議事録

2024年12月19日 総務委員会(顔認証マイナカード問題/保険証廃止を決めた3大臣協議について)

議事録

【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。

 暗証番号なしの顔認証マイナンバーカードについてお聞きします。

 十二月二日から新規の保険証の発行が停止されました。今後はマイナ保険証の利用を基本とすると政府も村上大臣も繰り返し表明されています。

 村上大臣、マイナンバーカードの取得は任意であるが、マイナ保険証の利用を基本とすれば、総務省としてマイナンバーカードの取得の取組を更に推奨、推進することになると思います。どうですか。

【村上誠一郎 総務大臣】 申し訳ない、もう一回ちょっと質問をお願いできますか。済みません。

【伊藤岳 参院議員】 マイナンバーカードの取得は任意でありますが、マイナ保険証の利用を基本とすれば、総務省としてもマイナンバーカードの取得の取組を更に推奨する、推進することになる。そうですよね。

【村上誠一郎 総務大臣】 今月二日からマイナ保険証を基本とする仕組みへの移行を踏まえ、マイナンバーカードの交付を所管する総務省としてはカードの円滑な取得環境の整備に取り組んでおります。

 具体的には、新規出生者やカードを紛失した者など特に速やかな交付が必要となる者も対象に、申請から交付まで原則一週間と短縮する特急発行の仕組みを同日から開始しており、十七日までに三万八千を超える申請を受け付け、順次発送を行っております。また、高齢者や障害のある方々や市区町村の窓口に出向くことが困難である方々を念頭に、市町村の職員が直接福祉施設等へ出張して申請を受付を行う取組等を推進しております。

 今後とも、総務省としては、マイナンバーカードの取得を希望する方が円滑に取得できるよう、環境を整備してまいります。

【伊藤岳 参院議員】 十二月二日でフェーズが変わったんですよ。新規保険証の発行が停止された、だからマイナンバーカード、マイナ保険証の取得を更にお願いしますと、推進していくということになるんだと思うんですね。これは、要介護高齢者や重い障害のある方も、マイナンバーカードの取得、そしてマイナ保険証の登録を推進していくということになると思うんです。

 ところがですよ、要介護高齢者や重い障害のある方が取得しても、マイナ保険証や暗証番号を管理することは困難です。また、要介護高齢者や障害者施設の職員の側にも、マイナ保険証と暗証番号を管理することは不安で負担だという声が広く存在します。こうしたことに応えて、総務省は、顔認証マイナンバーカードを設計し、二〇二三年十二月に運用を開始したということだと思うんですね。

 しかし、要介護高齢者や重い障害のある方が顔認証マイナンバーカードを取得するためには、本人が出向くのは難しいですよね、一人では。施設の職員などが代理申請、交付に出向かなければならないという実態があります。こういう実態、大臣は把握しておられますよね。

【村上誠一郎 総務大臣】 顔認証マイナンバーカードは、御高齢者の方や御家族、福祉施設から暗証番号の設定や管理に不安があるとの御意見をいただいたことを踏まえ、暗証番号の設定を不要とし、顔認証のみの本人の確認を行うカードであります。

 また、顔認証マイナンバーカードを含め、マイナンバーカードの交付に当たっては本人又は家族や福祉施設職員などの代理人が市町村窓口に出向くことが基本ですが、窓口に出向くことが難しい場合には、市町村職員が直接施設へ出張して申請を受付を行う出張申請受付の取組を推進しております。この場合におきましては、施設職員は窓口に代理で出向くことなく、後日、完成したカードを郵送され、職員の負担軽減につながるものと考えております。

 今後とも、カードの取得に課題のある方々の負担軽減に努めながら、円滑な取得環境の整備に取り組んでまいりたいと、そのように考えております。

【伊藤岳 参院議員】 結局、いろいろ言われましたが、本人では出向くのは難しい、だから施設の職員が代理で出向かなきゃいけないということは存在するわけですね。これ今大臣からも言われました。

 しかし、要介護高齢者施設において、施設の側がマイナンバーカードの代理申請を対応できると回答した施設は僅か六・五%。これ全国保険医団体連合会のアンケートですが、こういう数字、大臣、認識しておられますか。(発言する者あり)

