議事録

2024年6月5日 地方創生デジタル社会特別委員会(マイナンバー誤入力チェックシステムトラブル・戸籍情報連携システム障害について)

議事録

【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。

 前回の当委員会で、マイナンバーカードに保険情報を新規にひも付ける際に、新規のひも付け誤りを防止するために、今月七日から、資格情報を保険者が登録する際、その全件についてJ―LIS照会を行うチェックシステムの仕組みを導入しております、こう浜地厚労副大臣から答弁がありました。今後、こういった誤登録の、誤りというものは発生を防止できるものと考えておりますというお話でした。

 ところが、その誤入力チェックシステムにおいて早速トラブルが発生していたことが、私の元に寄せられたある保険者さんからの情報で明らかになりました。

 今日は資料をお配りをしております。御覧をいただきたいと思います。

 二つ丸を囲みましたが、下のまず丸ですが、五月七日より稼働しました誤入力チェックシステムにおいて、加入者情報を更新した際に、ちょっと飛ばしますが、J―LIS照会突合の対象外の情報更新時にもJ―LIS照会突合が行われていることが判明しましたという内容です。もう一つ、上の丸を読みます。J―LIS照会突合の対象外の情報更新時にもJ―LIS照会突合が行われたことに伴い、総合判定がバツ、三角に置き換わっている加入者情報が存在することが判明しました。

 これ、いずれも、障害連絡、誤入力チェックシステムに係る障害、速報という、社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会から発出されたメールです。

 浜地副大臣、この誤入力チェックシステムのトラブルと、それを知らせたこのメールの存在は当然知っていたわけですよね。

【浜地雅一 厚労副大臣】 お答えします。今回の、こちらの医療保険者等向けデジタルPMOにおいてこういった照会の不具合があったこと、これは私の方でも承知をしております。

【伊藤岳 参院議員】 これ、当然承知したと思うんです。私は、前回の当委員会で、この誤入力チェックシステムに関連して質問したんですよ。どうして、副大臣、そのときにこのトラブルを明らかにしなかったんですか。隠したんですか。

【浜地雅一 厚労副大臣】 当時の私の答弁は、五月七日から今後新規で保険者に加入される新規加入者のデータにつきまして全件J―LIS照会を行うというものでございます。したがいまして、新たに、新たな保険者に加入をされた加入者につきましては、いわゆるこのひも付け誤り等のミスは起きていないわけでございます。

 そして、今般のこのデータの不具合というものは、この新規の加入者に対するJ―LIS照会の誤りではなく、一度既にJ―LIS照会を行っている方において、過去に照会済みのデータの一部について、システムの不具合によって本来必要でなかった不要なJ―LIS照会が実施をされたものでございます。

 したがいまして、この新たな運用システムの誤入力を防止するというシステムについては不具合は生じていないというふうに認識をしております。

【伊藤岳 参院議員】 いろいろ言われましたが、不一致は生まれているわけですね。総合判定が置き換わっている加入者情報が存在をしてしまったわけですよ。

 副大臣は、この間の委員会で胸を張って誤登録の誤りは防止できると言われましたけれども、これでは本当に信用できるのかというふうに言いたくなります。

 浜地副大臣にお聞きしますが、この社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険中央会からは、いつの時点で、厚労省の誰がその報告を受け取って、どのように省内に共有されたんでしょうか。そして、これを公に公表しなかったのは誰かの指示だったんでしょうか。教えてください。

【浜地雅一 厚労副大臣】 この本件につきましては、五月の十日に誤入力チェックシステムを運用する実施機関が事象を把握をしまして、この同日中、五月十日に厚生労働省の保険局に連絡をいただきました。そして、この実施機関と保険局で協議の上、この実施機関から医療保険者に速やかに情報提供を実施をしたところでございます。

 そして、その後、五月の二十日までに全てのデータを補正をしたところでございまして、現在、今般の事象は既に解消をされているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 一つ答弁漏れています。公表しなかったのは誰かの指示だったんですか。

【浜地雅一 厚労副大臣】 公表ということよりも、まずはこのPMOシステム等について掲示をしております。そして、基本的には、必要な不具合の修正は既に完了しておりまして、現在、システムは順調に稼働をしております。

 そして、今回の事案の内容や対応、再発防止策につきましても、支払基金におけるルールに従って今後公表を予定しているところであります。

【伊藤岳 参院議員】 なぜ公表されなかったのか、誰の指示だったのか、はっきりまだしませんが。

 じゃ、今副大臣が今回のトラブルは解消したと言いましたけれども、一体このトラブルの原因は何だったのか、その原因に対してどのように問題が解決されたのか、詳しく説明してください。

