議事録(未定稿のため今後変更される可能性があります)
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
初めに、高額療養費制度について、総理にお聞きします。
総理は、今年八月からの負担上限引上げについて見送ることとしました。見送るのであれば、参議院選挙の前に、負担上限引上げを全面撤回すると表明すべきではないですか。がん患者さんは、物価高騰の中で、ただでさえ生活圧迫、引上げは絶対にやめてほしい、むしろ引き下げてほしいと言っています。
高額療養費の負担上限は引き下げるべきではないですか。総理、どうですか。
【石破茂 内閣総理大臣】 私どもとして、これが十分に、がん患者の皆様方始め、御意見を承っていなかったという深い反省を持っておるところでございます。したがいまして、このような決定に至ったものでございますが、今後、患者の皆様方あるいは団体の皆様と保険者の皆様、そういう方の御意見を適切に、そこにおいて議論を交わしていただきながら決定をしていくべきものでございます。現時点において委員御指摘のようなそういう決定を行うということは、そういう御議論を等閑視することになります。
私として、プロセスに十分な点が、プロセスが十分でなかったという反省の下に、患者の方々が御不安を抱えたまま決定をするということをしないという決断をいたしたものでございます。いろんな議論がなされますが、そこにおいては、持続可能性とともに、そういう御不安の解消、御負担の軽減というものも併せて御議論が賜ることになるだろうと思っておるところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 がん患者さんの御苦労に応えるならば、負担上限引上げの全面撤回と引下げしかないと強く求めたいと思います。
埼玉県八潮市で発生した道路陥没、下水道事故についてお聞きします。
まず、事故に遭遇された、いまだ安否不明の男性の一刻も早い救助を願います。また、事故現場付近にお住まいで避難を余儀なくされた皆さん、営業の減収等の被害を受けた皆さん、下水の排出制限や異臭等で不便な状況に置かれた皆さんに心からのお見舞いを申し上げたいと思います。
八潮市の事故現場は、市役所のすぐ、本当近くでしてね、同市のメインストリート、私もよく通る場所です。通行量も非常に多いです。そこであれだけの大規模な陥没に驚き、誰もがこうした事故に遭うのではないかという心配が多くの国民の思いではないかと思います。
石破総理、総理は今回の八潮市の事故をどのように受け止めておられますか。
【中野洋昌 国土交通大臣】 ちょっと担当大臣としてお答えさせていただきます。
一月二十八日、埼玉県八潮市で道路陥没事故発生をいたしました。私も現地へも行ってまいりました。トラックドライバーの方が今も行方不明でございます。また、埼玉県の御地元、約百二十万人の方々が下水道の使用自粛を求められるなど、甚大な被害が生じているところであります。大変に重く受け止めております。
国土交通省では、平成二十四年、笹子トンネルの事故がありました。で、翌年の平成二十五年から、これはやはり老朽化対策やらないといけないと、二十五年、社会資本メンテナンス元年ということで銘打ちまして、省を挙げてインフラの老朽化対策に取り組んでまいりまして、下水道の分野でも平成二十七年に下水道法を改正をいたしまして、これは維持修繕基準をこのときに創設をいたしました。そういう意味では、下水道も予防保全、このメンテナンスの強化だということで取り組んできた中でこのような重大な事故が起きたということを大変重く受け止めている次第でございます。
今回の事故を教訓に、この管路のメンテナンスというものを再建をして、このような事故を二度と起こしてはならない、こういう強い決意で対策を講じてまいりたいと、このように考えております。
【伊藤岳 参院議員】 総理も一言、見解どうでしょうか。特に、総理、埼玉県民、日本国民の不安の払拭、これは大事だと言われてきましたけれども、どうですか。
