議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。昨日の本会議で、松本大臣から本改正案についての答弁をいただきました。その答弁について更に詳しく聞きたいと思う点がありますので、以下質問をしていきます。
まず、普天間飛行場の辺野古移設と地方自治の本旨との関係についてです。
大臣の答弁は、資料でもお配りして、ラインも引いてあります。大臣の答弁は、代執行については、本年二月の最高裁判決によって県に埋立地用途変更等の承認を命ずる判決が確定した、補充的な指示の対象とはならないというものでした。
大臣、この答弁を聞いて、私は沖縄県と沖縄県民に本当に冷たい答弁だと思いましたよ。私は、現行法の下でも本来は国民の権利救済のための法律である行政不服審査法まで使って沖縄県と沖縄県民の民意がこれほど踏みにじられている、その上、自治事務にも国が補充的指示を行使できるとなれば、更に強権的に新基地建設が推し進められるのではないかという不安や懸念が広がるのは当然ではないかと質問したんです。大臣が言ったことは、最高裁判決が出たのだから、県の承認は補充的指示がなくてもやりますよねと沖縄県に迫っているのに等しいですよ、これ。
どう思いますか。昨日の答弁に付け加えることは何かありませんか。
【松本剛明 総務大臣】 繰り返しになりますが、代執行に関しては、本年二月、最高裁判所が沖縄県の上告を受理しないとの決定をし、県に埋立地用途変更等の承認を命じる判決が確定したものと承知をしておりますと申し上げさせていただきました。この審査請求及び代執行については、行政不服審査法及び地方自治法に基づいて行われたものと理解をいたしているところでございます。
法にのっとって私どもとしては行政を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 本当、冷たい答弁だと思うんですよ。
では、大臣、聞きますけれども、辺野古新基地建設に関連して、県の自治事務に補充的指示が行使されることはないと、除外されると断言できるんですか。
【松本剛明 総務大臣】 これも昨日、本会議で御答弁をさせていただきましたが、この補充的な指示は、やはり国民の生命又は、国民の生命の保護等のため、国が迅速かつ的確な対応が特に必要なときに実施をされるものでございまして、その事態としては、対象となる事態といたしましては、実際に生じた事態の規模や態様等に照らし該当性が判断されるところですが、災害対策基本法、新型インフル特措法において国が役割を果たすこととされている事態に比肩する程度の被害が生じる事態を想定しているところでございまして、普天間飛行場代替施設建設事業に関する埋立地用途変更等の承認については、補充的な指示の対象とはならないというふうに申し上げたところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 もう一度聞きますと、補充的指示の行使は除外される、除外されると本当に断言できますか。そこだけ明確に答えてください。
【松本剛明 総務大臣】 繰り返しになりますけれども、本改正に基づく国、地方関係の特例の対象となる事態は、先ほども申し上げたとおり、災害対策基本法などにおいて国が役割を果たすこととされている事態に比肩する程度の被害が生じる事態を想定しておりまして、普天間飛行場代替施設建設事業に関する埋立地用途変更等の承認については、補充的な指示の対象とはならないと考えております。申し上げてきたとおりです。
【伊藤岳 参院議員】 非常に曖昧な規定なんですよね。何でその沖縄の基地だけ除外すると、除外されると断言できるのか、これ私、不思議で納得できません。
もう一つお聞きします。補充的指示が沖縄県などに行使された際に、地方自治体側はこれを拒否することはできますか。
【松本剛明 総務大臣】 要件を満たし、適正な手続を踏まえた上でございますが、補充的な指示をさせていただいた場合には、指示のとおりに自治体に対応していただくことと考えております。
【伊藤岳 参院議員】 自治体側、拒否できないんですね。
【山野謙 総務省自治行政局長】 指示でございまして、これは自治体に、従う法的な義務が生じるところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 拒否できないということでした。山野自治行政局長にお聞きします。
局長は、五月二十三日の衆議院総務委員会で、我が党の宮本岳志議員に対して、事態対処法で定められている武力攻撃事態への対応については、必要な規定が設けられていて、本改正案に基づく関与は想定されていないが、この後にこう言っています、改正案自体については国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例を設けるものでございまして、特定の事態を除外するものではございませんと言われました。
この答弁は間違いないですか。
【山野謙 総務省自治行政局長】 先月、五月二十三日にお答えした答弁の内容でございますが、私は二つお答えしております。
宮本議員に対しては、これは、武力攻撃事態などの対応については、事態対処法制において必要な規定が設けられているため、事態対処法制に基づき対応する考えであると理解していると答弁したところでございます。
また、特定の事態に類型することなく、その及ぼす被害の程度において大規模な災害、感染症の蔓延に類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例を設けるものでございまして、特定の事態を除外しているものではないと答弁したというふうに考えております。
【伊藤岳 参院議員】 特定の事態を除外するものではない。今後も個別法において想定されない事態は生じ得ると局長言われるわけですよね。