【浜地雅一 厚労副大臣】 一言で言いますと、これはシステム上の不具合ということでございますけれども、更に詳しく申し上げますと、この一部の加入者データにつきましてはJ―LIS照会を行うかどうかの判定基準がございます。そのときに、直近の加入者情報でなく既に更新された古い加入者情報に基づいてこのJ―LIS照会を行うかどうかの判断が、行うシステムの不具合があったことから、こういった不具合が生じてしまったということであります。

【伊藤岳 参院議員】 このシステム作成、運用のベンダーはどこの事業者ですか。

【浜地雅一 厚労副大臣】 NECさんになります。

【伊藤岳 参院議員】 このメールの中には五月の十日十三時から十三日の十時四十分までJ―LIS照会突合を停止したと書かれていますが、なぜこの期間中に停止したんでしょうか。厚労省は情報共有していたんでしょうか。国保の中央会や支払基金とは連絡を取り合っていたんでしょうか。

【浜地雅一 厚労副大臣】 ここで、J―LIS照会との、この誤入力ですね、システムの訂正をするまで照会を止めておりましたけれども、その後、現在は復旧をしているという状況でございます。

【伊藤岳 参院議員】 もう一度確認しますが、障害は全て解消された、こう言いましたけれども、厚労省、それはベンダーの報告だけですか。厚労省自身が何らかの方法で確認したんでしょうか。どうですか。

【浜地雅一 厚労副大臣】 この修正につきましては、実施機関において修正をし、その報告を厚生労働省が受けているということであります。

【伊藤岳 参院議員】 コンビニ誤交付のときもそうだったんですから、やっぱりベンダー任せ、当該団体任せで終わっているんだと思うんですよ。

 是非これ、浜地副大臣にお願いですが、今回のトラブルの詳細な経過と対応などについて、改めて当委員会への報告を求めたいと思うんです。

 委員長、この問題の詳細な経過について、厚労省から当委員会に報告するようにお取り計らいを願いたいと思います。

【伊藤岳 参院議員】 浜地副大臣、厚労省関係者は御退席いただいて結構でございます。よろしくお願いします。

 次に移ります。

 三月に運用を開始した、本籍地以外の自治体窓口で戸籍証明書が取得できる戸籍情報連携システムにおいても障害が相次いでいることが明らかになりました。

 今日は、それを報じた朝日デジタルの記事を資料でお配りしました。線を引っ張りましたけれども、システムに負荷が掛かり過ぎ、自治体からの処理がエラーになるなどなどと書かれています。また、三月中旬に一度は復旧したが、五月の下旬に再発していたと報道されています。

 事は、いろんなその障害トラブルの中でも、特に戸籍に関わる障害だけに、問題は一層深刻だと思うんです。なぜならば、戸籍には婚姻、離婚、親子、養子などの出自に関するデータが蓄積されています。個人のプライバシーに関する核心的な情報です。人の出生から死亡に至るまでの親族等の関係を登録、公証するもので、日本国民について編製され、日本国籍をも公証する唯一の制度であります。その戸籍に関わって障害が発生した。

 中野法務政務官に今日来ていただきましたが、今回の戸籍情報連携システムの障害の持つ重大さについて政務官はどのように認識しておられるでしょうか。

【中野英幸 法務大臣政務官】 お答えいたします。令和元年の戸籍法の改正により、本年三月一日から戸籍情報連携システムの運用が開始をされました。本籍地以外の市区町村においても戸籍証明書の交付を可能とする、いわゆる広域交付の制度等が開始をされたわけであります。

 この制度の運用開始当初から戸籍情報システムの不具合により広域交付がしにくい状況となり、交付できるまで時間を要するなど、国民の皆様方に御不便をお掛けするとともに市区町村の皆様方にも御負担をお掛けをしたことにつきまして、法務省としても重く受け止めさせていただいております。

【伊藤岳 参院議員】 松井審議官にお尋ねします。

 今回、五月の戸籍情報連携システムにおける障害、これ何自治体、何件で確認されているんでしょうか。また、個人情報漏えいなどの被害はなかったんでしょうか。状況をつまびらかに教えてください。

【松井信憲 法務省大臣官房】 お答え申し上げます。

 本年五月に発生した広域交付の不具合におきましては、市区町村のシステムと法務省の戸籍情報連携システムを接続する通信機器において、設定された上限値を超える件数の通信が届いたことによって処理ができなくなったというものでございます。

 その影響でございますが、法務省が事案を把握した五月二十一日から二十八日にかけて約三百件の問合せが市区町村から寄せられたところでございます。

 本件不具合につきましては、二十八日の夜間にシステムの対応を実施いたしまして、以降、市区町村からの問合せは寄せられておりません。

 御指摘のような、戸籍が、出自を伴うプライバシー情報、これを扱うものでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、今回のトラブルは通信機器において設定された上限値を超える件数の通信が届いたことによって処理ができないということによるものでございますので、個人情報の漏えいが発生する不具合ではなく、その漏えいが発生した事例は承知しておりません。