【石破茂 内閣総理大臣】 今回このような事態と相なりましたが、これ、埼玉県においても点検というものは今までも行ってきたところでございますが、こういうことが起こったと。これから先、起こってからどうしましょうかみたいなことを言っておっても仕方がないので、予防保全型というのでしょうか、そういうものに切り替えていかないと、被害が実際に発生してからでは、それはもう被害をどうするんだということもございますし、掛かる費用も大きいし、その間に生ずる不便、便益が十分に発揮されないと住民の方々に御迷惑も掛かる、御負担も掛けるということで、予防保全型というものを更に先行して取り組みたいと考えておるところではございます。
【伊藤岳 参院議員】 中野大臣、今回の事故の原因は何だったんですか。
【中野洋昌 国土交通大臣】 埼玉県八潮市で発生をした道路陥没事故の原因ということでの御質問でございますが、これはもちろん流域下水道管の破損に起因をするものであるというふうに考えております。
この具体的な事故の原因につきまして、今回の下水管の施設の管理者は埼玉県でございまして、この具体的な原因につきましては、今後、施設管理者であるこの埼玉県におきまして調査がなされるものであるというふうに承知をしております。
【伊藤岳 参院議員】 要するに、現時点で事故の原因は断定できないということですよね、総理。事故の原因究明が何より大事で急がれるべきだと思います。それなしには、埼玉県民、日本国民の不安の払拭はできないと思いますね。十分な点検と維持管理がなされていたならば、事故は防げたはずなんです。
まず、下水道の点検について伺います。長く下水道職員として働き現場を熟知する方のお話では、大きな口径、今回のような大きな口径での下水道管では一定の流量以上になると内部に立ち入って目視による点検は難しい、また、高い、高濃度の硫化水素があるとすれば、その危険性も回避しながらの点検が必要となるというふうに言っておられました。
中野大臣、実際、今回どのような点検が行われていたか、確認はできていますか。
【中野洋昌 国土交通大臣】 お答え申し上げます。委員御指摘のとおり、確かに下水管、硫化水素等の大変有毒なガスもあります。非常にそういう意味では、点検といっても様々な、何というか、そういう注意をしながらやっていくというのは委員の御指摘のとおりかと思います。
今回の埼玉県のこの八潮市の下水道管路がどのように点検されていたのかということであります。今回確認をしておりますけれども、埼玉県におきましては、全ての管路の内部について五年に一回の頻度で調査をしたというのが埼玉県からの報告でございます。この具体の、八潮市の今回陥没をしたこの道路陥没の場所につきまして、ここの下水道管路は直近では令和三年度に調査をしたと。具体的には、船のように水面に浮く機器にカメラを取り付けて具体的に管路の中を撮影をして、その画像によって調査をしたというところでございます。そのときの調査では、補修が必要な腐食あるいは損傷、こういったものは確認されなかったというふうに報告を聞いているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 そもそも、下水道の点検は国はどう定めていたのか。パネルを用意しました。(資料提示)二〇一五年に改正された下水道法に基づきますと、腐食するおそれが大きいものとして国土交通省令で定める排水施設にあっては、五年に一回以上の適切な頻度で行う。その腐食するおそれの大きいものとして、下線引きましたけど、下水の流路の高低差が著しい箇所、伏越室の壁その他と限定して指定しています。大臣、なぜ限定して指定しているんですか。
【中野洋昌 国土交通大臣】 お答えを申し上げます。下水道法で点検についてどのように定めているかということでございます。
この平成二十七年に維持修繕基準というものを創設をさせていただきました。その中では、まずは下水道法第七条の三第一項というところで、下水道管理者は、この公共な下水道を良好な状態に保つように維持し、修繕をすべきであるということをまず定めた上で、同条第二項に基づく同法施行令第五条の十二に定める……(発言する者あり)はい。
点検は、まず前提として、全ての施設について、構造や流入する下水の量などを勘案して適切な時期に適切な方法により行うというのがまず大前提でございまして、このうち腐食のおそれの大きい箇所、腐食のおそれが大きいという箇所について特に五年に一回以上の適切な頻度で点検をするということで定めているということでございます。
