本的な拡充を強く求めたいと思います。
国交省に係る質問はここまでですので、御退席いただいて結構です。
【伊藤岳 参院議員】 次に、マイナ保険証の問題についてお聞きします。
埼玉県在住の全盲の視覚障害者の方から次のような声が寄せられました。この方は、マイナ保険証を取得されて初めて医療機関を受診されたときに、顔認証と言われたけれども、目が見えないから顔をどこに向ければいいか分からなかった。暗証番号と言われたけれども、目が見えないので入力できない。すると、職員の方が出てきて、目視で確認しますと声を掛けてきたと言われていました。健常者の方とは違う方法で資格確認をされて、差別扱い、例外的な扱いをされた、人権侵害を感じたと言われています。
吉田厚労政務官にお聞きします。
全盲の方がマイナ保険証を利用しての資格確認は困難だと訴えています。どう受け止めますか。
【吉田真次 厚生労働大臣政務官】 お答えを申し上げます。
医療機関等の顔認証付きカードリーダーでマイナ保険証を利用する上では、顔認証又は暗証番号の入力を行っていただくことになりますけれども、視覚障害をお持ちの方などは顔認証や暗証番号の入力が難しいと。そうした方につきましては、マイナンバーカードの写真により医療機関等の職員が目視によって本人確認を行う目視確認による方法も可能としているところであります。
これは今委員から御指摘があったところでございますが、この目視確認について、視覚障害者の方を始め医療機関等の窓口で配慮を必要とする方が円滑にこのマイナ保険証での資格確認を受けられるように、この三月末に顔認証付きカードリーダーの改修、これを行いまして、医療機関等の職員が簡単に操作をできるよう運用の改善を図ることといたしております。
今後も、視覚障害者の方々も含めまして、様々な方の声も受け止めながら、マイナ保険証をよりお使いをいただきやすくなるような環境整備に引き続き対応してまいりたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 いやいや、聞いていることは違うんですよ。
顔、目視がしやすくなるようになった、なるということを言われた。しかし、ほかの方と違う資格確認をされて、例外的な扱いをされて人権が侵害されたと訴えておられているんですよ。保険適用の資格確認の現場でですよ、人権侵害だと受け止めるような事態が生じているんですよ。この事態をどう受け止めるのか。もう一度お願いします。
【吉田真次 厚生労働大臣政務官】 お答えを申し上げます。
今ほど委員からそういう御指摘をいただきましたことを踏まえまして、これはよく検討していかなければいけないと、こういうふうに思っておりますが、なるべくそういう事態をなくすという形の一つが、今ほど申し上げた、カードリーダーの改修によってなるべく職員の方も簡便にできるように、そして利用者の方もスムーズにその確認を受けていただけるようにするシステム改修をしていくということでございます。
【伊藤岳 参院議員】 この当事者の方は、したがって、こう訴えているんですよ。何で保険証をなくすんですかと、これまでの保険証ではこんな人権侵害をされるような思いはしたことがないと訴えておられます。
そこで、政務官にお聞きします。
従来の保険証の新規発行を廃止してマイナ保険証に移行するに当たって、こうした全盲などの方の問題は検討されていたのか、検討されていたのであれば、どのような場でどのように検討されていたのか、その結果どのような結論に達したのか、示してもらえますか。
【吉田真次 厚生労働大臣政務官】 お答えを申し上げます。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する議論の際には、この令和四年から五年にかけて開催をしたマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会専門家ワーキンググループ、ここにおきまして、視覚障害者の関係団体も含めて、その支援団体等のヒアリングを行ったところであります。
そこでは、高齢者や障害者の中にはマイナンバーカードの取得に困難を抱える方もいらっしゃるということ、それから、医療機関等を利用する際の本人確認、これにつきまして四桁の暗証番号等の入力とは別の方法で利用できるようにすべきであることなど、このマイナンバーカードを保険証として利用する上で様々な御意見をいただいたところでございます。
こうした御意見も踏まえながら、暗証番号の設定が不要なカードの申請、交付の御案内であったり、あるいはマイナンバーカードを健康保険証として利用するための手続や医療機関等での利用方法等に関する福祉施設、支援団体向けのマニュアルの作成、こうしたことも行ってきたところでございます。
また、これはまた先ほどお話をしたとおりでありますが、顔認証や暗証番号の入力が難しい、そうした方々におきましては、マイナンバーカードの写真により医療機関等の職員の目視で本人確認を行う方法、これも可能としているところでございます。
引き続き、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行する中で、この障害者の方々を含む全ての国民が安心をしてマイナ保険証を御利用いただけますように、必要な保険診療を受けることができるように環境整備に取り組んでまいりたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 もう一度確認しますが、障害者に関わる施策については当事者の意見を聞くことが求められています。