【伊藤岳 参院議員】 中野政務官にもう一度お尋ねします。

 今、かなり広範にトラブルが発生していた、約三百件ですか、という話がありました。しかも、一度三月に復旧したものの五月再発したということも報道になっています。

 政務官、なぜシステムの運用を停止せずに継続してきたんでしょうか。これは施行期日などとの関係だったんですか。どうですか。

【中野英幸 法務大臣政務官】 お答えいたします。法務省としましては、本年の三月一日の戸籍情報連携システム運用開始に先立ち、市区町村と連携の上、一年以上前から必要な準備を進めてまいったところでございます。

 一部の対応については運用開始に間に合わなかったため、本籍地の市区町村の戸籍の正本の内容を確認するなど暫定的な運用を行っているところでありますが、国民の皆様方に広域交付等の施策開始による利便性向上のメリットを享受いただくとともに、安心して御利用いただくために必要な措置であると考えているところでございます。

 また、報道されたような市区町村の負担については重く受け止めさせていただいているところでありますし、また早期に解消を図るために取組をこれからも継続させていただきたいと存じます。

【伊藤岳 参院議員】 政務官の今の答弁、非常に重大な内容だと思うんですよ。

 これ、先ほど報道お配りしましたが、線も引いていますが、各自治体にある戸籍謄本、正本と法務省が持っている副本データ、この内容が一致するかを確認する前に制度が開始されたと報道がありますが、今政務官の話だと、事実あったということですよね、一部の自治体で。その一部の自治体で、まだこの確認が終わっていない前にですよ、出自に関わる大事な戸籍の情報の正本と副本データの確認が終わっていない中で、三月一日が施行期日だからということでスタートした。これ、大変重大な話だと思うんですよ。

 これ、システムの運用の施行期日を優先させたということですか。もう一度お願いします。

【松井信憲 法務省大臣官房】 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、法務省といたしましては、これまで、今年三月一日の運用開始に先立って、一年以上前から必要な準備を市区町村との間では進めてきたところでございます。

 そして、正本と副本との関係でございますが、例えばDV被害者であることの情報などが一部設定されていない戸籍が残っていたということで一つ一つ確認をするという暫定的な措置を講じさせていただいているところではございますが、他方で、既に亡くなられた方の除籍につきましてはそのような必要がないということで、暫定的な運用を、これを解除するということも順次行っているところでございます。

 国民の皆様方のメリットを享受していただくということ、そして市区町村の御負担、これも重く受け止めながら制度の運用というものを考えていきたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 正本と副本データの確認が終わっていない。しかも、今話があったDV等被害者の支援措置を必要とする方なのかどうかという更新も終わっていないわけでしょう。これ、本当に重大じゃないですか。幾ら通知で徹底していると言ったって、このDV被害者の方に新たなDV被害を招きかねない。また、場合によっちゃですよ、正本と副本データの内容が一致していなければ、別人交付さえ起こり得るんだと思うんです。

 法務省、この報道の中で、負荷が掛かり過ぎと報じられていますが、これベンダー側のシステム設計上の問題があるということなんですかね。ベンダーどこですか。

【松井信憲 法務省大臣官房】 市区町村の取り扱う戸籍情報システムにつきましては、各市区町村の方でベンダーをお願いしているところでございまして、合計六社あるというふうに聞いているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 今日、大変重大なことが起きているというのが明らかになりました。委員長、この問題の全容についても、法務省から当委員会に改めて正式に報告するようにお取り計り願いたいと思います。

【伊藤岳 参院議員】 河野デジタル大臣にお聞きします。

 今お話を聞いてもらったように、戸籍情報連携システムの障害が再発をしていました。そして、戸籍謄本の正本と副本データの内容の一致が確認されていない中でシステムが運用開始されていました。

 これ、徹底した調査と、正本、副本データの照合が必要ではないでしょうか。一旦、システムの運用を停止して、立ち止まるべきだと思いませんか。どうですか。

【河野太郎 デジタル大臣】 法務省、しっかり対応していただけるというふうに思っておりますので、現時点でシステムを何か止める必要があるというふうには思っておりません。法務省にはしっかり対応していただきたいと思っております。

【伊藤岳 参院議員】 大臣の答弁も重大だと思いますね。もうこのまま突き進んでいいのかと、私は強く指摘したいと思います。

 とにかく急速に事が進められてきた結果、ひずみが生じていると思います。見切り発車を繰り返すなと強く訴えて、質問を終わります。