【伊藤岳 参院議員】 こうやって限定して指定しているため、八潮市の今回の事故現場の下水道管路は、高低差が著しい箇所でもなかったし、伏越室のその他周辺にも当たらないということでしたから、実際、埼玉県は今回の事故現場の下水管路について法定点検の対象にはしていなかったんですよ。腐食するおそれが大きいものを限定しないで、今回の事故現場のような大きな口径の下水道管路全体を指定していれば、今回の事故は防げたのではないですか。
大臣、もう一つ聞きます。五年に一回以上の点検と、この点検の頻度を定めていますが、この根拠、何ですか。
【中野洋昌 国土交通大臣】 五年に一度の方の根拠ということで、まずこちらだけお答えをさせていただきます。
法律の中でもありますとおり、腐食のおそれのある、大きい箇所ということで最低五年に一回ということでございます。これは、一定の仮定の下、どのような速度で腐食が進んでいくか等々、これはある程度科学的に予測を用いて必要点検頻度について検討をしたということでございます。そういう中で、やはり五年を経過をすると腐食による管渠の損傷の可能性が発生をすると。特に、下水の流路の勾配が著しく変化をする箇所や下水の流路の高低差が著しい箇所についてはこういう可能性が発生をするということでございますので、このような点検、このような箇所の点検については五年に一回以上の適切な頻度で実施をするということで定めたものでございます。
【伊藤岳 参院議員】 衆議院の答弁では、今回の事故を受けて、下水道の点検調査の在り方、必要な検討、見直しを行うと答弁されていますが、これは是非必要だと思うんですね。
次に、点検に基づく下水道管の維持管理について聞きます。
公共インフラ全体を見ても、今後二十年間で建設後五十年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなります。二〇四〇年には、下水道管渠は約三四%が建設後五十年、水道管に至っては約四一%、道路橋に至っては何と七五%が建設後五十年以上経過することになります。当然、公共インフラの維持管理、老朽化対策の重要性も加速度的に重くなると思うんです。
そこで、総理に伺います。
下水道だけでなく、公共インフラの老朽化対策について、点検方法の見直しと施設の維持管理の在り方全体を根本から見直すべきではないですか。
総理は地方創生を掲げておられますが、公共インフラの安全性なしには地方創生成り立たないと思いますが、いかがですか。
【中野洋昌 国土交通大臣】 老朽化した公共インフラが加速的に増加をしていくということで、適切な維持管理、更新のための対策、一層強化をする必要があるというのは、まさに委員御指摘のとおりだと思います。
まずは、施設に不具合が生じてからではなくて、やはり定期的に点検をして、緊急度に応じて対策を講じるこの予防保全型、このメンテナンスへ転換をしていくということが非常に重要であります。また、老朽施設は増加をしておりますが、自治体の技術職員も大変数も限られております。新技術、ロボットなど、こういうものも導入をしたり、複数自治体のインフラを群として捉えて管理するなど、定期点検また対策の質、確保してまいりたいと思います。
その上で、今後人口減少も進んでいくということで、地域の将来像を踏まえて、更新等に当たっては、やはりインフラの集約、再編等ということも必要になってこようかと思います。こうした取組の中で、将来増加が見込まれる維持管理費、更新費というのは非常に増加をしていくというふうに見込まれておりますので、これを何とか縮減をしていくという一方で、必要な修繕、更新の予算が的確に確保できるように、今、国土強靱化実施中期計画を策定に向けて調整をしておりますので、しっかりと対策を盛り込めるように調整をしていきたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 実は、公共インフラの危機的な状況は既に早い段階から認識されていたんですよ。
これ、パネルを見ていただきたいと思います。これ、八潮市の事故を受けて有識者委員会に提出された資料そのままなんですが、この資料を見ますと、下水道管路の布設後四十年を経過すると道路の陥没箇所が急増するというデータなんです。下水道の管路の布設後三十六年から四十年では百十九件の事故だったものが、四十一年過ぎますと二百五十件、四十六年過ぎますと五百十一件というふうに急増しているんですね。
中野大臣、このデータは国交省としていつから取り始めたんですか。