【村上誠一郎 総務大臣】 今、私、今初めて聞きました。

【伊藤岳 参院議員】 初めて聞いたというのは、ちょっとびっくりしました。この委員会では何度も何度も議論されたことですよ。

 大臣、代理申請、交付がかなわずに顔認証マイナンバーカードを取得できない要介護高齢者や重い障害のある方、これ、大臣、どのような対応をしますか。

【阿部知明 総務省自治行政局長】 お答えいたします。

 実際には、マイナンバーカードを取得できない方につきましては、資格確認書、厚労省の所管でございますけれども、資格確認書による対応ということも考えられますし、繰り返しになりますけれども、実際には、福祉施設の職員の方々の負担のある場合もありますけれども、実際には、御本人、まあ御本人難しいかもしれませんけど、御家族もできますし、いわゆる任意代理人の方でも取得できるということになっておりますので、必ずしも全てが福祉施設の職員の方々の負担になるというものではなかろうかと思っております。

【伊藤岳 参院議員】 いやいや、資格確認書で対応できるって言うけど、顔認証マイナンバーカードつくったんでしょう、総務省が。これ、もっと推奨するという立場じゃないんですか。

 じゃ、その資格確認書について聞きますけれども、厚労省に聞きます。

 資格確認書の申請なし交付という対応が今ありますが、国民の中には、資格確認書はいつ届くのかという声があります。見通しはどうですか。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 伊藤委員の御質問にお答えします。

 マイナ保険証は本人の健康医療情報を活用した適切な医療の提供に寄与するものであり、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行したところ、十二月二日以降も全ての方が確実に保険診療を受けられるように考えております。最大一年間、発行済保険証も使用可能としているほか、マイナ保険証をお持ちでない方には、発行済みの保険証を使えなくなる前に、申請によらず資格確認書を交付することとしております。

 資格確認書の具体的な発行時期につきましては、発行済みの保険証において有効期限が設定されておりますので有効期限が切れる前に、有効期限が設定されていない場合は令和七年十二月一日より前に保険者から交付されることになっております。

【伊藤岳 参院議員】 仁木副大臣答えていただけましたが、なっているということですが、じゃ、対象となる方全員に本当に漏れなく届くのか、これ、全ての保険者から現況など聞き取っていますか。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 聞き取っております。把握しております。

【伊藤岳 参院議員】 いやいや、もう一度聞きますよ。

 全ての保険者から対象となる方全員に漏れなく届くかどうか、現況どうなっているかって聞き取っていますか。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 把握しておりまして、届くことになっております。

【伊藤岳 参院議員】 昨日のレクではそうは答えていませんでしたよ、おかしいですね。体制は取ったけれども、全ての保険者に確認したわけじゃないと言っていました。

 もう一度答えてください。(発言する者あり)

【仁木博文 厚生労働副大臣】 そういうレクだったかもしれませんが、一応、一応というか、保険者、全ての保険者から被保険者の方に今私が申し上げた期間内に届くようになっております。

【伊藤岳 参院議員】 引き続き、これ問題追及していきたいと思いますが。

 じゃ、仮にですよ、資格確認書が申請なし交付で届いたとしましょう。その資格確認書の更新時期が来ます、早ければ一年後。この更新の時期に申請なしで交付しますか。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 マイナ保険証をお持ちでない方は、当分の間、申請によらず資格確認書を交付することとしておりますので、確認書の更新時点においてマイナ保険証をお持ちでない方にも、当分の間、申請によらず資格確認書が交付されるものになっております。

【伊藤岳 参院議員】 質問に答えていないんです。

 当分の間なんですけど、だから、一年後の更新の方もいれば五年後の更新の方もいますよね。じゃ、五年後の更新の方にも確実に届くって言えるんですね。仁木大臣、副大臣、どうですか。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 御指摘のようなことを考えられますけれども、新たな制度が施行されたばかりではございまして、当分の間については、具体的な期間というのは今申し上げられませんが、確実に届くようになっておりますし、そうすべきだというふうに考えております。