この人権侵害にもつながるようなこうした全盲の方のような問題について、その全盲、視覚障害者の当事者から意見を聞いたんですか。聞いた、もう一度。
【吉田真次 厚生労働大臣政務官】 お答え申し上げます。
この視覚障害者の関係団体も含め支援団体というふうに先ほど申し上げましたが、具体的には、社会福祉法人日本視覚障害者団体連合会、それから一般財団法人全日本ろうあ連盟、それから全国身体障害者施設協議会の皆様方から御意見をいただいているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 意見を聞いても、視覚障害者の方から実際に人権を侵害されたという訴えが出ているんですよ。検討が求められていると思います。
そこで聞きますが、こういうマイナ保険証の利用が自分は嫌だという方がマイナ保険証を取得している方でもいます。このマイナ保険証を取得して利用している障害を持っている方が資格確認書の取得を希望する場合、どのようになりますか。
【榊原毅 厚生労働省大臣官房審議官】 お答え申し上げます。
マイナ保険証をお持ちであってもマイナ保険証による受診が困難な方については、視覚障害者の方も含めまして保険者に申請いただくことで資格確認書を交付することとしているところでございます。また、資格確認書の交付申請につきましては、親族等の法定代理人による代理申請のほか、施設職員などの介助者等による代理申請も可能としているところでございます。
引き続き、マイナ保険証で受診することが困難な方も含めまして、全ての方が保険診療を受けられるよう、着実に対応を進めてまいりたいと考えております。
【伊藤岳 参院議員】 つまり、障害を持つ方に保険者のところに申請に出向かせることになる、まあ代理申請もあると言いましたがね。これ、申請なしで交付する対象に加えるべきではないですか。政務官、どうでしょう、申請なしで。
【榊原毅 厚生労働省大臣官房審議官】 お答え申し上げます。
マイナ保険証をお持ちの高齢者や障害者の方々につきましては、資格確認書の必要性がそれぞれ事情に応じて異なりますことから、申請に基づき資格確認書を交付することとしております。
ただし、その後、高齢者、障害者等に対しまして保険者において要配慮者として取り扱われまして、申請により資格確認書が一旦交付された場合には、その後、その資格確認書の有効期限が切れる前に、再度申請することなく保険者から資格確認書を交付することとしているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 村上大臣にお聞きします。
今お聞きいただいたように、マイナ保険証をめぐって人権侵害と受け止められるような事態まで起きております。
大臣は、昨年十二月二十四日のこの当委員会で、私が、現行保険証との選択制からマイナ保険証一本化に方針転換した関係三大臣の協議について、二〇二二年十月十三日のね、デジタル大臣、厚労大臣、二大臣の協議、まあ、その後、総務省は協議じゃなくて確認の場だったと私の部屋に説明に来ましたけれども、この協議、確認には松本前大臣が陪席しただけだとの旨答弁されました。まあ村上大臣は、その後私に、もうこのことは聞いてくれるなと言ってきましたけれども、当時の関係三大臣が集まって、閣議決定を覆して保険証を廃止するという極めて重大な場に当時の総務大臣が立ち会っていたんですから、これ、はっきりさせる必要があるということなんですよ。
そこで聞きます。
村上大臣、松本前大臣は、三大臣の協議、確認の場に陪席しただけ、何ら発言はしなかったと言いますが、発言することは許されなかったということですか。
【村上誠一郎 総務大臣】 まあ私はその当時は閣内におりませんでしたし、ただ、正直申し上げて、そのデジタル大臣と厚生労働大臣との間で逐一協議がなされた上で、令和六年秋に保険証の新規発行終了を目指すことが決定され、令和四年十月十三日に総務大臣を含む関係閣僚それぞれにおいて当該方針について確認したものと聞いております。
健康保険証の新規発行終了に関する当時の方針決定についてのお尋ねですけれども、健康保険証は総務省の所管じゃないのでお答えするのは控えさせてもらいますが、先ほど申しましたように、最終的に記者発表が行われた令和四年十月十三日、総務大臣を含む関係閣僚のそれぞれにおいてその健康保険証の新規発行終了に関する方針について確認したものと承知しており、三大臣による関係閣僚間の会合といった形での確認がなされたものではないと、そういうふうに承知しております。
【伊藤岳 参院議員】 確認されたんだと言いますが、発言することを許されなかったことではないと思うんですよね。それは明言されませんでした。
保険証廃止、マイナ保険証一本化の中で、こうした人権侵害につながる事案が起きているんですよ。三大臣の確認でと言うが、その確認がされた合意が重大なんですよ。だから、総務省は関係ないことだと責任逃れはできないと思いますよ。
大臣、もう一度答えてください。
【村上誠一郎 総務大臣】 何回も言いますが、デジタル大臣と厚生労働大臣との間で逐一協議なされて、令和六年の秋に保険証の新規発行終了を目指すことが決定されたわけでありまして、それぞれの関係閣僚において当該方針について確認したものと承知しておりますので、その間についてのことは、私では知り得る、何というのかな、さっき委員が言われたように、発言したかどうかは私では確認しようが今ないということです。
【伊藤岳 参院議員】 まとめます。つまり、前大臣がその場にいて、確認はしたんだけれども、発言もしなかったということが問題だということを指摘しているんです。終わります。