【中野洋昌 国土交通大臣】 委員御指摘の、下水道管路の布設後四十年を経過すると道路の陥没箇所が増えるというデータにつきまして、この下水道管路に起因する道路の陥没の件数というのは、国土交通省におきましては平成十九年度から毎年度調査をし公表をしているところであります。
また、布設後四十年程度経過をすると道路陥没件数が増加をするといった傾向につきましては、この平成十九年の当時から把握をしていたということでございます。
ですので、国土交通省では、こうしたデータを会議等の場で各下水道管理者の皆様に示しながら、適切な点検や調査、計画的な修繕、改築の実施ということは継続的に働きかけてきたところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 私、これ令和四年度の調査ですが、平成二十七年度、二〇一五年度、今から十年前のこの同じ調査を見たんですが、全く傾向同じなんです。
やっぱり、下水道管路布設後四十一年を過ぎますと事故が急激に増えていくという状況なんですね。
今度は総理、答えてください。総理に聞きます。布設後四十年経過すると道路の陥没箇所が急増するというデータを今から十七年も前から握っていたんですよ、取っていたんです。そのデータを認識しながらも、政府は下水道管の標準耐用年数は五十年と言い続けていたではないですか。これ大問題じゃないですか、総理。
【中野洋昌 国土交通大臣】 済みません、ちょっと所管大臣として答弁させていただきます。
そういった意味では、やはり老朽化が進めば当然こうした件数が増加をするということで、これは適切な点検調査、そして計画的な修繕、改築、これが必要だということだというふうに思っております。それが適切になされることによって、やはりしっかりした計画的なインフラのメンテナンスができるということだというふうに思っております。
そういう意味では、平成二十七年に法律の中で維持管理基準というものも定めさせていただきまして、しっかりとこうした予防保全という考え方でメンテナンスを進めるということでやっていこうというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 総理、答えてくださいよ。どうですか、総理。何で、四十年、布設後たつと事故が急増するのに、耐用年数は五十年と言い続けてきたんですかと。答えてください。
【石破茂 内閣総理大臣】 五十年というのは、全て五十年で事故が起こるということを申し上げているわけではなくて、このグラフを見ますと確かに増えてくるわけですね。実際にそれが、耐用年数ということの定義にもよります。
ただ、その今御指摘のように、四十年、四十五年で急増するということは数字の上からも明らかなことなのであって、そうすると、それを見直す必要があるかどうかということは、それは検討はさせていただきます。今まで五十年ということで、実際に五十年間維持ができたものもございますが、そのデータを、行政の方から出したものそのまま御提示をいただいておりますので、それをよく分析をさせていただきたいと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 耐用年数ですから、総理、まあ安心といったようなものですよ。
総理、もう一度聞きます。じゃ、この五十年、耐用年数というのは、これ検討しますね。もう一度答えてください。
【中野洋昌 国土交通大臣】 今、下水道の関係でいうと、やはり今回の事故を踏まえまして有識者委員会を設置をしているところでございます。今までも、適切な点検調査、計画的な修繕、改築が重要だということで申し上げてまいりましたけれども、やはり大規模な下水道の点検手法の見直しなどについて今議論をいただいているという状況でございますので、こうした議論の結果を踏まえまして、必要な対策はしっかりと検討、実施してまいりたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 総理、どうですか、答えてください。五十年耐用というのは改める必要あると今思いませんか。どうですか。
【石破茂 内閣総理大臣】 済みません、今お示しいただきましたものだけでお答えはできません。