【伊藤岳 参院議員】 つまり、御指摘のようなことが考えられるということは、五年後の更新の人だとかの場合には届かないことがあるということをお認めになっているということじゃないですか。これ、どうするんですか。

 資格確認書の更新の際に、もうこれは施設の職員が代理申請、交付に行かないと難しいですよ。どう対応しますか、どう対応しますか。

【仁木博文 厚生労働副大臣】 冒頭申し上げましたが、我が国は皆保険制度を実施しております。被保険者が確実に保険診療を受けられるように、今御心配のことはないような形に持っていきますので、確認書のことに関しましては、当分の間という方が、該当する被保険者に対しては届くようにさせていただきたいと思います。

【伊藤岳 参院議員】 御指摘のこともあるって、心配させているじゃないですか。

 じゃ、村上大臣に聞きます。

 要介護高齢者や重い障害のある方にとっては、マイナ保険証を持つことや暗証番号が管理できない、そして総務省が創設した顔認証マイナンバーカードの取得にも難しさがあり簡単ではない。資格確認書も、現在のところですよね。いつまでも申請なしで届けられるかということはまだ明確ではないです。

 となればですよ、一時的に無保険状態となる事態が生じてしまう、これ避けられないと思いますが、大臣の認識はどうですか。

【村上誠一郎 総務大臣】 はっきり申し上げますけれども、医療保険制度は実は総務省の所管ではありません。マイナ保険証をお持ちでない方には申請によらず資格確認書の交付や更新が行われ、これまでどおり保険診療の受診が可能であるというふうに聞いておりますので、私はそれ以上答えられません。

【伊藤岳 参院議員】 大臣、保険証の新規発行は既に停止しました。ならばですよ、選択肢を増やしました、顔認証マイナンバーカードとかね、選択肢を増やしました。しかし、先ほど資格確認書を取ってもらえばいいという話がありましたけど、顔認証マイナンバーカードの普及が進もうが進まなかろうが構わないんだという、そういう総務省の姿勢は厳しく問われると思うんですよ。

 ところで、顔認証マイナンバーカードの交付枚数、幾つですか。

【阿部知明 総務省自治行政局長】 お答えいたします。

 顔認証マイナンバーカードにつきましては、令和五年十二月十五日から交付を開始しておりますが、令和六年十月末までで五万二千五百六十八枚となってございます。

【伊藤岳 参院議員】 全国で要介護高齢者施設入所者数は九十七万人です。そのうちの〇・〇五%という状況ですよ。

 河野前デジタル大臣はこう言いました。要介護高齢者や重い障害のある方に向けても、住民票のコンビニ交付などの利便性を享受したいのであれば、普通のマイナンバーカードを取得していただければよいだけだと、こう開き直って答弁されたんです。これでは、要介護高齢者や重い障害のある方々のことなど、政府の制度設計でははなから考えていないと思わせるような発言だと思うんです。

 村上大臣は、要介護高齢者や重い障害のある方に対するこの河野前大臣の発言、どうお考えになっていますか。同じ立場ですか。

【村上誠一郎 総務大臣】 河野さんとは、私は別人格でありますから、同じわけじゃありません。

 顔認証マイナンバーカードは、御高齢者の方、御家族、福祉施設から暗証番号の設定や管理に不安があるとの御意見をいただいたことを踏まえ、暗証番号の設定を不要とし、顔認証のみで本人の確認を行うカードであります。暗証番号の入力を必要とするサービス、例えば各種証明書のコンビニ交付などのサービスを利用することはできませんけれども、顔認証により健康保険証として使用いただくことは可能であります。そのため、カードの取得される方のニーズに応じて選択いただけるものと考えております。

 以上であります。

【伊藤岳 参院議員】 河野大臣、前大臣の発言は否定されましたね。

 大臣、要介護高齢者、重い障害のある方々、そして関連施設を支える職員の方々にとっても、医療へのアクセスは極めて重要な問題だと思うんですよ。やはり、保険証との併用を残しておくべきだと思います。