その一方でですよ、重要影響事態とか武力影響事態とか存立危機事態への対応については、重要影響事態安全確保法や事態対処法において必要な規定が整備されているから、ここにおいては想定されない事態は生じないと言うんですね、これ。
これ、荒唐無稽の理屈じゃないでしょうか。大きな矛盾ですよ、これ。大きな矛盾をあなた言っているんです、これ。到底納得できる答弁じゃありません。
大臣にお聞きします。
大臣は立法事実について答えるとして、これも昨日の議事録、赤線を引っ張りましたが、一ページ目ですかね、これまでの経験を踏まえると、今後も個別法において想定されない事態は生じ得るのであり、その場合には国、地方間の責任の所在が不明確となるため、個別法が改正される間に行われる国から地方への働きかけについて法律上のルールを明確化する必要があります、このことが本改正案の立法事実だと、立法事実だと答弁しました。つまり、法律上のルール整備が立法事実という言葉は、これ衆議院の議論では使われていなかった、昨日初めて大臣言われたと思います。
今日のですよ、昨日今日の大臣の趣旨説明にもなかったではありませんか。どういうことですか、これ。
【松本剛明 総務大臣】 これまでも衆議院においてもこの趣旨で御答弁を申し上げてきたというふうに私は考えているところでございますが、昨日の本会議の答弁でも申し上げましたが、新型コロナ対応において、当時の感染症法に基づく保健所設置団体の事務は法定受託事務とされ、処理基準の設定や感染症法に基づく指示が可能でございましたが、入院勧告、措置に関わる都道府県の協力、支援事務については同法の規定に基づく事務ではなく、また、国が広域的な調整の役割を担うことは想定されておりませんでした。
後にこのような課題を踏まえて感染症法等が改正が行われているところでございますが、新型コロナ対応はその時点で対応が必要となったということでございまして、これまでのこういった経験を踏まえて、今後も個別法において想定されていない事態は生じ得ると考え、その場合に国、地方間の責任の所在が不明確となるため、個別法が改正されるまでの間に行われる国から地方への働きかけについて法律上のルールを明確化する必要がある、この考え方に基づいて本改正案を提案をさせていただいておりますので、このことが本改正案の立法事実であるというふうに申し上げたところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 これまでもそういう趣旨で言っていたと言われますが、この法律上のルールの整備が立法事実というこの答弁ですね、大臣の。しかしですよ、国、地方間の責任の所在が不明確となるため、個別法が改正される間に行われる国から地方への働きかけについてと大臣言うんですが、個別法が想定していなかった事態に対する個別法の対応の発展のための法整備は本法案のどこに入っているんですか。
【松本剛明 総務大臣】 質問の御趣旨が正確に理解できていないかもしれませんけれども、本法案につきましては、個別法が改正されるまでの間、個別法において想定されていない事態が生じて個別法の改正が、改正されるまでの間、国民の生命等を保護するため、迅速かつ適切な対応が特に必要なときに国から地方へ対しまして働きかけを行う、この法律上のルールを定めるものがこの本法案だというふうに御提案をさせていただいているところだというふうに申し上げたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 大臣、もう一度言いますよ。大臣は昨日の答弁で、大臣が言った答弁ですからね、大臣が言った答弁の中で、法律上のルールの整備が立法事実だって言ったんですよ。法律上のルールの整備は立法事実。
だったらですよ、この法律上のルールが整備されるまでの間ですね、つまり個別法が想定していなかった事態に対する、新たな個別法の対応が求められている事態に対して本法案ではどう対応しているんですかと言っているんです。恐らくこれ、本法案でこういうことが規定されれば、個別法なんか要らないよってなっちゃうんじゃないかと思いますが、どうですか。局長に聞いていないですよ。大臣、大臣の答弁で聞いているんですから、大臣ですよ。
【松本剛明 総務大臣】 これまでも御答弁申し上げてまいりましたが、まず、今回の立法に至る考え方としては、まず、今後も個別法において想定されていない事態は生じ得る、そして、その場合に国民の生命等の保護のために国が果たすべき役割があって、果たす必要があることが考えられる、その場合に国、地方間の責任の所在が不明確となるため、個別法が改正されるまでの間に行われる国から地方への働きかけについて法律上のルールを明確化する必要がある、これを踏まえて提案をさせていただいていることを申し上げさせていただき、この至る経緯、考え方を申し上げまして、本改正案の立法事実として申し上げたところでございます。
その上で、やはり、これまでも個別法において課題が認識をされましたが、それぞれ所管の省庁において検証をし、個別法の改正が行われてきたところでございますけれども、この補充的な指示が行われた場合も、個別の指示についてはまたでございますが、そもそも個別法において想定されていない事態が起こって、個別法で用意をされていない措置が言わば必要になったとも言えるわけでありますので、事態全般、対応全般についての検証を行った上で、個別法において所要の改正が行われるものというふうに考えているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 個別法の制定は各省庁の問題だって逃げるんですか、大臣。
要するに、個別法において想定されていない事態が生じるというのは、指示権を導入するための方便にすぎないんじゃないですか。そのことを指摘して、質問終わります。