今国交大臣がお答えしましたように、どのようにして維持修繕をしていくかということについては、更に改善の余地があるということは事実でございます。人手が減っておりますので、その分、ドローンでありますとか、あるいはAIでありますとかロボットでありますとか、そういうものを活用して維持できる、そういう手法については劇的に改善をしてまいりたいと思っております。人が足りないので維持修繕ができませんなぞということを言ってはしようがありません。
そして、先ほど来お答えしておりますように、予防保全型というのはそのためにやるものでございます。いかにして予防をするか、それがまた耐用年数に密接に関係してくるものでございますので、この場において、はい、延ばしますということを軽々に申し上げることができないのは御理解いただけるかと思います。
【伊藤岳 参院議員】 もう検討するとも言えないというのはだらしないと私思いますよ。こういうふうに説明しているんですから。
それで、さっき、総理、人が減ってきているんだって人ごとみたいに言いましたけど、減らしてきたのは自民党政府ですよ。平成二十七年、二〇一五年に開催された政府の、国交省の社会資本整備審議会の分科会でこう言っているんです。施設の老朽化は静かに、しかし確実に進行しているが、それに対応する下水道担当職員は減少している。下水道担当職員が五人未満の地方公共団体が約五百存在するなど、下水道の管理体制は脆弱です。これ政府の文書ですよ、総理。
これ、パネル見てください。これ下水道職員の推移です。一貫して減っています。国交省が下水道管路の布設後四十年を経過すると道路陥没箇所が急増するというデータを取り始めた当時、平成十七年から二十二年までぐっと減っています。これ、約二割減っています。七千二百七十一人減っています。さらに、下水道の広域化、共同化を進めた二〇一五年、下水道法の改正の後も一貫して減っているんです。
中野大臣、なぜこんなにどんどん毎年大幅に下水道職員が減っているんですか。
【中野洋昌 国土交通大臣】 お答え申し上げます。それぞれ各自治体の状況、つぶさに全て掌握しているわけではございませんが、下水道事業におきましては、これまでの整備によって普及が進んでまいりました。そういう意味では、整備を推進をするという段階から、維持管理を適切に行う段階へとシフトしてきたということもあろうかと思います。こうした中で、全国での職員数が減少をしてきたのではないかと考えております。
他方で、地方公共団体における技術職員、減少しております。当然、厳しい財政状況ということもあろうかと思います。こうした中で、下水道施設の適切な管理というのは非常に重要であるというふうに思っております。
先ほども少し申し上げましたけども、国土交通省では、広域連携など事業運営の基盤強化の取組を促進をするためガイドラインを策定するなどの技術的な支援を行ってきたところでございますし、また、ドローンなどのDX技術も活用して施設の管理や老朽化対策を高度化、効率化をしていくということも必要だと思っております。地方公共団体向けの分かりやすいDXの技術カタログを今年度中に取りまとめるなど、DX技術の速やかな実装に向けて取組を進めてまいりたいと思います。
引き続き、今回の道路陥没事故を踏まえつつ、必要な技術的、財政的支援を行い、しっかりと強靱で持続的な下水道システムの構築というものに取り組んでまいりたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 DX、否定しませんよ、大いに活用するべきだと思いますよ。だけど、こんなに、表なくなっちゃったけど、こんなに人が減っていることを問うているんですよ。
今度、総理、答えてほしいんですが、政府の文章で管理体制は脆弱だと指摘していて、しかも公共インフラの老朽化という危機が先ほど言ったように見えてきている中で、下水道職員がこんなに政府の施策の誘導で減ってきているじゃないですか。この間の政府の方針、下水道事業の広域化、共同化という方針がこれでよかったと思いますか。こんなに人員が減ってよかったと思いますか、総理。
【石破茂 内閣総理大臣】 それは、生産年齢人口自体が物すごく減ってきておるわけで、この職種の方だけが減ったわけではございません。生産年齢人口が全て減っておる。中でも、エッセンシャルワーカーと言われる方々が、なかなか、他産業との奪い合いもございまして、人員を確保するのは難しい状況にあったということは事実だと思っております。
そうであらばこそ、委員が先ほど重要だと言っていただきました、AI、ドローン、そういうものを最大限に活用して、少ない人員であっても予防保全型ということができるようにしていかねばならぬ。