 大臣は就任前に、当面は現行保険証と併用と発言をしておられました。要介護高齢者、障害のある方々にとって安心できる発信されたなと私思っていたんです。これ、変えてしまったんですか。

【村上誠一郎 総務大臣】 それは多分、一年前のテレビの番組で一政治家としてしゃべったのは、こういう激変のときは激変緩和措置があったらいいんじゃないかという要望というか意見を申し述べました。

 ただ、残念ながら、今、私の管轄はこの管轄ではありませんので、それは厚労省並びにデジタル庁にお聞きいただけたらと思います。

【伊藤岳 参院議員】 逃げちゃいけないと思いますよ。だって、だって、顔認証マイナンバーカードというのは総務省が発行しているんでしょう。それは医療保険のためじゃないですか。

 政府は、二〇二二年にマイナ保険証と保険証、ああ、マイナ保険証と保険証との選択制の導入を目指すとの方針を決めていました。ところが、同年十月、河野前デジタル大臣が、保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化するとの方針を突如として表明された。関係三大臣との協議の結果、総理にも了承していただいての方針転換だったということでした。

 村上大臣は、前大臣、松本大臣から、この関係三大臣との協議の内容をどのように引き継がれていますか。

【村上誠一郎 総務大臣】 マイナ保険証は総務省の所管ではありませんけれども、保険証の新規発行終了の方針については、令和四年八月の第二次岸田政権の内閣改造の際に、議論を閣僚レベルに引き上げてマイナンバーカードの普及や利便性向上の検討が行われたわけで、デジタル大臣と厚生労働大臣により協議がなされたものと承知しております。

 以上であります。

【伊藤岳 参院議員】 先ほども言ったとおり、村上大臣は現行の保険証との併用という考え方を言っていた方ですよね。

 もう一度聞きますよ。

 あの河野前大臣の表明は、保険証、現行保険証との選択制からマイナ保険証への一本化へと突然方針を転換したんですよ。大臣も言っていた併用ということから一本化ということに変換したんですよ。これ、その内容がなぜ変換が行われたのかと聞きもしないんですか。

【村上誠一郎 総務大臣】 伊藤先生、誠に恐縮ですが、一年前は一議員であって、一議員としての意見というか申し上げています。今私の管轄は総務省であって、残念ながら、この管轄はデジタル大臣と厚労大臣でありますので、それぞれの担当の大臣にお聞きいただけたらと思います。

 私は、一議員として去年言ったことについては変わっていませんけれども、残念ながら今管轄は違うので、そこら辺は御理解いただきたいと思います。

【伊藤岳 参院議員】 マイナ保険証への一本化の方針転換は、関係三大臣ですから、当時の総務大臣も関わっているんですよ。それ、引き継がれていないんですか、前総務大臣から。

 もう一度聞きますよ。

 選択制から一本化、この、どうしてこれなったのかって前大臣から引き継がれていないんですか。

【村上誠一郎 総務大臣】 何回も申し上げますが、第二次岸田政権の内閣改造の際に議論を閣僚レベルに引き上げて、マイナンバーカードの普及や利便性向上の検討が行われたわけで、デジタル大臣と厚生労働大臣より協議なされたと。残念ながら、松本前大臣からこの話は私は直接聞いておりません。

【伊藤岳 参院議員】 そんな大事な問題を聞いてもいない、引き継いでもいないというのは、私、合点がいきません。

 二〇二二年十月のこの一本化するという突然の表明が今起きている国民の不安と混乱の大本にあると思います。

 大臣は、この突如の一本化の方針というのが今の国民の不安と混乱の大本であるとは思いませんか。

【村上誠一郎 総務大臣】 もう何回も申し上げていますが、去年は一代議士でありまして、まさかこういうポストに就くとは全然考えていませんでしたので、それについては、残念ながら、まあ思慮不足というか、残念ながら考えておりませんでした。

【伊藤岳 参院議員】 時間が来たので終わりますが、来年の十二月一日までに、現行の保険証が利用できる猶予期間のうちに、保険証を残す、併用するという決断をすべきだと求めて、質問を終わりたいと思います。