耐用年数のお話がございましたが、今日、冒頭の宮崎委員との質疑でも、土地改良あるいは農業基盤整備のところで、事業の目的に維持というのを加えるという答弁をいたしました。いかにして維持をしていくかということも予防保全の眼目でございますので、耐用年数を単純に短くするとかそういう問題ではございません。
【伊藤岳 参院議員】 予防保全があれば、では次のパネル、予防保全があればって言われますが、これ、もう一つ資料を見てください。
これ、公共インフラの維持管理、老朽化対策を、ごめんなさい、間違えました。五年に一回以上の法定点検で異状が見付かっても、その後対策は取られていないんですよ、人が足りないから。いいですか、これ。これ令和五年度までの点検で、緊急度Ⅰ、これ緊急度Ⅰというのは速やかに措置しないと危ないという箇所です、速やかに措置しないと危ないという箇所と判定された管渠が八・一キロあった。しかし、そのうち対策済みは三・六キロですよ。つまり、四・五キロが、措置、対策が取られていないんですよ。速やかに措置が必要と国が判断しながら、措置、対策は取らない。あり得ないことじゃないですか。
ここに、現場に人が足りないことが現れているんだと私は思うんですね。
もう一つ、パネル、次のパネルを見ていただきたいと思います。
公共インフラの維持管理、老朽化対策などを集中的に支援する防災・安全交付金というのが、平成二十四年度、二〇一二年度の補正で創設されました。二〇二四年度は、地方自治体の要望額がこれありますが、一兆四千億円です。地方が修繕などに必要だとする額が一兆四千億円。ところが、その地方自治体の要望額に対して措置されたのは八千五百六十三億円、配分率六一%ですよ。中野大臣、何でこうなるんですか。
【中野洋昌 国土交通大臣】 防災・安全交付金の配分額につきまして御質問をいただきました。
委員御指摘の防災・安全交付金につきましては、下水道を含めて地方公共団体からは予算額を上回る額の要望をいただいておりまして、要望額に対する配分額、措置率は、令和六年度の実績で約六一%、近年約六割台ということで推移をしておりまして、全ての御要望にはお応えできていない状況となっております。
他方で、地方公共団体のインフラの老朽化対策や防災・減災対策の取組への支援措置につきましては、この防災・安全交付金だけではなくて、今個別の補助制度も様々準備をさせていただいております。これらを併せて、できるだけ多くの御要望に応えられるよう、予算を確保し、支援をしていきたいというふうに考えております。
そういう意味では、交付金の制度というのは交付金の制度でございますけれども、やはり様々、
大変ニーズが高いところですとか個別の補助制度というものがございますので、これを組み合わせてしっかり支援をすることによりまして、地域の実情に応じた様々なニーズに的確に対応してまいりたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 いろいろメニュー言われたって言うけれども、政府が点検、修繕に充ててくださいと推奨しているのはこの交付金なんですよ。それが六割しか配分率ないのは何だと聞いているんです。
じゃ、大臣、もう一つ聞きます。しかも、この交付金の対象を聞いて、びっくりしました。交付金の対象となるのは点検と改築だけ、修繕のための費用は対象にならないというんです。なぜですか、これ。
【中野洋昌 国土交通大臣】 お答え申し上げます。下水道の事業というのは地方公共団体が実施をする事業でございます。下水道使用料等による独立採算を基本として実施をしているものということで承知をしております。
他方で、下水道施設の老朽化等に起因をする事故の予防や、施設の長寿命化、長期的な更新需要の把握といった観点から、施設の点検を含む維持修繕は極めて重要であります。現在、施設の点検調査や、その結果に基づく計画的な改築や更新など、重要な対策については財政支援を行っているというところでございます。
引き続き、いずれにしても、国土交通省においては、今回、八潮市における道路陥没も踏まえながら、必要な技術的、財政的支援というのはしっかりと行い、強靱で持続可能な下水道というものはしっかりと造ってまいりたいと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 答えてはいただけないです、なかなかね。それで、つまりこういうことですよね。点検、改築の費用、地方からの要望は応えられません、全額応えられません。修繕に至っては独立採算です、地方でやってください。つまりこれ、地方でやってくださいということは、住民の負担に跳ね返るんですよ。大臣、そうですよね。それで、それでですよ、地方自治体がやっていけると思いますか。やっていけないから、先ほど来説明したような事象が起きているんじゃないですか。
大体、下水道の広域化を推し進めて、まあ八潮の現場なんかもう大口径の下水道管です。私も中入ったことありますけど、四・七五メートルですからね。この大口径の下水道管というのは修繕コスト高いんですよ。だから、国がですよ、下水道の広域化、広域化と推し進めて、修繕コストの高い大口径の下水道管をどんどん広げてきた。これ、国の責任じゃないですか。どうですか。
【中野洋昌 国土交通大臣】 先ほど来申し上げております、やはり予防保全という取組が大事だというふうに思っております。これは、やっぱりどこかに問題があってそこに修繕をするということではなくて、やはり計画的にしっかり点検調査をしていただくと。その中で、やはりこれはしっかりと計画的にこの改築更新をしていかないといけないということをしっかり進めていくということが大事だというふうに思っております。
あわせて、しっかり国土強靱化実施中期計画、今まさに議論をしております。必要な老朽化対策というものをしっかり検討し、この中にしっかりと調整をして盛り込んでいけるように調整をしていきたいと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 今度、総理に聞きます。埼玉県の大野知事と会われたと思います。埼玉県の大野知事とお会いになったと思います。
埼玉県から有識者委員会にも提案意見が寄せられていると思います。その提案意見を見ますと、こう書いているんです。これまで特に流域下水道は、供用後、維持、修繕、更新の手法を十分考慮できないまま新規整備が急がれてきた側面がある。まあ、修繕のことなど余り考慮しないまま新規整備だけが急がれてきた側面があるとした上でですね、その上で、老朽化する流域下水道の更新及び補修の困難さ、更新や補修を行う場合の経費負担の検討などを求めているんですね。
総理、老朽化する下水道の修繕や更新のための費用を国に検討を求めるという、この埼玉県、地方の要望について考えないんですか。公共インフラの老朽化対策の費用は、自治体の負担では限界があるとは思いませんか。
【中野洋昌 国土交通大臣】 先ほども申し上げておりますが、国土強靱化の実施中期計画、今後の議論においては、埼玉県八潮市の事故を踏まえということも明記もされておりますし、また老朽化対策ということもしっかり盛り込んでいきたい、こういうことはしっかりと検討をしていくということは申し上げさせていただきたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 総理、答えてください。総理。
【石破茂 内閣総理大臣】 どのような負担が適切かということは、これは常に検討されねばならないことだと思っております。
大野知事からそのような御指摘もいただいておるところでございますが、地方の財政負担能力も各自治体によって相当に差がございます。どれだけ国が負担を負うべきかということにつきましては、それぞれの地域の財政負担能力、あるいはそれを是正する手法等々、そしてまた裨益者が誰であるかということも含めまして総合的に検討をいたしてまいりますが、いずれにしても、予防保全というものを前面に出しまして、実際に被害が生ずる前にそういうものを対策をする。そして、耐用年数というものを念頭に置きながらも、その施設というものが十全の機能を発揮し得るように今後も努力をいたしてまいります。
【伊藤岳 参院議員】 予防保全、予防保全と言いますが、予防保全を否定していないです、それじゃ足りないことを今日聞いているんですよ。
で、これ政府の試算ですけどね、これから四十年間で、土木インフラだけで三百九十九兆円も老朽インフラの更新に掛かると言っているんですよ、これ。一年当たりにすると十兆円ですよ。軍事費は三年間で一・六倍の八・七兆円に増やしながら、一方で国民の命は置き去りにする、これ転換すべきだと求めて、質問を終わります。